金沢市 鳴和台の家の耐力壁検査

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この建物でもうテンションが上がり過ぎて・・・金沢って字のとおり金文化なのか!と勝手な印象を持ってしまった秀吉も仰天の金箔の土蔵(民間の建物)。

金沢らしい・・・この金箔の建物・・・。

21日に鳴和台の家の耐力壁検査(外周外廻り)に伺って来た。この時に建て主さんにわざわざ時間を割いて頂き、今の金沢らしい所を案内して頂いた。この事はまた改めてご案内する。

超高断熱のため付加断熱を施す「緑の家」では、北陸では雨期にあたるこの季節でもあまり気を使うことなく付加断熱施工が可能である。

何日ぶりの晴れであろうか・・・。私が工事監理に伺う時は晴れの確率が多い。

繊維系断熱材(グラスウールやロックウール)で付加断熱を行うと、この雨の多い季節は施工が大変である。これは繊維系断熱材の欠点でもある雨を内部に浸透させてしまう特性にある。繊維に撥水加工がされていても、繊維にまとわりつく水分が乾くまで内部に気密シートを貼る事はできない。出来れば外側の防水気密シートも貼らない方が乾きが早いが、殆ど晴れ間がないこの季節はなりふり構わずにシートを貼る。そもそも雨がこの断熱材に触れないように施工すれば良いのであるが、雨の多い金沢(冬期は北陸全般の地域はほぼ毎日雨がぱらつく)ではそれは無理に近い。この時に付加断熱が繊維系断熱材(グラスウールやロックウール)より雨水をほぼ吸込まないフェノールフォームなら雨が降っていても張り上げる事が可能。よって耐力壁の合板などを貼った後は直ぐに付加断熱材を貼った方が、防水上もよくなる。そこで現場から耐力壁を貼った時点で直ぐにチェックに来てほしい事になり、前々日にその依頼があって21日に金沢へ急遽行ってきた。

さて・・・耐力壁ではあるが、「緑の家」では耐力壁として過去40年以上の実績がある「構造用合板」と「筋かい」を標準で使う。私企業が開発した建材合板等(ダイライトやモイスに代表される建材合板)は標準外の扱いである。

まず構造用合板の最も良いところはその実績にある。
この理由は簡単で、国がほぼ全面的に携わった構造用合板の耐力検査、及び40年以上の採用実績がある信用性は一私企業が開発した建材合板より遥かに高い。一私企業の開発した建材合板は、その企業が開発中止したり、変更したり、またその企業がなくなったりすると有耶無耶になる事が考えられる。一方ほぼ国が定めた基準の構造用合板は、既に40年に渡って仕様変更が殆どなかった。これは構造用材料して最も重要な事と「緑の家」では捉えている。一私企業が開発したタイベックが20年で劣化したことを目の当たりにした時に強くそう思った。

この合板一枚で9種類の壁倍率が出来る。

次に構造用合板の難しいところであるが、

上の写真のとおり釘の種類と本数によって様々な耐力が自由に設定できる。これは良いところでもあり実は最もやっかいな事でもある。

「緑の家」の耐震等級常に2以上であり現在は耐震等級3が最も多い。耐震等級3を設計積雪1.5mで確保しようと思うと、耐力壁が多くなりしかもバランスよく必要となる。しかし耐力壁をバランスよく配置するとプランとしてはおかしな事になる。窓が小さいトイレ、浴室が並ぶ北側と、家族の間のような大開口部が必要な南側に双方同じくらいの耐力壁を必要とされ、そんなプランを造ったら

「家族の間の開口部が小さな変なプラン」

になるのである。それを解決するためには・・・

南側の開口部大きい耐力壁には一つでも強い耐力壁を配置して、北側の耐力壁には強くない耐力壁や耐力壁の数を減らす。すると耐力壁の種類が多くなるが、プランとしては南側に大きな開口部があってもバランスの良い構造体が出来上がる。だから様々な耐力壁が出来上がるのである。

「緑の家」の耐力壁計画図。今回は南西の方向に景色がすばらしい方向がありそこに大窓を計画した。

よって・・・様々な耐力壁の施工方法がかわり、様々な釘の種類と数が打ち込まれる。その一例を上にあげると、ピンク色の耐力壁は厚さ12mmの構造用合板を釘CN65を使って100以内に打ち込む。この時にヘリからの最小離れ寸法は15mmとする。一方少し弱めに造る耐力壁の緑色は、構造用合板9(7.5)mmをN釘を使って150mm以内に打ち込む。この時のヘリから最小離れは12mmとする。このように見た目は同じでも全く違う施工方法になる。これを間違い無く造る事はなかなか難しいので、工事監理に伺うと必ず一つや二つの間違いが発見される。

その点筋かいで造る耐力壁は、このような間違いはなく逆に材料の不均一が原因での間違いが多い。この筋かいの材料の不均一さはこちらのブログで詳しく紹介している。

N50釘のめり込みが有るところ。(鳴和台の家の写真ではない)

縁からの離隔距離が少ないところ。(鳴和台の家の写真ではない)

様々な種類がある耐力壁の検査は基礎と並んで最も重要な工事監理部分となる。よって他の用件より優先して現地に趣くことが多く、今回も先約をキャンセルさせて頂き鳴和台の家の耐力壁検査に21日に伺ってきた。キャンセルさせて頂いた皆様にはこの場を借りて改めてお詫び申し上げる。
現地検査では・・・流石に一発OKとはならず縁からの離隔距離に不具合があったので修正依頼をおこなってきた。

次に出窓の木組みであるが・・・

長岡の家で復活した出窓形式の吹き抜け窓でコーナーサッシを計画し、そのすばらしい風景を大きく切り取ったのだが↓の写真。

緑線内が全て窓となる。耐風梁を2つに分散する事で細くしていることが見えない設計上の工夫。完成時には迫力のあるコーナーサッシになるはず。

この出窓は張り出しの梁で支える。この打ち合わせに監督さんと大工さんとプレカット工場の人と私で30分くらいかかった。私は大入れの梁をボルト固定でと思ったが、プレカットで金物加工が出来ることで下写真の支えのように綺麗にうまくいった。

持ち出し梁を専用金物で固定。その上に窓を支える耐風梁も兼ねた受け材を模せる。

また基礎の仕上げ北面西面ではこのとおり艶々がある何時もの「緑の家」の基礎。

南と東は一部気泡が目立つ所があったが、西と北は光が映り込む基礎表面の仕上げ。

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