「緑の家」のお風呂CF(循環ファン)と居室CF(循環ファン)のエビデンス

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「緑の家」の一般的な空調例。廊下に設置された床下用エアコンと冷房用エアコンの2台があり、居室壁にはCFが設置される。最近は上の機種ではなく200Φ型としている。

「緑の家」では11年ほど前からCF(循環ファン)による浴室乾燥とか居室簡易空調を行なっている。お風呂CFではどちらかというと計算より経験則による機種設定であるが、居室CFの方にはエビデンスがある。

脱衣所CFと連動するお風呂CF。風量は120m3/h以上ほしいが、居室CFの250m3/hでは過剰。

まず双方のCFの目的だが・・・

お風呂CFの目的は早期乾燥である。一方居室CFの目的は出入り口を閉めたときの夏期の簡易空調として快適な温湿度の維持となる。このため居室の発熱量(負荷)と見合う冷風の量を計算し機種を選定する。何でもあれば良いとの発想で循環ファンを設置することはない。最近はそのような選定方法を見かけるが、これはCFの目的を理解していない。

居室の負荷を計算する。条件は日没後としている。真夏の午後において窓からの日射侵入を簾で極力抑えても窓の大きさにより変わるが200~500KJ/hにもなるのでCFだけでは難しい。日中は割り切って居室出入り口を開け、計算条件は戸を閉めて過ごす事が考えられる夜19時以降とする。

超高断熱で武装された室内において真夏の19時以降(外気30度、RH72%、室内27度RH50%)の負荷は人体360kJ/h、ノートパソコン・スマホとCFで360KJ/h、換気負荷360KJ/h(全熱交換率50%時)と想定できる。壁、天井、窓からの負荷は合計で50kJ/hとすると、全ての負荷を合わせると1130KJ/hとなる。このように全熱型の換気扇でも換気負荷が全負荷の1/3程度を占める。第三種換気なら720KJ/hで1/2程度の負荷になる。一方廊下のエアコンでつくられる空気質が24度RH50%であれば、循環量145m3/h時でこの空気を居室内に送り込むと居室内を27度RH50%に維持できる計算となる(完全押し出し入れ替えする理想の流体として)。これで最低の風量が決まった。次に・・・

あるRAグリルの一個あたりのP-Q曲線。

通常出入り口を閉めたときにCFを使うわけだが、RA口となるグリルの特性を調べる。145m3/h時に上のグラフような10Pa程度(2個時)であれば、10Pa時に145m3/hの風量が得られるCFの機種を選ぶ。私が選ぶと0Pa時の解放風量が250m3/h程度の換気扇となることが多い。この風量は居室の24時間換気量の10倍の風量が必要であると考えればよい。「緑の家」の廊下等に設置される居室CFがお風呂CFに比べて大きいのはこのような理由があり、お風呂CFと居室CFは目的がちがうので、使用するCFの機種が異なっている。

日中は窓や外壁、天井からの負荷が夜間の数倍になり、室温が28~30度まで上がるのでCFだけの簡易空調では難しく、出入り口の開放となる。注意したいのは居室CFの取り入れ側にはエアコンが設置された空間があり、そこは常時居室より低いエンタルピーでなければならない。この循環量145m3/hなら先ほどの想定した24度RH50%以下である。これで廊下、ホールなどの目標の温湿度も決まる。このような計算がエビデンスとなりCFの機種選定している。

さて・・・お気づきだろうが、近年は海外製のダクトレス換気扇(給排逆転タイプ)が採用されている事例を聞く。このダクトレスに使われているファンが高静圧タイプでないと、CFから送り込まれた循環風により外気へ漏れ出る量が多くなったり、逆に給気が全くされない事が起きるので注意が必要である。その点ロスナイのような同時給排機型や高静圧のダクト式であればこのような問題は起こらない。

一方、換気システムを顕熱交換型や第三種換気にすると、換気負荷が大きくなり、CFの解放風量が350m3/hを超える事になる。そのような大きな循環風量を持ち、見た目もよいCFの該当機種は・・・見かけない。この点も全熱交換型換気扇を何故選んでいるかの理由になっている。巷では専用の空調室で20度RH65%の空気をつくる事が行なわれている例もある。そのより低いエンタルピーの空気を居室に送り込めば先ほどと同じか少ない風量でOKとなるが、今度は空調室内が低い温度であるため壁内外で結露の問題が起きやすい。超高断熱の冷房空調計画は俯瞰的な見方と細かい数値による設定等、バランスが求められるのである。

