eACH(相当換気回数)が5回/hで現法の10倍の換気。

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先日のHEAT20セミナーで紹介されたこのeACHとは、空気清浄機で濾過された空気も外気と同様に扱って、換気量を一桁多くすることで感染性微粒子濃度を減らす考え方で、従来の新鮮空気のみでの換気回数とは別の手法で室内環境を良くしようとの思考である。実はそれが5回/hがよいのではないかとの内容で、今後の換気の新たな指針になるかもしれないとのことだった。その現在の10倍の相当換気量に全身の力が抜けた。

更にこの相当換気をビル空調では既に実施しているとあり、口が開いたままになっている。概念ポンチ図を載せたいがネット公開禁止とされているので文字だけ理解してほしい。

まず・・・

この暑い時期に外気を入れると大きな冷房負荷が生じるので、本当は駄目なやり方であるが、0.5回/hの法規定の換気量を0.3回/h程度まで独自に減らして負荷を下げている考えが巷にある。

確かにシックハウス法の運用のマニュアルには冬期は室内温度が低く且つ温度差換気が0.2回/h分おきると考える事で0.5回/h→0.3回/h程度でもよいと読めるが、この条件は郊外の2階建てで、風速3m/sの時の内外温度差20度もある冬期の環境で且つC値が2cm2/m2時の全てを満たす時である。夏期はシックハウスに不利な室内温度が上がるため又温度差換気も冬期の半分になり、またC値が1cm2/m2以下の超高気密住宅なら自然換気を期待してはいけない事は、国交省が発刊している書籍の下の図から明らかである。

国交省発刊の2012年のシックハウス対策マニュアルからの抜粋。

よって減らしてよいと解釈してはいけない。しかし住宅業界ではこんな努力で出来るだけ換気負荷を減らし、冷房にかかる電気代(エネルギー)を下げようと涙ぐましい努力しているこの時期に、現在の0.5回/hの10倍となる5回/hの空気を入れ換えようとは・・・なんの冗談だろうと思ってしまった。しかもその理由が「感染性微粒子対策」である。この微粒子は最近ではCOVID-19のことだろう。

COVID-19を軽視してはいないが、いや、あれだけ日本国が努力しても結局蔓延は止められなかったのに、住宅で換気回数を10倍多くしたからなくなる病原でもないことは既に多くの人が経験している。住宅で、はたまたオフィスビルで仮に10倍換気でかかりにくくい状態になったとしても、社会活動していればいつか必ずかかるのが今回のCOVID-19ではなかっただろうか。それほどこのウイルスは伝播が狡猾である。

HEAT20ではこれが省エネ換気システム検討SWGのテーマとのこと。ちょっとびっくりしてしまった。低炭素社会を進めることと相反する5回/hの巨大な相当換気回数。半分はRAをフィルターで漉して室内空気を使えるとしても2.0回/h分は新たにOAが増える。つまり夏期なら湿気は現在の4倍分を追加除去しないとあの乾燥した空気RH(相対湿度)50% はもう得られないこともあろう。しかしこれは普及しないはず。第三種換気推進支持派やパッシブ換気推進派はその根底からその換気方法を覆されるためである。つまり最も消費電力がかからずメンテナンスが楽であるからこそその換気システムを選んでいるのに、HEPAフィルターが必ず入る(メンテナンスが桁違いに多く、ファンの消費電力も数倍になる)換気をなんて・・・ということである。しかも何時どこで起こるかわからない伝染病に対して、全ての住宅がその準備をする必要があるか???ということ。特定の病院や施設だけでよいと私は思う。そんなエネルギー喰いの換気・・・オフィスビルでもいらんだろう。

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