通風と周囲の環境 「て・こあ」で実測

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大正6年築の「て・こあ」。何度か手直しがされているが基本部分は築94年になる。通風に頼る建物でエアコンは最小限の2階に1台のみ。

この夏にボランティアとして「て・こあ」に4日間、最高気温が33度~34度の最暑期にお邪魔しておりましたので、夜以外の通風を体験しました。今回は通風の風速でなく、その方位、温度に着目しました。その結果を報告いたします。

通風の取れるように窓があっても、風が吹かなければ仕方ありませんし、風が吹いても熱風なら家の中も熱風が通り、途中で風が止んだら「灼熱状態」です。そこで風の向きと吹く時間、温度を体験しました。

見事に壁がないプラン。特に南側が全く壁無しのカーテンウォール状態

まず「て・こあ」の1階平面図ですが・・・

壁が全くない、基礎がない・・・間違いなく既存不適格建築物です。ですが中越沖地震の余震最大強度の震度5強にも耐えており目立った傾きや壁の破壊も無かったので、耐震性は現在のところ至急修繕必要部分はないと思います。

壁がないと言う事は、家丸ごと通風が可能という昔ながらの家です。そんな家の通風による快適性はあるか・・・を体験してきました。

結果から申し上げると・・・・

「このくらいの環境でようやく通風で最暑期を過ごせますが、やはりエアコンのある部屋は最低一つは必要である」

ということです。

風は地域、周囲の環境で大きく変わるので参考程度にお読みください。

午前11時頃の風。南西が多い。

まず朝・・・風は殆どありません。無風状態・・・。ホンの少しだけ東風が吹く時間があります。11時頃からようやく南西の風(こちらでは海風)が多少吹き、それが上図のように部屋をかけ抜けます。しかし、南西側には林はなく、多少の緑の他はコンクリートで固められた駐車場です。よってこんな田舎でも風は生暖かく涼しいと言う事はありません。ないよりあった方が良いですが・・・。風は時間で結構吹く方角が変わります(これは4日間とも同じ)。

午後2時頃は無風。従って山おろしが感じられる。

午後からは又無風状態になります。しかし下の図のように裏山で冷やされた空気が北から南にかすかに動きます。このかすかな風が結構効きます。なぜなら気温より2度くらい低いので気持ち良いのです。無風だからこそこの風が感じられるこのバランス。風があると攪乱されてこの風がこないのです。でも風があれば裏山の風がぜったい必要ではありませんのでそれはそれで良いかもしれません。風がない時にこそ吹く風が、この山おろしの空気なのです。実はこの時はもう一つ良い事があり、山から蚊がこないのです。それは蚊は人が吐き出した二酸化炭素・匂いを感じる気管があり、それが山おろしの場合は人のいる位置が風下にあたるため、感知できないようで、網戸が無くとも蚊が家の中に入ってきません。ホント凄いバランス環境です。但し曇ると気化熱で生まれる山おろしの快適さは無くなりますし、蚊が来やすくなります。

さてなぜ山おろしができるかについてはこちらに詳しく解説が有ります。簡単に図で書くと下の通りです。

次に・・・

放射温度計による裏付け温度です。測定は17日午後2時頃から10分以内で全ての写真を撮りました。この14時頃の気象庁発表の気温は33.5度です。

さてまず一番温度が低い土間ABCD部分の表面温度ですが、

キッチン土間A。北側のキッチン土間。下に断熱材が施工されている。しかし断熱材なしとの温度差はわずか。

水場土間B。断熱材はなしでこの家で一番低くなる土間。梅雨時にはこの土間だけ結露しているくらい低い温度。

外気温より-5度の土間床輻射熱。これならひやっとするあの感覚もうなずけます。壁等も外気より低い温度ですから↓。

木壁C したのDとほぼ同じところの木の外壁。放射率の違いか土壁より高い。土間の室温は30度くらい。外気より2度低い。

土壁D。木壁より少し低いか?

次に北側の外気温と山おろしを発生される林の外気の推測EFG。

Eの裏山。この部分の外気も多分29度。部屋の室温が32度あるので-3度の冷空気。

Fの外壁。

Gの北外壁。この部分の表面温度は気温とほぼ同じはず。

Hの玄関土間。温度はキッチン土間より4度高い。これは南側で山とは反対側のため日射の影響が大きい。

Jの玄関天井。下屋部分なので温度は高め。

Iの玄関戸(日陰部分)の温度。

K(この文字だけ水色)の和室10帖の天井。床から5m程度あるので、輻射熱の影響は少ないので暑く感じられない。

如何ですか?実測で見てみると意外な部分も多い事がわかります。外から玄関に入ると「ひやっ」とあの古民家独特の感じがありますが、意外と32度(推測)もあったりします。つまり人が感じるのは相対比較ですから外が34度もあれば32度でも冷たく感じ、更に外は輻射熱が6方からきますが、室内は殆どありません。このところがひやっとする感じになります。土間も室温が低く、流石に土間の影響があると言えます。そして・・・山おろしの風が-3℃なのは予想どおりですが驚きです。

さて「て・こあ」の2階18帖くらいスペースはエアコンによる冷房が設置されております。午後2時で気温が32度を超えると、じっとしていても汗ばむ1階では、流石にシャツ、長ズボン、靴下では快適とは言えません。2階の方が昼寝がしっかりできます。やはり今の着衣や清潔を好む環境では通風だけでは我慢が多少つきまといます。昔みたいに半分裸ならいけます(笑)。習慣・価値と環境が変わったと言えるでしょう。

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