木製サッシを考える。

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「緑の家」はここ数年木製サッシを積極的にお勧めしてはおりません。

理由はコアな読者さんならわかると思いますが・・・

8年くらい前から申し上げているとおり木製のサッシには庇が原則必要です(新潟県)。

この事は先月のブログでも取りあげたとおりです。

木製サッシの腐朽を何度か体験している私は、とにかく木製サッシ使う場合は注意深くなります。

木製サッシの腐朽対策とメンテナンス軽減のポイントは

  1. 周囲の環境(気候)
  2. 木製サッシの構造
  3. 庇の設置
  4. 木製サッシへの理解(メンテナンスなど)

となります。

特に重要なのが1と2で、3と4は私共で対策・対応は出来ますが1と2は無理です。

1はご存じのとおり東北北部及び北海道を除く本州以南の標高200m以下平地が腐朽しやすい条件となり、さらに雨期に雨が当たる外壁面において危険性が高くなります。

一方都市部では近年ヒートアイランドが進むことでRH(相対湿度)が下がり木の腐朽が以前より現象しているようです。

このような環境をよく読んでまず使える場所かどうかを決めます。

次に、2です。

現在木製サッシを検討しておりますが、最近の木製サッシの主流は

「アルミクラッド」型です(無論アンダーセンのような樹脂被覆型が最もメンテナンス性に優れていると思いますが・・・)。

これは外部の木の表面をアルミを使って覆う事で、塗装のメンテナンスを軽減した木製サッシです。またアルミの使う位置と形状を工夫すると腐朽対策にもなります。

独のある木製サッシの断面。アルミクラッドで且つ下皿は樹脂製。僅かな凹みに腐朽に対する配慮が伺える。水が切れるように工夫されている。

今検討している木製サッシは以前にも増して更に断面構成が良くなっております。19年前の木製サッシは、ガラス下の荷重を支える部分にガラス固定するビートから経年劣化で水が浸入して、その弱点である木部を腐朽させてしまっておりました。上の木製サッシの下側の断面図でわかるとおり、その弱点部分に僅かな水勾配のある彫り込みがあります。これがあるときとないときは大きく水滞留時間がかわる・・・。この細工はまさしく木部の腐朽対策です。樹脂は水で腐る事がないので、このような水勾配がなく水抜き穴だけが設けられておりますが、水勾配がないと水は下に落ちることはありません。特に表面張力の大きいな細かい部分ほど水の勾配が重要です。このような細かい細工は8年前まではみることが出来ませんでした。

木製サッシもガラスの多重化によりガラス受け面積の増加で水が抜けないため、腐朽する可能性が高くなった事をようやく海外の木製サッシ屋さんも認めたようです。

国内の木製サッシメーカーさんは少し前から認知していたようで、上のような対策ではなくアルミ自体でガラスを受けるようになっております。この方がより腐朽対策として完全になるのですが、この納まりはもろ刃の剣で断熱性が急に悪くなります。つまりアルミ素材が室内に近づけば近づくほど断熱性能がおちるからです。なんと言ってもアルミは木材の1000倍熱を通しますから・・・。

20年まえから木製サッシはもう少し販売が伸びるだろうと言われておりましたが、大手の木製サッシ屋(ex旭ガラス等)さんは既にこの業界に見切りをつけました。また中小会社さんもその数は横ばいで、というより少ないかもしれません。アフターメンテと腐朽の必要が建築側にある以上、木製サッシメーカーだけの対応では限界がありますから・・・。

2の検討が終われば次は3と4は設計で行えば良いので難しくありません。特に太平洋側の内陸部であれば3を必ず行う必要性が低くなり屋根が大きく、窓に雨がかかり難くなれば必要ないときもあると考えております。

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