太陽光発電を載せるか?否か?

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2023.02.09 「混む」→「込む」の誤字訂正

築100年以上経つ「て・こあ」に載せた10kwの太陽光発電。

結論から申し上げると、太陽光発電を自邸に載せた方が良いかどうかをイエス、ノーで簡単に言えない。その理由は・・・

太陽光発電が個人事業であり「投資」行為と同じであるから。

投資ならそれを実行した方が良いかどうかを強く他人に勧めることは出来ないということは理解頂けるだろう。もし「絶対によい」とか「絶対にだめ」と言っている人がいるならそれは詐欺に近い行為と思う。投資とはそういうもので、住宅の仕様の一つとは言えないと私は考える。

戸建てにおける太陽光発電は今までなかった個人が電気を作るという仕組みであるが、簡単に考えると電気代の先払い(電気代の先買い)となる。太陽光発電の設置を考える時に、将来の支払う電気代や売買する電気量を発電量から勘案して設置維持費をペイできる年数を想定する事が一般的に行われている。それでシミュレーションすることになるが、このシミュレーションにはリスクが正しく配慮されていないことがある。それは屋根の耐久性の変化である。近年はホールレス※工法(ガルバニュームなどの金属屋根)が一般的になりつつあるが、このホールレスでも耐久性が変化する。
※屋根への穴開け固定は確実に耐久性が下がる。これを嫌って屋根に穴を開けずにパネルを固定する方法。

新潟県に建設される住宅の屋根は大半がガルバニュームという金属屋根である。そしてそのほぼ100%近く雪止めという金物をつけて雪を落とさないようにする。

この雪止め金物はガルバニュー屋根に直接取り付けることはなく、その部品から足を伸ばして屋根材の隙間をから屋根下地に釘止めする。つまり屋根材には殆ど負担をかけない。しかし太陽光発電ホールレス工法における後付け雪止め金物は、AT葺きなら屋根金属に直接金属の口を挟み込むように取り付ける。当然このときには、金属同士できつく挟み込むので、その接触部分の屋根は表面の塗装が剥がれ、さらにはメッキ層までに食い込む。当初はメッキ層のアルミと亜鉛の犠牲効果で基材の鋼板を守るが、挟んで傷がついたところは傷がついていないところに比べその効果が早く失われるので錆の進行が早いと考えられる。つまり既存住宅の屋根に後付挟み込み金属を使っても気持ちは悪くないが、新築の屋根にわざわざ傷をつけるはさみ金物を設置するのははっきり言って気持ち悪い。そこを知ったうえで太陽光発電のホールレス工法で取り付ければそれは正しく投資が評価出来る。しかしそれを知らずして設置するとなると、あとで後悔することもある。AT葺きより縦はぜ葺きなら取り付け部分が傷ついて先に劣化しても雨漏りに大きな影響を及ぼさない。これは縦ハゼ葺きの雪止め金物もそのように設置されており、仮に錆びても立ち上がり部分なので問題がすくないとの実績があるからである。しかしAT葺きの挟み込みはまだ10年ほど・・・でこれからである。

遠い将来どのように電気価格が変化するか、はたまた買い取り価格が変化するか、破棄代はどうなるか?屋根耐久性の低下など不確定な要素は多々ある。これだけ要素があると普通に考えこれは賭けのようなものであるから、投資なのである。

投資とは必ずリスクがあり、それがなくとも生活に困らない選択できるのもなのだが、このような投資案件を行政が薦めることはまだ良いとしても、東京都のように義務化することには・・・大変な違和感を覚える。

では私ならどうするか?であるが、電気代として「再エネ発電賦課金」を払っているので自身でもそのFITの恩恵を受けるために載せることを検討する・・・がすでに2014年に10kw設置しているので新築の自邸だったらもう載せないだろう。また多雪地域(積雪量が1.3mを超える地域)なら雪下ろしが出来ないのでまず載せないことになる・・・と思う。

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コメント

  1. Asama より:

    TETSU様

     コメントありがとうございます。

    >災害用にポータブル灯油ファンヒーター(乾電池と灯油)を持っておき補助暖房として使えば、電気代より意外と灯油代の方が安く済んだりしますかね??

    エアコン暖房での電気料金は今まで他のエネルギーと比較して最も優等生でした。が、昨年から燃料調整費によってその地位は・・・落ちました。それでも平均の効率でCOPが3を越えればまだ他のエネルギーより単価あたりの発生熱量は良いはずです。札幌の低い外気温でCOPが3を越えるかということは、使い方次第になるかと思います。エアコンはマイナス7度以下になると除霜回数がへり急激なCOPの落ち込みはなくなります。そのとき使い方は最大負荷をかけない運転を心がけ、余裕のある機器設置計画とすればまだ最も優等生だと思われます。札幌地域でのエアコンのCOPシミュレーション結果が下にあるのでご興味があればどうぞ(一番最後のページで3以上がでている)。
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/wp-content/uploads/2023/02/sibukogai_cop_3_2015.pdf

    • TETSU より:

       論文までありがとうございました.新潟の熱損失係数の値は,緑の家から考えるとかなり稚拙な値ですね(この論文での札幌の熱損失係数はわかりませんでしたが).私はUa値0.25は確保したいので,寒冷地エアコンを使えばエアコンも高効率巡航ができそうです.
       高断熱住宅+エアコンで予算が許せば太陽光パネルを設置する.こんな感じで良さそうです.

  2. TETSU より:

     札幌在住です。最近は根雪の遅さと雪解けの早さを感じます。根雪はなんだかんだで12月で2月末には雪解けもかなり進んでいます。実質、屋根に雪が積もってるのは2〜3か月程度でしょうか。
     3月〜11月は太陽光発電が期待でき、お日様エコキュートを使えば冷暖房・給湯はかなり賄える印象ですが、実際はどうなのか。。緑の家のスペックで建てれば太陽発電は過剰な設備なのかもしれません。住宅と簾だけでかなりエコな光熱費になりそう。
     ただ1〜2月の超極寒期(最低気温マイナス10℃)に寒冷地エアコンの暖房効率が気になるところです。災害用にポータブル灯油ファンヒーター(乾電池と灯油)を持っておき補助暖房として使えば、電気代より意外と灯油代の方が安く済んだりしますかね??