新潟での高気密高断熱 緑の家 木の外壁③

  春満開です。三条市下田地区でも黄色いクロッカスが満開です。

小川のせせらぎも心地よいですね。

今、特にお勧め外壁「杉板 無塗装。」こちらこちらのページでも良さをお伝えしています。そしていま三条市でも着々と出来つつあります。現在は上棟が終わり外壁下地を作っているところです。

この地域は今年こそ雪は少なく、いつもは1.5mくらい降ることも多い地域。だからこの「緑の家」は耐雪2.0m住宅。さらに、品格法の耐震表示等級2相当です。

正面から見るとわかるが、ビルトイン車庫があるプランで、当事務所の厳しい偏心基準0.15で設計されています。性能表示耐震等級2の基準では偏心率0.3以内との決まりがありますが、その倍以上の厳しいさで設計してます。それには理由があり、偏心率が低い家ほど地震時の損傷が少ないとされているからです。偏心率とは、たてものの重心(建物重量的中心)と剛心(耐力壁の中心)のずれをいい、このずれが少ないほうが建物変形がしにくくなります。さて、その0.15の偏心率にするためには、工夫がいります。開口部の多くなる玄関側に赤丸で囲まれたところをラーメン構造(梁柱剛接合)にします。ラーメン接合といえば、古い民家の大きい柱と梁の接合方法と同じ接合のことですね。こうすると開口部であっても建物は強くなります。

そのラーメン接合はなかなか重厚で下のような写真の感じです。

柱下部はM16アンカーボルト2本で固定され上部は新幹線柱脚の補強としても有名なアラミド繊維シートで緊結されています(ハイテク素材です)。柱として36cmにもなる柱脚は木造の接合部ではないくらいの雰囲気です。

このような技術で無理なくビルトインガレージを作るのが安心の家ですね。


新潟の住宅 構造計算と設計者の思想の重要性 長期優良住宅とは?

中越沖地震から早1年と7ヶ月が過ぎました。そろそろ落ち着いてご案内できるのでこの写真をご紹介します。この写真は2007年の11月ごろ撮影したものです。ですので地震から4ヶ月ほど経過しております。場所は柏崎市中浜という震度6強の地域。

赤字のところが「緑の家」です。建物は外観上ヒビひとつ入っておりません。地震発生後の市の調査でも「調査済み」の貼り札でした。一方右隣の数件は市の調査で「危険」となり「退去勧告」が出されました。というのは、家自体はそう被害は大きくなかったのですが、このように家の後ろの崖が崩れてしまったのです。B(中央)は既に直し始めていますが、その左右AとCはこの時点ではまだ修理しておりません。緑の家もご覧のように擁壁がありますが、全くの無傷です。下部にブルーシートがあるのは、擁壁が直立無傷だったのでその接している土が下に引っ張られ土の隙間ができたため、その隙間に雨水が入らないように、念のための養生です。

Aの擁壁はしっかりしているように見えますが、実はこんなに傾いており危険な状態です。Bはとても危険なので直ぐ取り壊されてしまってます。またCはこのままでは、家に住み続けることは不可能です。家も多少傾いております。緑の家の擁壁はこんな周囲状況の中、何事もなかったように直立してます。ある方はおっしゃるでしょう。「緑の家」の方が、崖の高さが低いので、擁壁高さも低いから平気だった」と・・・。しかし法律では、「高さ2mを超える擁壁は、構造計算して安全性を確かめなくてはならない」となっており、安全性の確認はしております。では違いは何か?ここが設計者の「思想」です。実は、「緑の家」の擁壁は、オーバースペックで造られています。 擁壁の安全性は、通常時(地盤の変動がないとき)の安全性であり、地盤が変動したときについて特に決まりはありません。建築基準法は「最低の基準を定めた法律」です。だから長期優良住宅では設計者の「思想」が大事のときの分かれ目なのです。

