新潟市で建築中の「白山浦の家」のクロス通気と防水シートのチェックに先週伺った。
外壁の通気層の大切さはこのブログで何度となくお伝えしている。防水性を上げ、内部結露(冬型、夏型ともに)を防止し、駆体を長持ちさせる通気層を完全に且つ確実に機能させるための設計として「クロスさせた胴縁による通気」を採用している。手間と材料はかかるが、目に見えなくなる部分はあとで悔やんでもなかなか直せない部位。
上のような入り組んだ窓廻りでも確実に窓周囲の通気を行う。
ところでこの樹脂サッシのガラスには網(鋼線)が入っている。そう、この建築地域は準防火地域と呼ばれる、外部からの延焼に強いサッシをつかわなければならない住宅密集地域である。そのため巾の大きい開口部は引き違いサッシにならざるをえない。当然「緑の家」は引き違いサッシを薦めていないがやむ得ないので、数カ所将来の気密性に難がある引き違いサッシを使う。
気密性の難とは・・・
引き違いサッシはレール上をスライドして動く。ちょうど車のサイドウインドガラスのような動きである。当然ガラス又はガラス枠は常時ゴムパッキンで押さえつけられていないと気密が保持できない。引き違いサッシはその特性上4周が気密パッキンで「接する」ような押さえつけをするが、この力が強すぎると戸の開け閉めが手動では重く行えない。自動車はモーターで開閉するのでガラスを押さえつける力が大きくても問題にならないが、住宅の引き違いサッシはほとんど手動開閉。そのため開閉力を小さくするために自動車の窓と異なるパッキンがつきている。それが下の写真。
アップすると
このようにゴムの代わりに真ん中にビニール状のシートがありその前後はモヘアで支える複合体パッキン。前後のモヘアが気密性の要であるビニール状のシートを垂直にたて抑えつける力としている。一方ドレーキップや開き窓では、このようなモヘアではなく、どちらかというと車の窓のパッキンゴムと同じ素材であり、それ単体を抑えつける力で気密を維持する。引き違いサッシの気密パッキンの複合体は、モヘアの弾力性が失われると気密が簡単に失われる事がわかる。
その弾性力寿命が概ね20年から25年と推察出来る。将来でもこの複合パッキンの取り替えは出来るのであるが、25年後にその部材があるかは誰も保証はしてくれない。無論同様なパッキンはあるが、専用部材でなければ初期の気密性と同じくなることも保証ができないのである。このことが「緑の家」の窓の標準形態がドレーキップであり、外壁無破壊サッシ取り替え可のオプションがある所以。
一方・・・気密パッキンだけではなく、ガラスとガラスに挟まれた空気層の長期密閉保持力にも注意が必要であるがここでは割愛する。
ところで・・・
この工事監理後に新たな土地の敷調に行ったのだが、Uターンするときに入った空き地から出るときに、道路部分でフロント下が擦れてしまった・・・。うーん現場に行くには今の「風」ではょっと最低地上高が足りない(冬タイヤなので低い車高が更に20mm下がる)。