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今年完成した「緑の家」 ② -新潟県内の自然素材の家-

 

今年は太陽光発電に光が当たりました。太陽光発電パネルで発電された電力の買い取り価格が今までの2倍(24円/Kwh→48円/Kwhになりました)。

これでようやく太陽光発電を設置する動機が明確になりました。従来の24円では、設置費70万/kwhを償却するまで30年という現実離れの年数が15年となり、16年目から実質発電貯蓄と同じようになります。

上の写真は3kwの太陽光パネルを設置した時の真冬の最大発電量です。仕様通りの最高で3kw発電されてます。 

さてこの家は新潟市小新のS邸です。県内の戸建て住宅で、一番最初に耐震等級2を取得した建物です(大手メーカーを除く)。
何度かご紹介してますが、デッドスペースの階段上に手洗いを設置。排水管周りがそのままインテリアです。 
玄関横には小さなウォークイン収納です。最近は玄関床はありがちなタイルを使用せず、モルタルで仕上げる事が多くなりました。昔は「モルタル=質素」という感覚でしたが、私は「モルタル=手仕事の味」という感じです。特に年月が経ったときのモルタルの雰囲気は、昔の土間のたたきのような味ががでます。

南側の一番良いところは吹き抜けです。冬でも太陽の光をあます事なく室内に取り入れます。
洗面台は造りつけとして計画します。大きな鏡と大きな洗面ボール、そしてシンプルな棚のみの構成です。
外観はガルバニューム鋼板で軒の出なしのコスト重視のデザインです。但し、夏の日射対策として大きい窓には全て庇があり、すだれなどを掛けられるように計画しました(太陽光パネルから雪が落ちる個所は庇なし)。

次は三条のK邸です。とにかくバランスがとれたオーソドックスなデザインで、Q値は1.58W/m2Kの高断熱です。サッシはアンダーセンという木製サッシでU値1.6W/m2K程度の高性能窓です。加えて木製サッシですが、外部のみ樹脂コーティングされ、木製サッシにありがちなメンテナンスが必要ありません。

主暖房は床下暖房ですが、薪ストーブもあり、当然薪小屋も計画しました。この薪小屋は一冬分の薪を保存でき、先入れ先だしを考えた小屋です。
外構は、オーブルお得意の下田産の自然石(丸石)を積んで柔らかい雰囲気と本物の質感を生かした玄関アプローチとして計画。これから充実する木々が楽しみです。

内部にもこだわりが見えますね。まず素地の色が多い緑の家ですが、今回は染色による色づけをしております。着色ではないところがみそです。
リビングの外の濡れ縁は夏の日射を防ぐと同時に天井いっぱいまで窓と、濡れ縁のトップライトと相混じって室内に明るさをもたらします。
天井にもデザインを施し、建築化照明で、照明器具までデザインに取り込んでいます。

緑の家は超高気密高断熱住宅で耐震性、デザイン、耐久性、自然素材、コストがバランスが良く考えられた住宅です。


今年完成した「緑の家」① -新潟県内の自然素材の家-

まずは無塗装で木の外壁の下田のY邸。
建築業界では、木の外壁の無塗装はいわばタブーです。これは当事務所が12年前に「木の床は無塗装で!!」と言っていたのと同じで、ここ最近ではありえない使い方です。しかし良く考えてみると、100年も昔から木の外壁は使われていて、その70年間は無塗装の木の外壁です。防腐剤が塗られるようになったのはここ30年位です。たぶん有名なキシラデコールという塗料の存在が大きかったのでしょう。しかしこのキシラデコールは欧州の塗料で、国産ではないところが「みそ」です。つまり日本国内では70年も無塗装の外壁で困らなかったともいえます。欧州のメーカーが勝手に、外壁に防腐剤は必要でしょう?と押し付けた気さえします。欧州ではずっと木製サッシが主流でアルミサッシはありませんでした。木製サッシですから、防腐剤を塗った方が機能が長持ちします。しかし日本では30年前にはすでにアルミサッシなっていたので、サッシに防腐剤は不要です。となると外壁や破風とよばれる部分にしか塗る場所はありません(木の場所)。だから面積の多い外壁にメーカーは勧めたのではないかと想像します。特に30年前から屋根の出のない家が著名な建築家によって建てられてましたので、そんな木の外壁の家には防腐剤を塗らなければあっと言う間に黒ずむ家となります。でもしっかり屋根の出を造る事で、無塗装の木の外壁でも40年もその機能を維持することを身の回りの歴史(近所の神社やお寺)が証明してます。だからまた10年先には「12年前から床に木の無塗装を勧めた時」と同じように少しは認知されると思います。
さてこの無塗装の木の外壁は時が経つと「シルバーグレー色」になり、この色の杉板がまさしく「環境と調和」します。この下田のY邸付近は自然が多く残っており、目の前の用水路でオニヤンマがたくさん孵化します。そんな環境ですので、緑に似合う外壁をお勧めしました。この付近の積雪は例年1.5mくらいふります。雪おろしは老若男女いずれでも危険な重量労働で避けたい仕事です。そこで2.0mまで雪を屋根にのせたままでも平気な耐雪住宅となっています。
また、中水利用も兼ねた融雪用の深井戸を掘り、散水や洗車に使います。。

では数年後のシルバーグレー色はどんな感じか?何回かご紹介して恐縮ですが拙宅と緑の木々の相性は抜群。まさしく「緑の家」の外観です。

次は栄のS邸です。
カントリー風の家をご希望されたので、煙突付とんがり屋根の家です。カントリーハウスにには付き物の納屋も一緒に提案してます。納屋は木の無塗装の外壁でこれが母屋の塗り壁とマッチしております。この家には真っ白な塗り壁ですね。
内部はこだわりの漆喰塗り壁です。化学物質であるシーラーをまったっく使わない漆喰です。漆喰は150年も昔から存在していた壁仕上げです。当時シーラーと呼ばれるものがありましたか?ないですね。だからこの漆喰にもシーラーは塗らないのです。それが本物の自然素材を使うということです。
住んで間もなくお子様がこの漆喰をかじってしまいましたが、さすがに漆喰自身の強アルカリ性は害がありますが、シーラーという訳のわからない化学物質が入ってないので少しは安心です。でもどうしてかじったのでしょうか?美味しそうだった??

この家の木の使い方は、「緑の家」では珍しく、窓木枠にペンキ塗りを施してます。これもカントリー調のデザインを出すためで、狙ったとおりのよい雰囲気になりました。
照明器具は一品ずつ建て主さんが選んだアンティーク品です。
イメージにあった使い方を柔軟に提案する設計事務所ならでは使い方です。キッチンもオリジナル設計で、天蓋や棚なども見た目と、機能上の天蓋に埋め込まれた照明などミリ単位の細心注意で設計されてます。無論ローコストになるように無駄なところはバッサリ省きます。

また納屋やお風呂洗面台、階段、玄関と至る所にこだわりのデザインを施しております。


新潟の家 太陽の恵みとパッシブ利用とアクティブ利用

パッシブとは・・・
直訳で「受動的・・・」
反対語にアクティブがあります。

写真の太陽光発電は、太陽の恵みをアクティブに利用し再生可能なエネルギーとして使う装置の代表ですね。
一方太陽が窓から入る光や熱は、そのまま受動的に使う代表です。
ほぼ冬至同じ太陽高度の25日の11時30分(ほぼ南中時刻)写真が↓これ。

冬至は太陽が一番低くなる季節。冬至を過ぎると太陽の角度は夏至に向かいまた高くまり力強くなります。さて、光と影の分かれ目をよくご覧ください。
ほぼ窓の上とピッタシです。つまりこれからこの窓から入る光と熱は少しずつ遮られ、夏至のころには完全に遮断されます。一番気温が暑くなる7月下旬から8月中旬のころは、夏至より少し太陽高度が低くなるので、そのころの太陽を防ぐように庇や屋根の大きさを設計すると屋根の出は1.1mにもなり、このくらい南側の屋根が出ていないと、暑くなる7月下旬から8月中旬の日差しは屋根で防げません。超高断熱の家は、夏は日射が大敵です。家の中に入ってきて大変な事になりますので、キッチリ防ぎます。この配慮が新潟の家では必要ですが、最近こんな大きな軒の出がある家はなかなかありません。秋に完成した超高断熱の↓家も屋根のでも屋根の出は1mありました。

屋根の下の「たるき」と呼ばれる綺麗に並んだ部材。神社などでは当たり前のように見えているこの部材。屋根の出が1.1mもあるためこのように細かいピッチで並びます。これを隠すのはもったいないので露出させました。木の家の証明です。

この家の見学会は1月23日24日25日に行います。そのパッシブですべてにおいて完璧な性能をお確かめください。


新潟の超高断熱には、こんな感じの木製断熱サッシですね。

自分で設計していいね~というとおかしいですね。でもこの開口部、良くないですか?
12月22日のブログに、「木製サッシには庇か屋根の出が必ず必要」と宣言してます。それは、木製サッシの耐久性に大いに関係しているからです。
この外壁から引っ込んだ木製サッシ。あれっ、どこかで見たような・・・。と思って車にに乗っていたら、「これだ~」と思ったのが、土蔵の窓でした。
土蔵は壁の厚さがやはり30cmくらいあり、窓の位置が外壁から引っ込みます。そしてその窓をかばうように庇が付いているのが普通です。古来日本からあるデザインなのですね。
流行の庇がも屋根もないサッシとは違いますね。庇がないと自然素材の木のサッシの痛みが激しく、また時には「よだれ」を引き起こします。基本は忠実に守りたいところです。
町で見かけた築12年くらいのかっこい良い家。しかし屋根の出や庇がなく、外壁がガルバニュームではないので汚れがひどく目立ち残念

ちなみに下の外壁はIGサイディングと呼ばれるガルバニューム鋼板。エンボス加工がすっきりしたイメージを与えます。
珍しく「緑の家」になぜサイディング?と思う方もあると思います。
実はこの外壁は外貼り断熱に使っている「高性能フェノールフォーム」という最高性能の断熱材が105mmの厚さで施工されてます。
法律では市街地は燃えにくい外壁構造としなさいという決まりがありますが、その決まりに正しく合致するのが、現在はこのIGサイディングのみです。但し建築主事の判断で今までのガルバニュームをつかえるところがありますが、そこはケースバイケースです。
あっ、ダイケンのダイライト工法では、こんなに厚い外貼り断熱をすることは認可されてません。またダイライト工法では外貼り断熱の上に無垢の木を貼る工法も認可されておらず法律違反です。気をつけたいですね。
「緑の家 SSプラン」この庇ならほとんどの雨は防げます。また枠のようなデザインは、外壁を壊さなくともサッシ交換可能な枠。こんな窓、見たことないでしょう。


新潟の家の冬 超高断熱の家。結露とハニカムサーモスクリーン

ハニカムサーモスクリーン(セイキ販売)というカーテン類をご存知ですか?数年前からその筋の人(超高断熱マニアやパッシブハウス、無断熱住宅)には使われている断熱カーテンです。私自身は使った事がないので、もし使用経験のある方の情報をお待ちしてます。
何の情報かといいますと、新潟県は冬型の天候時、必ず西又は北風が強く吹き、吹雪や霰が窓にあたり融解し水となります。するとガラス面の表面熱伝達抵抗が小さくなり、室内カラス面の温度低下が起こります。風だけならその温度低下が予測できますが、雪や霰が表面を覆った時の低下を算定する式(表面熱伝達抵抗値)が見つけられません。
この時にハニカムサーモスクリーンを下していた窓は、結露するはずですが実際にお使いの方の体験をご投稿く頂ければありがたいです。当ブログはその方面の常連さんも多いので何か情報をお待ちしております。

ちなみに通常であれば内外温度差である部位の温度は次式で予想できます。

ガラス表面温度は・・・
θx=θi-rx/R(θi-θ0)
R・・・全体の熱伝達抵抗(表面熱伝達抵抗0.11、0.04含む)
rx・・・x点までの熱伝達抵抗
θ・・・室内温度i
θ0・・・室外温度

LOW-EガラスAr入り K=1.6の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.11/0.625(20-0))=16.4度

複層ガラスK=3の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.11/0.333(20-0))=13.4度

ハニカムサーモスクリーンとK=1.6の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.39/0.91(20-0))=11.4度・・・室温20度湿度約60%の露点温度
(ハニカムサーモスクリーン使用時の全体K値1.1と仮定)

と単純に計算すると複層ガラス表面温度 より2度低くなる。
この仮定は風速2から4m/sの穏やかな時の表面温度なのです。吹雪で風が直接吹き付けるガラス面の表面熱伝達抵抗は更に小さくなり、より温度低下が考えられます。すると寒波が来ているときの風上側サッシガラス表面で結露する可能性が高くなります。ですので当事務所ではハニカムサーモスクリーンは使用してませんし、当然当方から積極的にお勧めしてません。
日本海特有の風の強い(風速は10m/sを超える)冬の雪の時に結露したのでは何となくいやですよね。私個人としては、一時の結露は全く問題ないのですが、結露が相当悪いイメージをもたれてますので、いまひとつ躊躇しております。
どうでしょうか?使用されている方のレポートお待ちいたします(できれば日本海側)。

