伊達の家 地鎮祭

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨年の夏に実施設計がほぼ終了していた「伊達の家」の地鎮祭が昨日執り行なわれました。どうして今日まで地鎮祭が延びたかは・・・機会があれば書きたいと思います。

雪がまだ残るなかを夏タイヤに履き替える不思議な景色。
そういえば来週は三国越えが有るのに大丈夫か?

伊達の家は福島県伊達市梁川にあるので北陸道から磐越道を経由して東北道の国見インターでおります(距離300km弱)。この道のりでは高速を含め夏タイヤの方が運転が楽しいので「風」のタイヤ交換を済ませてから伊達市に迎ます。

ところが途中の磐梯山付近がまだ雪深く、ちょっとドキドキしましたが走行道路上には一切雪がないので一安心。

伊達市の梁川に40分早く到着・・・。

今回は建て主さんが神饌をご用意されたようです。

立派な鯛・・・

山盛りの一升米・・・

穏やかな風が吹く中、地鎮祭が無事終了しました。

新潟県では苅始めの儀」鎌を建て主さん、「穿初めの儀」鍬を設計者が行う事が普通ですが、梁川では苅始めの儀が設計者(私)で、この儀は普段なれていなかったのでちょっとびっくりしました。

頂いた杯の神紋がとても好みで思わず撮影・・・。

この梁川はとても土地が乾いている(といより湿気ない)ようで、築50年以上の取り壊しした家のタタミが一枚もダメになることなく取りこわしの日を迎えたようです。つまり、本畳(藁が畳床の事)は通常20~30年くらいで藁が蒸けてダメになり交換するのですが、それがダメにならずに50年間数回の表替えで使えたとの事です。新潟(平野部)では絶対あり得ない(建材畳は不明)。

そういえば・・・この梁川は河に挟まれているのも拘わらず、田んぼではなく果樹園だったり畑だったりします。こういった所は北関東や都心でも多くあり、その殆どが地面が乾いている地域です。このような地域は木が腐りにくいので、地面に近いところで1階の床があります。新潟県でそのように作ると、間違いなく畳は20年もしないうちに腐ります。地域よってホントに家の作り方が違います。そんな梁川なのでこの伊達の家は、1階が全て地面よりちょっとだけ高い床高という土間床(半分はそこに木をはり半分は石貼り)。

これは地域性が可能にする建築で、まさしく・・・

地域風土にあった建築になるわけです。

また毎日の暮らしもこの自宅を出入りする回数が多い仕事なので機能上でも低い床が必要なのです。

床高は地面に近いが、構造材である柱と土台は地面から1mある高基礎。この辺りがいかにも「緑の家」の考え方。地中梁と段差があるスラブが特別な「緑の家」である事を示す。

一見して平野部なのに田んぼがない。田んぼはもともと水が豊富にある土壌が必要なのでこの辺りは湿気が少ない土壌なのだろう。

日本において建築物とはその地域の特性を活かして作られる。関東(東京)でも同様で、更にその地域でも湿気の少ない山手では、地面に近い床の建物が作られていたが下町は同じ建て方だとやはり湿気で建物が腐朽するのが早かったと思われる。現存する100年以上の古民家はそのほとんどが、湿気ていない土地の建物・豊富な資金であることが多い。

このような山手の建築をまねて床の低い建物を湿気の多い新潟県の平野部で造ることは・・・その地域性を無視して作っているので感心はできません。よって「緑の家」のキッチン土間を含めて、1階床が低い建物(普通の基礎)では床下、建物周囲の湿気対策はとても重要です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする