長野県諏訪郡の原村の家では基礎工事の終盤にかかる。所定の養生期間を経たのち型枠をばらし、XPSのスタイロフォームAT100mmという厚さで基礎断熱された全容が現れる。当然UA値はG3を大きく超える0.16w/m2kと超高断熱の仕様。
上写真でスタイロフォームがある立ち上がりより明らかに低い7体の基礎は、玄関階段の柱下の基礎となる。階段は母屋とは構造的に独立しているので、この基礎はスタイロフォームで縁が切られ熱橋にはなっていない。頑強なこの基礎はこれから土を戻してしまうとこの見えている部分の殆どが土の下になってしまうのだから、勿体ないと思うがこの標高1300m超えの地域では止む得ない。
低い斜面のこちら側も、見えているコンクリートの半分は土の中にはいる。このように深く根入れしないと凍結融解を懲り返すことで重い基礎が隆起してしまうほど環境は厳しい。このように寒冷地の基礎は、手間暇かかるとてもしっかりした価値のある基礎だと思う。
型枠が外された段階で基礎巾280であるが、この後内側に60mmのスタイロフォームを貼り付けて合計の基礎立ち上がりの厚さは340mmとなる。ここまで厚くなると土台を敷いたときにとても不思議な光景になるはず。
外側のスタイロフォームは、土に埋まる部分から樹脂モルタルで表面を保護し、市販品の中で最も水に強い断熱材を更に水などから守る外皮を塗る。
見えなくなる所をここまで丁寧に計画することで、高い断熱性能が長期間維持できることになる。
内部側にも断熱材を貼り付ける。ここも土の中になるが、断熱材はスタイロエースⅡであり、白アリ予防剤は練り込まれていない断熱材。白アリ予防剤入りはATだがこちらはやはり高価なので、内側は白アリ侵入の可能性が限りなく低いのでエースⅡを使う。なにしろ基礎ベース下は地面から1000mm以下で且つみず道の下となり、ここを通って白アリが内部まで来るのはまず考えにくい。
断熱施工で最も難しい部分は玄関戸のあたりである。結露になる温度まで到達しないように熱橋を抑えつつ、一日10回以上開閉する重いドアはしっかりした戸の固定も必要。地面から完全に離れた玄関は難しくないが、ガレージから直接入る玄関になると少々やっかいになるので注意が必要。
綺麗に下部までぬられた基礎は地上部上を汚れ防止でビニールで養生し、土を埋め戻されもう既にみえなくなる。ここまで打込みから10日。このように工期を短くするためにも生コンの強度は重要である。一般的に33N/mm2で打ち込まれた生コン(普ポル)は、平均気温20度以上7日目で既に22N/mm2となり、9日では25N/ mm2になる。仮に安全率(バラツキ)を1.2としても今回の設計圧縮強度100%の21N/mm2付近になる。一方巷で多く使われる24N/ mm2では7日で16N/mm2、9日で18N/mm2と低く、さらに安全率1.2で考えると15N/mm2となり、一般的な住宅基礎のの設計強度21N/mm2の71%である。「緑の家」がA,Bグレードのいずれも標準指定する高強度33N/mm2のコンクリートは施工者にも建て主さんにも貢献すると思っている。
寒冷地の住宅というと断熱性能が最優先されやすいが、このように建物はまず構造がしっかりあってから断熱性能を付加するものと考えている。