ガラスはLOW-EガラスAr入り複層ガラス12mmなのでK値は1.6としてます。以前のブログでガラスのK値がこのくらい上がると、外部風速の影響を受けにくくなるとのご報告を致しました。これは内部の付属断熱戸付きでのお話ではありませんから当てはまらないと言えますから・・・ああ・・・ わからない。 知りたい・・・。


新潟の家 自然素材の木の外壁は屋根が必要です。

いくら再生可能なエネルギー(太陽光発電等)を使っていても、現在のエネルギー浪費の暮らしでは、環境を考えているとは言えないということで、超高断熱(Q値0.7W/m2K)の家、所謂パッシブハウスを建てた人がいらっしゃいます。すばらしい考えです。私もそう思います。幸運にもその家の資料を拝見する機会がありました。やはりすばらしいお考えで造られた家です。ただ設計者がに対し経験が少し不足していて次の点が残念でした。

屋根がないところに貼り、数年で腐る木。記事とは関係ない家です。撮影は1999年ごろです。

1.焼き杉と呼ばれる杉の板を外壁に使っている事自体問題ないが、建築地が関東でも雨の量は梅雨時相当なもの。軒の出のない所謂四角い家では、雨がいつも外壁を濡らす事になる。これでは木の外壁は20年持たない。運が悪ければ10年で朽ちる。この使い方では環境になるべく負荷を掛けない家とは言えない。木は長持ちさせるから再生可能な材料。せめて木が育つ30年は腐らない使い方をするのが設計者。つまり軒の出を設けなければならない。

2.高性能木製サッシを使っているのに、そのサッシ上部に庇がない。所詮木製サッシは木でできている。雨ざらしでは木端部から腐朽が始まりやはり20年もつかどうか。下手をすると10年で機能上の不具合が出てくる可能がある。樹脂やアルミサッシには必須ではないが、木製サッシには基本的に庇がセットされてなければ素材や高価なパーツの浪費と言える。ローコストにするためと言う理由であれば、本末転倒。見た目のためなら設計者失格(この建て主さんに対し)。せめて屋根が大きくあれば庇がなくとも許せるが・・・。

築10年になる緑の家K邸。木製サッシは必ず屋根の下にある。基本中の基本の使い方。

当ブログでは何年も前から自然素材である木は使い方が重要であり、耐久性の明暗を分けるとお伝えしております。しかし最近は木をまるで使い捨てのように雨ざらしで使う風潮があります。
最近流行のラーメン屋さんにも木が雨ざらしで多く使われていますが、このような店舗のような建物に使う感覚で住宅に自然素材の木を使うことは、素材の浪費となります。

どんな設計でも常に「バランス」が重要です。超高断熱性能だけは所謂「パッシブハウス」だけれども、外壁やサッシ、屋根の素材の使い方が間違っていると、その家のメンテナンス経費は跳んでもないくらいに高価になり、下手をすると使い捨て(30年で破棄)されてしまう事になります。特に今回のように、わざわざ腐りやすく考えたような木製サッシでは、早期交換は必須です。
日本の気候は欧州とは違い、モンスーン気候に近いです。雨は多く絶対湿度も多い雨季があります。この点をしっかり抑えないと単なる一時的な「省エネ」ハウスで終わってしまいます。

日本の昔からの民家は必ず庇があります。これは、窓が金属や樹脂ではなく木製であったため、庇がないとすぐに朽ちる事をよく知っていたからです。日本(北海道を除く)の気候では木製窓と庇はセットです。勿論アルミ被覆(樹脂一体被覆はOK)された木製サッシでもアルミ同士の接合部から水は浸入します(経験上)。


新潟の家での太陽光発電パネルと雪の計画

緑の家に設置された4.5Kwの太陽光発電。
太陽光発電パネルは表面がガラスのため、勾配のある屋根に設置した場合、積もった雪が直ぐ滑ります。新潟市では多くの太陽光発電パネルが設置されてますが、雪の対策は充分ですか?発電効率を考えると、上写真のようにできる限り滑らせてしまったほうが早く発電効率が回復するので正しい設置ですね。
ですが、雪の滑った先が駐車場でしたら笑えません。6mも上から来る雪(の塊)の破壊力は結構ありますので車が壊れてしまいます。そんな対策を設計で考えてありますか?
海岸沿いの新潟市は雪に対してそんなに過敏に考えてないと思いますが、三条より内陸部は、雪の落下で様々な事故や問題を引き起こします。

下写真ような大手ハウスメーカーに見られるような平らな屋根に設置すると、雪が解けきるまで一部が雪に覆われ発電効率が極端に悪くなります。なるべくなら積もらないほうがよいですが、敷地にゆとりがない場合はやむ得ないですね。こちらのほうが安心です。
ただ長岡市のように雪が1m以上も降るところは、1月、2月はまるっきり発電不可ですね。とくにせっかくの2月以降は日射が多くなり、気温が低いので発電効率が上がってますからもったいないです。


雪の降る新潟の家 預言者ではありませんが当たります。

本当に当たります。
昨日まで新潟市を中心とした大雪で積雪45cmと25年ぶりの降雪。さらに昨日から長岡市では雪が降り続け現在70cm。12月としては最近珍しい量です。
地球温暖化は、気温が上がるだけでなく、このように気象の変化が大きくなると予想されてます。降る時はたくさん、降らないときはまったくと・・・。

忘れたころにやってくる天災の対策は重要です。ですので当事務所では雪の少ない時から「耐雪住宅」には真面目に取り組んできました。
過去長岡市内に建設した緑の家は4件中3件が耐雪住宅で、一軒が雪下ろし住宅です。雪下ろし住宅では、屋根勾配は緩く雪下ろししやすい配慮がされてます。また三条市でも耐雪住宅は3件あります。
これは雪の少ない時から「必ず雪は多く降る時が周期的に来る」と予想していたからです。三条や新潟市でもこれはあてはまり、今まで雪の積雪を安易に考えていた設計者は少し考え直すことになるでしょう。特に高齢者住宅が多くなる今後は、雪下ろしの苦労から解放されなければ、安心できる家にはなりません。

