2025年に義務化される審査項目は構造と省エネだけではない。この表によると40を超える項目が新たに審査対象となる。
私みたいに建築関係を40年近く行っていると不思議に思うことがある。
例えば「あ」と「い」等は40年前(1983年)は審査項目対象とされていたものだったが、1983年に建築行政職員の不足(当時は県、市等行政しか審査できなかった)を理由に、緊急措置として小規模建築物で建築士の設計によるものへ自己チェックをする四号特例制度が始った。つまり1983年以前の住宅は壁量計算など構造に関わる審査が行われていた。
この当時住宅建築数は右肩上がりだったので、更なる煩雑化防止も踏まえ1999年に民間の審査機関に確認申請の審査が解放され、住宅の確認申請は行政が直接審査することがほぼ無くなってきた(市などに提出しようとするとやんわり断られる)。つまり民間の確認審査機関が急激に増えた。しかし建築数(住宅)は2006年から下がりはじめリーマンショックを境に2006年度の60%にまで急激に落ち込んだ。こうなるとその業務しか出来ない民間の審査機関は業績が60%になる。しかしその数年前から準備していた「長期優良住宅」の認定開始で審査機関の業務(売り上げ)が支えらた。その後現在まで2006年からみると60%の戸数のままだが、長期優良住宅、ZEH、BELS、CASBEE等各多数の認定制度ができたため、民間の確認審査機関が減る(淘汰される)ことはなかった(民間の審査機関には行政を退職された方が役員等としていらっしゃることも多い)。そして人口減と先行き不安から各種調査機関の推測では今後も住宅建築数が下がると予想されている。その中で、再び上の「あ」や「い」そして
「お」の審査も再開される・・・ということは国民のための審査再開なのか、それとも審査機関が淘汰されないように数は減ったが単価が増えて売り上げを維持できるシステムなのと疑ってしまいそうになる。当然民間の審査機関は行政の審査窓口より丁寧で親切であるため、審査機関に建築主の代行して提出する私としては間違いなくありがたいが、建て主さんへのご負担は増えることに対しては言い表せることができない想いもある(確認審査の料金が多分1.5倍になるのでは)。実際省エネ法におけるチェックを除く図面として・・・
3倍くらいの設計図の枚数となる。一戸建て住宅での採光計算など当事務所などの田舎ではほとんど必要無いくらい敷地に余裕がある。だだし現在行っている名古屋市の住宅では、採光のためにトップライトをわざわざ設置しているので、この採光の確認審査はやむ得ないのかもしれない。
これに更に省エネ法に合致した根拠として各断熱材の仕様とエアコン、換気設備など一次エネルギーを算出するための基礎資料と計算式。従来は一次エネルギー算定は建て主さんへの説明義務に含まれていたが、今後はエアコンの品番が変わっただけでも軽敏な変更を提出するかもしれない。エアコンで指定した品番が例えば半導体不足で手に入らないときもあったことも考えると結構大変。今までは建て主さんへ口頭でも説明すればOKだったのが、審査機関に変更を届けなければならないかもしれない。
さて・・・
国から送られてきた資料で「おやっ」と思ったのが下図である。
この図に驚いたのは、私たちがよく使うこちらも国の構造の教科書である「許容応力度設計2017年版」の中には
下のような挿絵と根拠の計算式まであるが、振れ止めと桁行筋かいをわけておらず、また特に振れ止めという部材はない。
構造部材としてはたいしたことではないが、ただ当ブログでは今でもアクセスが多くある↓の12年前のブログに関連するので自身では意外と大きな問題となる。
この水平部材(振れ止めとキャプションされている)が無くとも上の母屋材と束のホゾパイプ(梁)で三角形の安定系を作っているので構造力学的に問題ないが、このままでは少し気持ち悪い。通常この部材名は振れ止めではなく「根がらみ」で、振れ止めはあくまでもこの小屋筋かい、雲筋かいのある全体の意味だとおもうのだが・・・。皆さんのご意見はいかがだろうか。