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脅威の家!超断熱見学会初日 ありがとうございます。

自分でもびっくりしました。

今日の見学会開催と同時に床下のエアコンOFF。それ以後今日の見学会で暖房機の運転を一切しませんでした。それでも・・・
全く室温が下がりません。こんなに曇っているし、アメダスデータによると今日の新潟県の9時30分から17時00分までの平均外気温は2度弱と平年より低い気温にも関わらず・・・。

1階床表面温度         9時30分・・・23.5度
                  17時00分・・・22.0度
2階吹き抜け天井表面温度  9時30分・・・23.5度
                  17時00分・・・22.0度
いずれも放射非接触温度計で測定。
床が全く冷たくないのです。全く・・・。
6m上の吹き抜け天井と床の温度差が全くない!

照明器具を50%くらい常時付けてましたが、人の玄関の出入りを考えると決して大きな発熱元とはいいきれないので、こんなに温度が下がらない家は驚きです。
カーテンもない状態、調理もないので発熱体は人と照明のみで、家電の待機電力さえありません。それでも温度が下がらない超高断熱住宅。アンビリバボーですね。
この体験をあなたも・・・。

今日は12時30分から16時まで絶え間なくおこし頂いたので、お昼抜きでしたがこんな寒い日にお越し頂いた皆さんに感謝です。さて、明日は午前中が駐車場も空いてますのでお勧めです。


新潟の家 見学会の超高断熱の完成気密測定0.16cm2/m2!

今ほど電話があり第三者機関の行った完成時の気密測定が0.16cm2/m2との報告がありました。この数値には驚きがあります(勿論いい意味)。と言うのは通常「完成時」の気密測定を行うと、「中間時」の気密測定結果より0.2cm2/m2くらい下がるからです。この家の中間時の気密測定は0.17cm2/m2だったので、完成時はよくても0.25cm2/m2、悪い場合は0.4cm2/m2を覚悟しておりました。

結果はC値0.16cm2/m2と世界最高の厳しいパッシブハウスの規定0.3cm2/m2(0.5回/時50Pa)以下を十分上回り大変満足です。この数値ならたとえ外風が10m/sを超えようとも室内の影響はほぼない状態とみなしてもよいかもしれません。無論オーブルデザインが過去に携わった全ての中でNo1の超高気密住宅です。施工された仲村建設さん!おめでとうございます。

因みに中間時より完成時の気密が下がる理由は、わかっており

1.キッチン換気扇の排気側の電動ダンパーを省略している。
2.エアコン設置個数が多くそのドレイン、排気用パイプの気密が取れない。

です。1.は標準で付いている風圧シャッターがあり、今までの基準(平均C値0.7cm2/m2)ではOKだったのであえて設けていません。今回がやはり0.4cm2/m2まで下がれば今後の検討課題でした。
2.の穴の大きさはドレイン管がφ14mmなので1.53cm2。排気管がφ16mmとして2cm2。一軒で4台エアコンが設置されるとして(1.53+2)*4=14cm2しかないのであるが、何と言っても超高気密住宅では、この穴があるだけで0.14cm2/m2も下がります(100m2の家)。こんな設備機器の穴が気密性能を左右するのです。因みに14cm2の大きさは、1cm×14cmの穴です。エアコンの中でも給気排気の両方がある場合は更に悪くなりますので、当事務所はそういうエアコンは選びません(ここまで注意してエアコンを選定するのは私がエアコンマニアだからでしょう)。今後は排気のないタイプも視野に入れたいと思いますが、そうなると自動フィルターお掃除のごみを数年に1回は収集するメンテが必要です。
おっと話題がエアコンになりそうですので話を戻します。

なぜ今回完成時に気密性能が下がらなかった理由を推測すると、そもそも中間時の気密測定値に少し疑義があったのではないかと思います。中間時の気密測定は、少し風が吹いており、2回測定したのにその測定値にバラツキがありあました。中間時だからまあ問題ないということで終了したのです。今回の完成測定は2度とも同じ値で信用性大です。
完成時から逆算すると実は中間時は0.1cm2/m2以下だった考えられます。この位の超気密になるとC値は小さな外因に大きな影響を受けますね。

さて、今回の施工に携われた大工さんをはじめ設備関係の方々にお礼申し上げます。
ありがとうございます!!感謝です。 o(_ _)o


自然素材で超高性能の新潟の家 見学会 ②

2階の階段を上がったところ。

今週末の23日24日に行われる見学会の内部です。
ようやくクリーニングが始まり、床に貼ってあった養生シートが外されました。
光らない床は無塗装の証で、かれこれ12年以上前から「緑の家」の定番。10年経過した家では、ピカピカの表面になってます。荒く使うと直ぐに傷が付きますが、それが物を大事にする気持ち育みます。

左手の壁の陰影。こちらは漆喰コテ塗りの証です。流行の漆喰は色々なタイプがあり、一番安価なものはクロスに漆喰を混ぜたもの(漆喰とは言わないかも)からローラーや刷毛で塗るもの。そして今回の家のように、コテで塗るもの。勿論コテ塗りが一番風合いがでます。特に今回の漆喰は西洋漆喰で厚さ2~3mmと日本の漆喰の2倍の厚さ(日本の漆喰は1.5mm程度とかなり薄い)があるのでコテムラを残す事で風合いがあります(建て主さんとそのご家族で全て塗りました)。

普通漆喰は真っ白です。が、今回の西洋漆喰は黄色い石の粉でベージュ色をつけてあります。
だから穏やかな感じになります。

床下に設置された、排湯熱回収装置です。

シンプルな熱回収装置です。オーブルデザインのオリジナルで実用新案か特許申請予定です。
その装置の奥に見えるのが床下暖房用の「高効率エアコン」です。暖気が床下にまんべんなく対流するように隙間があることがわかります。

床下に貼り付けた断熱材はグラスウール換算で240mm。この床下がHeatingFactoryです。ここを見るだけでも価値はありますね。


自然素材で超高性能の新潟の家 見学会


天井のデザイン変化がよい感じです。

23、24日に新潟市で行われる見学会の内部(施工中)です。
最近、天井のデザインが気になります。平らな天井ではつまらないが、一階は勾配天井もできない。そんなときは、こういった天井は如何でしょうか?
部分的に2階の床裏が見えたり、梁が見えたり・・・ローコストでできます。
こういう天井は構造も一緒にデザインしないと見栄えがしません。つまり構造計画も設計者自身が行える、そんなスキルが必要です。普通の設計者では、構造の梁全てのサイズを決めることはその構造図を描かないのでできませんが、オーブルデザインでは設計者が構造図も書きます。だから構造材でデザインできるのです。

「「えっ」大工さんが決めるのではないの?」
と思った方もいらっしゃるでしょうし、
「「えっ」そんなの当たり前」
と感じたひともいるでしょう。

住宅位の建物規模なら、設計者が全て決めたほうが、構造=デザインになり、より楽しい家になります。

お待ちかねの床下暖房です。1380mmもある床下ですから、お掃除もしっかりできます(いまお掃除してます)。このくらいあると温風もいきわたる事がわかりますね。奥に見えているる四角い穴の下の基礎の高さでも普通の家の基礎の高さより高い(しっかりしている)のですよ。凄い基礎です。基礎は取替えが一番できないところなのでしっかりとしたいものです。

これは玄関の床です。建て主さんのご家族がデザインしその施工もご自分で行いました。完成度が高く設計者出る幕無しですね。
因みに厚さ3cmくらいの大理石ランダム貼りと白モルタルの子砂利洗い出しの組み合わせです。


長く愛する住宅を作る為 ⑤ 新潟という地域にふさわしい性能

柏崎市で積雪105cmと100cmを超えるなんて信じられません。長岡でも既に120cmを一時的に記録し4年ぶりの降雪。

先日も申し上げましたが、地球温暖化は、気温が上がるだけでなく、このように気象の変化が大きくなると予想されてます。降る時はたくさん、降らないときはまったくと・・・。

その中で地域にふさわしいと言う事はどういうことでしょうか?
新潟県は人口がある程度集中している地域の中で世界的にも雪が最も降ることで有名です。ですので1m以上降る事が多い場所はそれなりの配慮が必要です。例えば雪下ろしのしやすい屋根もそうですが、最近はとんがり屋根(屋根勾配が急)だけれども、雪下ろし以外に対応できない家などを見かけます。本当にそれで大丈夫なの?と首を傾げたくなります。住宅密集地では、雪下ろしや自己落雪屋根は計画できませんので、耐雪住宅が一番コストもかからない提案です。オーブルデザインは悠々自適なお住まいほどこの提案をまずします(採用見送りもあります)。

まずは三条下田の2mの耐雪住宅
これは3日前の状況ですから今はプラス40cmくらいあるでしょう。雪庇防止もよく機能してます。
雪に埋まる事のないエアコン設置位置やその屋根も考えています。

外壁の無塗装の木は少しずつグレーのカビ(このカビは木にとって問題ありません)も生えだんだんシルバーグレーになって来ました。今が一番気になるところですが、ここを過ぎると穏やかな色になります。
注意して見ていただきたいのは、雪が降っているのに、外壁がほとんど濡れていないことです(気温が低い理由もある)。だから木が長持ちします。
前面のカーポートは融雪装置を計画しました。バッチシ綺麗に溶けてます。

最近はデザインばかり重視して、本来の地域にあった家の計画をおろそかにしている傾向があります。
新潟県は雪が沢山降る地域があるということしっかりと設計者は認識する必要があります。

次は長岡ニュータウンの耐雪2.5m住宅です。
さすが雪国長岡!。この写真の道はニュータウンのメイン道路で普段は片道2車線+αくらいの道幅がありますが、この雪でロータリーラッセル車が間に合わないので1車線の細い道になってます。

道沿いの「あるお宅」ですが既に雪下ろしをされています。

黒い中央の家が耐雪2.5mの緑の家です。あと2mくらい載せる事ができます。余裕で十分ですね。

今のところ雪庇もできる気配がなくよい感じです。

雪国では余計なところにコストをかけるのではなく、風土に合った基本性能がある家となるように設計すると長期間愛せる住宅になります。建てたばかりの若いころは、雪なんてどうにかなるよと言う事で、設備に、インテリアに、広さにお金を掛けますが、30年後を想像してください。子供は独立して高齢の夫婦しかいない時に、雪下ろしや除雪は誰もがしたくないのです。こんなときに耐雪住宅なら心配ご無用ですね。