1m以上雪が降る地域には表示義務がある。自然素材の家の耐雪住宅に付ける表示プレート。

新潟県は新潟市や寺泊等の海岸沿いの一部の都市を除いて、家を設計するときは雪の量を1m以上に設定する決まりがあります。例外措置として「慣習的に雪下ろしをする地域」は、積雪を1mまで減じて設計できますが、それを見やすいところに表示しなければなりません。しかし、このプレートを「見やすいところに設置」している建設会社はほとんどありません。住宅では当事務所ぐらいではないでしょうか?
木の家とか自然素材とか、気持良い家とか、暖かい家とか、耳障りの良い言葉だけで住宅を造ると本当に法律に沿った最低限のよい家にはなりません。全てのバランスが重要です。
旧新津市や旧岩室町、旧亀田町でも法律で定められた積雪は1m以上ですので、住宅でもこの写真のようなプレートの設置義務(県通知通達)は数年前からあります。設置していない会社は、積雪1mを構造計算していない可能性もあり、安全性に疑念があります。施工会社選びの時はこの点のチェックで構造を正しく考えている会社か、構造をいい加減で考えているかわかります。特にこの決まりができていた数年前の家に設置されているのかは、その会社の構造に対する誠意があるかないかです。


新潟の自然素材家で最高の快適性 床下暖房の見学会

20年間の高気密高断熱住宅Q値1.8W/m2kに住んでいる拙者ですが、当時は無垢材が異常に高く、拙宅では80%が新建材(所謂偽者の木)の床です(緑の家ではない・・・泣)。
しかし建築当時は真冬でも肌足で全く冷たくない床と感じてましたし、実際半そで、裸足で冬も生活してました。所が30代後半で何となく新建材の床を冷たいと思い、一部に無垢材を、そして40代半ばを過ぎたころから、靴下を履くようになりました。これは高気密高断熱の家の性能が落ちたのではなく、自分自身の代謝が落ちたと認めるまでそう時間はかかりませんでした。

そうですね。最近床下エアコン暖房を薦めているのは、自分自身の経験もあったためです。人は年齢と共に快適な温熱環境も変化すると実感しました。適度にスポーツで足腰を鍛えている人は、きっと代謝も衰えずに、足のつま先まで血液が循環して冷え性になりにくいと思いますが、普通の人は代謝が衰え、冷え性でない人も足元が冷たくなりがちです

床下に設置されたエアコンの例 床下もお掃除できる

そこで、床下エアコン暖房が活躍します。床暖房より穏やかな床下暖房の暖かさは、何事にも変えられないほど快適です。普通の床暖房は、表面温度が限りなく30度に近づきます。また、同じ場所にずーといると、循環水温(40から45度)に限りなく近づき低温やけどの恐れがあります。循環水を使わない電気式のものはランニングコストの問題で最近は使う人がいません。ところが床下エアコン暖房では、どんなに同じ場所にいても24~25度です。全く低温やけどの心配はありません。但し床下暖房には最大の欠陥があります。それは10年もすると床下内が不衛生になると言うことです。
例えば、10年間使っていない埃だらけの倉庫で暖めた空気を寝室に入れたいですか?そんな空気なんかいやですよね。でも今の床下暖房はそうなりえるのです。床下が低く、床下に人が入って掃除できないので、何十年もの埃がたまってしまいます。これは当ホームページの10年もまえのコラムで警告してます。埃だけならまだ良いですが、もしかしてゴキブリやゾウリムシの死骸がたくさん干からびているかもしれません。そんな床下を見てしまったら・・・。そんな空気を使いたくありませんよね。だから当事務所の床下は人が歩けるのです。掃除できるのです。最大の欠点を克服した緑の家の「床下エアコン暖房」をお勧めします。さらに単に床下を高くすると相当の熱損失が生まれます。この問題も解決しました。

床下暖房の家は、真冬でも裸足のほうが快適。自然素材である無垢の無塗装の床の肌触りを最大限生かしてくれるのが、床下エアコン暖房なのです。是非お勧めです。そんな実感をして頂くために、見学会を1月の23日、24日に行います。是非最高の快適性をお確かめ頂ければありがたいです。

因みに、電気床暖房と比べると床下エアコン暖房は、オール電化のやりくりナイト8と高基礎の高蓄熱量を組みあわせ、電気代が単純に1/3(深夜電力料金)×1/3(エアコンCOP3)=1/9になります。これは深夜蓄熱暖房機をヒートポンプエアコンを使って暖めているからです。このように最高の経済性がおまけについてきます。


新潟の家 超高断熱と融雪

昨日の拙宅(寺泊)の降雪風景

家造りは科学的根拠がなければ眉唾物です。
あるダイレクトFAX(っていうのかな?)が来て、説明文を読んでいたら???がありました。このダイレクトFAXには、「冬は屋根で空気を暖め床下に送る。夏は夜に放射冷却を利用して屋根で空気を冷やして床下に送る」とあります。関東の会社からのFAXなのでまあここまでは何とか許せますが、その後の説明に「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」とあり、そんな家のシステムを買いませんか?というものです。

「やっぱり・・・科学的に根拠がないなー。と言う事は、先ほどのもっともらしい『冬は屋根で・・・』や『夏は屋根で・・・』も怪しい」と言う事になります。これと同じシステムで有名なOMソーラーさんがありますが、新潟県では冬の太陽が期待できないのでほとんど建築されていません。

さて「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」がなぜ科学的に根拠がないのか?

それは雪を溶かすのにはとても大きい「融解熱」が必要なのです。この氷の融解熱はあらゆる物質の中でもトップクラスで、室内の熱を使ったら家の中は全く暖まりません。雪はできる限りほっとくのが一番です。

さて計算です。

雪の融解熱は 80 cal/g です。
30坪くらいの屋根に雪が20cm積もったときは
屋根面積を60m2とし、新雪の単位荷重を100kg/m2・mとすると
60*100*0.2=1200kg 1200kg→1200000g
1200000*80=96000kcal となります。

20cmの雪を溶かすのに96000kcalが必要です。
ここで6割(本来は5割以下)が有効に屋根から熱が伝わるとして96000/0.6=160000kcalの入力熱が必要で、
160000kcalの熱と言うのは、灯油18L分です。
緑の家Sプランで灯油18L分を暖房として使ったら2日分の暖房エネルギーを丸々捨てると言う事になります。超高断熱住宅のSSプランなら丸4日分以上に相当します。融解熱は確か中学の理科で習う基本的科学ですね。それを無視して、室内の熱を使えば良いなどといったシステムが成り立つはずがありませんね。感覚的に解けると間違って思い込んであるのでしょう。

また、室内の暖かい空気を雪を何かで接触させ溶かすということは、必ずその何かの接触面で結露します。この結露水がクレームとなり40年以上前から魚沼地域にある某会社は、大変苦労とクレーム対応してました。ですので、家の内部熱で雪を溶かすなどを考える人は新潟ではまずいません。つまり科学的根拠がないシステムを斡旋している事になります。
でも住宅会社ではこういう業者が大変多いです。例えば、

