ALCの外壁 その2

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ピンク色のところがシーリング箇所。住宅ではこの太さの目地はあまり無いが、住宅以外では一般的なシーリングの状態。

先回のALCのチェックから数日後の昨日に再び現場でALC最終チェック。先日指摘したこと、及び塗装前のチェックを入念に行うため、施工会社さんから強く依頼されて伺った。先回申し上げたとおり、ALCは塗装がとても大事。だからその塗装下のシーリングの打ち方でメンテナンス時期が左右されるくらいシーリングは重要となる。

シーリングは様々な種類がある。外部でよく使われるシーリングは「変成シリコン系」であり、木の外壁の時にもこちらを多くつかう。万能なためあらゆる面で及第なのだが、逆に秀でて優れたところは少ない。上から塗装ができるところや耐久性もよいが、塗装のノリと耐久性(塗装前提)ではウレタン系がよい。そのウレタン系を使うのがALC外壁となる。窯業サイディングでよく使うのはオートンサイディングシーラントというシーリング等だが、こちらもウレタン系で且つ紫外線の耐久性を上げて塗装無しつかえる物もある。目地はご覧のとおり太めでこの太さで熱収縮や湿気の膨張、揺れの変形を吸収する。

実際にこのALCが貼られた現場を見ると、軽さがよい木の外壁やSGL(ガルバニューム)とは違った重厚な感じがやはり良くこの塗装前がその良さを最も実感できる。

その外壁きっちりと埋め込まれるポスト。ALCには耐久性のあるSUSのポストが似合う。

伊達の家でも同じだったが、ALCとこの木のしっかりとした玄関枠は相性がよい。
伊達の家のALCの外壁と木製玄関扉。(2017年設計)

そんな重厚な中に木の高断熱玄関扉が組み込まれる。この扉は北欧製の扉で30年以上使い続けているが昨年から円安で大変高価な金額になってしまった。それでも最もスタンダートなガラス無しを選んでいたが、この美幸町の家が中央玄関のため内部は暗くなりがち。そこで設計担当が「いつもの上部窓をつかたらどうか」と採光面より安全面を優先する建て主さんに控えめに提案したところ・・・快諾され採用された。

いつもより小さめだが明るさを得るには十分な大きさだろう。

実際はめ込まれた所をみると、この窓がなかったらこの玄関は違った暗い雰囲気だっただろう。

玄関扉上の窓が効果的な鳴和台の家(2018年設計)

当然この扉の枠は重厚なALC外壁に合わせ杉の赤み材。赤茶色絹肌のカンナの仕上げ面が美しい。

当初は14時から1時間くらいで終わる予定のチェックが、細かい打ち合わせ等あれこれあり結局2時間越になって帰るころにはもう夕暮れの日差し。最近の現場監理はいつも時間オーバーとなる。

今後シーリングが打ち終わってから7日間以上の養生をとり塗装を行う。この養生期間を取らないと塗装がシーリングで剥がれやすくなる。常に基本に忠実に施工を行うことが求められるのでALCは煙たがられるが、この状況や工程を実際見ている人は、「ALCってしっかりしているな」と感じることになる。

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