山形県の上山の家 土間キッチン進行中

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土間キッチン内で3つのレベルがあり複雑なことが見て取れる。基礎スラブの上に砂利や砂を入れるので、それ自体が安定した蓄熱材となる。この時最も大変だったのは耐震等級3を満たす構造計画であった。

中村建築さんから現在の進行状況の写真がラインで送られて来た。

一ヶ月前はこんな状態だったのが・・・

上山の家は本格的な土間キッチンを持つ・・・というより土間キッチンに寝室が付属するような面積配分で、家の中心は中履き(裸足でもオッケー)で使用する土間キッチンとなる。つまり土間は厚いコンクリートで仕上げられる。

上山の家は超高断熱の国認定のUa値は0.23w/km2で床下エアコン暖房と土間キッチンの両方をもつ「緑の家」のため、土間キッチンは単純な平坦土間ではなくレベルが4つ存在する反バリアフリーの家(笑)である。
「緑の家」ではよくある事だが、世の中ZEHが流行し始めると逆にZEHは積極的に薦めないし、バリアフリーが当たり前であると床の高低差が存在する土間キッチンを薦めたりしている。ZEHの出始めのころは太陽光発電の投資的良さも含めたトータル判断で薦めていたが、現在の電気買い取り価格では日本海側はおろか太平洋側でも果たしてリスクに見合う事なのかと冷静に考えて積極的には薦めていない(建て主さんの価値判断に任せている)。また25年前から本格的に始まったバリアフリーであるが、その検証がほぼ出尽くした10年前からは、何が何でも床に高低差があることがNGではないことに皆が気づいている。つまり高齢化による足の衰え時に、車椅子で家の中を移動するという行為が非現実とわかったから・・・。
また小さな段差(3~89mm以内)は、老齢化により足のつま先が引っかかる事で大変危険であることは周知されているが、段差と気づく90mm以上であればつまずく危険性は低いということ。

仮に高齢化による車いす生活なら、自身の腕で移動できる力は既にないので誰かに押してもらうことになる。その時に押す人は誰か?と冷静に考えると自身の配偶者となるのだが、その人も既に高齢者で人が乗った車いすを的確に動かす事はまず無理とわかる。となるとヘルパーさんか運良く自身と同居するお子さんとなる。同居していてもお子さんが働いていたりする年齢だと・・・ヘルパーさんになるが、ヘルパーさんが24時間家に居るかというとそれは相当なコストがかかる。つまり高齢者になってから自宅での車いす生活は通常難しいと思われる。だからこそ何が何でも床を真っ平らにするバリアフリーという選択肢は考えなくともよいはず。そのため2階にバス・キッチンがある家のプラン(それが最適解の環境なら)も普通にお薦めしている。このように高齢化による適正な家の構造は人それぞれであり、一概に「これっ」とは言えないことが多くの人に認識されている。このようにバリアフリーが取り入れられたころとは明らかにその評価が変ってきているし、今後ZEHもそうなるとおもう。

私の母は93才で骨粗鬆症であるが毎日20段近くある階段を用があるので3往復している。この状態がいつまで続くかそれはわからないし、特別な人の状況かもしれないが、将来の悪いイメージで今を生活するより、今の生活をより豊かに過ごすためにレベル差が出来ても土間キッチンを積極的に選ぶ選択肢はあるだろうと私は思う。

大阪北でおきた地震でも明らかになったが、住人が家に居る時間に地震が来るとは限らない。また、屋根の上に置かれた太陽光パネルが大地震時に無傷でいたとしても、そこに人がいなければ折角の発電は無になる(地域停電時には売電も出来ない)。蓄電池があれば大丈夫かと聞かれれば、地域停電が起こるような大地震の場合、断水は必須である。断水するとその家での生活はせいぜい2日。3日目にはお風呂やトイレの問題でギブアップすることになる。つまりZEHなら災害時自給自足で何とかなると思っていると、最低生活でも本当に必須なのは電気ではなく、大量の水(トイレとお風呂と洗い物用)が最も大事と気づくので都市部で災害時の自給自足は夢の夢となる可能性が高い。更に蓄電池があっても夏に地震が起きたら・・・冷房、冷蔵庫、給湯器までの電力確保ができなければやはり多大な忍耐が必要になる。私としては直下型地震ならその地域から電気が回復するまでの3~7日間くらい他の地域で暮らす方をお薦めしている。
えっ・・・たった今、電気より水が大事ではと言っていたのでは?
実は電気が回復すれば大量の水やガソリンが手に入りやすくなる。これは情報が入りやすくなることで人の気持ちが落ち着き、買い占めや買いだめがなくなるため。特にガソリンがないと地方では何も出来ないが、停電時において厳寒期や灼熱期は車内生活が大変凌ぎ易いのだが、そのためにはガソリンが必要なのである。