×あったかい家→
性能表示の温熱環境でQ値で認定された事がない。

×地震に強い家→
性能表示の耐震等級3を取得した事がない。

×べた基礎だから地震に強い→
基礎よりも木造部分が左右する。

×エコの家→
太陽光発電だけではエコでない。エコの基本は暖房Eと給湯Eの削減。

×ぬくもりのある家→
それってなに?触感?温感?質感?寒い家は木も冷たいよ。

でしょう。


自然素材の家は10年後が重要ですね。

この家は、新潟市に今から9年ほど前に建築させて頂いた「緑の家」です。無論、高気密高断熱でQ値は1.9w/m2K(全気積)で、C値が0.8cm2/m2です。

建て主さんのご要望で、集成材を使用しない無垢材の「緑の家」と言う事で計画しました。ですので地松の丸太が井桁上に組んでありますね。この丸太を探すのになかなか苦労したと工務店さんは話していました。
そんな大きな丸太梁の数年後は・・・

こんな感じの梁になります。もちろん無垢材の直径60cmを超える丸太ですから、新築時は乾燥しているはずもありません。ですので矢印のようにひびや隙間が生じます(一部白く埋めてありますが)。

せっかくの高気密高断熱が損なわれてしまいますので外部や内部からパテやシーリングで埋めます。

丸太はひびが入りますが、製材品の(四角い)杉や松は乾燥材指定だったので、隙間はほとんど入りません。きれいな仕上がりです。

床はとにかくいいですね。自然に浮き出てくる艶は、人工的に塗ったオイルや蝋では絶対にないものです。

無塗装の木が、10年経つとこのような完全あめ色に「勝手に」なります。特別な手入れはいりません。そろそろ10年目のメンテナンスで、とても楽しみですね。

更に30年くらい経つと茶色になって、最後にはこのくらいの濃さになります。このくらいまで家を維持していただけたらありがたいです。
これは京都の東本願寺(築110年)の無塗装の床。
艶もありますね~。


こだわりのプリンター

事務所には大小あわせて7台のプリンターがあり、このプリンターはもう11年くらい使っています。

ネットで検索するとまだ使っている人も多い、使い捨てされない不思議なプリンターです。

これはALPSのマイクロドライプリンター MD-1500。
既に店頭販売は9年くらい前にやめ、メーカーホームページのみで新品を販売しているチョー変わり者です(最近はMD-5500)。
最近のほとんどがインクジェットプリンターになっていますが、10年位前は、昇華式プリンターも結構あり用途によって選べました。

年末や一年で数回使いますが、手放したり他機種に買え変えたりするつもりはありません。
インク代(テープカセット式)はインクジェット式の数倍もしますが、この印刷方式のマイクロドライがすばらしく、特に黒のシャープさ、紙に応じた印刷表情、紫外線にめっぽう強い、水に溶けない(顔料)に特徴があります。
インクジェット式は金色印刷や白紙でないときに白表現を出せませんが、こいつは白紙でなくとも白が出ます(白テープを使用)。

欠点はそろそろPCからなくなりつつある接続方式の「パラレル」か現在は言葉さえ聞かない「SCSI」しかないことです(USB変換不可)。あと音が「ギーシャカ、ゴニョゴニョ」という機械音が大きい事ですね。

「SCSI」って何?と言う人も多いと思いますが、12年以上前はSCSI(スカジー)の接続機器は大変多かったのですよ。CD-ROM(R機)だってほとんどSCSI接続だったし。パラレル接続の方は企業でもまだ多く使用されているので、さすがに知っている人が多いと思います。

家造りもそうですが、時代が変わっても大切にされるものはあります。それは「こだわり」ですね。どうしてもここだけが譲れないところが、このプリンターの場合、印刷した作品の質だったのでしょうね。プロ印刷にとって雨で滲む仕上がりはありませんから。だから屋外ステッカーにも使えるその品質と耐久性は、技術者の魂を感じさせます。
自然素材を「素」のまま効果的に使った緑の家もそんな耐震性や高気密全棟測定等、同じところがあります。

和紙の紙に印刷すると独特の感じになり、これはどんなに高価な最新機種でも再現できない「作品」になります。


新潟の家 拘りの壁塗り 漆喰DIY挑戦

こんな風に仕上げがる漆喰です。

今回の漆喰は、先日のブログでご紹介したとおり、「西洋漆喰」です。下地処理が簡単で、何と言っても普通の左官屋さんが必ず塗るシーラーと呼ばれる化学物質や化学パテを一切塗らない漆喰です。
ではシーラーの変わりに何をするか?それは「こんにゃく水」を塗るのです。こんにゃく水と漆喰が混じるとご存知の固形の「こんにゃく」ができます。
漆喰壁を塗りながらその隣で同じ材料で「こんにゃく」もできると言う、本当の食べられるくらいの自然素材の壁です。嘘みたいな本当のお話です。

まずは材料と道具です。
手前の袋に入っているのが練済み漆喰です。奥の道具は建て主さんのお父様のものです。
よく練ります。人力でもOKですが、やはりこの方が早いです。

こんにゃく水です。
手についてもべとつかず、間違って舐めても食べ物ですからOKです。でも食べると作業できないので食べないでください(笑)。

こんにゃく水でボードの継ぎ目にカンレシャを貼り付けます。素手でも大丈夫と言うところが、食べ物のこんにゃく水のよい所です。

たまたまお越しになられた「仲村建設」の専務さんから記念に塗ってもらいました(更に下地処理も手伝っていただきました)。

私も塗らせて頂きましたが、さすがにこのうす塗り漆喰は初めてで、上の写真のようにはできませんでしたが、そこは気持ちでカバーです。


超高断熱の 注文住宅 「緑の家」 耐震等級3認定の長期優良住宅

超高断熱、耐震等級3認定の長期優良住宅の現場足場が取れました。
ピシッとしてます。
外観デザインはオーソドックスにまとめ、特徴ある太い窓枠は外壁と同色なので写真では目立ちませんが、実物の存在感はありますね。
窓の彫りが深いと、シンプルな形状でもしっかりしてます。

樹脂サッシの中でも最も耐久性がある「ホワイト」を選び、U値1.6W/m2kのサッシのガラスはアルゴン封入LOW-Eとよばれるものです。

玄関ドアはスゥエーデン製木製高断熱戸で、更にガラスをなくしたU値1.0w/m2kです。

上写真が南面ですが、「緑の家」にしては窓がちょっとだけ少ない感じですが、これは大きな吹き抜けをもちつつ、耐震等級3(避難病院クラスの最高の耐震性)の認定を受けた家だからです。普通は大きな吹き抜けで等級3は取れません。そこは設計事務所の腕の見せ所です。

冬至近い12月の午後3時30分の窓からでも日が差し込む計画。今日はこんな作業中の状態でも家の中は暖かかったですね。2階15坪に対し6帖もある大きな吹き抜け。でも耐震等級3です。

明日から建て主さんご自身で内部の漆喰を塗ります。建て主さんにとって始めての漆喰塗り。楽しみであり、不安もあり、でもこれから何十年もお住まいになる家です。きっと楽しみながら塗って頂けるでしょう。
今回選んだ漆喰は、初めての方でも塗れる「西洋漆喰」です。下地処理が簡単で、何と言っても普通の左官屋さんが必ず塗るシーラーと呼ばれる化学物質を一切塗らない漆喰です。
ではシーラーの変わりに何をするか?それは「こんにゃく水」を塗るのです。こんにゃく水と漆喰が混じるとご存知の固形の「こんにゃく」ができます。
漆喰壁を塗りながらその隣で同じ材料で「こんにゃく」もできると言う、本当の食べられるくらいの自然素材の壁です。嘘みたいな本当のお話です。

もしご興味がありご連絡頂ければ実物をごらんいただけます。ご案内しますが、家に対する愛情と腕に自信があればボランティアで塗って行かれてもよいですよ(笑)。ゆっくりと2週間くらい建て主さんが作業しています・・・。


発想の転換!なぜ超断熱の長期優良住宅は窓に奥行きがあるのか?その2

今の常識が10年後には非常識になる事はよくあります。
住宅でいえば本州での基礎断熱工法。
15年以上前から北海道で積極的に採用されていたこの工法。当時本州ではソーラーサーキット工法やエアサイクル工法という特殊方法と、当事務所みたいな高断熱高気密のマニアックな住宅会社しか採用されていませんでした。最近では高断熱高気密をそんなに知らなくても採用している会社がありますし、全国規模の大手ハウスメーカーも採用しております。
同じように、この外壁のサッシ周囲に枠のあるような住宅が多くなると思います。ただ県内ではまだオーブルデザインだけでしょう。

なぜ外壁の周囲に枠のような物がとりついているか?
それは、窓単体で取り換え可能な構造にしているからです。
住宅が高性能になればなるほど窓は重要な部位となり、求める性能維持期間が長くなります。先のブログで説明したとおり、当事務所の目指す気密性能は最終的には、パッシブハウスと同じ超高気密性(隙間相当面積で0.25~0.3cm2/m2)です。このくらいの性能になると、窓の気密性はとても重要です。とはいっても、引き違い窓がだめではありません。気密測定をしても超高気密住宅0.1cm2/m2くらいの家は、特に引き違いが少ない家ではありません。むしろ多い家です。9か所も大きい引き違いサッシがあっても隙間相当面積0.1cm2/m2になります。ですので最近の超気密住宅のサッシは引き違いでも問題ありません。

ではなぜ性能を高く求めるとサッシの取り換えが必要なのでしょう。

車を考えてみましょう。今の車は10年くらい乗っていても気密性が落ちたと感じられませんが、私みたいに20年くらい乗っていると(笑)、ドアの気密性を維持するパッキンが劣化し気密性がおち、走行中に外の音が聞こえやすくなります。パッキンはEPDMという超耐久反発性ゴムが使われており、これと同じような性格の素材がサッシのゴムに使われています。
また、可動性があるものはその部分に金属がつかわれている関係上、疲労破壊や酸化により、速い場合で20年遅い場合でも30年くらいでだめになります。ゴムがだめになればそこから隙間風が入ってきます。
更に、最近はペアガラスもしくはトリプルガラスを使っていますが、そのガラスに挟まれた気体の漏れ、抜けでガラス内結露します。こうなるとガラス部分の取り換えをしますが、20年もたてば、更に性能のよいサッシが販売されているはずですから、ガラスの取り換えよりサッシ全体の取り換えをしたほうが効果が高いのは明らかです(ペアガラスの保証は10年)。
つまり取り換えが、各々出てくるはずです。より多く使って窓はやはり早く劣化しますし、あまり使わないところは、劣化まで時間があるでしょう。つまりサッシ各々で取り換える時期が違うはずです。

さて、ここでお気づきの方もいらっしゃるようですが、今の施工方法では外壁や、内側の木枠を壊さないとサッシがはずせません。   となると外壁の一部を壊してはずすのですが、最近の外壁は、サイディングのタイル調であったり、特殊な形状の表面ですね。特に大手メーカーほど拘った形状です。そんな特殊な同じ表面の外壁が20年後もあると考える方は・・・いませんよね。あるはずがありません。そうなるとどういうことになるか?
一個サッシが交換で、その外壁全てやり返えですね。そうでなければカッコ悪いでしょう?
だから今の家は、サッシ交換などせず、どうせならといい、建て替えてしまうのです。すると統計上の日本の家の寿命30年はサッシから見てもちょうど交換時期なのです。
勿体ないですね。
すぐ建て替えられる人はまだ良いでしょうが、建て替えできない人は性能の悪くなった家に住み続けなければなりません。新築時は最高の気密性があったにも関わらず、20年後はサッシから隙間風が吹き込む・・・なんて事も考えられます。

実は築19年の拙宅では、その事例が出てきてます。当時気密性が最高性能オール樹脂サッシ開きタイプですが、パッキンの劣化や海の前ということで、ステンレス以外の枠に埋め込まれた金属からさびが出てきてます。この現象はある一個のサッシだけなのですが、これを変えるには外壁を剥がさなくてはなりません。一個のサッシのためせっかく数年前に木に張り替えたばかりの外壁なのに・・・。
それでも拙宅は外壁が木なので色違いは許せます。数年で同じく同化しますから。ここが無塗装の木の外壁の利点です。
ところがハウスメーカーのような特殊外壁の場合、全て貼り直しということが考えられます。そもそもサッシの取り替えを考えていなので、一部だけ外壁を切って貼るということは、防水処理上問題があるからです。ここでまとめです。

長期に対応する住宅の外部重要ポイントは

1.サッシ単体で交換できる構造(納まり)
2.シーリング修繕が家の中からできる

3.1.2ができなければ同じ外壁が20年後も入手可能なものである。

ということです。ハウスメーカーの宣伝であるように、外壁の寿命が長い事がそう重要ではありません。
住宅寿命が長い欧州は、外壁素材ががほとんど決まっているのですね。日本みたいに「石調サイディング」、「タイル調サイディング」など1年で変わる物はつかいません。あくまでも、木そのものや、漆喰などの左官、レンガ等です。
これら素材なら、一部直しでも違和感なく、また数十年でなくなる素材ではありませんから。


新潟県でゼロエネルギー住宅が可能か?