さて、雪が比較的降らない新潟市では、多雪の代わりに一週間に2日位は強風(平均10m/s)が吹き荒れる地域ですので、新潟市での地域性は超気密C値0.5㎝2/m2前後の住宅でしょうか?この気密性なら外部が風速8~10mまでならほとんど外気が隙間から入らないとされてます(通常のC値2から5程度の高気密住宅では家の中の空気が1時間に2回から1回も入れかわる位の外気が入り隙間風を感じます)。

そのC値が0.17cm2/m2の超気密住宅の見学会を来週行いますので、是非おこしください。


長く愛する住宅を作る為 ④ 新潟の家で阪神淡路大震災から学ぶもの。

 新潟ではこの6年間で大きな地震が2度あり数十名の方が亡くなっています。しかし都市直下型地震である1995年の1月17日におこった阪神淡路大地震では、その100倍の6000人以上の人が亡くなりました。あれから15年経ち、被災者以外の人の脳裏からから少しづつ記憶が薄れてきております。

我々建築士は、この阪神淡路大地震を教訓にいろいろ学び、改善策を実施してきたと思います。が、今でも一般の木造住宅の4号建築物特例という法律が改善されないままです。4号建築物特例とは、普通の規模の木造2階建ての構造の安全チェックはその設計者が建築士の場合は、その建築士に一任し行政ではチェックしませんと言うものです。
この法律を建て主さんは知らないと思います。家を作るときは行政に確認申請を行い、この時点で行政(国)が構造も大丈夫かどうか見てくれると思っている人がほとんどでしょう。
しかし行政は一般の木造住宅の構造にはタッチしません(長期優良認定取得住宅等を除く)。その家の構造は設計者(法人を含む)が全て責任を持ち、行政は関与しません。
行政チェックやダブルチェックと言われる機能は、ここではありませんし、もしかしたら設計者のシングルチェックさえも「感」によってしかされていない場合が多くあるのではないかと考えます。

さて、この構造チェックをしていない設計者もいまだにおり、それを確認するには、プランが決まった基本設計時点で

「構造計算書」か

「壁量計算書」を

見せてください。
とお願いすればよいのです。

「構造計算」は専門知識が多少要るので少ないでしょうが、壁量計算は建築士であれば誰でもできるくらいもので、逆にこの壁量計算(四則演算程度)ができない人は建築士になれません。この壁量計算は安全性を確認する一番簡単な根拠(私は雪国の家では甘いと思いますが、法律ではOK)です。
基本設計終了時点でこれらの構造チェック(ラフでも)が終了していなければ、そのプランは絵に描いた餅(安全性が確認できない建物は家ではない)と同じで、きっとこの後も構造の安全確認はしないでしょう。

「構造確認は後で行います」
といっている設計者は多分こういうでしょう。
「今までの経験で大丈夫」
こういう人(会社)が一番危ないですね。

また、「4号建築物特例は住宅程度の小物件には必要だ!」
という業界関係者がいらっしゃいますが、私もそう感じます。
が、問題はその特例をいい事に構造の安全確認を設計者が決められた手順で行わないと言う事があるので、性善説が成り立たなくなっている事です。だから行政チェックによって法律が守られ建て主さんを保護しなければならなくなってきている状況であるという認識です。そうなるとまた確認申請料が上がり、建て主さんの負担が増え、また行政の肥大化を招きます。本来なら法律を守らない設計者が悪いので、4号特例を廃止するより
「法律を守らない設計者を一時免許停止のように厳罰に処す」と決めるとすぐに改善されるはずです。このほうが建て主さんにずっとメリットがあります。

最近は小屋裏収納のロフトや中間収納、太陽光発電パネル設置など、家がどんどん重くなってます。重くなると言う事は耐震性を増さないと家が壊れやすくなります。またその耐震性アップの方法は法律で決まってます。姉歯事件がきっかけで行った国の調査で、これを知らなかった設計者が関与した建物が100棟以上が法律違反となった関東の大手建設会社があり、きっと調べると全国的に相当多数の家が安全性に疑義がありそうだと言う事で4号特例が廃止される議論になったのです。
怖いですね。スキップフロアーや組み込み駐車場による大開口など、アクロバット的な家も多いですね。日本の諺の「のど元過ぎれば・・・」となってはいけませんね。

さて、阪神大震災の亡くなった人のうち5000人は木造住宅での圧死です。倒壊した木造住宅の大部分が古い法律時の耐震性しかない建物や腐朽した建物でした。現在の法律に沿って安全確認をし、上のようなアクロバット的(一般的でない)な事をしなければ倒壊等が起きる可能性が極めて低いと国はアナウンスしております。
因みに新潟でおこった地震の被害は地盤が原因である場合が多くあり、まずはがけ地や埋立地(過去に潟だったところ)の場合は、上物構造の安全確認ができたとしても家が傾くリスクがあると思ってください。この場合は、簡単に傾きが修繕可能かどうかが重要ですし、家具の倒壊防止も重要です。

過去の教訓を活かしたいといつもこの時期に思い出します。


雪国で今の電気自動車ではだめ!

昨年から一般に電気自動車が販売されています。ガソリン車より効率が3倍以上もよい電気自動車の早期普及が待たれますが、現実的には厳しいでしょう。つまり間違いなく日本ではハイブリッド車が当面主流です(7~10年)。

理由は今朝車に乗って見てわかります。こんな寒い日で雪が降っている時は、車のフロントにどんどん雪があたってきます。ワイパーを早く動かしても、ワイパー自身に雪が付き氷となってガラスで氷結します。この時フロントにあたる温風量をけちるとあっという間に氷で視界がなくなります。ガラスに貼り付く氷を融解できるだけの融解熱を供給してあげないと運転はできなくなります。

ハイブリッド車のプリウスでは、一般車より少し効率がよいので排熱が少ない車です。しかしそれでも排熱が相当でますので雪が強くならなければ氷を溶かす事はできます。

もしこれが電気自動車だったら・・・  排熱が全くありません。多分運転は不可となります。温風を造るヒーターを大きく(又はエアコン暖房可能に)すれば良いのでしょうが、電気で熱を造るということはとても大きなエネルギーを使います。ただでさえ低温でかつ雪道のため燃費が落ちるところにヒーターでは・・・。満充電で走行距離40kmもいかないでしょう。また雪道は渋滞が付き物です。突然渋滞中にバッテリー切れ・・・。これは生死ものです。厳寒期に周りに民家がないところでエンストでは生死の恐怖を味わいます。
ここは雪国だからと言っても平地ですから今日でも-3度くらいです。特別厳しい環境ではありません。でも近場でもボードやスキーには絶対いけないでしょう。あの世界は-10度は当たり前ですから・・・(まあそうなると冬は使えない車でセカンドカーとなりますね)。

フロントガラスを真空ガラスにして、雪をガラス面で溶かさないようにし、ワイパーを工夫することで雪を溶かさないで削りとるなら、融解する大きな熱は必要ないまもしれません。このシステムは特許が取れそうですね。

電気自動車が普及するためにはバッテリーの容量が今の5倍は必要です。今でさえ高価な電気自動車が450万もする事を考えると5倍の容量のバッテリー(バッテリー代が車代の半分とも言われる)が普及価格になるには、相当なバッテリーの技術革新がなければ実現不可能です。それにしても炭化水素(ガソリン等)はエネルギー密度が大変高い物質ですね。大事に使いましょう。


自然素材 無塗装の床を勧められる理由がわかった。


築後8年経過の「緑の家」の無塗装の木の床。全く何も塗っていなのに艶々。

昨日ようやく理由がはっきりとわかりました。

当事務所は、無塗装の無垢の木の床を薦めて12年以上たちます。このことをとても不思議がっていらっしゃる人(同業界)がいました。その人は

「無塗装の床に住んでいる人からクレームありませんか?」

と毎年冬に聞かれるのです。

「えっ・・・。ないですがなぜですか?」と私

「冬になって家の中が乾燥すると、床が『ささくれだつ』と言われるのです」
「特に無塗装の床でなく、天然系オイルやワックスを塗った床でも言われるのです」

「そんな事いわれた事が今まで一度もないし、そもそも年月が経てば光って艶々ですよ。ささくれなんて考えられないです」と私

「全く同じ床を使ってもそれがそうなりません」

・・・すこし間をおいて

「それはスリッパを家の中で使用しているからでしょう!」と私

「そういえばスリッパ使ってますね。確かに裸足ではありません」

ここでようやく理由がはっきりわかりました。元々日本人は家の中で履物(スリッパ)を履く習慣はありません。スリッパは戦後の昭和30年くらいから一般の家で普及が始まったと言われてます。つまりそれまでは旅館、病院、学校など、ヨソで使用、借用するものであり靴下を汚さないために履くような考えでした。
そうですね。スリッパがささくれの原因です。無垢の無塗装の床は数百年の歴史がありますが、それは全て裸足か靴下で歩く歴史です。スリッパの底は、裸足や靴下より無論硬いですね。これが摺ることで木の表面に傷をつけていたのです。だから幾ら油成分を自然に出す針葉樹の木(ヒノキや杉、松)の床であっても表面がささくれてしまうのです。畳の上をスリッパで歩かないように自然素材は・・・。
更にスリッパでは足の裏から「人の油」を供給できないので光らなく磨耗するのです。
居住後の「緑の家」に伺っても「スリッパ」は一切その家に見当たりません。いらないから出さないし、購入しないのです。床はきれいだし冷たくなければ必要ありませんね。

さて、理由がはっきりとしました。ではなぜ当事務所の家以外のでは、スリッパを履くのでしょう。答えは簡単、簡単です。

家の床が冷たくて冬はスリッパなしでは歩けないからです。

目から鱗の理由でしょう。緑の家は家中暖かい性能の家と無垢の無塗装の床が必ずセットですから、あえてその無垢板の気持ちよさが最大限受けられるように「スリッパ」は薦めてません。またスリッパがなくとも冷たくない家を100%提供して来ましたから今までクレームがないばかりか、上の写真ように艶々するのです。しかしただ単に自然素材の無垢床しか薦めていない仕様バランスの悪い会社や設計者の造る家は、床が冷たいのでスリッパがなければとても歩けません。だから感触の悪くなるオイルや蜜蠟ワックス塗りを薦めるのです。オイルなどは汚れ防止だけではなかったのです。

いつも「蜜蝋ワックスを床に塗るのは絶対しないほうがよい」と言ってますが、冬に裸足で歩けない家の性能(構造)であれば表面にロウの膜を造るワックスは仕方なかった事だったのです。本当に今回の関連はびっくりしました。

確かに無塗装の床が数年でピカピカというブログや建設会社の実物写真を見た事がありません。これは家の仕様のバランスが悪いため、本来の木の使い方ができなかった事が原因であるとはっきりとわかりました。スリッパが存在しない寺や銭湯の床が光っているのはこのためです。

当事務所の薦めてきた「緑の家」の性能と自然素材のバランスに間違いはなかったと自負できるお話でした。感謝です、ほんとに久々に鳥肌が立つ時間でした。

この写真は新築時の床。まだ艶は全くない。これが裸足で数年歩くと上のぴかぴかの床になる。


プリウスのユーザーの変化から家を考える。

昨年のホンダの新インサイトが発売された当時のブログで、「ハイブリッド自動車が本命!でも購入者は若者がいるのかな~」的なお話をさせて頂きました。私は初期型プリウスに乗って早10年以上も経ちますが、当時から一昨年まで約10年は、このプリウスに乗っている人はどちらかというと高齢者か女性の方で、男性の20代30代は乗っている人はほとんどいなかったと思います。だから娘から「じじーの車」と揶揄されましたが、最近は全く言いません。
最近の新プリウス及びインサイトのドライバーの顔を見ると、全く変わり新潟県でも若い人や30代の男性をよく見かけます。本当に変わりました。去年からハイブリッドに乗っている人がガラっと。

今後も益々この傾向は強まり、今度は若い人ほどハイブリッドになるのではないかと思います(一度良さがわかると若い人ほど受け入れが早い)。ミニバンは大家族には大変便利ですが、最近の少子化傾向から家族平均人数が最大5人。とするとこれらのハイブリッド車でも何とかなります。
従来はローインパクト(環境負荷が少ない)を求めて選んだ購入者が多くを占めたハイブリッド車ですが、これだけ爆発的にヒットしているのは、一昨年の原油高騰が理由の最大であり、維持するのに経済的な負荷が少ない理由で選択していると私は思ってます。今でも同じ装備のガソリン車から見れば価格が割高に変わりありませんから、初期投資を少し多くしてもハイブリッドを選ぶのは、ランニングコストが安くそれがCO2削減にも貢献するということに価値を見出していると思います。

また私が知っている根っからのベンツのユーザーでも、今年から「ハイブリッド」を選ぶと変わってきております(冗談かも知れませんが)。これはレクサスのハイブリッドが本格発売されたためと思いますが、やはりプリウスの話題が影響していることが第一でしょう。選択肢にはプリウス(もちろんプラグイン)が上がってました。

ここで強引に家へ話を持っていって恐縮ですが、今後家を新築される若い方はこのような低い光熱費になる家(超高断熱住宅)に価値を見出す方が多くなると期待しております。決してローインパクト(環境負荷が少ない)が最大の動機ではないところがハイブリッド車と同じではないでしょうか。
ただ、車と違い家は簡単に買い替えができない物です。ですから車より10~15年くらい早い基準で購入しないと手遅れになります。つまり今がその時でしょう。もしこれから家を建てようとお考えの方は、その選択肢に「超高断熱住宅」を必ず入れてください。それでもし家の勉強してみて自分には必要ないと思っても、「自分の子供の世代には必要かな?」という事まで検討してみてください。今の家が親が建てた25年前の家で寒くて仕方ないなら、将来の自分の子供も今の基準で建てる家(断熱が次世代断熱基準程度では)はそう思う事になり、結局無駄な資金を使う事になります。ですので後悔しないためにも超高断熱は、冬に太陽光の恩恵が薄い日本海側には必要な仕様だと思います。


長く愛する住宅を造る為に③ 建築士として

家の構造図や構造計算書が手元にありますか?

長く愛する住宅を作る為にその住宅の履歴は必要です。特に基礎構造や柱、梁、土台、耐力壁が書かれた構造伏せ図がないと、長く愛する事を途中で止めなければならなくなるかもしれません。

長く愛するスパンとして通常住宅ローンが終わる30年くらいが節目と考えられます。30歳で建築したとすると60歳がそのころですね。その頃にはもしかしたら、息子娘夫婦と同じ敷地に住むかもしれません。そうなった時に増築やリフォームが考えられます。またその頃までにはエネルギー変革がありそれに対応した家に改造する必要があるでしょう。
その時に必要となるのが、家の構造図や構造計算書です。私も築40年くらい経った家のリフォームをお手伝いしますが、その時に一番困るのが構造図や構造計画書(構造計算書)がないことです。
実はある法律がありまして、少し柔らかく表現するとそれは・・・
「設計者の了解がなしで構造等に関わる手直しするときは、その家の責任を新しい設計者が引き継ぐ事になります」
当たり前ですね。構造が変えられたのに、前の設計者がその構造の責任を取れるはずがありません。だから変えた設計者が責任を引き継ぐことになります。そうです、このときに前の構造図や構造計画書がなければ、その責任を引き継げるはずがありません。いくらプロの建築士でも壁の中の状況や、隠れた接合部がわかるはずもありません。もちろん基礎の配筋でも同じです。専用の装置を使ったとしてもあくまでも推測の域をでません。それで責任を引き継げと言われても普通の感覚なら首を縦にはふれませんね。だからローンが終わったばかりの家を「リフォームなら建て替えた方が早いね」などと住宅メーカーから薦められてしまうのです。

さて、リフォームのとき一番困る住宅は何と大手ハウスメーカーの特別なオリジナル工法なのです。大手ハウスメーカーの工法は、ほとんどがクローズでブラックボックスですから、一般の設計者では構造の把握しようがないのです。仮に建てたメーカーに聞いても(存在していればですが)、そんな30年前の昔の仕様は残っているはずがありません。理解できない構造は責任が取れないので、取り壊され新しい家を再び建てる事になるのです。

日本の住宅産業はこの点が世界から見ると大変いびつなところです。世界をみると、クローズされた工法を持つ会社が最も大きい住宅メーカーであるという国はないでしょう。世界の先進国の住宅の寿命は50年以上がほとんどです。だから1度や2度は大きなリフォームや増築があることも多いでしょう。そのとき、○×メーカーの工法は構造的に理解できないから取り壊そうなんていうもったいない考えはないからです。家は国の財産でもあり流通商品でもあり、債務を引き受ける銀行の財産でもあるため(日本ではこの仕組みが待ち望まれる)、ブラックボックスになる事を避ける政策なのでしょう。
さて、日本はこの点についてこれからどうするのでしょうか?残念ながら、大手メーカーは国の機関に大きく食い込んでいる(天下り?)ため凄く難しい問題です。本当は国が「住宅は個人の財産ではあるが国の資産でもある」という大方針が出れば改善されるかもしれません。

では現在どんな工法がオープンなのかといえば、2×4工法や木造軸組み工法、普通の設計事務所が計画する鉄骨やコンクリート(S、RC)工法がオープンな工法(わけ隔てなく設計できる)です。
反対に特別な工法として、セキスイさんやミサワさんダイワさんパナホームさん旭化成さんパルコンさん等が有名です。また木造軸組み工法では珍しくSE構法、KES構法などがクローズされた工法(ロイヤルティー、特許料等が掛かる工法です)。特殊工法のようなクローズされた認定工法の場合、巾はありますが外壁を変えたり屋根材を変えたりするだけでも家の重さが変わりますから、それだけでも構造チェックの必要があるかもしれません。

偏った考え方かも知れませんが、もし長く愛する家を造る為には、一般の建築士が理解できる工法や、普通の構造計算された資料や履歴がある家がよいと思います。特殊性の高い工法や構造、計算方法の家は数十年後に同じメーカー、設計者がいれば良いのでしょうが、30年後というスパンでは非常に期待薄です。
そこまで厳密にこだわらなくてもいいじゃない?とのご意見もありますが、家は命を守る器です。せめて構造の責任の所在が明らかな事が求められるのではないでしょうか?

汎用計算方法である構造計算書(許容応力度設計)
緑の家の設計図書(計55枚~100枚) 

国が評価した「住宅の性能評価書」



今月23日(土)と24日(日)に新潟市で見学会を行います。

すばらしい壁です。

巷では自然素材と言われる漆喰。一般の漆喰には下塗りやそのものに人工化学合成したのシーラーやのりが使われますが、今回の壁の漆喰は化学合成の糊やシーラーは一切使ってません。昔からある漆喰「だけ」です。本物に拘るなら、この漆喰がまさしく本物でしょう。

いつもの緑の家は水性エマルジョンを使って壁を塗りますが、こちらは全て漆喰でした。価格は漆喰が倍ですが、何と建て主さんのご家族で全て塗り上げました。拍手ですね。仕上がりも良いコテムラでいかにも手仕事の壁の雰囲気が出てます。

クリックすると大きくなり少し素材感がわかりますが、この良さは実物ですと感動します。
ムラがある仕上げが天井の大きの梁と重なり、洋風民家調で独特の手作りの雰囲気が出てます。

この建物は、国の性能評価を受け耐震等級3という最高の評価でしたので極めて地震に強い建物です。
写真のように大きな吹き抜けがあっても等級3の評価を頂けるほどバランスが良い構造計画で、地震に強い建物にありがちな圧迫感や暗さはありません。
今年度の長期優良住宅補助金事業でこの等級3で新潟市で認定されたのは多分数棟しかありません。

また、新潟の亀田郷という地域柄地震時の不動沈下や液状化が予想されますが、万一大地震で傾いたときに補強なしでジャッキアップし補修できる性能の頑強のスラブを持ち合わせてます。

この耐震性の良さは2階の天井になっている厚さ28mmの構造用パネルも一役買っています。そのパネルをそのままインテリアとして使う素朴さが、鏝ムラがある塗り壁と調和しております。

これも長期間使い続ける住宅(所謂長期優良住宅)には是非ほしい設備シャフトです。
大体50cm×50cmくらいの四角い断面で、床下空間から天井裏まで貫通しております。ビルなどは頻繁に設備メンテがあるので設置されますが、住宅ではまだ一般的ではありません。しかし長期優良住宅の意味合いを考えると計画したほうが良いに決まってます。
この設備シャフトは、将来の新ネット配線や配管そして超高断熱住宅では秋と春に必ず起こるオーバーヒートした熱風を床下に送り込む通路でもあります(今回は吹き抜けにシーリングファンがあるのでこのシャフトは使ってません)。

