あれからもう12年が経過したしたのか・・・と感じる。12年前(2010年)に投稿した記事にコメントがついたので続編として案内する。
2010年の頃は、本州以南では樹脂サッシがまだ一般的で無く、一部の高断熱高気密マニアにしか採用されていなかった。アルミサッシ大手2社も樹脂サッシの販売に後ろ向きだった頃である。だから上の記事は当時樹脂サッシを採用する人の正確な判断が出来るようにと思い投稿した。ところが2011年から手のひらを返したように、YKKが先頭を切って樹脂サッシの販売に力をいれ、これからは樹脂サッシの時代と宣言した。
そのブログから12年が経過し、現在住宅のサッシは樹脂サッシが本命であることは誰も否定しない。12年前の上のブログや↓のブログをみて樹脂サッシを採用して頂いた方には胸をはれる事と思っている。
さて本題の31年経過した樹脂サッシはどうなっているか?であるが、コメントにも書いたとおり、拙宅として採用したYKKの樹脂縦すべり出し窓(開き戸に相当)プラマードだけの話であるが、気密性はボロボロであり、海岸に近いせいもあるが蝶番にあたるステーは50%の確率で腐蝕し既に開閉不可となっている。一方、フレームの樹脂は一般的な住宅より紫外線の量が倍にちかい西日の海側にもかかわらず下のとおり、特に問題は無い・・・というよりまだ表面は艶があるように思える。安価なキャンプ道具の樹脂のようなへたりは全くない。多分サッシ色が温度上昇が最も少なく、紫外線も反射しやすい白ということもあるのだろう。
そろそろ取り替え時になる樹脂サッシであるが、心配されたペアガラス内の結露もまったくなく、当時の大手ガラスメーカーの品質の高さがうかがわれる。確かこの頃でもペアガラスを採用した一部の「建材屋さん」のサッシは10年以内に内部結露を頻発するようになる。
多分サッシの色が白いことは日射による温度上昇を押さえ、紫外線の反射も有色サッシより大きいことがメリットである。
さて、最近「緑の家」で22年前に設計し築21年経たトステム(現LIXIL)の樹脂サッシを撮影する機会があった。それをご紹介したい。
上の3枚の写真でわかるとおり、樹脂サッシは樹脂フレームの劣化はないが、パッキンと付属金物で大きな劣化があることがわかる。拙宅の場合は海の真ん前のだからだと思った人は多いと思うが、こちらの「緑の家」は海岸から2km程度離れている。新潟県の海岸都市では一般的である地域。それでもこのようにサッシ付属物は劣化するのである。
つまり12年前に申したとおり、繰り返しになるが樹脂は劣化しないがパッキンと付属金物は劣化し、これはアルミサッシでもほぼ変わりない。パッキン・ビートと金物は30年で劣化するので、丸ごとサッシが単独交換しやすい「緑の家」のグレードA仕様は、今回の内容で大変有効な設計思想であるとのエビデンスになったのではないだろうか。