自然素材の家 「緑の家」SSプランでゼロエネルギー住宅は可能か?
をシミュレーションしました。詳しくはここにあります。

まずゼロエネルギー住宅の定義ですが

① オール電化住宅で
  太陽光発電力量
消費電力量(住宅内全部)

② オール電化住宅で 電気代が年間ゼロ以下の家

の二つが考える事ができますが、正しいほうは①ですね。

シミュレーションの条件は
現在建築中のSSプランの実際の家
Q値0.98W/m2k
C値0.5cm2/m2(完成予想 中間は0.17)
電気温水器 370L
太陽光発電 3.6KW
その他家電消費電力 133KWh/月 冷暖房を除く実績値
昼は窓のカーテンを閉めない(南の太陽が入ること)

結果は

太陽光発電力量 3.535KWh<消費電力量 5.611KWhで
ゼロエネルギーにはなりませんでした。

しかし②の電気料金では-8,000円/年間となり、
電気代が一切かからない家となります。

さて、このSSプランをゼロエネルギー住宅にするには、
給湯エネルギーの削減が必要です。
冷暖房に使うエネルギー1554KWhに対し
給湯エネルギーは6,000KWhの消費電力にもなります。

これを簡単な設備追加や変更でゼロエネルギーにします。
それは、
1.エコキュートにする(現時は電気温水器、+15万)。
2.太陽熱温水器を屋根に設置する(30万)。
3.夏は積極的に窓を開け通風を利用する(0円)。
を行うと何とゼロエネルギー住宅になります。

こんなに簡単にゼロエネルギー住宅は可能です。
基本はやはり、家に超断熱性とし、冬の太陽日射を窓から
有効利用する事で、大きな消費エネルギーだった暖房を
642KWh/年間まで下げているためです。
もし、ゼロエネルギー住宅に拘るなら、
超高断熱+太陽光発電+太陽光温水システム+「少し通風」です。

まず基本はやっぱり超断熱ですね。

PS
冷暖房を昔みたいに一切ガマンすれば、超断熱は必要ないですが、そんな非常識な事を条件にすれば、電気がない150年くらいの前の生活で、植林をしながら生活すればこれもゼロエネルギー住宅です。


薪ストーブで地球温暖化防止の貢献はできない!!でも…お勧めです。

先月のブログでもお伝えしてましが、最近
「地球温暖化防止」、「CO2削減で環境にやさしい」などの麗句で、
薪ストーブが地球温暖化防止に貢献しているという情報が、上場している大企業からも発信されています。これは正しくありません。
正しくは、本来捨てるしかない木を燃料として使った場合は、地球温暖化防止に貢献できるということです。薪ストーブのために、木をわざわざ切って、運搬と裁断時の燃料をたくさん使い燃焼効率が70%も満たない使いかたで温暖化防止貢献はしてません。

玄関脇に設置されるコンパクトな薪ストーブ

私は薪ストーブが大好きです。火を扱う事は人としての喜びでもあるかも知れません。これは以前もお伝えしたとおり、人間がまだ野原で生活していたころ、夜の恐怖(獣襲来や暗闇、寒さ)を克服できる唯一の手段だから、火を見るだけで何か安心するのですね。DNAに刻みこまれている本能に近いものとなっている気がします。  獣から家族を守る男性のほうが女性よりも薪ストーブが好きな訳がわかります。

薪ストーブが地球温暖化防止に貢献するということを信じて、全ての人が現在の暖房機器を薪ストーブに変え、国内の木で燃やすと、20年足らずで日本から木が一本もなくなります。それくらいの暖房燃料を私たちは使っているのです。
昔話に「おじいさんは山へしば刈りに・・・」とでてきます。この「しば」は小枝のような薪で、大きい木を切っているわけではありません。昔、人力で加工できるのは小枝程度で、チェーンソーがあったわけでないので、どんどん太い木から作って焚く事は出来なかった思います。昔の薪(暖として)の使用は1家族当たり現在より相当少量消費と想像できます。今みたいに一冬6棚など気軽に使えません。

まずは、燃料が石油でも木でもペレットや草であっても、暖房に使う(一次)エネルギーを少なくする事が正しい温暖化防止です。
繰り返しますが、薪ストーブが地球温暖化防止に有効ではありません。あくまでも都市部での使用は趣味的です。山仕事がある人の家の薪ストーブは有効でしょう。山仕事のある人は、他の仕事で発生した間伐木を処分しなければなりません。そのまま放置しても木が腐ればCO2とメタンガスが排出されるので、これを燃料として使えば大いに温暖化防止に貢献しているでしょう(ペレットも)。
しかし都市部でわざわざ木(ペレット)を燃やすためだけに山の木を切るということは、温暖化防止でもなんでもありません。薪ストーブのよさを温暖化防止と無理に結びつける必要はないと思います。

薪ストーブを主暖房で使っている人ならわかりますが、ひと冬で見た目相当量の木を燃やしている事がわかります。そんな量をご近所全てが使い始めたら、どのくらいの木が伐採されるか想像はつきます。

薪ストーブはその炎でとても癒されますし、強力な輻射熱暖房も魅力です。お好きな方は間違った情報に流されず、どんどん採用してください。但しその時は、その大切な熱を逃がさないように断熱性を表すQ値2.0W/m2k以下(できれば0.9以下)は必須ですよ。


広告は本当か?自然素材の家ほど断熱性能が必要と考えるが・・・

「超高断熱」という表示って・・・。

その断熱材でそれはないでしょう?

ある建設会社さんの広告で「超高断熱」が標準仕様とありました。
「超」が付く断熱なら、法律で定めた次世代断熱基準の倍くらいの
性能はほしいと思います。その次世代断熱基準は今や当たり前の
断熱性能で、これ以下の性能を国は求めていませんから・・・。

ところが、その広告では、次世代断熱基準をようやくクリヤーする
程度の基準しかありません。

悲しいですね。何も専門用語を知らない素人さんの建て主さんには、
住宅の内容を説明する広告に、
「超高断熱」とあれば、「相当すごい断熱なんだな」と思います。
実際はそうではなく、国の推奨する最低基準の断熱性能です。
その広告にある内容は、言葉遊びのような誇大広告が多く、
びっくりします。

例えば雨水を地下に20度で2000L(リットル)ためておき、
それを室内に取り入れて冷房除湿に利用するとあります。
そんな少しの冷熱で夏の冷房除湿はできません。
技術者なら30秒の計算でわかります。

計算すると
仮に室温28度にしたい場合、その水をどんなに
温度変換効率がよくても25度くらいまでしか利用できないでしょう。
25-20度×2000=10000Kcal =11.2KWの冷熱
通常6畳用のエアコンの定格出力2.2KWであるため
11.2/2.2=5時間分(6畳用エアコン)
雨が降らなければ(水が入れ替わらなければ)、
たった5時間分です。真夏に2000Lの豪雨が何回あるのでしょう。
こんな雨水設備を使わなくとも
エアコンなら5時間でCOP6の消費電力は
366W×5=1.83KW=電気代50円弱でしかありません。仮に
5回雨が相当降って入れ替わったとして年間250円分の節約です。
この節約料金で特別冷房設備10万円を払う意味はありませんね。

つまりこの企業は科学的(技術的)裏付けがない提案で、
自然エネルギー利用という麗句による
意味のない設備をすごい環境を考えた設備と宣伝しています。
雨水は庭の散布や、トイレに使うと
非常に有効です。
雨水をエアコン室外機に直接噴霧し、水の持つ大きな潜熱を使う
エアコンシステムは有効ですが、冷房用の冷水として10万も
設備費を払うのはもったいない事です。
こんな非科学的な設備を薦めるところは、他の部分も全て
胡散臭く感じるのは私だけでしょうか?

