2019年版の換気について ⑦ 
熱交換換気の限界と換気ダクトの径

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まず下のブログを見てほしい。

Q値に関する断熱、換気の基本⑥ 全熱交換型換気扇お勧めの境界
算出条件 全熱交換型換気扇7台 延べ床面積 175m32 オーブルデザインでは設立当時から...

上のブログは今から9年前の2010年に書いた。

書いた当時は反響をよんだ。それはそうだ、熱交換型換気扇より熱交換しない普通の換気扇の方が省エネになる場合があるとの記事である。冬期平均外気温度が7度以上であれば(東京程度)、エアコン暖房によるCOPが高いので熱交換しないほうが省エネだよ~との記事。当時は既にエアコンのCOPは高く、DCモーターの換気扇が殆どなかったのでそのような試算になった。その2年後に国の省エネ計算でこのブログと同じような結果が示され、裏付けがとれた。

2011年の「緑の家」では超高断熱住宅を標準化(2009年)してすぐだったので、とにかく省エネ(一次エネルギー換算)が第一優先であった。

しかし2013年からは違う。省エネより快適性が優先で、経済的な裏付けは快適性と同時に確保する。車も同じだった。楽しさ(快適性)を置き去りにしていきすぎた省エネ意識は決して生活を豊かにしないと学んだから・・・。

建築技術2019年1月号の「Ⅸ.換気の熱回収」において東京と高知、那覇の各地域の熱交換と熱交換なしの一次消費エネルギーの比較がある。その結果はこの地域ではどちらでもそう大差がないとのこと。省エネで選ぶとこのようになるが、快適性ではやはり熱交換が有利だし、器機の価格とメンテナンス性では熱交換なしが有利。どちらを選択するかは設計者の価値基準となる。

一方一つ戻って「Ⅷ.換気の省エネ」では・・・

ダクト式換気システムのダクトの径は、音や消費電力に大きな影響を与える事がわかり易く示されている。

この本の田島先生の投稿に載っている下図を見てほしい↓。

P=λ・l/D・ρ/2・v²、Q=v・d²πより導かれる圧力損失の数値である。

p:圧力損失、λ:摩擦抵抗、l:ダクト長さ、v:風速、D:ダクト径、ρ:空気密度 Q:流量、d:D/2

国内大手メーカーから施工がしやすい小径ダクト50mmが販売されているが、私は使ったことがない。それは上の表を見れば当たり前の事。同じ風量を得るためには、径50mmのダクトは風速を4倍にする必要がある。風速が増えれば圧力損失はなんと30倍も増え、圧力損失が大きくなれば音と消費電力が大きくなる。技術者なら当たり前の知識。もし径を小さくする必要があるならせめて75mmのダクトを使いたいところである。実はこの小径ダクトの全交換を行ったことを私は経験している。

「緑の家」の熱交換換気扇は床下の取り替えやメンテナンスしやすい箇所に設置される。ダクト内径は100Φ。

注意したいのはダクトの内径が100mmの時には断熱ダクトの外径は125mm以上にもなるので、時には構造的配慮も必要になる。設計者はこの事を考えて1階と2階の懐の寸法を決めたり、梁のかけ方を決めている。つまり住宅の設計者であっても設備や構造までも把握しないと成り立たない。

どうだろうか?ここまで7回の連載で書いた換気について・・・。

まだまだ書き足りないところが多くある。

何時も申し上げているように換気計画は奥が深く難しいのである。

ただ仮に間違っても耐震性の間違いのような危機的欠陥にならない為、疎かにされている事例もおおいだろう。

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