このように今までの住宅ではなかった仕様や構造、材料が「ぎゅっ」と詰まった家ですね。

見学会の詳細はここです。

※写真はまだ施工途中のものです。


長く愛する住宅を造る為に② 建築士として

日本の人口が自然減となり国家として本格的な成熟期に入りました。そんな中、長期間住まいつづけられる家が求められ、長期優良住宅という名称と法律が昨年から本格運用されております。

「昔の民家はよかった。丈夫で100年位使えたし、いまも残っている民家は立派な構造だ」とおっしゃる方を耳にします。全くそのとおりです。しかしだから全てが昔と同じ構造や架構方法でよいかというと、それだけでは家の供給ができないと思います。
今も現存する立派な民家は、ある程度の財力がある人(地主)が作った邸宅がほとんどだからです。庶民が暮らしていた本当の民家は残ってません。ほとんどの人が現在は残っていない取り壊された家(借家)やに住んでいたのです。成熟期の今だからこそ普通の庶民が手にする長期間維持される家造りが求められております。・・・とここまでは昨日と同じです。

家造りの計画はまず周囲の環境、地盤の把握から始まります。所謂土地探しです。どこに住まいを構えるのか?どういった基準で土地を探すのか?は大切な第一歩です。私はよく土地は「ご縁」と申し上げます。この地上で同じ土地は2つとありません。それは人間の手で作り出されたものではない所謂「天然」の一部だからです。だからこそ「ご縁」では無いかと思います。そして決めては・・・自分の「直感」を信じましょう。技術者が語る台詞ではありませんが、そもそも「直感」とは、その人が過去に学んだ又は体験したもの全てを総動員して瞬間で判断している事になります。学校や駅が近いとかスーパーが近くにあると言うようなこまごました事が書いてあるマニュアル本に頼らず「ここだ!」と感じたところが都になります。もちろん親、親類の土地でも「ここだ」と感じればそこがよい土地です。
ですが必ず裏づけを取りましょう。裏づけは直感で決めた後付理由にもなります。
さて具体的な裏づけは、建築士(中立的な立場の)などの専門家に聞いて見ましょう。しかしその専門家が難色をしめした土地でも、そのデメリットを受け入れる事ができれば後はご自分の判断です。
土地とはそういうものです。とにかく直感が一番です。直感はただ単に物理的な問題ばかりではなく、その人の他人とは違う価値観で優先的に判断することになります。これは他人ではわかりません。「ここだ」と決めた時、そこに住んでいる自分を想像してとても「わくわく」すればそこはあなたにとってよい土地なのです。
仮に、仮に・・・将来その土地とご縁がなくなったとしても自分で決めた事に後悔も無いはずです。

拙宅の土間(アトリエ)からデッキ越しに見える裏山が借景となる。

因みに私が20年前にご縁があったその土地は、バブル真っ盛りで今の値段で現在の5倍近い信じられないような単価でした。今金額を考えるとなんともいえない思いがありますが、現在楽しく生きているのでそれで良しとなるわけです。そんなものです。この山有り、海有りのこの土地は多少狭くとも大好きです。前日の庭が絶対必要と言った話と違うとのお声があると思いますが、庭は自分のものでなくとも借景(半永久に続く公園や河、海)でもよいのです。(笑)


長く愛する住宅を造る為に① 建築士として

日本の人口が自然減となり国家として本格的な成熟期に入りました。そんな中、長期間住まいつづけられる家が求められ、長期優良住宅という名称と法律が昨年から本運用されております。

「昔の民家はよかった。丈夫で100年位使えたし、いまも残っている民家は立派な構造だ」とおっしゃる方をよく耳にします。全くそのとおりです。しかしだから全てが昔と同じ構造や架構方法でよいかというと、それだけでは現代の家では不合格です。
今も現存する立派な古民家は、ある程度の財力がある人(地主)が作った邸宅がほとんどで、庶民が暮らしていた本当の民家はほぼ残っておりません。ほとんどの人が現在は残っていない取り壊された庶民の家(借家)に住んでいたのです。しかし社会の成熟期の今だから、庶民の手にする家こそ長く使われる事を求められております。

現在も高いコストを掛ければ、より有能な設計者、技術者、職人を集められ、後世に残るような建物とその維持管理ができるので古民家のような住宅を建てることは可能でしょう。しかしそれはほんの一握りの人にしかできません。実は高いコストを掛けなくとも、その家で人の愛情が育まれ引き継がれていけばその家は長期間存在すると私は考えていますし、そのようになるべきと考えてます。

バージニア・リー・バートン作「ちいさなおうち」

この絵本にはそんな想いが感じられます。家への直接的愛情ではなく、家の中で育まれ引き継がれる「愛情」は、その家を長く維持するために最も必要な事です。この想いが家から発せられるようになり、それがその家の魅力となります。全ては人の「想い」で長く維持され引き継がれると考えてます。

さて、我々建築士にできる事はこの表紙にもありますが、庭を含め総合的にバランスをとる事です。目に見えない構造や温熱環境、維持管理しやすさの考え計画することです。

新築計画の最中は、どうしても家の内部(間取り、インテリア等)にだけ意識が集中しがちです。家は間取りと設備、仕上げ類だけではありません。私どもが基本設計するときには必ず外部とのつながりである道や緑(庭等周囲の木々や土地の環境)から考えます。
高いコストを掛けなくとも、小さな家であっても長い間残っていく建物が、緑と共にあることにお気づきでしょうか?有名な「トトロのいえ」もそうですし、近所にある100年経過した家のそうです。庭がしっかりある家が長く存在していることが多いのです。もの言わぬ緑を大事にする心は、周りの環境や人への気遣いも同じように大事にするでしょう。その気持ちが「愛情」なのかもしれません。
多少家が小さくとも、庭や畑、敷地に余裕があれば何とかなるものです。古民家を移築や再構築する方の全てが、庭があるところに建てます。都心の狭い庭が取れない土地に民家を造る人はいません。民家とは、それと一体のなった周囲の環境に同化するのことなのではないでしょうか。

都心のような高度土地利用必要なところは、個々に庭が無い集合住宅(借家含)がふさわしいでしょうし、事実住宅寿命が長い国でもそのような都市計画です。がしかし戸建て住宅が無理なく建てられるようなローカル地域では、庭が無ければやはりその家の寿命は長くなるとは思えません。それほど緑(庭や家の周囲の緑の環境)が重要と考えます。

次に家の構造や温熱環境、維持管理のし易さ、経年変化に適したよい材料となります。これはまた次回にお話します。


老後を悠々自適に楽しむため 建築士として② 高齢者の家

屋根の出があると外壁は少しの雪や雨では濡れません。ケヤキの幹は濡れ色ですが、外壁は乾き色です(花台のみ濡れ色)。

今日の寺泊は未明の4時ごろから突風が吹き荒れました。アメダスによると最大風速は27m/sとサッシ規定値位の風が吹きました。事務所へ通勤道中、寺泊から燕へ入ると風は弱まり、三条に入ったころはほとんど風が強いとは感じませんでした。新潟の冬は地域差があります。そんな厳しい環境にある拙宅は家にいれば冬も家中全く快適です。洗濯物は一晩で乾くし、寝起きも苦ではありません。

ここから本題ですが、拙宅の家族には今年満20歳を迎えるトイプードル犬(ビアンコ)♂もいます。去年から人間で言う認知症が始まり、朝と夜の区別がわからなくなっているようです。今日は深夜2時半から2時間くらいおきて徘徊をしてました。・・・徘徊する・・・そう、お分かりのとおりビアンコはロープでつないでもいないし、サークルも基本的にはありません。これはできる限り自分の足で動けるようにと思っているからです。既に走る事はできず、歩行もよろよろで時々転びます。転ぶと自分で起き上がる事ができないときがあり、この時間が長いと怪我や関節が痛むせいか数日間立ち上がる事ができません。ですので常時24時間付き添いがひつようです。
「そこまでするなら、サークルに入れたほうがよいのでは?」
とおっしゃる方もいらっしゃいますが、徘徊の歩く事はとても重要な事だと思ってます。適度に歩く事で足の筋肉が落ちないようなリハビリになり、バランス感覚も維持できます。この自分の足で動けるということは、介護するほうも非常に楽ですし、何と言っても介護する側される側どちらも楽しく感じます。この「楽しく」が家族には一番重要で、家族が檻に入っているような環境は楽しくありません。
高福祉で有名な北欧の介護の基本はいかに寝たきりの時間を短く(無いように)するかと言われてます。寝たきりは介護するがわに肉体的にも金銭的にも大きな負担を強いるからです。

今日は深夜2時30分から2時間位おきてました。 汚れてしまった床の清掃や座布団の洗濯をその時間にしました。
何がいいたいかと言うと、こんな深夜に起こされても家中寒くないので、そのストレスがないという事が大変ありがたいのです。薄い一枚のパジャマでお風呂場からトイレ、キッチンまで難なく裸足で移動できること(床が冷たくない)。これは実際夜の介護した人にしかわかりません。
故父も、認知症で徘徊がありました。実家は高気密高断熱ではなかったので、家中暖房は無理でした。トイレは10度くらいしかなく、お風呂場は外気とあまり変わりない温度です。そんなところを夜おきて仕事や洗濯をしたり、父に洋服を着せるのは大変ストレスがたまります。寒いと言う感覚がない父が寒い場所に移動したときは、直ぐに上着を着せなければならないし、最初から沢山着ていると今度はトイレのとき脱がす事が大変です。

介護施設はいつ行っても温度一定です。トイレでもお風呂でも暖かいですね。これは介護する側にも大変なメリットです。半そで一枚で介護できる事は、汚れたら直ぐに着替えられ、気温差によるストレスもまるっきりありません。もしかしたら介護を楽にするために、施設内を快適温度にしているのではないかと思わせるくらいです。
家中暖房は、高齢になったときその真価を最大限発揮できる人工環境です。自分ばかりか、介護する人にとても優しい空間なのです。

最近、数十年後はエネルギーが高騰するので・・・と言う理由で超高断熱住宅ををお勧めしてます。「するとそこまで考えてなくともいいよ。」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、ますます自宅で介護される施策が進められるなか、介護者に優しい家は介護される側にも楽しさをもたらします。
「寒い」と顔をしかめる事が介護する人になく、心に余裕を持って接しられます。その余裕が介護者にも伝わりお互いハッピーです。更に家中暖房できる家は、床が冷たくないのでスリッパがありません。これは私がお手伝いした家の99%そうでした。メンテナンスに伺ってもスリッパが玄関にありません。スリッパがないということは、引っかかって転ぶ心配も少なくなりなす。介護施設も入居者のスリッパは原則禁止ですよね。ほとんどがスニーカーですが、たまに裸足の認知症の方もいらっしゃいますが、足が冷たくなければ裸足ほど安全な歩行条件はありません。

