先日超高断熱Aグレード(今風にいうと等級7またはG3以上)の「緑の家」の2年目メンテナンスに伺ってきた。凄く驚いたのが、久し振りにみたペットボトルによる水の蓄熱である。
Ua値0.20cm2/m2で基礎外断熱(布基礎)の床下で行なわれている建て主さんによる蓄熱。先回のメンテナンスの時にはなかったのに、今回500本?を超える2Lのペットボトルでの蓄熱である。
上の写真には大変驚く事があるがそれは又あとで説明するとして、先ずはペットボトルでの蓄熱を見て頂こう。深夜料金が安価なことを利用して電気料金が安いときに床下暖房を目一杯運転している。当然家全体の温度も上がっており、伺った時には25度~26度で建て主さんは半袖で玄関外まで出迎えて頂いた。
確か7時に電気料金が高くなるので多分7時にはエアコンがOFF。暖房を消してから2時間半後の床下状態と思うが、間違っていたら後日訂正する※。写真の左上3m奥にエアコンの吹き込み口がある。よってその温風に触れ具合でペットボトルに温度差がついている。左上奥の写真が下であり、更にペットボトルの温度は上がり31度。床面は27.5に対し3.5度の差。
※伺いました。夜9時から朝9時までが安価な電気契約であるが、暑いのでやはり7時にはエアコンサーモOFFだったとのこと。やはり無暖房で2時間半後の状況である。
更に温風の吹き出し口付近に向かうと・・・
照明はないところなので、普通の写真で真っ暗だがサーモグラフィーでは、箱に入ったままのペットボトルがよくわかり33.5まで温度が上昇している。この状態で暖房をOFFしてから2時間半経過している。なかなかの蓄熱状態である。
そして驚くべき事がわかる。3枚上の写真も上の写真もそうであるが、通常は基礎周囲の表面温度は下がるはずなのに、全く下がっていない。つまり基礎周囲からの熱の逃げは確実に抑えられている事がわかる。もう一度アップの写真を見てほしい。
上はキャプションを読んで頂ければわかるが、この写真を見たときに震えた。実はこの写真で気づいたのは、カメラからパソコンに移す作業をしているとき。この「緑の家」は特別なAグレードの基礎で、土地周囲に高低差があったので、布基礎がふさわしく、基礎土間コン位置が一部周囲の地面より上に上がるため、内側だけの基礎断熱では熱の拡散を防ぐことは出来ないと判断して、新潟県にもかかわらず内外断熱した基礎なのである。
更に生物劣化を懸念しスラブ下には一切の断熱材はない状態で2年目3回目の冬を迎えている。建物直下の地面温度は安定し、基礎外周から逃げる熱も内外両面断熱で抑えられているので、床下土間コンの周囲温度が下がらないのである。現場で撮影し忘れた外部から逃げる熱を今度サーモカメラで撮影させていただこうとお願いしてみたい。
通常の「緑の家」の床下基礎のサーモグラフィーは下のように外周部分の温度が下がることがはっきりわかる。
では何故「緑の家」の県内標準基礎は内断熱かというと・・・やはり内外基礎断熱だとコストがかかること、及び外断熱だと基礎に何かをぶつけると凹むくらいの強度しか通常出来ない事である。当然白アリ対策が難しいことは言うに及ばない。そこで例えば内外断熱しないで熱が逃げてもその熱が1万円/年の差なら、内外断熱で35万以上かける事はナンセンス。元を取るまで35年かける事に意味があるのか?また基礎は蹴っ飛ばしても壊れないことが普通の感覚であり、この柔らかさが受け入れられるか?である。実際こちらの「緑の家」でも昨年の強風でお隣のサッシが外れ折角の木の外壁に当たってしまい、外壁を取り替えている。
木の外壁だったため簡単に取り替えもでき、一年もすれば他の外壁と同じ色になるだろう。時には想像を超えることが起こるのが自然界。基礎には運良くあたらなかったが、あたっていたら木の外壁と違い簡単には取り替えられないし、傷ものこる事だっただろう。