「緑の家」の新たな重点仕様
高メンテナンスのススメ

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近年オーブルデザインでは新潟県外の設計が増えているが、それと同様に私と同じ世代又はそれ以上の年長者さんの家の設計も比率が多くなっている。

ある建て主さんとの会話の中で、
「10年後果たして天井付近に設置されたエアコンのメンテナンスが出来るのか心配」
との言葉が漏れ出たことにはっとした。

そう・・・快適な家に住めば住むほど月日はあっという間にながれると感じている(人生は一度きり、比較のしようがないのであくまでも推論)。

10年はあっという間・・・
確かにその時に脚立に乗って壁掛けエアコンのゴミ取りを出来るのだろうか?

今のエアコンはフィルターの自動お掃除がついている。最低でも一日一回フィルターの掃除をする機種がほとんど。この時とったゴミは確かパナ以外は室内機のゴミBOXに溜め込まれる。このゴミボックスを2ヶ月に一度は掃除しないとゴミが溜まり最後にはフィルター掃除にも影響が出る。

そこでゴミBOXを取り出し捨てるのであるが、ほとんどのエアコンの設置位置は2400~2000くらいに納まっているおり、普通では脚立もしくは背の高い踏み台を使う事になる。

吹き抜け設置も高さ2200あたりに計画する事が多かった。

これが意外と怖い高さ・・・。50才前半までは気にならなかったけれど、50才半ばにして少し脚立に違和感を感じるようになった。大きな脚立ならそんな感じではないが、小さい脚立ほどふらつき感がでる。

そう・・・宣言!「緑の家」、今後のメンテナンスは高齢を基準に家の仕様考えたい。

その第一はエアコンと換気扇。

住宅業界では換気扇のメンテナンスについて、特にセントラル換気扇の本体を天井に設置するより床下内に納める方法が最近いわれそのような換気扇本体が既に販売されている。

ところが・・・

エアコンは1960年代に普及始めた頃とかわりない配置を半世紀以上経たいまでも前提としている。最近は床下エアコンのように、床上直ぐに設置しそのメンテナンス性がよいことを知ったが、メーカーに言わせるとこれはイレギュラーな設置位置となり、あくまでも壁掛けエアコンは床上2m以上となる。

しかし、この2m以上にエアコンがあるとどうしても脚立がないとメンテナンスは不可。この常識を打破するために建築的に工夫してエアコンを手元に設置する事を「緑の家」では宣言したい。

その布石としては2011年に設計させて頂いたR2000+の空調箱がある。

2011年設計のR2000+の空調BOX

この扉の中にエアコンが入っており、正面の扉をあけると普通にメンテナンスが可能となっている。ただ数年後には下部の風導斜板が温風によって痛んでしまった。これは冷風でも同じで高湿または結露すると痛みがでる。吹き出し方向に近い位置で木質系があることはNGとなるのは既にわかっている。そのことを除くと

エアコンが高い位置にある理由は

  1. 開発時は冷房専用機だったので上部空気を吸って下部に緩やかにだす意図。
  2. 部屋の家具レイアウトに影響されない位置(新築時だけでない後付け可能)。

この2つである。

1は比較的建築的納まりでカバー出来るが2が問題。絶対的な大きさが限られる時にどうするか?そのあたりは新築がほとんどなので設計事務所的解決で行う予定。

この夏以降「緑の家」はエアコン設置位置を見直す。エアコンメーカーの推奨取付け位置でなくともよいと思えば、住まい手の同意を得て床下エアコンのようにメンテナンスしやすい位置に計画したいと考えている。

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コメント

  1. 換気マニア より:

    高齢者にとって脚立に乗っての作業は危険です。
    私の母の家では、最初から母によるメンテナンスは諦めています。
    専門の業者による定期的なメンテナンスの提供が現実的ではないでしょうか。
    とは言え、今のところ、この様なサービスを提供してくれる業者が少ないのが現実ですが。

    • Asama より:

      換気マニア様

       コメントありがとうございます。
      >専門の業者による定期的なメンテナンスの提供が現実的ではないでしょうか。

      全くそのとおりです。

      ただ高齢者の事情はそれぞれで、足の悪くなるのが早い人もいれば、当方の母のように90才を過ぎても自炊し踏み台に上れる人もいますので、バリアフリーと同じく画一的な対応は中々出来ません。もしご自分で行いたくないとの事でしたら仰せのとおり外部委託がよいと思います。実際簾かけを毎年1万円で工務店さんに定期依頼している「緑の家」のオーナーさんもいらっしゃいます。

      今後家造りはますます多様化するのではないかと感じており、その中で可能な限り選択情報を提供したいと思っております。

  2. とがじゅん より:

    メンテナンスのしやすさから「床置きタイプ」エアコンも
    選択肢に入りそうですか?

    自宅では壁掛けエアコンとサーキュレーターを併用しています。
    床置きして使う家電製品は、やはり邪魔に感じることが多いので、
    シーリングファンに憧れています。
    オススメの製品がありましたらブログで取り上げていただけると嬉しいです。

    • Asama より:

      とがじゅん様
       
      コメントありがとうございます。

      >「床置きタイプ」エアコンも
      選択肢に入りそうですか?

      悪くないですが多分・・・。
      床置きエアコンは暖房用に振れているので冷房時には少し矛盾が生じます。冷房時にはやはり上部空気を吸い込んで冷やす事が重要で、上部から冷風を吹き出す方式はよいと思うのですが、吸い込み位置がすこし問題となり、どこまで天井付近の熱気を希釈出来るか・・・。

      >サーキュレーターを併用しています。

      広い空間で行う時の空調の王道で、足下の冷え対策にも良いですね。