山形県厳寒期の基礎工事 配筋・型枠

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この状態・・・

積雪50cmはあろうかと思う敷地の雪を取り除いて基礎工事の核である配筋工事が行われている山形県上山市の現場風景。

奥に青く見えたのは基礎を全て覆っている仮設テント・・・。

当初、雪の降る前に基礎工事が終わっているはずだったが、補助金認可等でやむなく12月下旬から本格的に始まった上山の家。

工事を始める前に設計者として冬期の工事を建て主さんから確認された。設計者および工事監理者として、積雪地での冬期の基礎工事は、雪対策をしないと非常に厳しい。と申し上げ、但し雪による障害を取り除けば後は打込み後の養生を注意すれば出来る。と申し上げ、それを受け、今回ジョイントする中村建築さんは、このようなキッチリした仮設のテントを用意して工事を行っている。まるで国宝社寺仏閣の工事のよう・・・。

積雪地新潟県では、あまりの雪の多さに積雪時の配筋工事をあきらめるの事が多いので、ここまでテントを造って配筋を進めることは殆どない。しかし中村建築さんでは特に問題なかったようでこの厳寒期に工事を行っている。凄い建設会社さんだと思う。

テントの中は・・・

まだ立てかけてある左の青い矢印の断熱材。上部が斜めにカットされているのがわかる。

・・・の感じで、新潟県内の冬期の現場より綺麗に施工出来そう・・・。

上山の家は造り付け車庫があるので2件分基礎の大きさ。しかも土間キッチン。

青いテント内部の欠点は、青い光で目がくらむことであるが、曇天もおおい上山なら大丈夫だろう。

2枚上の写真の左端の矢印に斜めにカットされた断熱材が見受けられる。この基礎納まりが「緑の家」の標準となる新たに追加されたもう一つの基礎断熱である。

これだけで美しいセパ。コンクリートが打ち込まれる側の断熱材(つまり見えなくなる部分)から見る。矢印が斜め部分にカットされた断熱材。

基礎には一緒に打ち込まれるスタイロフォームATがしっかりと専用サポで固定され、上部が斜めにカットされる事で上部からの流しやすさ(施工性)と鉛直応力をスムーズに伝える力学的効果をもつ。この納まりは最大手ハウスメーカー大和さんの影響が大きい。ただしコンクリート露出部が有りここで白アリ予防を行うところが違う。

こんなに手をつくして冬期の基礎工事を行えば、間違いなくすばらしい基礎のできばえとなろう。後は職人さんの為に風が吹かないこと祈る。

日経ホームビルダー2018年3月号からのワンショット

所でタイムリーに日経ホームビルダーさんが基礎の特集を行っていた。

基礎が自慢の「緑の家」にも時折みられる基礎のヘアークラック※。その原因が粗骨材にあったとは・・・。単位含水量が少ないほど収縮が小さい事は知っていたが、これよりも影響が大きいとは。確かに容積比率でも粗骨材が一番大きいから影響も大きいのは当たり前。これはコンクリート研究者の間ではわかっていた内容だが、私も含め実務者ではまだまだ知らない事だろう。粗骨材はその地域の河川から取れる丸砂利が多い。だから粗骨材の大きさは指定しても、種類(砂岩か花崗岩か)は指定しない。記事では粗骨材の種類によって収縮率に大きな差があり、且つ同種でもバラツキ巾が大きいとある。さて・・・上山市の生コンプラントではどのような種類の粗骨材を使うのだろうかと思っている。・・・コンクリートは奥が深い。

※ヘアークラックとは構造的に影響の殆どないヒビ。概ね0.5mm以下とされる。

日経ホームビルダー2018年3月号からのワンショット

詳しい内容は日経ホームビルダー2018年3月号を購入されたし。薪ストーブの火災も載っていたので記事内容は濃いはず。

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