私は、中越地震もあったことから、この土地に擁壁を造るときには、地面の自然法角30度以内に擁壁のベースを入れ、かつ住宅の基礎に擁壁を緊結させ万全に構えて計画しました。まさしく地震時にベース基礎の地面が変動し、擁壁が倒れることを予想して対処した計画だったのです。これを施工しているときには、その工事していた人は、こんなに頑丈に作らなくてもいいんじゃない?既に地震(中越地震)があったばかりなので、当分来ないよ!と言ってました。私もついうなづこうとしたのですが、何しろこの建物は、100年もたせなければなりません(使う古部材が100年前の家のものだから、私もそのあと100年と思ってます)。だからこそ地面はとても大事なのです。

建て主さんからは、「オーブル」さんで本当に良かったと言われました。それ以上に私も「自分自身の信念に沿って良かった」と自分自身で褒めておりました。このことは他の住宅にもいえます。私が手がけた「緑の家」は、すべてが耐震等級2です(仮に構造計算に多少の差があってもほぼ変わらないくらい耐力壁が多くあります)。そのよさがわかるのは、このような本当に必要なときです。その時のために私はこの職種を全うできるように心がけます。


新潟県 住まい 自然素材の緑の家 熱損失係数1.2W/m2k の超高断熱住宅

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律が今年スタートする。これは「姉歯偽装事件」による教訓で決まった法律。

万一、施工者が倒産した場合でも、10年以内に構造的な重要な瑕疵があった場合、保険会社がその費用を負担する保険に強制的に入らなければならない法律。そこでこの運用に当たり、確認申請より厳しい審査(建物単体のみ)が保険加入するときに行われ始めた。そのひとつが先日のブログに記載したとおり、べた基礎の構造計算である。そして耐力壁の引き抜きの計算書の裏付けである。何れも法律上必要なのであるが、今までは「行政がその審査をしない」という法律が4号特例である。しかし今度はこれらが窓口で求められるかも知れない。「かも」というのは、チェックシートのみ保険機関の窓口がチェックし、そのもの自体はやはりノーチェックになるようだ。設計者が責任もって守れということ。しかし今まで守れない設計者が多いのに、果たして守れるだろうか?

堅い話はつまらないので今日は、昨年お手伝いし家から、K邸をご案内する。

Kさんはある理由でネット検索していたところ、当HPにお越しになり意気投合して設計が始まった。

それは・・・

基礎のコンクリートの拘りである。ご要望は「スランプ12cmで強度30N/mm2ができますか?」だった。「緑の家」の標準のスランプ15cm、強度27N/mm2よりワンランク上の仕様なので、「それだったら問題ないでしょう。」と答えた。それで設計が始まったようなものだった。というのは、Kさんのこの仕様に、他の設計者は「無理です。」と答えたのである。そこでネット検索して当事務所に電話を掛けてこられた。これはお会いした2年前のお話。それから一年後上の写真のように建物が完成した。

たった一年後現在では、そのコンクリート強度は当たり前になりつつある。それは「200年住宅」という家が国によって先導されている。その200年住宅の基礎が、強度30N/mm2以上のコンクリートが標準であるから。強度が高いと、コンクリートの中性化が遅くなり、耐久性が飛躍的にアップするのだ。このように私どものお手伝いする「緑の家」の基本的な性能は、常に先を見て決めている。ちなみにKさんは同業者(但しマンション系)で、コンクリートについても知識が豊富なのである。

K邸は熱損失係数1.2W/m2kと非常に高い性能を持つ。これは、断熱材が厚いことと、ほとんどのサッシが高性能木製サッシ(1.6W/m2K)で且つ窓面積がいつもより小さく(といってもいつもが大きすぎるだけ)て、全熱交換型換気扇を設置しているため。ちなみに完成気密測定では、C値が0.4cm2/m2以下だった。


