いつもこの季節におきる「疑問」事。

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新潟市建築課の窓口においてあったパンフ。このように省エネ義務化は着々と進んでいるが、構造計算義務化など4号特例見直しはどうも弱腰な気配がすでに見受けられる。

先日新潟市に長期優良住宅の認定書を受け取りに行った時に、受付に上のパンフが置いてあった。2025年から省エネ義務化・・・さてこれはスムーズに発進できるのだろうか。

平均地盤面が設計地盤面と違う美幸町の家の場合、階段なりに面積を算出し線熱貫流率を乗じなければならないとのこと。

現在長期優良住宅の申請準備で、温熱の計算で境界条件が複雑な条件(上図)の「美幸町の家」の事前相談を建築審査機関(建築センター)に伺ってみた。すると・・・

基礎断熱の線熱貫流率は新しい条件式のほうが簡単なのでそちらで行ったほうが良いのではないかとのことで、毎年変わる基礎断熱における熱貫流率の計算方法について恒例の「疑問」がこみ上げるのか建研のHPをスタッフMが調べた。すると再来月の4月から採用できる計算で昨年から変わったのは・・・。

建研のホームページからの抜粋。https://www.kenken.go.jp/becc/documents/house/3-3_221001_v19.pdf

緑ラインの「設計地盤面」の文言が追加されていた。建築基準法の地盤面は平均地盤面となるが設定次第ではいくとおりもあるし、実際の地面の位置とそぐわないとのことでこの4月から「設計地盤面」が追加されたと想像する。設計地盤面となると設計者が決める事が出来るので、計算のパターンが増える。
これであれば確かに計算は単純化されるかもしれないが、2023年4月からとの記載があるので3月中に申請終了予定であるため採用できない。

今回の複雑な計算になる住宅の玄関階段であるが、一般的には地面と思われるコンクリート内に土の詰まった部分がまわりの地面より50~60cm階段で高くなる。このような場合、建築基準法の地盤面はこの階段周囲が接する地面になるので、平均地盤面ではそれがないもののとして扱われるが、温熱計算の場合はどうなるのだろう。もしそれがないものとして扱われればその場合は安全側になるので良いだろうが、逆に不利側になるような条件時には、平均地盤面とは別にまた地盤面の定義が作られないと審査として問題がありそうである。2025年から温熱計算の義務化がされれば、このような部分がクローズアップされ、審査となると当然評価の統一が重要なので結構大変になると想像できる。

通常の線熱貫流率0.99にたいし上がっている平均地盤面として地盤面を設定するとピンク色のため(1.7~3.24)著しく悪くなる。また1m以上も下がって平均地盤面とした場合は1.6倍悪くなる。

さて・・・先日UA値0.26w/m2kで温熱等級7で長期優良住宅を取得した「小新西の家」は従来の基礎断熱の線熱貫流率で計算しているが、これを新しい基礎断熱の線熱貫流率で計算するとUA値は0.30~0.31w/m2k程度で2割わるくなり、等級6に格下げになる。しかしこれくらいはまだ良い。「美幸町の家」に至ってはUA値0.17w/m2kがなんと0.3w/m2kと1.7倍も悪くなる。この原因は基礎断熱※の影響が大きくなる平屋であること、及び平均地盤面を採用したからなのだが、平屋のほうは今後も増えるはず。特に温暖地では布基礎の参考事例がないので、基礎の形状によらない一般数値しかつかえないことも問題。このような矛盾をはらんだまま再び来年度も続けておこなうと上の建研のHPにはある。いつまでこんな評価が大きく事なる事象を理由も明確にせずに2つ並列で続けていくのか・・・旧計算式を信じて、平屋は熱が逃げにくくてよいと思っている建て主さんも世の中にはいらっしゃる事を思うと、やはり今年も「疑問」の感情がわいてくる。

※従来までは基礎からの熱の逃げは殆ど無視できるほど小さい数値に評価されていたが、新計算ではその2倍程度多く熱が逃げるとことに計算され、基礎の面積が建物外皮に対する割合の大きい建物である平屋では影響は更に倍になる。

ここで明確にしておきたいのだが、国の評価の計算は間違っていると言って、独自の計算や、やり方で数値を出す方がいらっしゃるが、もし独自計算だと建て主さんにことわりがない場合は、私はそちらの方がもっと問題であると感じる。これは建築士は免許で許された業であり、免許で守られている以上法律や指針に合致した方法であることが大原則と考える。

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