一昨日地鎮祭が執り行われた「金塚の家」であるが、カテゴリーが未設定だったのでおかしいと思って過去ブログを検索すると何時もは行う模型の紹介をしていなかった。
確認申請がいらない程、周囲に緑が多く残る少し古い分譲地に建つ。細長い敷地に見えるが、間口は通常の分譲地で奥行きが倍くらいある。後庭も考えたが前庭を大きくまとめて設ける計画とした。
積雪は1.3mで耐震等級3として計画した金塚の家。Ua値は0.28W/(m2・K)で床下収納1.4mである。
田の字剛床の2階床で今回は屋根桁上の厚物合板貼りは省略して火打ちのみで耐震等級3となる。屋根はガルバニューム鋼板であるが、何時も「ある」ことを配慮して耐震等級3としている。それは・・・
築後35年目の屋根葺き替え時に、無駄なはり替えではなく重ね張りできる重量をあらかじめ構造計算で加えておくこと。重ね張りはガルバニューム鋼板の屋根では最もよい特徴であり他の材料では出来ない。これは35年後の葺き替え時に廃棄材がでないことでメンテナンスがしやすい。当然剥がして新たに貼っても良いが、雨漏りしていないなら重ね張りしても性能は変わらずコストが安価になる。
そこで重ね張りが可能なようにこんな感じで全面に100N/m2を加算し構造計算している。ガルバニュームの重ね張りはわずか+50~90N/m2の追加荷重しかないが屋根全面のため60m2の屋根であれば5400N(540kg)も屋根荷重は増え、耐力壁2倍相当の1P分程度を増やさないと初期の耐力が維持できない。一方追加荷重は多すぎると地震力の浮き上がり制御になり危険側にも働くので100N/m2がちょうど良い塩梅だと考える。こんなことをトータルで思考できるのは意匠や仕様と構造計算を同じ設計者が携わるからである。
この追加積載荷重で更によい事は、新築時に太陽光発電パネルを載せる計画がなくとも、将来急に載せたいときにパネル荷重分を見込んであることになる。厳密には多少荷重にバラツキがあるが、全体的な荷重増を吸収できる。無論葺き替え時には太陽光発電パネル撤去すれば重ね張りの追加荷重と置き換えになる。
「緑の家」はこのように20~40年後変化を読んで家造りの設計を行っている事が自慢で、そのためサッシ取り替え枠、ドレーキップ型窓がメインとその設計ポリシーは何時も一貫して「無難な家」である。
一方瓦屋根の場合は葺き替えが前提で重ね張りができないので追加荷重はしないし、太陽光発電パネルも瓦屋根に穴をあけるため将来設置する事は反対であるが、それでもソーラーパネルを将来載せるご要望がある場合のみ追加荷重を見込む。
話は金塚の家に戻る。
金塚の家でも「緑の家」定番のコーナーサッシを採用。次回大野町の家であらためて紹介するが、その光の豊かさはコーナーサッシでないと味わえないかも。
細長い敷地で角地を生かしたコーナーサッシが楽しみである。