新潟の住まい 自然素材と高気密高断熱の白い壁。

今日のチラシにある最大手の家の広告が入っていた。そこには、地震実験の映像が映っており、大地震でも大丈夫のようなことがかれている。ここで多くの建て主さんが惑わされる。というのは、実験する家をわざわざ弱く造る会社はない。大手でも費用面であるプランだけしか実験はできない中、注文住宅は、世界にただひとつの家として建築されている。だから一つ一つ構造が違うので、おのおの構造計算し安全を確かめなけば何にも意味がない。そもそも大手樹脂サッシメーカーなどは、試験のときだけ良い仕様で、実際はだめな仕様を販売したとして最近報道された。既製品サッシでもこんな偽装あるのに、現在行政の耐震チェックのない木造住宅において、特に注文住宅の耐震性は限りなく黒である。顔の見えない設計者は、耐震チェックしているのだろうか?←62%の家が耐震不足という調査結果。

さて、家に対して大きなロフトや中間階収納を持つM邸。そのロフトの床荷重をしっかりと参入して計算すると、普通の家の耐力壁の基準の1.4倍以上にもなる。だから壁の多い家となるのではあるが、家の中はかえって明るい。適材適所の窓とエマルジョンの壁色が、明るさをもたらすのだろう。

階段で上がれるロフトには、落下防止のネットをグルリとまわした。これは建て主さんの希望であるが、実際気持ち良い。親の精神衛生状態が良くなるから。なるほど!!


最近多いロフト収納の危険性

一昨年、昨年と木造住宅で耐震強度不足問題が大手メーカーで数多く発覚した。その原因の一つにロフト収納問題がある。ロフト収納は非常に重宝されチラシにも最近多く紹介されるロフト収納であるが、収納だからある程度の物が入り、その家の総重量が重くなることは確実。覚えているだろうか?阪神淡路大震災が起きた時に、「瓦屋根は家の重量をアップさせるので不利である」という情報が多く流れた。これは本当である。地震力FはF=mg(m・・・家の重さ、g・・・加速度)のため木造住宅の構造計算する時には、家の重量が大きな決め手なる。瓦屋根と金属屋根を比較すると30坪位の家では、2tくらい瓦屋根の方が重い。ではロフトがありその大きさが2階の半分くらいあるとどのくらいの重さで計算しなければならないか?それは瓦屋根よりはるかに多い5tくらい(地震時の計算)である。つまり普通に家をつくるより15%~10%くらいは余計に耐力壁がいるということである。これは建築基準法施工令46条第4項の規定に基づき告示1351号で明確となっている。この増やす耐力壁を上で案内した大手メーカーは計算しなかったらしい。(忘れやすい項目である)

さて、今の計算は2階の屋根下にロフトが半分くらいある場合。最近のチラシには屋根下と2階床下と1階床下と5層くらいになるものがある。これほどあると耐力壁は2割から3割増しとならなければ建築基準法違反(所謂耐震偽装)となる。はて、実際計算しているのか?もし忘れているとしたらとても危険なことである。もしロフト収納がある場合、割り増した耐力壁計算書(構造計算書)を提示して説明してもらう必要がある。


改正建築基準法の施行②

改正建築基準法の施行が6月20日があったことは、前ブログでお伝えした。今回の改正において木造住宅ではほとんど変化が現時点ではない。ところが平成20年12月までに大きくかわる。(らしい)

現在は、建築士の設計した普通の木造住宅では、構造の安全性に関わるチェックは行政では行わない。例えば、基礎の造り方、柱の位置、耐力壁の量、床の構成部材などの安全性のチェックである。つまりこれら構造の安全性は、設計した「建築士」にゆだねられている。だから建築士は構造の安全性をチェックしないのである???(めんどうだから・・・。また組織的に手間のかかることは下請け大工、プレカット屋にまかせるから)建て主から見れば絶対変だと思われる事が業界では当たり前。もし疑うなら最近家を建てた親しい人で、「家の構造計算書持ってる?」とか「床伏せ図や基礎伏せ図持っている」と聞くとほとんどの人は、「持っていないし、見たこともない」と言うだろう。しかしこの図面が無ければ、構造のチェックなど到底出来ない。しかしこの構造のチェックを今度は行政も確認するよということになる。当たり前の事になりそうだと思うのは私だけであろうか。

勿論、「事務所設立時の10年前から「緑の家」の建て主さんは構造計算書も基礎伏せ図も持っています。」と手前味噌。


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