2022年 緑字加筆(実測データを載せた)
床下エアコン暖房には欠かせない基礎断熱工法。最近のベタ基礎断熱設計に変化が表われてきたようだ。
最近の高断熱高気密は超がつくほど高断熱化が進んでいる。当然「緑の家」では10年前から超高断熱がつくUA値0.20~0.30w/m2kで全棟行っており、これは暫定HEAT20のG3レベルくらいになる。
特にこのくらいの高い断熱性能家では「基礎断熱」という床に断熱材を入れず基礎周囲を断熱材で覆って床下を室内空間にする方法を採用して建設会社及び設計者が多い。
当ブログで基礎断熱と検索すると141件のブログ記事が見つかる↓。
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/?s=%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E6%96%AD%E7%86%B1
その中で2014年のブログ(5年前)では
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2014/03/18/post-0-642/#more-6257
として、床下暖房は決して省エネではなく快適にするために多少のエネルギー増は構わない方式であることがわかる。だからこそ熱の逃げる箇所をしっかりと押さえこみたい。それがスラブ周囲から(水平方向に)逃げる熱であり、このような特定部分からの著しい漏れを熱橋と呼ぶ。
巷ではこの熱橋を嫌って数年前にはスラブ下に断熱材を敷き込む断熱工法が流行ったが、最近の著名人の設計※では、「スラブの上」全面に断熱材を敷き込む方向になったようだ。何故そのようになったかは・・・このブログのようなことが原因かどうか不明だが、でもスラブ下に敷き込む事を嫌った設計が多くなってきた。
※・・・つくば市で開催されている「里山住宅博」において掘部氏、伊礼氏の設計の基礎
実はスラブ下の断熱材敷き込みに私は2016年からはっきりと警鐘をならしている。
その根拠は思考に明確に優先順位をつけているため。
住宅設計には優先順位があり、
1.構造の安全
2.耐久性(1の持続維持)
3.意匠デザインと温熱環境
という順番だ。よく巷では意匠デザインと構造は一体で両立させる、するとの意見もあるが、コスト制限のある住宅では少し具体的に考えればわかる。例えば・・・
X「この家は構造の安全と耐久性は損なわれるが意匠と温熱環境を優先させた」
と
Y「この家は意匠と温熱環境は損なわれるが構造の安全性と耐久性を優先させた」
とどちらがよいか建て主さんに聞けば、当然後者であるYの割合が圧倒的であろう。そもそも世の中にはそういう後者である家もまだ多く支持されているし、それを世も許容できる。しかし前者Xのことを発表すると支持できる人は少ないというか、表だって支持できる人はいないはず。だから住宅設計に優先順をつけろといわれればまずYの順番である。
さて・・・
近年の研究ではスラブ周辺下部から想像以上に熱が地面や大気に伝わっているとの報告がありるので今後もスラブ上での断熱施工は増える事と思える。
一方、「緑の家」では10年以上前から基礎断熱の仕様が変化していない。今後スラブ上断熱をするかと問われればその採用は今のところない。スラブ周辺下から逃げる熱と断熱材を施工する収支(コスト)がまだ合わないためである。
「緑の家」Aグレードの模式図。2009年から現在までスラブ上下に断熱材がない。これはスラブの上が収納、及び蓄熱、掃除を考えているため。赤色が基礎断熱材。床下内を積極的に使っている「緑の家」では、スラブ上に断熱材があると、①深夜電力+基礎蓄熱量をつかった蓄熱型床下アエアコン暖房ができないこと、②断熱材の上に荷物を置けないし、③断熱材の隙間不陸で掃除もすこし煩雑になる・・・との理由でであえてスラブ上に断熱材を設置しない事が今後も標準。無論、敷地環境条件、電気代大きく違う地域ならスラブ上の断熱施工も行う。
Dのような熱橋防止の断熱材が何故必要なのかは3年ほど前のこちらのブログで紹介している。
また、熱橋強化型として2017年には基礎立ち上がり外側を覆う断熱施工を標準として盛り込んでもいるがそれでもスラブ上下に断熱材はない。↓
外貼り基礎断熱は布基礎との相性がとてもよく、下のような断面図においては・・・
実測でサーモデータを見ると・・・
基礎下部から熱の逃げがよく抑えられており、均一な温度分布となっている。