自然素材重視の住宅メーカーさんのなかで、超高断熱の家を見ると
「そこまで断熱性能が必要ないよ。性能マニアの家だよ」
といわれる方がいらっしゃいますが、老後は何かと収入源が固定化されると思います。ですので新築後20年くらいたった時、断熱リフォームをされる意欲はないと思います。最初から断熱性は20年後のエネルギー高騰を予測し高い性能で新築すれば、介護する人にもやさしい家中暖房が少しの暖房費で可能です。もちろん、それまでの間でも家中暖房の良さを体の芯から感じることができます。高齢になったときは、家で体を鍛える必要はなく、体やお財布に負担を掛けずに悠々自適に快適な環境で過ごす事ができる住宅・・・超断熱住宅をお勧めする理由です。


未来につなぐために 建築士として

新年にあたり少し私の家に対する思いをお伝えします。

私たち現世に生きているものは、過去の人が残してくれたものの上に成りたっています。仮に悲しい過去があっても過去を否定する事は現在の自分を否定する事になり、大変さびしい行為です。また一方で私たちには未来につなぐ責任を持っています。過去の人が築いて来たものを消去することなく、その上に積み上げていくか、分解し再構築していく必要があります。
その受け渡し方法はただ一つ「生命」そのものしかありません。人間には科学、技術、文化、言語など様々な受け継がれる学ぶべき分野、形態がありますが、それを生かすも殺すも「人」しかありません。その人から人への受け渡しはどのようなことなのでしょう。私はその核が「親子」であるといつも考えてます(これは血がつながっていない親子も含みます)。

「一人で裸でうまれ、また一人で去ってゆく」人は最初と最後はすごくシンプルです。しかしもうすこし詳細にみると、生まれる時は一人ですが、生まれる前でもすでに母の胎内にいます。卵子はそれが「ある」時点から母に守られ暖かい愛情に包まれてその時を待っているのですね。もうすでに最初の親子が始まってます。
「三つ子の魂百まで」ということわざがあります。これは先人が残してくれた大切な知恵です。ある解説には「満2歳までに身に付けたものはその子の性格となる」とありますが、私は「性格」ではなくその子の生きていく上での思考、感情の核であると思ってます(性格はすでにDNAで引き継がれると考えてます)。

哺乳類を除く生命のほとんどが、親から生まれた途端に自立し生きてゆけます。ところが哺乳類は生まれてから自立できるまである程度の期間を要します。人はその期間が2年間最低必要だということなのでしょう。ですので最低この2年間は親の愛情(命に変えても子を守るそんな感情であり、躾ではない)の中に包まれている必要があると思います。この2年間が仮に愛情のない期間となってしまったなら、それを哺乳類でない他の生物に例えると、卵が途中で割られてしまう事を意味し、本来現世では存在できない事になるからです。ですのでこの2年間は人として特別な期間と解釈し、だから「三つ子の魂百まで」という諺になると考えています(三つ子は満で2歳の事)。
さらに社会に自立できるまでまだ相当期間がいるのですが、本格的な集団行動ができる6歳までが核が分裂し増産される数の次期になると考え、更にその後9年間がその配列を決める時期なります。つまり15年間は人としての思考、感情の未来への引き継ぎの期間と考えてます。

さてお話が住まいと違う話題のような気がしますが、しっかりつながっています。
この15年間は親子として住まいとその周囲の環境を中心に活動します。特に母と子の関係は重要で、母の家・庭・人に対する思いはダイレクトに子に引き継がれると思ってます。住まいや周りの環境の善し悪しで引き継ぐものが全く違うとは思いませんが、影響はすくなからずあるといつも考えてます。ですので私たち建築士はその事をいつも感じ、真剣に未来に引き継ぐ重要な「人間形成の巣」を造っていると心にとめております。


昨夜の出来事 

今朝の寺泊の海です。午前中は比較的穏やかでしたが、夕方から再び風が 強くなってます。
30日から2日までの平均風速は9m/sで、実際の体感となる10分ごとの瞬間最大風速は、元旦の日では何と20時間以上も20m/sを超えてという台風並み。このデーターはアメダスの地点(海岸より400m内地)のデーターなので、拙宅はそれより概ね2~3割増しになります。
いかにc値1.0cm2/m2未満の高気密住宅でも風速25m/sもあれば機械換気等しなくても、法律で決められた0.5回/h以上にはなるので、最近は風の状況で換気扇をOFFにしてます。ちなみに高気密でない住宅では、その換気量の多さは恐怖です。
秋のように外気が20~15度くらいであれば、この換気量でも恐怖ではないのですが、なんせ今は外気が0度くらいですから、換気量大=すごく寒いといことになります。本当に約20年前から冬が来るたびに高気密で良かったと実感してます。

前置きが長くなりましたが、昨夜10時30分ごろふと海を見ると、何か花火が上がっているようではないですか?しかしこの冬空に・・・。よく見ると上写真右側に写っている電柱の変圧器下部数か所から火花がでてます。げっ・・・と思い勘違いかなと思って電柱まで見に行くとやっぱりオレンジ色の綺麗な大きな線香火花ような火花が出てます。
これはまずいと思い「東北電力」さんの緊急コールに電話すると、「ただ今停電地区があり電話が込み合ってます」との録音アナウンス。待つこと15分位でつながり、もうすでに11時近かったので、「近くの電柱がスパークしているみたいなのでお伝えします。電柱番号は寺泊線229。・・・当方への連絡は結構です」とお伝えしました。これで解決と思って12時ごろ就寝すると深夜1時10分ごろ電話が鳴り、眠い目をこすり電話にでると、
「電気の者です。どちらが具合悪いのですか?」と相手。
「電話でお伝えしたとおり家の前の電柱の変圧器です」と私。
「何にもなさそうですが・・・。お宅停電してます~?」と相手。
「停電してませんが。だからスパークが・・・」と私。
「それでは多分塩害らな。この時期良くあるのだな~」と相手。
「では、問題ないのですね」と私。
「問題なくはありませんが・・・断線はしていないし・・・」と相手。
先方も深夜で大変そうだったから、
「では、問題ないとしたらこういう現象を見た場合は連絡しなくとも大丈夫でしょうか?」
「それは私から申し上げられません」と相手。
「えっ東北電力さんでしょう?」と私。
「違います。ただの委託会社で、夜に呼び出しがあったので・・・」と相手。
「では誰に聞けばよいのですか?」と私。
「東北電力さんにきけばいいだろうかね」と相手。
「お宅さんはどこの会社?名前はなんですか?」と私。
「別に名乗らなくていいでしょう」と相手。
「私は名乗っているのに何で深夜に用事で電話を掛けてくる人が名乗らなくても良いといえるの?」と私。しぶしぶ
「・・・・○×」と個人名だけをいう相手。

中略

「では明日、「今度は連絡したほうがよいかどうか」連絡します」と相手。

電話を切ったあと、
「まあ、無料で花火が見れて良かった」と笑っていましたが、寝付けませんでした。
でも今日夕方まで今のところ電話がありません。  ふーーまあいいか(;;;´Д`)ゝ。

皆さんも見かけたら「冬に良くある現象」なのだそうで、電話は慎重にしたほうが良いかもしれません。

この変圧器下部付近4か所位から綺麗な火花が2時間?ほど出てました。


今年完成した「緑の家」 ② -新潟県内の自然素材の家-

 

今年は太陽光発電に光が当たりました。太陽光発電パネルで発電された電力の買い取り価格が今までの2倍(24円/Kwh→48円/Kwhになりました)。

これでようやく太陽光発電を設置する動機が明確になりました。従来の24円では、設置費70万/kwhを償却するまで30年という現実離れの年数が15年となり、16年目から実質発電貯蓄と同じようになります。

上の写真は3kwの太陽光パネルを設置した時の真冬の最大発電量です。仕様通りの最高で3kw発電されてます。 

さてこの家は新潟市小新のS邸です。県内の戸建て住宅で、一番最初に耐震等級2を取得した建物です(大手メーカーを除く)。
何度かご紹介してますが、デッドスペースの階段上に手洗いを設置。排水管周りがそのままインテリアです。 
玄関横には小さなウォークイン収納です。最近は玄関床はありがちなタイルを使用せず、モルタルで仕上げる事が多くなりました。昔は「モルタル=質素」という感覚でしたが、私は「モルタル=手仕事の味」という感じです。特に年月が経ったときのモルタルの雰囲気は、昔の土間のたたきのような味ががでます。

南側の一番良いところは吹き抜けです。冬でも太陽の光をあます事なく室内に取り入れます。
洗面台は造りつけとして計画します。大きな鏡と大きな洗面ボール、そしてシンプルな棚のみの構成です。
外観はガルバニューム鋼板で軒の出なしのコスト重視のデザインです。但し、夏の日射対策として大きい窓には全て庇があり、すだれなどを掛けられるように計画しました(太陽光パネルから雪が落ちる個所は庇なし)。

次は三条のK邸です。とにかくバランスがとれたオーソドックスなデザインで、Q値は1.58W/m2Kの高断熱です。サッシはアンダーセンという木製サッシでU値1.6W/m2K程度の高性能窓です。加えて木製サッシですが、外部のみ樹脂コーティングされ、木製サッシにありがちなメンテナンスが必要ありません。

主暖房は床下暖房ですが、薪ストーブもあり、当然薪小屋も計画しました。この薪小屋は一冬分の薪を保存でき、先入れ先だしを考えた小屋です。
外構は、オーブルお得意の下田産の自然石(丸石)を積んで柔らかい雰囲気と本物の質感を生かした玄関アプローチとして計画。これから充実する木々が楽しみです。

内部にもこだわりが見えますね。まず素地の色が多い緑の家ですが、今回は染色による色づけをしております。着色ではないところがみそです。
リビングの外の濡れ縁は夏の日射を防ぐと同時に天井いっぱいまで窓と、濡れ縁のトップライトと相混じって室内に明るさをもたらします。
天井にもデザインを施し、建築化照明で、照明器具までデザインに取り込んでいます。

