昨日の情報交換で、
「浅間さん、東芝さんは再熱除湿を搭載しなくなったのですか?」
と松尾さんから聞かれました。
今朝丁度タイムリーで日経アーキテクチャーに連載されている松尾さんの記事のタイトルが
でした。
松尾さんによると大手エアコンメーカーは再熱除湿を止めた理由は・・・
「製造コストを下げるため」だそうです。
この理由が本当ならユーザー無視の最たる改悪です。
私が2016年のお勧めエアコン機種を8月始めに掲載しましたが、
この時には三菱電機のエアコンは再熱除湿有りになっておりますが、・・・なぜかトップ機種のFZとFLシリーズには再熱除湿がなく中間機種のZとXシリーズには今年度機種でも再熱除湿があります。
となると・・・価格が安い中間機種だけに再熱除湿があることは、製造コスト下げるためだけに止めたとの理由がしっくりしません。ただ機能改訂には開発コストがかかるのでまだ昨年度機種をベースに今年度機種を販売したので残ったのかもしれません。
私が考えるに・・・
今の行きすぎた省エネ表示APFがもたらした害ではないないでしょうか。
再熱除湿は室内機内で複雑な気流制御が行われます。これは熱い部分と冷たくなる部分が近接する事で起こる障害(霜飛び)があると日本冷凍空調工学会のHPで紹介されております。
以下日本冷凍空調工学会からの転載
1) 室外側熱交換器で高圧高温のガス冷媒を一部凝縮して高圧高温の二相冷媒にするが,その一部とはいくらか,暖房 ぎみ除湿か冷房ぎみ除湿か,何をどう制御するのか.現状では室外側熱交換器の送風機の回転数を室内吹き出し空 気温度によって制御している.
2) 室内側熱交換器にある室内電子膨張弁からの冷媒音をどう消すか.これはメーカーごとに異なるが,代表的な方法 として低騒音弁を開発しており,入口二相の気泡と液の粒子を細かくして消音効果を出しているものがある.3) 通常冷房運転から再熱除湿運転にモード変更するタイミングと,その時の圧縮機周波数の制御をどうするか.通常 冷房運転では,電磁弁EV1 とEV2 が開いており,室内電子膨張弁は閉じているため,室内熱交換器No1 とNo2 の 両熱交換器が蒸発器になっている.ところが再熱除湿運転では室内熱交換器No2 のみが蒸発器であり,このモード 切り換え時に圧縮機の周波数も連動して変化させなければ,連続的能力制御が達成できなくなる.
4) 室内側熱交換器No1 とNo2 は従来の狭い空間に押し込まれているため,温風と冷風が箱体内で混じりあい,いわ ゆる露飛びが発生することがある.これを避ける風路系の設計と温度分布を最適設計しなければならい。
省エネ=高APF評価を得るためには熱交換器の最大化と風量設計が室内機側に求められます。この時に障害になるのが再熱除湿運転時の上のハードルの高さです。再熱除湿が室内機側に搭載されなければ大変スッキリと設計が可能です。つまりAPFのよくする為だけに、一部のユーザーしか拘らない※快適性を切り捨てとにかく高APF(冷房のみ)に舵をきったと思われます。特に三菱電機が今年から取り入れたプロペラファンによる送風ではこの吹き出し経路の最適が必須ですから、再熱除湿は邪魔になったと推察出来ます。無論コストもありますがわずかなコスト差では販売優位性があるなら気にしないのがメーカーです。
更に突っ込むと・・・
※元々、メーカーが推奨する6帖用エアコンを6帖に設置するなら、再熱除湿のような強力な除湿量がいらないので、6帖用エアコンは6帖で使ってください。6帖用を40帖で使わないで下さいと言われているような気がします。これは私達高断熱高気密のユーザーに「もっと多くエアコンを設置してね」という事です・・・かね。
今年から日立のエアコンが売れて再熱除湿上位機種が市場から早々に在庫なしになるかもしれません。