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コメント

  1. 長谷川 より:

    勉強になります。
    私は、空調室を作るシステムについて、換気と冷暖房を勉強する中で、ネットで見つけました。
    浅間先生のブログでは空調室を作った場合の壁内外結露の可能性について記載があります。
    私がみたサイトでは、空調室の温度を±5℃で調節すると記載があります。
    気密断熱をしっかり行った住宅において、±5℃の温度差で結露することはあるのでしょうか?
    温度差で考えると冬の温度差の方が厳しいような気がします。
    私は素人なのでつまらない質問かもしれませんが、ご教示いただけると嬉しいです。

    • Asama より:

      長谷川様

       結露がおこるかは条件によりますのでわからないとの返答になります。ただこの問題を考えるときに大事なことは結露自体は悪い事ではないのですが、結露が起きることでカビや腐朽菌が発生することが問題となります。

      そこで一般的に言えることは、仰せのとおり温度差は冬期の方が25度以上もあり厳しいように見えます。しかしエアコンという機器内部でもわかるとおり、暖房運転しかしないエアコンは内部を観察するとカビは一切ありませんが、冷房をつかうエアコンは数年でカビが生えます。冷気をつくる事(冷房)はカビ発生と裏腹な関係になることを認識すると、空調室をつくって-5度以内にその空調室の「平均温度」を抑えても、エアコンから吹き出される10度でRH100%付近の気流により、まばらな温度分布が出来る事や、吹き出し前方の温度が極端に低くなることは容易に想像できます。温度が低い部分はそれ以外の部分よりRH(相対湿度)が高くなり、結露がなくとも高湿条件が連続することでカビの発芽はおきやすくなります。そこで冷気は小さな空間に放出することを出来るだけさけ、早期に拡散し温度ムラをつくらないことが原則です。やむなく冷気を通すダクトやチャンバーは大概防かび加工をされておりますので、もし採用される空調室が小さく拡散ができなけば防かび処理をその表面に施すことがよいと思います。一方暖房時の環境では空調室に大きな悪影響はないと言えます。

      • 長谷川 より:

        大変分かりやすい解答ありがとうございます。
        エアコン内部や吹出口付近の結露に関する配慮が抜けていました。
        また、空調室で冷やした空気がダクト内に通るので、床下や小屋裏に付設されるダクトがいくら気密断熱層の内側だとしても、ダクトの外側に結露する可能性があり、断熱性能のあるダクトを使用するなどの配慮が必要な点も気づくことができました。
        ありがとうございました。

        一種換気のダクトについては、OAダクトに断熱構造のものを使用しているかと思います。熱交換された後の、SAやRAダクトには断熱性能の無いダクトが使用されているのでしょうか?
        またその場合、二階床下などの気密断熱層内ではあるものの居室とは合板で区切られているような空間をダクトが通る時に、ダクト内外で結露が起こることもあるのでしょうか?
        特に2階床下は換気などの決まりもないかと思います。

        • Asama より:

          長谷川様
          >ダクトの外側に結露する可能性があり、断熱性能のあるダクトを使用するなどの配慮・・・

          空調ダクト内側壁もRH(相対湿度)が上がりますからそれ相応の防かび加工のされたダクト(市販の断熱ダクトは殆ど何らかの処理がされている)を使用した方がよいと思います。

          >熱交換された後の、SAやRAダクトには断熱性能の無いダクトが使用されているのでしょうか?

          換気ダクト内のSA口近くの一部(1m程度)は吸音のため断熱ダクトを使用します。その他はできる限りスパイラルダクトです。RAダクトはその配慮はしておりません。

          >二階床下などの気密断熱層内ではあるものの居室とは合板で区切られているような空間をダクトが通る時に、ダクト内外で結露が起こることもあるのでしょうか?

