行政による耐震審査義務化の行方 その1

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厚さ30mmを超える資料が届くのは2000年以来かも・・・

先々週、国交省から全国の設計事務所登録を行っている事業所に、多分一斉に送付されている案内書・・・が上の写真。この中には・・・

12月4日に起きた地震は20年前の中越地震の近地である。ヤフーの地震情報から

今週初め久しぶりに新潟県中越地域を震源とする地震があった。丁度otomo vie centにいたので感じることができた。このように時折小さな地震があると、自然災害の事を忘れられずにいられるので、その意味では必要なのかもしれない。

さて、送られてきた資料は下の通り。

何から見たらよいかわからなくなるくらいのパンフレットとガイドが入っていた。これは2025年から実施される「住宅の構造審査の義務化」に関わる書籍となる。

何度もお伝えしているが、現在長期優良住宅等(性能表示を含む)を取得していない2階建ての家は、行政による家の構造審査は一切行われていない。所謂確認申請をだして確認済書を受け取るだけである。耐震性をはじめとする構造の確認は一手に担当設計者となる。簡単に表にしてあるのが下の写真。

審査項目が増えるが、ここには書かれていない項目がまだたくさんある。

改正前(現在のこと)はピンクで囲った構造審査はないとなっているが、改正後は審査する建物と已然審査しない建物とに分かれる。しかし通常の住宅は審査する「新2号建築物」に該当するので審査が一般的になる。

この届いた書の中には確認申請図書の作成例があり、耐震性の要の耐力壁の記載例と確認例がある(仕様規定のみで構造計算はほぼ変わらないので記載はない)。

これらの上の事は現在も行われなければいけない法律規定のため、本来このような説明は必要無いと思われるが、このような耐力壁計算を示した図面(構造計算書なら尚よい)が、現在建て主さんまでに渡っているかどうか疑問のところである。多分作成し渡していない実態があるので、このように「このように書くのだよ」と表現しているようにも見える。それは下のように構造関連の解説まで丁寧にあることからもわかる。

基本的に従来とほとんど変わらない仕様規定での確認方法である。

確かに今回の法改訂で座屈や壁量の数値が変わるようだが(重い屋根、軽い屋根の廃止)、これについては2025年を待たないで「今」から取り組むことが建て主さんのためにはよいといえる(今から取り組むことでも既に10年は遅いが・・・)。

ツールがある。既に行われていれば自社の既存方法スムーズのはずだが、これらを使うのもよい。

当たり前だが、2025年から急に建物がZEHで重くなったり、雪で重くなったりするのではない。10年以上前から太陽光発電は一般的になり屋根は重くなっているし、雪も毎年ふっている。こんなことが設計に取り組まれていないなら、既に今後の住宅建築に関わることは難しいだろうが、施行までもうすぐだからこのようなお達しがたくさんの資料と共にくるのだろう。これらをしっかり理解しつつ自由設計を維持できるのは、限られた設計者だけになるだろう。

さて次のその2では少し批判めいた話になる。

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