過去2度取り上げた話題であるが・・・
日経ホームビルダー9月号に掲載されていた「住宅でベタ基礎と布基礎の混合はOK」との文面をみてようやく決着か・・・と思い、まずは新潟県の代表的確認申請審査機関である新潟住宅センターさんと全国規模で確認申請を審査する日本ERI新潟支店さんに電話にて伺ってみた。
下の通り過去2度取り上げた話題である。
この本の内容を仕様規定でもOKと解釈してみた時に、ようやく決着したかと県内の審査機関に聞いてみた。
すると・・・
両審査機関とも、
「ベタ基礎と布基礎は仕様規定において採用する場合、異種基礎とみなす。無論、構造計算をして安全性の確認をすればOK」
とのこと。あれっ・・・以前とかわりない見解である。
その根拠は・・・建築基準法施行令第38条第3項に「基礎の構造は・・・中略・・・国土交通大臣が定めた構造方法(平12年告示1347号第一)を用いるものとしなければならない。・・・略」
とあり、
平12年告示1347号第一には基礎の構造として「杭基礎」、「ベタ基礎」、「布基礎」とありこの3種類しか書かれていない。そしてベタ基礎と布基礎はおなじ基礎とは一行も書かれていないし、同時に使用できるともない。
建築基準法施行令(以下「令」という。)第38条第3項に規定する建築物の基礎の構造は、 次の各号のいずれかに該当する場合を除き、地盤の長期に生ずる力に対する 許容応力度 (改良された地盤にあっては、改良後の許容応力度とする。以下同じ。) が20kN/m2未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造と、 20kN/m2以上30kN/m2未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造又はべた基礎と、 30kN/m2以上の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造、べた基礎又は布基礎としなければならない。
平12年告示1347号第一全文
と確かに仕様はこの3つしかないので異種基礎とはこの3つを指すと読める。
但し見解の続きがあり、
「構造専門関係者は私を含めベタ基礎と布基礎が異種基礎だと思っていない。それは基礎にかかる力が同じだから。でも杭基礎と布基礎・ベタ基礎はかかる力が明らかに違うので異種基礎といえる。」
ともいっており、構造審査担当者は続けて
「法令に基づいて審査する側は法文に明記が無い以上、仕様規定を用いる場合は布基礎とベタ基礎がおなじ基礎とは言えず、異種基礎と判断することになるので構造計算による確認は必須である。個人的には異種基礎では無いと思うが法律に沿って審査する立場では異種基礎として扱う。当然構造計算により安全性が確かめられればOK。」
とのこと・・・。
私たち実務者である国家資格の専門家(設計事務所の建築士)は、建築基準法に書かれた規定厳守との大原則があり、「明記の無い詳細は建築主事が判断する」ような通達がだされている以上、審査機関の判断をまず守る必要がある。ネット書き込み質問回答欄では説得はできない。もし不服なら建築審査会に申請し、それでも問題と思うなら裁判による決着しか無い。
確かに一般的に考え、仕様規定で運用されたら根切り深さ、その上の土の重みなどで地盤の長期許容応力度の違う事になるベタ基礎と布基礎を使う事は、構造計算しない限り安全とは言い切れないだろう。
ほとんど審査利用しないが県内で最も審査数の多い新潟市役所さんにも伺っている最中だがまだ回答はない。
・・・
15時06分に回答あり
上の確認審査機関と同じく
「構造計算で安全性を確かめた場合を除き、ベタ基礎と布基礎の混用はNGとする」
との主事見解である。
やはり新潟県では「仕様規定」で布基礎とベタ基礎の混用は法律違反となる。
一般的な木造2階建て(4号建築物)は確認申請の構造審査は行われないが、長期優良住宅では基礎の構造安定性の審査があるのでこの見解が重要となる。