超高断熱U値0.23w/m2Kの関屋の家
 揮発性有機化学物質に対し・・・・

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現在施工中の超高断熱U値0.23w/m2K関屋の家(Aグレード)です。

何回かご案内しているとおり、関屋の家では揮発性有機化学物質に対し使える素材と使えない素材、又は許容出来る素材を区分けして設計し施工をしております。

比較的揮発物質が少ないシーリング剤。

床下の束押さえにはごく普通の接着材でも体感上、可であった。このあたりが人それぞれの体感。

特に現代の住宅には必要不可欠なシーリング剤。1件でこの長さ30cmで直径6cmのくらいのシーリング剤を24本程度使用します。重さにして10kg・・・。シーリング剤は石油から化学的に作る有機物質で、揮発性成分を多量に含みます。だからといってこのシーリング剤を使わないで作る事は現実的ではありません。そこで出来るだけ建て主さんが自分にとって影響が少ない製品をチョイスしました。このシーリング剤を現場に常備し、様々な業種さんから手持ちのシーリングではなくこのシーリングを使って頂けるようにしております。このようにしないと、中々全ての箇所でこのシーリングのみを使って頂ける事は難しいでしょう。

この気密テープは揮発性が少ないようで嗅覚で感じる刺激臭が少ない。白い綿のような素材はポリエステル系断熱材。

次に超高気密高断熱では絶対必要な断熱材と気密テープ及び気密シート。

世の中には自然素材の木の繊維でつくる断熱材や、羊毛でつくる断熱材もありますが、実はこれらは揮発性有機化学物質を多量に含みます。所謂自然素材の殆どは、そのままで日常にあると、昆虫たちの餌になり、また時には吸放湿性が徒となりカビの温床となります。これは当たり前で、地球上に自然に生まれた植物や動物のパーツは直ぐに元の姿になるように、あらゆる生物劣化をうけます。それが昆虫の食害だったりカビの一次分解です。羊毛などは、ガの幼虫の餌床となることは、羊毛でできた洋服に防虫剤を含ませる事で体験しておりますし、木はその吸放湿性からダニや昆虫の寝床となり、その糞からさらなる昆虫やカビの発生源になります。よって木や羊毛で紙で出来た断熱材には大量の薬剤が混ぜられます。「緑の家」でもよく使う古紙で作られるセルロースファイバーの20%はホウ酸です(重量比)。無機物のグラスウールでさえ接着剤として多量の樹脂が混入しております。

そこで揮発性有機化学物質を気にする場合は、上の写真のような断熱材であるポリエステル系が有効である方が多いと思われます。ポリエステル系は石油から作られる樹脂品としてはとても高級製品で、身の回りには洋服を始めペットボトルの素材としてその安定性は有名です。

また気密テープも建て主さんが揮発性が少ない製品見つけそれを取り寄せ、体感で建て主さんに確認して頂きました。ところが試用は行った後の指定だったのですが、冬期に使用すると初期粘着力が気持ち弱いので、いつもより圧力掛けて貼るように現場ではしているとのこと。

以前も紹介した耐力壁も、新建材や合板をできる限りやめ杉無垢材による筋かいにしております。床下地に至っては、一般的な合板でなく杉のJパネルにしたことは先回お伝えしました。

ここで申しあげたいのは、

このような自然素材と揮発性有機化学物質のより少ない素材を使いつつ、建物の性能は耐震等級3で超高断熱性能Ua値0.23w/m2の家を造ることです。一般的には自然素材を多用したが気密性能、断熱性能は悪いとか、逆に超高断熱を吹き付け断熱材の塊ような化学的人工物でつくって温熱性能は良いのですが揮発性有機化学物質は何も考えない家です。「緑の家」はその両方を標準で薦めておりますが、更に進んだ関屋の家は大変貴重な家の造りかただと思います。

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コメント

  1. 木原 より:

    この記事を読んで、設計事務所との相性ということを考えました。人の価値観はさまざまなので「建材や接着剤の選定に至るまで、いちいち確認をしないといけないのは面倒」と思われる施主様もいらっしゃるとは思います。ですが、そういう方は他の設計事務所に頼めばそれはそれで幸せです。

    こうして色々と発信してくださっていると、施主は「ここはこういう事務所なんだ」と事前に知ることができます。それは施主にとってものすごく意味のあることです。

    私は揮発性物質過敏症ではありませんが、一人の施主として見れば、揮発性物質のことも気にかけて施主に確認してもらえることは健康面での安心感があるだけでなく、設計事務所への信頼感を強くする理由になります。「他のことも律儀に取り組んでくれるのだろう」と。「いちいち確認しませんが任せておいてください」と言われるよりも任せられます。

    ところで、VOC濃度は一定期間(数ヶ月?)の換気後には問題にならない程度まで下がるんじゃないの‥‥と思っていましたが、素人考えなのかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか?「問題にならない」というのも個人差がありますので、一概には言えないのかもしれませんが。

    • Asama より:

      木原さん こんにちは。

      >ところで、VOC濃度は一定期間(数ヶ月?)の換気後には問題にならない程度まで下がるんじゃないの‥‥と思っていましたが、素人考えなのかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか?「問題にならない」というのも個人差がありますので、一概には言えないのかもしれませんが。

      最近は殆ど問題にならないのでデータは見つかりませんが、平成16年の特定VOC濃度の推移と超過割合がこのページにあります(少々古いですが)。
      http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h16giken/pdf/0411.pdf

      おっしゃるとおり、最近の住宅建築素材はその濃度が低く抑えられ一定期間を過ぎると一般の人には影響を及ぼすことはありません。またそれを早めるために室温を数日間故意に上げ(30℃以上)パージする方法もあります(関屋の家で実施予定)。
      問題は一度でも化学物質過敏症になった方です。この場合はどんな物質でも微量で(微量ほど)反応してしまう事があるので、一つ一つの確認が重要になります。ガスコンロが加熱されそのコンロの塗料などで反応する場合もありますし、特に日射があたったり常温以上に上がる部分、そして購入家具には要注意でしょうか。

      • 木原 より:

        お示しいただいた資料によると、自然乾燥だと内装工事終了から引き渡しまでに「40日以上の養生期間を設けることが望ましい」とあります。仮設換気扇を使った場合で「30日」‥‥予想外に長い養生期間に少々驚きました。

        化学物質過敏症になった方にとっては、自邸の建設は本当に安心できる空間をもつという夢の実現なのかもしれませんね。同時に、自分の家にそういう方がいらっしゃった時に、安心して座っていられる場所を設けることも大事だな‥‥と考えさせられました。きっと、そういう場所は赤ちゃんからお年寄りまで誰にとっても快適な場所ですから。

  2. 匿名 より:

    そもそも無垢の木材自体が揮発性化学物質を大量に撒き散らすことを自然大好き業者は理解してるんでしょうかね?…
    それでいて換気が考えられていないんですから言葉にできません
    ドイツでは気密と断熱を重視しつつ、日本以上に室内の化学物質規制が厳しいことを考えると日本の家造りはとは一体何なんでしょうかね….

    • Asama より:

      コメントありがとうございます。

      シックハウスが大きな問題になった21年ほど前に、「緑の家」の室内ガス分析を大学機関に依頼したことがあります。ガスクロマトグラフィーによる分析ではαピネン類が大量にあるとのことでした。この段階で自然素材の代名詞である木(ヒノキの床)は、揮発性有機化学物質をよく放散する事がわかりましたね~。よってシックハウスを発症した人の住む家は原則では鉄などの金属とガラスを中心とした無機材で作るしかないとの認識です。