          階間(2階床下)だけの条件ではなく、全熱交換換気と顕熱交換換気で異なります。全熱の方は特に問題無いと思いますが、顕熱の熱交換されたばかりのダクト内壁部分は、外気の大量の湿気はそのままで空気温度だけ冷やされますので、断熱ダクトを使用しないと理論上夏期には高湿になります。よって断熱ダクトがよいと思います。「緑の家」では顕熱交換型換気システムを使っていないので、理論上との断りとなります。基本的にRA、EA側は結露して汚れても特に支障はないと思いますが、漏れ率が多い(有効換気率が少ない)機器の場合、RAの汚れは少し気になりますね。

          • 長谷川 より:

            返信ありがとうございます!
            SA付近は吸音のため、断熱ダクトを使用するのですね。勉強になります。
            吸音の目的は、ダクト内を空気が通る音に対してという認識で良いでしょうか?
            私は、騒音に関して、換気扇の性能(db)にばかり気を取られていました。

          • Asama より:

            >吸音の目的は、ダクト内を空気が通る音に対してという認識で良いでしょうか?

            いいえ、吸音は主に機械が発する音(モーターやファンと空気)です。

  2. ZAKI-II より:

    早速の返信をありがとうございます。

    またご連絡が遅くなり、申し訳ございません。

    Asama様はCFファンの騒音について、選定上気をつけられているところはございますか。
    勿論、静かであることに超したことはないかと思いますが、何か着眼点がございましたら、よろしくお願い致します。

    • Asama より:

      ZAKI-II様

      >Asama様はCFファンの騒音について、選定上気をつけられているところはございますか。

      あります。
      お風呂CFは24時間ONなので、騒音dbで27以下(できれば24db以下)を選ぶようにしております。一方居室CFは一時的な扇風機と同じと考えて騒音は許容しております。大体35db以下でしょうか。

      • ZAKI-II より:

        居室CFについて、250m3/h、35db以下との事、大変参考になりました。

        就寝時に居室CFを入れていると、風が当たったりして不快という声が聞こえてきそうですが、オーナー様から特段そういった声は聞かれないのでしょうか。

        • Asama より:

          不快なら戸を開けてCFをOFFすれば良いだけのことです。

          居室CFはあくまでも戸を閉めなければならない事情の時、および温度ムラがある時の緊急措置です。ちなみにそのように使用されているので、オーナーさんからは特にそのような(不快)話はありません。
          250m3/hという大きい風量の理由は前出のエビデンスのとおりです。

  3. ZAKI-II より:

    いつも楽しく拝見させていただいております。

    現在戸建てを新築(HEATG2程度の性能です)しており、浴室にCFファンを取り入れたいと考えております。
    検討を進めるにあたり、よろしければ下記をご教示いただけませんでしょうか。

    ・各社のカタログを拝見し、CFについて勉強しておりますが、風の吹き出す方向と風量を間違えなければ、採用するCFファンは給気用、排気用どちらでも構わないのでしょうか。
    ・浴室に直接接するのでシャッターは必須かと思いますが、湯気を直接排気するわけではないので、シャッターの方式は電気、風圧等は特段気にしなくてよろしいのでしょうか。

    以上です。

    膨大な記事をお書きになっているので、どこかで言及されたことがあるかもしれませんが、お付き合いいただけますと幸いです。

    よろしくお願い致します。

    • Asama より:

      ZAKI-II様

       コメントありがとうございます。

      >各社のカタログを拝見し、CFについて勉強しておりますが、風の吹き出す方向と風量を間違えなければ、採用するCFファンは給気用、排気用どちらでも構わないのでしょうか。

      給気用のファンで120m3/hの風量があるファンは知りませんので必然的に排気用ファンを脱衣所につける事になります。

      >浴室に直接接するのでシャッターは必須かと思いますが、湯気を直接排気するわけではないので、シャッターの方式は電気、風圧等は特段気にしなくてよろしいのでしょうか。

      シャッターは必須とは思っておらず「緑の家」ではシャッターはCFにあえてつけません。多少の漏れがある方が入浴中に息が苦しくないので(入浴中はCFも換気扇も止めるので)、脱衣所(ファンも)へ多少の水蒸気の流入は許容しております。ですがファンモータのためにはシャッター付のほうがよいと思います。この場合レンジフードでも使うので電気、風圧いずれでも良いでしょう。