基礎と擁壁(土留め)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
道路側に土留めがあり基礎との距離は1530mmと小さく、基礎形状にはその配慮が求められる。

今週の日曜日に基礎の配筋検査を行うために見学会の終了したあと、現場用の靴を買って美幸町の家の現場に向かった。見学会会場にいるときに現場から電話があり、天候のこともあり水曜日に基礎ベースを打ち込みたいとのこと。となると何かあれば修正するのは月曜日が海の日なので修正は火曜日しかない。そこで急遽日曜日の夕方、見学会を切り上げ現地に赴いて配筋検査を行ったのである。

当然、現場用靴を持ち合わせておらず、まさか革靴で鉄筋の上を歩くなんて危険きわまりないので、ホームセンターで現場靴を購入した。

普通の布基礎による高基礎。

今回の高基礎は布基礎。「緑の家」では年一回はベタ基礎でなく布基礎となる。これはベタ基礎にはベタ基礎に都合がよい条件があり、その条件を外れると布基礎が良い時もあり、高低差がある敷地で且つ玄関階段が深基礎にからみ、更に床下内を完全にフラット(立ち上がり無し)でコストを抑える方法として、ベタ基礎より布基礎がメリットがあると判断してその採用となった。冒頭の写真のとおり敷地の高低差は基礎形態に影響を及ぼす。そして外構(擁壁)にも・・・。

A2用紙に目一杯書き込まれた外構図のお手本のような配置。擁壁の配筋もここに記される。

上は美幸町の家の外構図であるが、A2用紙に目一杯書いてこれが2枚になる。一戸建て住宅において外構図は昔から図面の花形の位置づけである。外構図は図面としての美しさが最も反映される。ご覧のように建物図面ではまずお目にかかれないアール状の線が入る。これは自然界では直線が99%存在しないこととの調和を図るため曲線が入り込む事が多い。それと対照的に擁壁などの工作物は、人工物として直線が強調される。このバランスが外構図に現れ美しいと思わせる感覚となるのかも・・・。

特に今回は道路との境界線に側溝があり、その深さ分だけ擁壁が下へ320mm伸びるので、地上部で見えている以上に擁壁は大きくなり約1400の高さとなる。

偏心している布基礎で隣にある土留めに余計な土圧をかけないような設計。

ただでさえ長期許容支持力が30KNにも満たない土地であるため擁壁下にも地盤改良を施した上で、建物荷重が擁壁にかからないように根切り底を深くとれる布基礎は都合がよい。しかも偏心布基礎として配慮すれば、わずか1500mmしか離れていない擁壁に全く負荷はかからないように出来る。そのため少しでも地盤改良の設計数値を下げることが出来るが、この擁壁下の地盤改良には建物より金額がかかってしまった。

最近はネットやその動画で住まい造りの情報を得て、工務店さんの建築士よりある分野だけ突出した知識を持っていらっしゃる方も多いが、構造やこのような全般的なバランスの知識が実は建築には最も重要であることを忘れがち。それらがあって温熱環境(断熱性能)が裏付けされることもある。

法で定められた養生期間(通常は4週間)を経て埋め戻しがされた擁壁。裏込めの砂利も少し多めに入れ排水を促すことで基礎から地面への熱の移動を抑える。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする