民家というと一般庶民の家ですが、
古民家というと庶民の家で特に古い家(大正時代の以前に建築された家)・・・実はそれは間違いです。
古民家はお金持ちの人が住んでいたいわば現在で言えば「特別の家」で「庶民の家」ではありません。
自家用車もあり現在も実際普通に暮らしている古民家(関川村)googleから
古民家というと
黒い曲がった梁と白い壁(漆喰)が思い浮かびます。しかしこの白い壁と曲がった梁の組あわせは昔の庶民が住んでいた家とは違います。
5月27日に訪問撮影。薪を入れるのはおもてなしもあるが、それが日常だから。
もともと梁が真っ黒になるのは主に「煙によって燻されたから」であり、室内の木が自然に黒くなることはありません。では燻されたとは・・庶民は囲炉裏で煮炊きしていたので煙が家中に充満しそれによって煤けることです。煤けると言うことは、梁だけでなく壁も人も(笑)真っ黒になります。つまり・・・黒い梁と白い壁のインテリアは、建築後十年以上使ったあとに漆喰壁を塗り替えないと表われないインテリアです。
さて・・・昔の庶民は10年ごとに白い漆喰壁を塗り替えたでしょうか?
こちらは隣の炭の囲炉裏。でも隣の薪の囲炉裏のすすでゴザまで黒い。
壁まで真っ黒になるのが普通。炭の部屋の照明器具はまだ煤けていない。
塗り替えません。つまりみんなが褒め称える白い漆喰と曲がった梁はいわば金持ちさんの証拠のようなインテリアなのです。
少し裕福だった家では囲炉裏ではなく竈のある台所を持っておりました。囲炉裏では薪をくべるのでは無く、高価な炭を燃やしておりましたので壁は白いままです。そして・・・このような裕福な家では天井が貼られ小屋裏が表しになることはありません。つまり曲がった梁などは人のいる囲炉裏から見えないのです。
その竈のある台所は煙りが逃げやすいように天井は貼られず小屋裏が表しになり、そこに煙りが溜まり煤けた黒い梁が出来上がります。
このように整理すると・・・
囲炉裏のある「間」が天井がない(お金をかけていない)のに壁だけ塗り替えて白くなったそんな民家というのは大変な矛盾です。つまり古くは囲炉裏は薪だったが、少し豊かになり炭を使えるようになったので、壁を白く塗り替えた・・・その後は炭だけで薪は使わない・・・そんな特殊な状況のインテリアということになります。
つまり特殊なインテリア状態を「古民家風」のインテリアとして紹介しているのですね。