※以下相対湿度と表現してますが、通常の天気予報で言う「湿度」のことです。
冬になると、「暖房」というワードの検索が多くなる。最近の生活スタイルでは、寒いということは暑いと違って我慢できないものである。「暖房」という検索ワードで見ると、ウエブ上に多いQ&Aには、まだまだ「エアコンで暖房すると乾燥する。だから石油(ガス)ファンヒーターがお勧め!!」といったアドバイスがある。
果たしてエアコン暖房だから乾燥するのか?
確かに石油(ガス)ファンヒーター類は、日本以外の先進国が決して行わない燃焼排気ガス室内放出をしているので、石油1Lが燃えたら水が約1L水蒸気となって放出される。だから室内に加湿器があるのと同様。しかし、そもそも燃焼排気ガス室内放出は行ってはいけないことである(同じ石油関連機器の自動車を家の中におくようなもの)。完全燃焼すれば、害のある燃焼ガス成分はないというが、通常使用で完全燃焼などありえない。石油(ガス)ファンヒーターを使っているお宅に伺うと必ず燃焼ガスの匂い(どんな成分かわからないが)がする。30分いるとなれてしまうのであるが、これがもっと恐ろしい。
高気密高断熱(C値1程度)の住まい人数にあった家の大きさ(一人当たり10坪弱)であれば、エアコン暖房でも決して乾燥感はない。これは計算で実証できる。計画換気による室外の乾燥空気の流入量と、人が活動によって発生する水蒸気があるところで釣合い、相対湿度50%位となる。隙間からの水蒸気流失はわずかになるためである。
ところが高気密でない家は、計画換気以外にも温度差換気により換気量が増え、乾燥した空気が大量に室内に入り、人が活動によって発生する水蒸気とのバランスが崩れ相対湿度が40%以下になる。さらに高気密高断熱でない家は、家中(居室)暖房でないため、暖房しているリビングの戸を開けて開閉するたびに、乾燥した廊下の空気が流入しリビングの相対湿度は下がる。だからリビングの相対湿度は時には相対湿度30%となる。だから石油(ガス)ファンヒーターによる加湿を行わなければ乾燥感を感じる。これは深夜型蓄熱暖房機とて同じこと。
つまり、暖房の仕方や家の構造によって左右されるのが冬の相対湿度である。決してエアコン暖房が悪いのではない。よく床暖房が乾燥感がないのでよいということも囁かれる。これは事実であるが、床暖房というもの自体が良いのではなく、室温が2から3度低くても暖かさを得られる暖房方式だからである。仮に快適性が得られる室温22度のエアコン暖房の環境では相対湿度50%とする。この部屋で床暖房を行った場合室温19度で同じ快適性が得られる。このときの相対湿度は60%になる。まったく同じ部屋の空気質で相対湿度が10%も変わる。この原理は空気の湿り線図というキーワード検索すれば丁寧に説明しているウェブがある。当ホームページでも解説している。室温が低くなると同じ空気であっても相対湿度は上がり、同じ空気であっても室温が上がると相対湿度は下がるのである。エアコン暖房だから乾燥感があるということは、正しい表現ではない。