建築主さんは、一般的な住宅では行政による耐震性のチェックが行われていない事はまだまだ知らない。3.11の大地震から10年、敷地の購入や建物に対する意識は変わったのだろうか?
大きく変わったのはハザードマップ(危険災害予測図)。一般人でもハザードマップが見られるばかりか、土地を購入するときの重要事項説明において説明する項目に義務づけされた。一方何でもカタカナでごまかそうとする感じもあるので日本語の「危険災害予測図」にした方がよいとまずは思う。
実は当ブログで10年前に下のブログでハザードマップが何故見られないかの問題提起した。
3.11からわずか一ヶ月後に書いたこの2011年の4月13日にブログにあるとおり、この当時、国は既にハザードマップを作っていたにも関わらず、一般人の目に触れる事を避けるように扱っていた。よってハザードマップを自身の目で見る方法は国交省北陸地方整備局内にあるポスター地図のみ。このため建物内に入り許可を得てデジカメで撮影させていただいたもの。当時購入さえできない上の派手な地図がハザードマップ。それから一年後には新潟市役所でも閲覧がかのうになり、その後ネットでも公開されるようになったのはつい数年前。そして昨年不動産取引(土地購入時)においてこのハザードマップの添付が義務になった。完全公開まで10年かかったことになるがそれでも進歩したのである。
これで・・・小学校やスーパーが近くにある方がよいのか、災害が少ない環境のほうがよいのか責任を持って選び、他のせいにするべきではない。水害や台風による自然災害は予測と準備、対策はほぼできるのである。
ところが、
ところが、
地震災害・・・建物の耐震性のほうは全く10年前と変わらない。
いまだ一般住宅(床面積500m2以下2階建て以内)の耐震性の確認は行政では行われず、設計者任せである。その設計者もこの耐震性チェックを放棄して、構造材を加工するプレカット業者に任せているという事例が多い。
省エネ住宅のほうは2015年には2020年には義務化される決定がされ、行政での確認チェックも必須になるはずだったが、2019年にちゃぶ台返しにあい、義務化(行政の確認)は無期限延期になった。しかし最近の河野大臣の頑張りにより2025年に義務される方針に再変更された(それでも5年先送り)。このように命に関わらない省エネの方は行政のチェックが行われるが、人の命に関わる耐震性のチェックは未だに行政はノータッチとのこと。この矛盾はいつ解消されるのだろう。
確かに長期優良住宅を取得すれば行政による耐震性の図面チェックは行われる。しかし設計チェックは行われるが施工時のチェックは長期優良住宅であっても行われない。耐震性は特に施工が確かで無いと全く意味の無い数値だけのお遊びとなる。
あの3.11から10年経過しても耐震性を確保するシステムは変わっていない事が残念である。