・・・と話が土間キッチンからずれてしまったが、今現在を豊かにする土間キッチンを強くお薦めする。土間キッチンは子育てが終わってから更に家の魅力を増す舞台装置であると私は考えている。

ところで・・・

上山の家は県外に建築中ではあるが、完成した8、9月には見学会を考えている。数年前のように貸し切りバスを借りて(昼食付日帰りツアー)なんて事も視野にあり、それほど魅力をお伝えしたい本格的な土間キッチンである。・・・でも一日がかり(片道3.5時間の予定)で1件だけ見るこの企画に参加者がいらっしゃるか(笑)?

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コメント

  1. 京介 より:

    貴重な情報を毎回ありがとうございます。
    とても貴重です。13年経過したオークは拝見いたしました。すごく綺麗です。

    普段のメンテナンスはどのような感じか分かりますか?
    通常、広葉樹は初回に油を塗っても
    すぐにカサカサ乾燥してくるとの事ですが、
    足の油のみで大丈夫とは貴重なお話です。

    工務店によって、広葉樹はどうしてもカサつくのでウレタン塗装のものしか使わないと言っている工務店もありました。

    たしかに、オーク硬いです。
    膝関節に負担がかかる感じです。

    床をオークにすると、建具もオークにしないもバランス取れないのですね。
    ありがとうございます。

    • Asama より:

      京介様

      >普段のメンテナンスはどのような感じか分かりますか?
      通常、広葉樹は初回に油を塗っても
      すぐにカサカサ乾燥してくるとの事ですが、
      足の油のみで大丈夫とは貴重なお話です。

      下のブログあるとおり、スリッパを履かれてしまうとどんな木でもササクレが出来ます。
      https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2010/10/16/post-0/
      無論急激な温度差及び紫外線も大敵です。

      >工務店によって、広葉樹はどうしてもカサつくのでウレタン塗装のものしか使わないと言っている工務店もありました。

      賢明だと思います。
      人工材(ナイロン糸)でできたスリッパの底には、同じ人工材のウレタンがふさわしいと思います。

      では無垢材ライフをお楽しみください。
       

      • 京介 より:

        Asama様
        御丁寧にありがとうこざいます。お世話になっております。
        スリッパを使わなければササクレになりにくいということで、素足で使うようにしてみます。紫外線もダメなのですね。紫外線は防ぎようがない感じでしょうか?
        かえって、樹脂系のワックスは使わないほうがいいのですね。
        それでしたら、普通の速乾性の
        亜麻仁油などでしたら、足の裏の油に近いので塗っても問題ないでしょうか?よろしくお願い申し上げます。

  2. Asama より:

    京介様
     
    コメントありがとうございます。
    ヒノキに比べ少ないながら使っていますよ。
    オーク(欧州産)です↓。
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2014/07/28/post-0-348/
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2016/05/17/post-0-50/
    ナラ(多分ロシア産)↓
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2011/05/24/post-0/
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2015/07/31/post-0-508/

    なぜ堅木(ナラ、オーク、カバなど)が少ないか?は・・・
    見学会で8時間も立ちっぱなしだとその違いを歴然に知ることが私達には出来ます。
    堅木は足の疲れ(だるくなる)が早い・・・ヒノキや杉、松は堅木に比べ疲れ難いです。これは私の感想だけでなく堅木が嫌いでないスタッフもそのように言います。木が堅いことより多分・・・熱伝導率の違いで足が冷えやすくなるかどうかと思っております。

    一方堅木には香りが穏やかで傷がつく難いという大きな利点があり、建て主さんの使い方、好みで選ぶことになります。

    ただ・・・針葉樹系では扉枠、窓枠、戸にも無垢無塗装の杉を使った時の全体のインテリアの統一がはかれバランスが良くなりますが、オークなどは窓枠に扉枠、戸にオークを使うと高額になるのでやはり安価な杉を使ったりしますからちょっと全体のバランスが崩れてしまう感じがします。オイルで色をつけると良いのですが、無塗装がよいと希望も多い・・・だから「緑の家」では使用比率はバランスがとりやすい床の針葉樹が支持されて多くなります。

  3. 京介 より:

    はじめまして。
    床材について教えてください。

    無垢の床を使われるとのことですが、
    針葉樹のみで、オークやナラの無垢は使われませんか?よろしくお願いします。