詳しくはしくは当HPのコラムに載せました。興味があればご覧ください。いつもの「階段に手すりのない」違法建築のところです。

でも本当にその広告でジャロに何も言われないのかな?
それともどうでもいいことなのかな?県内では相当数建てていると思いますが、とても不思議です。


発想の転換!なぜ超断熱の長期優良住宅は窓に奥行きがあるのか?

現在新潟市に施工中の長期優良住宅「超断熱の家」の窓部分です。

家に興味がある方はこの写真のような窓をあまり見たことがないと思います。
それは窓が外壁より明らかに内側にあるからです。

これと同じ形態の窓がヨーロッパの住宅でよく見られます。窓が外壁の奥に嵌っているのです。

このように外壁より窓は内側に付いてます。

しかし現在の住宅の窓は、
ほとんど木造建築でこのような窓が外壁より手前に(凹まない)にくるのが普通です。
これは、サッシ本体が外壁より手前に出ることで、サッシに付いた水が外壁を伝わることなく下に落とすため(建築用語で水を切るという)です。この納まりは上部に庇がなくとも安定した防水性能が発揮されます。

一方上のサッシは外壁より明らかに下がった位置にあります。
この奥行きのある計画こそ長期優良住宅をの基本である「メンテナンス」し易い窓なのです。

窓の周囲にはシーリングというゴム製の接着剤が施工されてます。このシーリングの寿命は10年から20年程度となっており、その環境によって倍の違いが有ります。にも関わらずシーリングは下の写真のような納まりになると、足場や高所作業車がないと施工は難しいです。

所が上写真のような納まりとサッシの種類限定よって、内部からシーリングメンテナンスができます。プロに頼まなくても自分でもメンテナンスできます。これが長期優良住宅の基本で自分で簡単DIYできる家です。上部庇が必ずセットで計画されこの庇で基本の防水性(通常時)を確保し、窓周囲シーリングで追加防水性(暴風時)を確保します。

勿論、水を切るのは下の枠になります。でもサッシが外壁より引っ込んで取り付けられている理由は、シーリングのメンテより・・・

次回にご説明します。


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この部分はいつでもトップで表示されます。
このブログは設計事務所主宰の建築士が主に住宅に関する事を書いてます。
ブログは更新が頻繁にあるので、
検索エンジンでお立ち寄りになられた方は、検索している語句が必ずこのページにあるとは限りません。お時間が許せば過去を左バーのカテゴリー、バックナンバーから探してください。「Control」+「F]を同時に押すとぺージ内の語句検索ができます。又は右バー下の検索窓で「このサイト内」を選んで語句検索するとお探しの記事が見つかります。


超断熱の家  気密測定の結果

CO2対策で力を入れているヨーロッパでは
「住宅「CO2ゼロ」義務付け EU全域でエコ証明書」という記事が日経にありました。詳細はわかりませんが、とにかく世界的に超断熱のエコ住宅の気運の高まりがあります。そんな中、

新潟市で現在施工中の「超断熱」の長期優良住宅で、今朝「中間気密測定」がありました。

結果は隙間相当面積C値=0.17cm2/m2となり
期待通りでした。

今回施工して頂いている「仲村建設」さんでのこの2年間の平均数値(中間値)は0.2cm2/m2以下です。
それも充填断熱工法、外貼り断熱工法関係なく0.1cm2/m2を2度も出している会社です。たいした気密の精度です。

ここで補足すると、所謂高断熱高気密住宅において、北海道は法律で気密性能が2.0cm2/m2以下と定められております。新潟は特にありませんが、高断熱高気密住宅ですと説明する大手ハウスメーカーのカタログでは5cm2/m2以下です。そのハウスメーカーと比べ30倍!!もよい異常なくらい高い数値です。

そこまで必要か?と言えば
「必ず必要です←きっぱり

さて、中間気密測定は、完成時気密測定の1ヶ月前くらいに行う気密性の検査です。この中間段階で測って建築本体の気密性を把握します。ここでの事務所目標はSSプランで0.3cm2/m2、Sプランで0.8cm2/m2としてます。

その後完成時に測ると大体0.1~0.2cm2/m2くらい性能が落ちます。原因は、エアコンのドレイン、そして最近はエアコンのごみ排気管、室内と外部を貫通するダクトや配管と換気扇機器の隙間です。特にエアコンのドレイン管と排気管は塞ぐ事が構造上できないので、頭の痛いところです。
建て主さんの許可があれば、室内排気放出及びドレンはトラップで処理することで、気密性のUPは可能ですが、そこまで必要かどうか?考えるところです。

世界的有名な超エコのドイツのパッシブハウスの完成時の気密性は0.5回/50パスカル時ですから、日本の気密性能に直すと約0.25~0.3cm2/m2位です。これは大変厳しい数値で、事務所内でも直ぐに基準をここまですることは考えにくいです。つまりコンスタントに0.1cm2/m2以下に中間気密性能を維持するという超厳しい基準です。勿論、エアコンのドレインなどはトラップ処理が必要です。
私自身も気密測定士の免許は18年くらい前に所得しており(現在更新せず失効)、その頃50棟以上自分で測定してました。このとき気密性が出ない場合の修繕は並大抵のことではと心得ていますので、お約束となるともう少し実績が必要です。

PS
20年前の当時で200万もする気密測定器(写真上)でしたが、今は50万位ではないでしょうか?そんな機械で測定します。測定者は(財)IBECの気密測定士の免許を持ったものが行う事が普通で、無免許では問題あります。よく第三者であるピコイさんに依頼して行ってます。今回は違いますが、施工した社内での気密測定検査は、やはり測定者の手心が働くので必ず当事務所が立ち会います。気密性能を表すC値(隙間相当面積)は、ちょっとした条件を変えることで優位に算定可能ですから注意が必要です。ここはQ値計算と同じくインチキがないようにしなければいけませんね。