緑の家は超高気密高断熱住宅で耐震性、デザイン、耐久性、自然素材、コストがバランスが良く考えられた住宅です。


今年完成した「緑の家」① -新潟県内の自然素材の家-

まずは無塗装で木の外壁の下田のY邸。
建築業界では、木の外壁の無塗装はいわばタブーです。これは当事務所が12年前に「木の床は無塗装で!!」と言っていたのと同じで、ここ最近ではありえない使い方です。しかし良く考えてみると、100年も昔から木の外壁は使われていて、その70年間は無塗装の木の外壁です。防腐剤が塗られるようになったのはここ30年位です。たぶん有名なキシラデコールという塗料の存在が大きかったのでしょう。しかしこのキシラデコールは欧州の塗料で、国産ではないところが「みそ」です。つまり日本国内では70年も無塗装の外壁で困らなかったともいえます。欧州のメーカーが勝手に、外壁に防腐剤は必要でしょう?と押し付けた気さえします。欧州ではずっと木製サッシが主流でアルミサッシはありませんでした。木製サッシですから、防腐剤を塗った方が機能が長持ちします。しかし日本では30年前にはすでにアルミサッシなっていたので、サッシに防腐剤は不要です。となると外壁や破風とよばれる部分にしか塗る場所はありません(木の場所)。だから面積の多い外壁にメーカーは勧めたのではないかと想像します。特に30年前から屋根の出のない家が著名な建築家によって建てられてましたので、そんな木の外壁の家には防腐剤を塗らなければあっと言う間に黒ずむ家となります。でもしっかり屋根の出を造る事で、無塗装の木の外壁でも40年もその機能を維持することを身の回りの歴史(近所の神社やお寺)が証明してます。だからまた10年先には「12年前から床に木の無塗装を勧めた時」と同じように少しは認知されると思います。
さてこの無塗装の木の外壁は時が経つと「シルバーグレー色」になり、この色の杉板がまさしく「環境と調和」します。この下田のY邸付近は自然が多く残っており、目の前の用水路でオニヤンマがたくさん孵化します。そんな環境ですので、緑に似合う外壁をお勧めしました。この付近の積雪は例年1.5mくらいふります。雪おろしは老若男女いずれでも危険な重量労働で避けたい仕事です。そこで2.0mまで雪を屋根にのせたままでも平気な耐雪住宅となっています。
また、中水利用も兼ねた融雪用の深井戸を掘り、散水や洗車に使います。。

では数年後のシルバーグレー色はどんな感じか?何回かご紹介して恐縮ですが拙宅と緑の木々の相性は抜群。まさしく「緑の家」の外観です。

次は栄のS邸です。
カントリー風の家をご希望されたので、煙突付とんがり屋根の家です。カントリーハウスにには付き物の納屋も一緒に提案してます。納屋は木の無塗装の外壁でこれが母屋の塗り壁とマッチしております。この家には真っ白な塗り壁ですね。
内部はこだわりの漆喰塗り壁です。化学物質であるシーラーをまったっく使わない漆喰です。漆喰は150年も昔から存在していた壁仕上げです。当時シーラーと呼ばれるものがありましたか?ないですね。だからこの漆喰にもシーラーは塗らないのです。それが本物の自然素材を使うということです。
住んで間もなくお子様がこの漆喰をかじってしまいましたが、さすがに漆喰自身の強アルカリ性は害がありますが、シーラーという訳のわからない化学物質が入ってないので少しは安心です。でもどうしてかじったのでしょうか?美味しそうだった??

この家の木の使い方は、「緑の家」では珍しく、窓木枠にペンキ塗りを施してます。これもカントリー調のデザインを出すためで、狙ったとおりのよい雰囲気になりました。
照明器具は一品ずつ建て主さんが選んだアンティーク品です。
イメージにあった使い方を柔軟に提案する設計事務所ならでは使い方です。キッチンもオリジナル設計で、天蓋や棚なども見た目と、機能上の天蓋に埋め込まれた照明などミリ単位の細心注意で設計されてます。無論ローコストになるように無駄なところはバッサリ省きます。

また納屋やお風呂洗面台、階段、玄関と至る所にこだわりのデザインを施しております。


新潟の家 太陽の恵みとパッシブ利用とアクティブ利用

パッシブとは・・・
直訳で「受動的・・・」
反対語にアクティブがあります。

写真の太陽光発電は、太陽の恵みをアクティブに利用し再生可能なエネルギーとして使う装置の代表ですね。
一方太陽が窓から入る光や熱は、そのまま受動的に使う代表です。
ほぼ冬至同じ太陽高度の25日の11時30分(ほぼ南中時刻)写真が↓これ。

冬至は太陽が一番低くなる季節。冬至を過ぎると太陽の角度は夏至に向かいまた高くまり力強くなります。さて、光と影の分かれ目をよくご覧ください。
ほぼ窓の上とピッタシです。つまりこれからこの窓から入る光と熱は少しずつ遮られ、夏至のころには完全に遮断されます。一番気温が暑くなる7月下旬から8月中旬のころは、夏至より少し太陽高度が低くなるので、そのころの太陽を防ぐように庇や屋根の大きさを設計すると屋根の出は1.1mにもなり、このくらい南側の屋根が出ていないと、暑くなる7月下旬から8月中旬の日差しは屋根で防げません。超高断熱の家は、夏は日射が大敵です。家の中に入ってきて大変な事になりますので、キッチリ防ぎます。この配慮が新潟の家では必要ですが、最近こんな大きな軒の出がある家はなかなかありません。秋に完成した超高断熱の↓家も屋根のでも屋根の出は1mありました。

屋根の下の「たるき」と呼ばれる綺麗に並んだ部材。神社などでは当たり前のように見えているこの部材。屋根の出が1.1mもあるためこのように細かいピッチで並びます。これを隠すのはもったいないので露出させました。木の家の証明です。

この家の見学会は1月23日24日25日に行います。そのパッシブですべてにおいて完璧な性能をお確かめください。


新潟の超高断熱には、こんな感じの木製断熱サッシですね。

自分で設計していいね~というとおかしいですね。でもこの開口部、良くないですか?
12月22日のブログに、「木製サッシには庇か屋根の出が必ず必要」と宣言してます。それは、木製サッシの耐久性に大いに関係しているからです。
この外壁から引っ込んだ木製サッシ。あれっ、どこかで見たような・・・。と思って車にに乗っていたら、「これだ~」と思ったのが、土蔵の窓でした。
土蔵は壁の厚さがやはり30cmくらいあり、窓の位置が外壁から引っ込みます。そしてその窓をかばうように庇が付いているのが普通です。古来日本からあるデザインなのですね。
流行の庇がも屋根もないサッシとは違いますね。庇がないと自然素材の木のサッシの痛みが激しく、また時には「よだれ」を引き起こします。基本は忠実に守りたいところです。
町で見かけた築12年くらいのかっこい良い家。しかし屋根の出や庇がなく、外壁がガルバニュームではないので汚れがひどく目立ち残念

ちなみに下の外壁はIGサイディングと呼ばれるガルバニューム鋼板。エンボス加工がすっきりしたイメージを与えます。
珍しく「緑の家」になぜサイディング?と思う方もあると思います。
実はこの外壁は外貼り断熱に使っている「高性能フェノールフォーム」という最高性能の断熱材が105mmの厚さで施工されてます。
法律では市街地は燃えにくい外壁構造としなさいという決まりがありますが、その決まりに正しく合致するのが、現在はこのIGサイディングのみです。但し建築主事の判断で今までのガルバニュームをつかえるところがありますが、そこはケースバイケースです。
あっ、ダイケンのダイライト工法では、こんなに厚い外貼り断熱をすることは認可されてません。またダイライト工法では外貼り断熱の上に無垢の木を貼る工法も認可されておらず法律違反です。気をつけたいですね。
「緑の家 SSプラン」この庇ならほとんどの雨は防げます。また枠のようなデザインは、外壁を壊さなくともサッシ交換可能な枠。こんな窓、見たことないでしょう。


新潟の家の冬 超高断熱の家。結露とハニカムサーモスクリーン

ハニカムサーモスクリーン(セイキ販売)というカーテン類をご存知ですか?数年前からその筋の人(超高断熱マニアやパッシブハウス、無断熱住宅)には使われている断熱カーテンです。私自身は使った事がないので、もし使用経験のある方の情報をお待ちしてます。
何の情報かといいますと、新潟県は冬型の天候時、必ず西又は北風が強く吹き、吹雪や霰が窓にあたり融解し水となります。するとガラス面の表面熱伝達抵抗が小さくなり、室内カラス面の温度低下が起こります。風だけならその温度低下が予測できますが、雪や霰が表面を覆った時の低下を算定する式(表面熱伝達抵抗値)が見つけられません。
この時にハニカムサーモスクリーンを下していた窓は、結露するはずですが実際にお使いの方の体験をご投稿く頂ければありがたいです。当ブログはその方面の常連さんも多いので何か情報をお待ちしております。

ちなみに通常であれば内外温度差である部位の温度は次式で予想できます。

ガラス表面温度は・・・
θx=θi-rx/R(θi-θ0)
R・・・全体の熱伝達抵抗(表面熱伝達抵抗0.11、0.04含む)
rx・・・x点までの熱伝達抵抗
θ・・・室内温度i
θ0・・・室外温度

LOW-EガラスAr入り K=1.6の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.11/0.625(20-0))=16.4度

複層ガラスK=3の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.11/0.333(20-0))=13.4度

ハニカムサーモスクリーンとK=1.6の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.39/0.91(20-0))=11.4度・・・室温20度湿度約60%の露点温度
(ハニカムサーモスクリーン使用時の全体K値1.1と仮定)

と単純に計算すると複層ガラス表面温度 より2度低くなる。
この仮定は風速2から4m/sの穏やかな時の表面温度なのです。吹雪で風が直接吹き付けるガラス面の表面熱伝達抵抗は更に小さくなり、より温度低下が考えられます。すると寒波が来ているときの風上側サッシガラス表面で結露する可能性が高くなります。ですので当事務所ではハニカムサーモスクリーンは使用してませんし、当然当方から積極的にお勧めしてません。
日本海特有の風の強い(風速は10m/sを超える)冬の雪の時に結露したのでは何となくいやですよね。私個人としては、一時の結露は全く問題ないのですが、結露が相当悪いイメージをもたれてますので、いまひとつ躊躇しております。
どうでしょうか?使用されている方のレポートお待ちいたします(できれば日本海側)。

ガラスはLOW-EガラスAr入り複層ガラス12mmなのでK値は1.6としてます。以前のブログでガラスのK値がこのくらい上がると、外部風速の影響を受けにくくなるとのご報告を致しました。これは内部の付属断熱戸付きでのお話ではありませんから当てはまらないと言えますから・・・ああ・・・ わからない。 知りたい・・・。


新潟の家 自然素材の木の外壁は屋根が必要です。

いくら再生可能なエネルギー(太陽光発電等)を使っていても、現在のエネルギー浪費の暮らしでは、環境を考えているとは言えないということで、超高断熱(Q値0.7W/m2K)の家、所謂パッシブハウスを建てた人がいらっしゃいます。すばらしい考えです。私もそう思います。幸運にもその家の資料を拝見する機会がありました。やはりすばらしいお考えで造られた家です。ただ設計者がに対し経験が少し不足していて次の点が残念でした。

屋根がないところに貼り、数年で腐る木。記事とは関係ない家です。撮影は1999年ごろです。

1.焼き杉と呼ばれる杉の板を外壁に使っている事自体問題ないが、建築地が関東でも雨の量は梅雨時相当なもの。軒の出のない所謂四角い家では、雨がいつも外壁を濡らす事になる。これでは木の外壁は20年持たない。運が悪ければ10年で朽ちる。この使い方では環境になるべく負荷を掛けない家とは言えない。木は長持ちさせるから再生可能な材料。せめて木が育つ30年は腐らない使い方をするのが設計者。つまり軒の出を設けなければならない。

2.高性能木製サッシを使っているのに、そのサッシ上部に庇がない。所詮木製サッシは木でできている。雨ざらしでは木端部から腐朽が始まりやはり20年もつかどうか。下手をすると10年で機能上の不具合が出てくる可能がある。樹脂やアルミサッシには必須ではないが、木製サッシには基本的に庇がセットされてなければ素材や高価なパーツの浪費と言える。ローコストにするためと言う理由であれば、本末転倒。見た目のためなら設計者失格(この建て主さんに対し)。せめて屋根が大きくあれば庇がなくとも許せるが・・・。

築10年になる緑の家K邸。木製サッシは必ず屋根の下にある。基本中の基本の使い方。

当ブログでは何年も前から自然素材である木は使い方が重要であり、耐久性の明暗を分けるとお伝えしております。しかし最近は木をまるで使い捨てのように雨ざらしで使う風潮があります。
最近流行のラーメン屋さんにも木が雨ざらしで多く使われていますが、このような店舗のような建物に使う感覚で住宅に自然素材の木を使うことは、素材の浪費となります。

どんな設計でも常に「バランス」が重要です。超高断熱性能だけは所謂「パッシブハウス」だけれども、外壁やサッシ、屋根の素材の使い方が間違っていると、その家のメンテナンス経費は跳んでもないくらいに高価になり、下手をすると使い捨て(30年で破棄)されてしまう事になります。特に今回のように、わざわざ腐りやすく考えたような木製サッシでは、早期交換は必須です。
日本の気候は欧州とは違い、モンスーン気候に近いです。雨は多く絶対湿度も多い雨季があります。この点をしっかり抑えないと単なる一時的な「省エネ」ハウスで終わってしまいます。

日本の昔からの民家は必ず庇があります。これは、窓が金属や樹脂ではなく木製であったため、庇がないとすぐに朽ちる事をよく知っていたからです。日本(北海道を除く)の気候では木製窓と庇はセットです。勿論アルミ被覆(樹脂一体被覆はOK)された木製サッシでもアルミ同士の接合部から水は浸入します(経験上)。


新潟の家での太陽光発電パネルと雪の計画

緑の家に設置された4.5Kwの太陽光発電。
太陽光発電パネルは表面がガラスのため、勾配のある屋根に設置した場合、積もった雪が直ぐ滑ります。新潟市では多くの太陽光発電パネルが設置されてますが、雪の対策は充分ですか?発電効率を考えると、上写真のようにできる限り滑らせてしまったほうが早く発電効率が回復するので正しい設置ですね。
ですが、雪の滑った先が駐車場でしたら笑えません。6mも上から来る雪(の塊)の破壊力は結構ありますので車が壊れてしまいます。そんな対策を設計で考えてありますか?
海岸沿いの新潟市は雪に対してそんなに過敏に考えてないと思いますが、三条より内陸部は、雪の落下で様々な事故や問題を引き起こします。

下写真ような大手ハウスメーカーに見られるような平らな屋根に設置すると、雪が解けきるまで一部が雪に覆われ発電効率が極端に悪くなります。なるべくなら積もらないほうがよいですが、敷地にゆとりがない場合はやむ得ないですね。こちらのほうが安心です。
ただ長岡市のように雪が1m以上も降るところは、1月、2月はまるっきり発電不可ですね。とくにせっかくの2月以降は日射が多くなり、気温が低いので発電効率が上がってますからもったいないです。


雪の降る新潟の家 預言者ではありませんが当たります。

本当に当たります。
昨日まで新潟市を中心とした大雪で積雪45cmと25年ぶりの降雪。さらに昨日から長岡市では雪が降り続け現在70cm。12月としては最近珍しい量です。
地球温暖化は、気温が上がるだけでなく、このように気象の変化が大きくなると予想されてます。降る時はたくさん、降らないときはまったくと・・・。

忘れたころにやってくる天災の対策は重要です。ですので当事務所では雪の少ない時から「耐雪住宅」には真面目に取り組んできました。
過去長岡市内に建設した緑の家は4件中3件が耐雪住宅で、一軒が雪下ろし住宅です。雪下ろし住宅では、屋根勾配は緩く雪下ろししやすい配慮がされてます。また三条市でも耐雪住宅は3件あります。
これは雪の少ない時から「必ず雪は多く降る時が周期的に来る」と予想していたからです。三条や新潟市でもこれはあてはまり、今まで雪の積雪を安易に考えていた設計者は少し考え直すことになるでしょう。特に高齢者住宅が多くなる今後は、雪下ろしの苦労から解放されなければ、安心できる家にはなりません。

1m以上雪が降る地域には表示義務がある。自然素材の家の耐雪住宅に付ける表示プレート。

新潟県は新潟市や寺泊等の海岸沿いの一部の都市を除いて、家を設計するときは雪の量を1m以上に設定する決まりがあります。例外措置として「慣習的に雪下ろしをする地域」は、積雪を1mまで減じて設計できますが、それを見やすいところに表示しなければなりません。しかし、このプレートを「見やすいところに設置」している建設会社はほとんどありません。住宅では当事務所ぐらいではないでしょうか?
木の家とか自然素材とか、気持良い家とか、暖かい家とか、耳障りの良い言葉だけで住宅を造ると本当に法律に沿った最低限のよい家にはなりません。全てのバランスが重要です。
旧新津市や旧岩室町、旧亀田町でも法律で定められた積雪は1m以上ですので、住宅でもこの写真のようなプレートの設置義務(県通知通達)は数年前からあります。設置していない会社は、積雪1mを構造計算していない可能性もあり、安全性に疑念があります。施工会社選びの時はこの点のチェックで構造を正しく考えている会社か、構造をいい加減で考えているかわかります。特にこの決まりができていた数年前の家に設置されているのかは、その会社の構造に対する誠意があるかないかです。


新潟の自然素材家で最高の快適性 床下暖房の見学会

20年間の高気密高断熱住宅Q値1.8W/m2kに住んでいる拙者ですが、当時は無垢材が異常に高く、拙宅では80%が新建材(所謂偽者の木)の床です(緑の家ではない・・・泣)。
しかし建築当時は真冬でも肌足で全く冷たくない床と感じてましたし、実際半そで、裸足で冬も生活してました。所が30代後半で何となく新建材の床を冷たいと思い、一部に無垢材を、そして40代半ばを過ぎたころから、靴下を履くようになりました。これは高気密高断熱の家の性能が落ちたのではなく、自分自身の代謝が落ちたと認めるまでそう時間はかかりませんでした。

そうですね。最近床下エアコン暖房を薦めているのは、自分自身の経験もあったためです。人は年齢と共に快適な温熱環境も変化すると実感しました。適度にスポーツで足腰を鍛えている人は、きっと代謝も衰えずに、足のつま先まで血液が循環して冷え性になりにくいと思いますが、普通の人は代謝が衰え、冷え性でない人も足元が冷たくなりがちです

床下に設置されたエアコンの例 床下もお掃除できる

そこで、床下エアコン暖房が活躍します。床暖房より穏やかな床下暖房の暖かさは、何事にも変えられないほど快適です。普通の床暖房は、表面温度が限りなく30度に近づきます。また、同じ場所にずーといると、循環水温(40から45度)に限りなく近づき低温やけどの恐れがあります。循環水を使わない電気式のものはランニングコストの問題で最近は使う人がいません。ところが床下エアコン暖房では、どんなに同じ場所にいても24~25度です。全く低温やけどの心配はありません。但し床下暖房には最大の欠陥があります。それは10年もすると床下内が不衛生になると言うことです。
例えば、10年間使っていない埃だらけの倉庫で暖めた空気を寝室に入れたいですか?そんな空気なんかいやですよね。でも今の床下暖房はそうなりえるのです。床下が低く、床下に人が入って掃除できないので、何十年もの埃がたまってしまいます。これは当ホームページの10年もまえのコラムで警告してます。埃だけならまだ良いですが、もしかしてゴキブリやゾウリムシの死骸がたくさん干からびているかもしれません。そんな床下を見てしまったら・・・。そんな空気を使いたくありませんよね。だから当事務所の床下は人が歩けるのです。掃除できるのです。最大の欠点を克服した緑の家の「床下エアコン暖房」をお勧めします。さらに単に床下を高くすると相当の熱損失が生まれます。この問題も解決しました。

床下暖房の家は、真冬でも裸足のほうが快適。自然素材である無垢の無塗装の床の肌触りを最大限生かしてくれるのが、床下エアコン暖房なのです。是非お勧めです。そんな実感をして頂くために、見学会を1月の23日、24日に行います。是非最高の快適性をお確かめ頂ければありがたいです。

因みに、電気床暖房と比べると床下エアコン暖房は、オール電化のやりくりナイト8と高基礎の高蓄熱量を組みあわせ、電気代が単純に1/3(深夜電力料金)×1/3(エアコンCOP3)=1/9になります。これは深夜蓄熱暖房機をヒートポンプエアコンを使って暖めているからです。このように最高の経済性がおまけについてきます。


新潟の家 超高断熱と融雪

昨日の拙宅(寺泊)の降雪風景

家造りは科学的根拠がなければ眉唾物です。
あるダイレクトFAX(っていうのかな?)が来て、説明文を読んでいたら???がありました。このダイレクトFAXには、「冬は屋根で空気を暖め床下に送る。夏は夜に放射冷却を利用して屋根で空気を冷やして床下に送る」とあります。関東の会社からのFAXなのでまあここまでは何とか許せますが、その後の説明に「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」とあり、そんな家のシステムを買いませんか?というものです。

「やっぱり・・・科学的に根拠がないなー。と言う事は、先ほどのもっともらしい『冬は屋根で・・・』や『夏は屋根で・・・』も怪しい」と言う事になります。これと同じシステムで有名なOMソーラーさんがありますが、新潟県では冬の太陽が期待できないのでほとんど建築されていません。

さて「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」がなぜ科学的に根拠がないのか?

