住宅の換気の選定 その4

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換気の選定でその1からその3まで、第一種換気システムと第三種換気システムの違いを純粋に「換気効率」と「メンテナンス」から伝えた。ここまで消費電力とか快適さとかの違いについては選定の理由に入っていないところが重要。まずは換気の本質(しっかり換気ができているか)と長い目で見たときの考え方が選定を行う上で重要だと考えているからである。その4でようやく消費電力や快適性について少し触れたい。

ここまで第一種熱交換換気が「緑の家」にあっている(特に卓越風の大きい新潟県)とお伝えしたが、これらは熱交換無しの第一種換気システムである。たぶん読者さんの中でも熱交換無しの第一種換気システムがあることさえ知らなかった人もいると思われるほど、玄人好みの換気システム。その換気効率の良さは先日お伝えしているその2でリンクしたここでその実証がある。またそのエビデンスとなった論文はこちら↓

http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/ronbun/heisei19/kaji.pdf

Q値に関する断熱、換気の基本② 個別同時給排型換気扇
 これは事務所のSSプランの家の標準換気扇(縦設置)が設置されているところです。 ダクト(配管)は極力避け個別に居室ご...
2010年のブログ

換気については憶測や自身の思考だけで判断している人が多く、これは目に見えない空気のことが原因である。特に給気口と排気口30cmしか離れていないと、ショートサーキットして換気していないと言い切る偽情報まで出てくる。吹き出し口の方向や流速によって変わるが、建築学会ではこれらの事はもう20年ほど前に検証済みで、今更なにを言っているのか・・・と思うほど誤解もある。またこの程度ならCFD解析ですぐに確認ができるほど現在は簡単になっているので、大手メーカーがそれを使っていないはずがない。つまりロスナイのような給気口と排気口が20cmしか離れていない換気システムでも悪くない効率示すので、商品が販売されているし、近年は誰もがCo2濃度計で測定できるのである程度の換気効率は把握できる。

私が検索しただけでも寝室のCo2濃度が3500ppmを超えたなどの結果がすぐに出てくる。一方リビングはおおむね800ppm前後、Co2濃度と睡眠の論文等々↓

https://www.google.com/search?q=Co2%E6%BF%83%E5%BA%A6%E8%A8%88+%E5%AF%9D%E5%AE%A4&sca_esv=557255143&rlz=1C1VFKB_jaJP1020JP1020&sxsrf=AB5stBgtPjx4TKwYll5Rk7UJBl5VjztelQ%3A1692139959905&ei=twHcZITyNpGW4-EP1MGZ2AY&ved=0ahUKEwjEqeHJ4N-AAxURyzgGHdRgBmsQ4dUDCA8&uact=5&oq=Co2%E6%BF%83%E5%BA%A6%E8%A8%88+%E5%AF%9D%E5%AE%A4&gs_lp=Egxnd3Mtd2l6LXNlcnAiE0NvMua_g-W6puioiCDlr53lrqQyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsAMyChAAGEcY1gQYsANI9gpQAFgAcAF4AJABAJgBaKABaKoBAzAuMbgBA8gBAOIDBBgAIEGIBgGQBgo&sclient=gws-wiz-serp

実測しCo2濃度を把握することから始めれば換気計画に大きな破綻はない。長時間滞在する寝室のCo2濃度が最も感じだと私は感じる。

これをありのままとらえれば、如何に寝室中心の換気計画が理にかなっているかわかるのではないだろうか。

さて本題の消費電力である。第三種換気システムと第一種換気システムは、単純比較すれば当然第三種換気システムの消費電力が少なくなる。しかしダクト式第三種換気システムと熱交換無し第一種換気システム(ダクトレス)は、熱交換無し第一種換気システム方が消費電力が低い(ダクトレスの第三種換気はその換気効率の悪さから除外する)。熱交換無し第一種換気システムはいわゆるパイプファンが最低5個程(4人家族)になるシステムである。給気が4個排気が1個でそれぞれ消費電力が3W/個と4W/個であるため合計で16Wであるから個数が増えても25W以内。一方ダクト式の第三種換気システムは25Wか50W程になる。大体半分である。このように両方とも熱交換しない同条件の評価だから公平だと思う。当然イニシャルコストも低く熱交換無し第一種換気システムは全部で12万程度、一方ダクト有りの第三種換気システムは30万~40万ほどになる。これらを比較して「緑の家」では10年前までは熱交換無し第一種換気システムが標準であった。

ところが・・・

2008年に超高断熱住宅(Ua値0.29以下)を計画してから複数の建て主さんに「寝室の給気口の近くに寒い風がくる」といわれそれを素直に改善したのが熱交換有りのダクトレス第一種換気システムであった。これに変えてからこのような事はなくなった。普通の設計思考なら、寝室に給気口を設けるのをやめたり、給気量(寝室は35m3/h~50m3/hに設定)を下げて対応するだろうが、寝室への給気量の大切さをしってるので、給気量を落とさず改善しようと考え、当時の自身の考えをかえて熱交換ありのロスナイを選んだ(寝室は小さいので給気口の配置で解決できない)。当時の自身の考えとは、温暖地では熱交換で得られるエネルギーよりエアコンでそれを造ったほうが効率がよいと言っていたのである。また2008年から3年間はQ値による断熱評価だったのが、Ua値に変わったのでこれも熱交換無しの換気扇を2014年まで引き延ばしてお勧めすることになった。Q値の場合は、換気の熱損失も評価に入るが、Ua値では換気の熱損失は評価から除外されている。2008年に計画した超高断熱の最初の家は既に熱交換型の換気扇を搭載していたが、これはQ値による評価の頃で、Q値の場合は換気のロスがその評価に大きな影響をあたえていたため。

このように第一種熱交換型の換気システムは建て主さんの意見の集約であるともいえる。自身の家なら寝室は閉じない空間なので、給気口は寒さを感じにくい位置につければOKだが、様々なご要望、プランに対応するためには最も無難なのが熱交換有りとなり、特に全熱交換型なら潜熱負荷が減り、個室のエアコンレスが可能になったこと及び家全体で低湿度環境にも貢献するので一石三鳥だったのである。このあたりはその5で解説する。

ここでも述べるが、換気システムは建て主さんの好み・指向でよい。上は「緑の家」での換気システムの選定方法のことで何を選んでも自由だと思う。

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