換気量の計算とエビデンス

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今朝白の家ではダクトタイプ換気を使っている。最近ある講演会で、「換気はパッシブ換気(自然換気)がやはり主流になるかも」とある学者さんが言っていたが、私はそうは思わない。

パッシブ換気が主流になる理由とは、

ある調査で24時間換気の設置されている建物で24時間換気が正しく使われているかを調査したところ、多くの家でスイッチを切っていたり、一度もメンテナンスされることがないためフィルターに埃がついて想定された換気量を確保出来ていなかったとのこと。これを根拠に「パッシブ換気ならスイッチが切られることはないし、フィルターも埃がたまりにくい」とのことでパッシブ換気がよいとのこと。

持論は・・・

日本の住宅に換気が必要になったのは、住人が暖房や冷房を好んだことによって、家が意図的に密閉化された。そのため換気量が不足し、それを住宅密集地等、外風の影響を受けにくい家が多いので機械式換気をいれた。つまり人は冷暖房という「超人工的な室内環境」を欲したのだから、それを機械換気で行なう事はとても自然な発想で、超人工環境の室内と自然換気という組み合わせのほうが矛盾があるといえる。 

もし換気のスイッチが切られたり、汚れによる換気不足が心配なら、何かしらのセンサーを付け住人にメンテナンス等を促せばよい。センサーなんて今はとても安価だし、人もなれている・・・と思う。警告音や光があれば、この流行病で換気の重要性が理解されているだろうから、今さらパッシブ換気に拘る理由はないと思う。

今朝白の家の換気量を想定した機械設備が満足できるかのチェック表。

さて今日の話題は、換気量の計算とエビデンスであるが、先ずは上の表を見てほしい。「緑の家」で使う全熱交換型換気扇は風量190m3/hの能力時に給気ファンは160Pa、排気ファンは150Paである。つまりダクトとフード、グリルの圧力損失の合計は最大160Pa以下にする必要がある。今朝白の家は縦長の形状なのでダクトの長さは一般の家の倍くらいなる。計算すると直管換算で給気が48.5m、排気で30.5mにもなり、ここにグリルとフードを付けると計算上では最大圧損に対し98%になる。しかしこの表は安全性考えて直管は全てフレキシブル管で計算しているので実際は10%くらい下がるはず。全部フレキシブル管で計算するのは、長期にわたるダクト内の抵抗が上がったこと(汚れなど)を想定している。

最終風量調整は自身で行なう。

とのことで、実際完成後に風量調節をして機器の運転モードを確認すると、

このとおりやはり計算通りのダイヤル位置となる。流石であると手前味噌。

ダイヤル4.5で設計風量となる。4.5/5=0.9だから設計の計算通り。

実はこの風量に納めることができたのは現場製作の給気チャンバー2個の効果が大きい。チャンバーは下のようなBOXで、これで分岐すると圧損が2分岐ダクトに比べかなり少なくなる。計算上は0にしている。実際0なのかは実測しないとわからないが、今回の実測から無視できるほど小さくなると思われる。

左に見えるのが本体。右上の箱がチャンバー。ダクト接続位置見ればわかるが180度風のむきを変えている。これをダクトで2分岐で行なうと風量190m3/hでは7~8Paの圧損となる。
ダクトは基本的にスパイラルダクトであり、床下内で50%以上敷設される。

チャンバーの効果は圧損を下げると共に風量が倍ほど差がついたり、圧損が異なる吹き出し風量を容易に調整することが可能である。長い道のりの配管があっても一度チャンバーで静圧を同じくするので、そこからの圧損をリセットできるため、開口面積に概ね比例して風量を定めることが可能。これがダクト設計のポイントである。

超高断熱住宅では、気密性を試験する気密測定は行なわれるのに、換気量を調整し、実際の換気量を測定していることは少ない。当然ロスナイ等パイプ扇型では必要無いが、ダクトを使う換気の場合、圧損計算し完成時の測定が必ず必要である。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする