拙者の業務風景。3画面を常時使用。モニターは安価なTN型ではなくIPSPVA型のナナオをメインに使用。右画面に構造計算ソフトを動かし、左にメインのAUTO CADで作業し、構造計算の結果を確認しながら変更を加える。この連動作業をしないと、構造が不安定なプランを提案する事になる。
最近よく思うことに、工務店、施工主体の建設会社さんはよく設計業務ができるな~。と思うことです。
実は私が設計している家は別に特別な家ではありませんが、基礎の検討~シュミレーション~設計の部分だけで延べ1週間ほどかかっています。
常に基礎の設計をしているのではありません。太陽光パネルを屋根に載せるとか、窓が少し動いたとか、外壁の種類が変わったとか、屋根の素材が変わったとか、プランが少し変わるだけで基礎にかかる力が変わるのでいつも構造ソフトが設計図ソフトCADとともに動いてます。コスト的にも木造住宅は余力がとれないので仕方ありません。
特にべた基礎シングル配筋時では、殆ど余力がないので常に確認します。ダブル配筋時にはある程度余裕が生まれ、またコストもそれ相応に見てますが、シングルべた基礎配筋時では鉄筋のピッチが150と120では量が20%増え、結束等がダブルで増えますから手間も40%増えます。だからコスト削減を意識するため、適時チェックし設計を進めてく作業となります。とても気を遣う所です。
設計専門でプランニングしている当事務所でもとっても大変なのに、設計が主体でない施工店さんはいったいどうしているのでしょうか?トーーーッテモ不思議です。まじめに行うと相当時間がかかりますが何か簡単なマニュアルがあるのでしょうか?
設計時の配置。TN型液晶では無理なまるで製図板に向かうような浅い角度で画面を見るこの配置は7年くらい前から。3画面は17インチと今では小さい画面だが、これを縦に2台並べて使うと2048*1280とハイビジョン画面より一回り大きくなる。この縦寸法1280がポイントで非常に文章やWEB等が見やすい。TN型24インチハイビジョン画面も事務所にはあるのだが、縦が1080と小さいので使いにくい。ナナオ(EIZO)のモニターは駆動方式がPVAなので、この浅い角度でどこから見ても色変化が殆どない。これを一度使うとTN型には戻れない。この3画面上でソフトが常に5つ以上は同時に動いている。マルチタスク、マルチディスプレーがなかった頃はどうしていたのだろうか?
例えば窓の巾を2.73m(一間半)にして大きい窓設置で外部に対し開放的にプランすると、地震に強い家を造ろうと考えた場合、左右に強い耐力壁が必要です。強い耐力壁は基礎に短期の曲げモーメント(地震時)を生じるので、鉄筋が多く必要です。普通の60cm基礎なら2-D16(←太い鉄筋です)くらいでしょうか?60cmで巾15cmのI型基礎梁では3-D13は現実的ではありませんよね。
前にもご紹介しましたが、窓の大きさ一つ変わるだけで基礎の鉄筋量や形態が変わる。
またLDKが20帖もあるような広いプランの場合、べた基礎スラブの面積も大きくなり鉄筋が多く必要です。特にシングル配筋のスラブでは上下鉄筋の配置により主筋が上端に配置され、不利になりますからシングル配筋ではNGとなりやすいでしょう。人通口と呼ばれる基礎梁だって変なところにとるとNGになります。
こんな事をタイムリーにチェックしながら設計を進めて行きます。そうしないとプランの同意が得られて、いざ着工となり「長期優良住宅申請」で構造のチェックをしてみると、これでは耐震等級2をとれないので、急に壁が必要とか、柱が必要とか、基礎を変えなければならないとか、吹き抜けが・・・という変な事を建て主さんに伝えなければなりあません。でもそれって長期優良住宅を申請しなければわからなかった事???でしょうか?それではプロの家の設計者ではありませんよね。そうならないためにも、私は構造シュミレーションとにらめっこしながら図面作成しております。
短時間で設計業務をする会社さんは本当にどうしているのでしょうか。もし今家を建てているならお聞きになっても良いかもしれません。
「耐震等級2ですよね。基礎の構造計算誰がしてますか?」
と。
設計専門業務の当事務所でも大変なのに・・・。