この時期になると室内でのRH(相対湿度)の話題がでる。上の2年前の記事でも申し上げているが、室内の適正な相対湿度は「人」の快適さでは無く「サッシ」によって決まってくる。・・・これが2年前の適正なRH(相対湿度)。今回はその追加版となる
トリプルガラス樹脂サッシ | 壁 (G3程度) | |
断熱性能 U値 | 0.8w/m2k | 0.11w/m2k |
断熱性能比率 | 1/7(7倍悪い) | 1 |
「緑の家」では今の時期になると必ずある相談を頂く。
「結露しているが解消はできないか?」
である。
今から15年以上前までは、高断熱高気密住宅の冬期の悩みは「乾燥感」であった。実際RH(相対湿度)は20%台になることもあり、多くの家で乾きすぎに悩んでいた。「緑の家」も同様だったが、12年くらい前から換気方式を「全熱回収型」にして、更に8年くらい前から風呂CF(循環ファン)にしてから乾きすぎはなくなり、逆に高湿で「結露」の相談を受けることだけになった。
15年以上前のサッシより、更に断熱性能を上げたサッシが安価に手に入るようになった現在でも、壁の断熱性能に比べれば1/7以下であるサッシの断熱性能(上表)。
つまりサッシの表面温度は必ず壁や天井の表面温度より数度以上低くなる。このため結露はサッシから始まる。更にサッシの結露はガラスからでは無く下枠(フレーム)から始まるのでタチが悪い。これは下枠で発生した結露水は木製の窓枠を汚すため。結露したところが木製では無く金属や樹脂、ガラスならまだ我慢できるのですが、木製では直ぐに汚れる。このためサッシ結露防止が重要となる。
冬期の結露防止はひとえに「換気増量」につきる。換気量を増やせばあっと今に(数日で)RH(相対湿度)が5%以上は下がるし、多いときには20%以上低下も数日でOK。原理はいつもの乾き空気線図を見て頂ければと思う。
拙宅でも30年前に竣工したばかりの頃は、RH(相対湿度)30%台の乾燥感が嫌いだったので、換気量を下げ風呂CFによって40%後半まで上げていたが、最近は好んでRH(相対湿度)30%台としている。これは結露抑制では無く、乾燥した空気の方が最近は好きになっているため。何故かといえば、お風呂CFを設置するようになってから、夏期の室内RH(相対湿度)が40%台になることも多く、その空気感になれ、乾燥した空気のほうが気持ち良く感じるからである。しかしこれは風呂CFの影響だけでない。以前のブログ紹介したとおり、加齢によって代謝が落ち、更に汗腺機能が衰えはじめたからである。
上右図のとおり汗腺機能が衰えれば、多湿には敏感に、乾燥感には鈍感になりRH(相対湿度)30%台の方が快適に感じやすくなってきたのではないかと推察する(そして超高齢期にはいると、暑い寒いの感覚も鈍感になる)。一方髪のセットと化粧の仕上がりにおいて乾燥気味は嫌われるが、高齢になると受忍限度が高くなることもあり、その理由もさもありか。
よって今回の適正なRH(相対湿度)とは、サッシよって決まるとした3年前の提言にプラスして、年齢によって決定されると追加としたい。
いつもブログで申し上げていることだが、良い家の条件とは建築した初年度の考えだけではNGで、20年後、30年後が重要となる。その点において床下暖房は冬期の加齢による代謝の低下が原因の冷え性の不快感を低下させ、夏期のお風呂CFは汗腺機能低下による適正湿度維持に大きな貢献をしている。このお風呂CFと全熱交換型換気扇および再熱除湿エアコンを備えた「緑の家」では、一年中室内湿度コントロールが建て主さんのハンドリングで簡単に可能であることは自慢したい。
コメント
ご無沙汰です。
下記事コメント以来、久々の投稿です。
耐雪2.5mで耐震等級3の今朝白町の家 模型完成
2021/2/10(11か月前) 今朝白町の家 3
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2021/02/10/post-31758/h
ROM専に終始した1年となりましたが、
今年は興味の対象が「メンテナンス・空調換気」へと変化。
過去ログの読み直しも深掘りとなり、
初見では読み切れなかった本質が理解できたことも多々あり。
改めて、浅間さんの奥深い設計思想に感銘を受け、
思考の刺激をいただいた事に感謝いたします。
来年はタイムリーに投稿をすべく心掛けます。
よいお年をお迎えくださいませ。