お風呂場の溺死の原因はヒートショックではない・・・か。

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今から6年以上前に入浴関連事故の調査が行われている。このころから冬季のお風呂場での事故が注目を集めるようになった。しかし報道ではまだまだ詳しい内容を伝えていない。またデータをありのまま受け取ると違った見方もある事を紹介したい。

年末のネットニュースに取り上げられた話題。最新の調査からとあるが既に6年前に公表されている。この記事のソースはたぶん上の報告書。

上の画像のとおり、年末にネットニュースに上がった話題であるが、最新の調査でもなく、またヒートショックによる心疾患や脳卒中が原因でなくなることは稀であると当時から専門家の中では知られている。

浴室内での事故原因は殆どが「溺死」である。溺死が直接的な死亡原因として報告されるが、実際は浴槽内での失神や機能低下から水没してしまう。なぜ失神してしまうかであるが、これがヒートショックによるものであると一般的に言われる。しかし温度差だけでは人は失神するに至らないことが知られている。そのことを詳しく調査しているのが上の報告書である。報告者は・・・

上のとおり温泉気候物理学会と日本救急医学会、そして検死解剖が分野である日本法医学会。注目したいのはこのメンバーの中で医療従事者でない人は「伊香賀俊治」氏であり、8年前に開催されたセミナーの講演者である↓。

わくわくセミナー明日です。
先日の記事の再アップです。 一般の建築主さん向けの話で、一般対象です。無論、主催の太っ腹上野住宅建材社長さんですか...

伊香賀俊治氏は建築系の先生であり、建物の温熱環境と健康の関連を近年の研究テーマとしておりこの分野では第一人者である。上の8年前に行われたセミナーはまさしくその講演であった。

確かに風呂場は建築内部にあり、建築系の専門家が複数含まれていないと活発な議論にならないと思うが、研究班の中で建築系は伊香賀先生だけでありこの点は残念である。

報告書は全部で228ページあるので興味がある方は一読を。

赤いハッチング、矢印は私が行っている。上の報告書からの抜粋。

溺死防止策は最後のこのページに集約されていると思うが、あえてここにはないことを一つだけ伝えると・・・

給湯器の「自動保温モードは入浴中は切る、使わない」

となる。これは私独自の視点による。

報告書の中に記載があるが、溺死にいたるのは意識が遠のく行為とその後の現象にあり、座位から立ち上がる時に起こる血圧低下で意識を失ってもその後すぐに意識が戻どり溺没から脱することで溺死には至らない。なぜそのまま浸かってしまうのか?・・・それは熱中症による意識混濁と身体能力の低下があるとされている。この熱中症は41度で10分以上浸かっていると体温が38度くらいになるともあり、通常自動保温となる全自動モードにしなければ、湯温は体温で冷やされまた浴槽の底部から熱は逃げるので徐々に必ずさがる。特にお風呂場と体が冷え切った初浴の時に自動保温になっていなければ湯温の下がりは早い。仮に立ち眩みで一時的に気を失っても湯温が低ければ意識はすぐに戻る。しかし湯温が高いと熱中症が進み、意識と機能の復帰は難しく、またその湯温が高温で維持されることで体温上昇は早くなり早期に命が失われる。

湯温を自動保温にしなければ、冷えることで意識は戻りやすく発見に手間取っても命が助かる可能性があがる。

この報告書では41度の保温にしてしまうと、30分後には体温が40度を超えて助からない可能性が高いのである。しかし自動保温でなければ30分経っても38度以下と推察できる(体表温度平均33度で60㎏の体重の人が41度160Lの浴槽時)。特に高齢者は温度に鈍感になり、浴槽に浸かって体が温まっていると感じるのにタイムラグが大きくなるため、自動保温はやはり危険である。
バスタブに湯をはらない海外の浴室内での溺死がほとんどない事は無論だが、湯をはる入浴行為だけではなく、追い炊きの自動保温のせいも少なからずあると私はみている。下のグラフを見てほしい。

先進国ではずば抜けて多い日本の溺死数。また1988年頃から急激に溺死数が増え、その後減らないし2000年以降横ばい。上の報告書からの抜粋。
ただし・・・溺死の定義が1990年に変更されたなどというイレギュラーがあれば、全ての前提が変わるのでこのような統計は条件が重要となる。

最近建築業界で言われているヒートショックだけがこの浴室内での溺死の原因なら、省エネ住宅が多くなってきた2000年以降減少に転じる兆候があってもよいはず。しかし上のグラフが示す通り、1988年から急激に高齢者の死者数のみ増えている。私の想像であるが、この1988年頃から給湯器の全自動化が広まったのではないかと思う。また同時にバブルが終わり景気低迷で室内暖房状態が悪くなり、室温が冬季抑制され低くなることで熱い浴槽に浸かる行為が多くなったかもしれない。念のため、下の通りオイルショック(原油高騰)時期を調べると同期して増えておらず、一方高齢者人口が急激に増えているわけでもない。

1990年から急激に高齢者の人口が増加している形跡はない。別の意味でこの人口予想グラフは恐ろしいが・・・。国交省HPより。

オイルショックによる灯油の高騰も時期がことなる。特に1996年は低い原油価格である。WiKiより転載。

全文読まれない方にしたの文面と図だけ紹介する。赤線は私が加筆している。

報告書115ページの抜粋で最もわかりやすい文面である。
体が冷える高温長湯になりがちな冬季は浴室・脱衣所だけを温めてもさほど溺死に関係ない気がする。
大事なことは高温状態の長湯をやめること。それが自動保温を切ることもだと思う。

1988年以前は自動保温機能がまだ普及しておらず、入浴者が自発的に追い炊きをしなければならなかった。このため家がどんなに冷えていてヒートショックがあるにも関わらず、溺死死亡者が少ないことを統計は証明していると(1988年以前の家は寒いはずなのに人口と共に増加していない)「私」は思うのである。どこかの大学機関などが給湯器メーカーの自動保温機能の出荷台数の推移を知らべてくれることを願う。

ここまで書いてスタッフの意見を聞くと・・・

1988年以降急激に溺死が増えたのは、家族構成にも問題があるのでは?とあり鋭い意見である。確かに多人数で住んでいる場合と、一人で住んでいる場合とのリスクの差は大きい。しかし1990年から急激に少人数世帯が増えるとも思えないが、複合的かもしれない。それでもヒートショックが原因と端的に言えないと思われるが如何だろうか。

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コメント

  1. 松原安治 より:

    とても重要な記事ありがたいです。斎藤さん母堂の事故もあって風呂は要注意。
    緊急ベルを贈られて居てもこうして自分が無意識になった場合は危険。事前に
    しっかり注視事項守ること、再確認します。

    • Asama より:

      YASUG-様

       蓋なしで浴槽に湯をはるか、一番最初に入る10分間前に浴槽の蓋を開けて部屋を暖めてから入浴し、入浴中は自動保温機能はOFFにすると良いと思います。