それは雪を溶かすのにはとても大きい「融解熱」が必要なのです。この氷の融解熱はあらゆる物質の中でもトップクラスで、室内の熱を使ったら家の中は全く暖まりません。雪はできる限りほっとくのが一番です。

さて計算です。

雪の融解熱は 80 cal/g です。
30坪くらいの屋根に雪が20cm積もったときは
屋根面積を60m2とし、新雪の単位荷重を100kg/m2・mとすると
60*100*0.2=1200kg 1200kg→1200000g
1200000*80=96000kcal となります。

20cmの雪を溶かすのに96000kcalが必要です。
ここで6割(本来は5割以下)が有効に屋根から熱が伝わるとして96000/0.6=160000kcalの入力熱が必要で、
160000kcalの熱と言うのは、灯油18L分です。
緑の家Sプランで灯油18L分を暖房として使ったら2日分の暖房エネルギーを丸々捨てると言う事になります。超高断熱住宅のSSプランなら丸4日分以上に相当します。融解熱は確か中学の理科で習う基本的科学ですね。それを無視して、室内の熱を使えば良いなどといったシステムが成り立つはずがありませんね。感覚的に解けると間違って思い込んであるのでしょう。

また、室内の暖かい空気を雪を何かで接触させ溶かすということは、必ずその何かの接触面で結露します。この結露水がクレームとなり40年以上前から魚沼地域にある某会社は、大変苦労とクレーム対応してました。ですので、家の内部熱で雪を溶かすなどを考える人は新潟ではまずいません。つまり科学的根拠がないシステムを斡旋している事になります。
でも住宅会社ではこういう業者が大変多いです。例えば、

×あったかい家→
性能表示の温熱環境でQ値で認定された事がない。

×地震に強い家→
性能表示の耐震等級3を取得した事がない。

×べた基礎だから地震に強い→
基礎よりも木造部分が左右する。

×エコの家→
太陽光発電だけではエコでない。エコの基本は暖房Eと給湯Eの削減。

×ぬくもりのある家→
それってなに?触感?温感?質感?寒い家は木も冷たいよ。

でしょう。


自然素材の家は10年後が重要ですね。

この家は、新潟市に今から9年ほど前に建築させて頂いた「緑の家」です。無論、高気密高断熱でQ値は1.9w/m2K(全気積)で、C値が0.8cm2/m2です。

建て主さんのご要望で、集成材を使用しない無垢材の「緑の家」と言う事で計画しました。ですので地松の丸太が井桁上に組んでありますね。この丸太を探すのになかなか苦労したと工務店さんは話していました。
そんな大きな丸太梁の数年後は・・・

こんな感じの梁になります。もちろん無垢材の直径60cmを超える丸太ですから、新築時は乾燥しているはずもありません。ですので矢印のようにひびや隙間が生じます(一部白く埋めてありますが)。

せっかくの高気密高断熱が損なわれてしまいますので外部や内部からパテやシーリングで埋めます。

丸太はひびが入りますが、製材品の(四角い)杉や松は乾燥材指定だったので、隙間はほとんど入りません。きれいな仕上がりです。

床はとにかくいいですね。自然に浮き出てくる艶は、人工的に塗ったオイルや蝋では絶対にないものです。

無塗装の木が、10年経つとこのような完全あめ色に「勝手に」なります。特別な手入れはいりません。そろそろ10年目のメンテナンスで、とても楽しみですね。

更に30年くらい経つと茶色になって、最後にはこのくらいの濃さになります。このくらいまで家を維持していただけたらありがたいです。
これは京都の東本願寺(築110年)の無塗装の床。
艶もありますね~。


こだわりのプリンター

事務所には大小あわせて7台のプリンターがあり、このプリンターはもう11年くらい使っています。

ネットで検索するとまだ使っている人も多い、使い捨てされない不思議なプリンターです。

これはALPSのマイクロドライプリンター MD-1500。
既に店頭販売は9年くらい前にやめ、メーカーホームページのみで新品を販売しているチョー変わり者です(最近はMD-5500)。
最近のほとんどがインクジェットプリンターになっていますが、10年位前は、昇華式プリンターも結構あり用途によって選べました。

年末や一年で数回使いますが、手放したり他機種に買え変えたりするつもりはありません。
インク代(テープカセット式)はインクジェット式の数倍もしますが、この印刷方式のマイクロドライがすばらしく、特に黒のシャープさ、紙に応じた印刷表情、紫外線にめっぽう強い、水に溶けない(顔料)に特徴があります。
インクジェット式は金色印刷や白紙でないときに白表現を出せませんが、こいつは白紙でなくとも白が出ます(白テープを使用)。

欠点はそろそろPCからなくなりつつある接続方式の「パラレル」か現在は言葉さえ聞かない「SCSI」しかないことです(USB変換不可)。あと音が「ギーシャカ、ゴニョゴニョ」という機械音が大きい事ですね。

「SCSI」って何?と言う人も多いと思いますが、12年以上前はSCSI(スカジー)の接続機器は大変多かったのですよ。CD-ROM(R機)だってほとんどSCSI接続だったし。パラレル接続の方は企業でもまだ多く使用されているので、さすがに知っている人が多いと思います。

家造りもそうですが、時代が変わっても大切にされるものはあります。それは「こだわり」ですね。どうしてもここだけが譲れないところが、このプリンターの場合、印刷した作品の質だったのでしょうね。プロ印刷にとって雨で滲む仕上がりはありませんから。だから屋外ステッカーにも使えるその品質と耐久性は、技術者の魂を感じさせます。
自然素材を「素」のまま効果的に使った緑の家もそんな耐震性や高気密全棟測定等、同じところがあります。

和紙の紙に印刷すると独特の感じになり、これはどんなに高価な最新機種でも再現できない「作品」になります。


新潟の家 拘りの壁塗り 漆喰DIY挑戦

こんな風に仕上げがる漆喰です。

今回の漆喰は、先日のブログでご紹介したとおり、「西洋漆喰」です。下地処理が簡単で、何と言っても普通の左官屋さんが必ず塗るシーラーと呼ばれる化学物質や化学パテを一切塗らない漆喰です。
ではシーラーの変わりに何をするか?それは「こんにゃく水」を塗るのです。こんにゃく水と漆喰が混じるとご存知の固形の「こんにゃく」ができます。
漆喰壁を塗りながらその隣で同じ材料で「こんにゃく」もできると言う、本当の食べられるくらいの自然素材の壁です。嘘みたいな本当のお話です。

まずは材料と道具です。
手前の袋に入っているのが練済み漆喰です。奥の道具は建て主さんのお父様のものです。
よく練ります。人力でもOKですが、やはりこの方が早いです。

こんにゃく水です。
手についてもべとつかず、間違って舐めても食べ物ですからOKです。でも食べると作業できないので食べないでください(笑)。

こんにゃく水でボードの継ぎ目にカンレシャを貼り付けます。素手でも大丈夫と言うところが、食べ物のこんにゃく水のよい所です。

たまたまお越しになられた「仲村建設」の専務さんから記念に塗ってもらいました(更に下地処理も手伝っていただきました)。

私も塗らせて頂きましたが、さすがにこのうす塗り漆喰は初めてで、上の写真のようにはできませんでしたが、そこは気持ちでカバーです。


超高断熱の 注文住宅 「緑の家」 耐震等級3認定の長期優良住宅

超高断熱、耐震等級3認定の長期優良住宅の現場足場が取れました。
ピシッとしてます。
外観デザインはオーソドックスにまとめ、特徴ある太い窓枠は外壁と同色なので写真では目立ちませんが、実物の存在感はありますね。
窓の彫りが深いと、シンプルな形状でもしっかりしてます。

樹脂サッシの中でも最も耐久性がある「ホワイト」を選び、U値1.6W/m2kのサッシのガラスはアルゴン封入LOW-Eとよばれるものです。

玄関ドアはスゥエーデン製木製高断熱戸で、更にガラスをなくしたU値1.0w/m2kです。

上写真が南面ですが、「緑の家」にしては窓がちょっとだけ少ない感じですが、これは大きな吹き抜けをもちつつ、耐震等級3(避難病院クラスの最高の耐震性)の認定を受けた家だからです。普通は大きな吹き抜けで等級3は取れません。そこは設計事務所の腕の見せ所です。

冬至近い12月の午後3時30分の窓からでも日が差し込む計画。今日はこんな作業中の状態でも家の中は暖かかったですね。2階15坪に対し6帖もある大きな吹き抜け。でも耐震等級3です。

明日から建て主さんご自身で内部の漆喰を塗ります。建て主さんにとって始めての漆喰塗り。楽しみであり、不安もあり、でもこれから何十年もお住まいになる家です。きっと楽しみながら塗って頂けるでしょう。
今回選んだ漆喰は、初めての方でも塗れる「西洋漆喰」です。下地処理が簡単で、何と言っても普通の左官屋さんが必ず塗るシーラーと呼ばれる化学物質を一切塗らない漆喰です。
ではシーラーの変わりに何をするか?それは「こんにゃく水」を塗るのです。こんにゃく水と漆喰が混じるとご存知の固形の「こんにゃく」ができます。
漆喰壁を塗りながらその隣で同じ材料で「こんにゃく」もできると言う、本当の食べられるくらいの自然素材の壁です。嘘みたいな本当のお話です。

もしご興味がありご連絡頂ければ実物をごらんいただけます。ご案内しますが、家に対する愛情と腕に自信があればボランティアで塗って行かれてもよいですよ(笑)。ゆっくりと2週間くらい建て主さんが作業しています・・・。


発想の転換!なぜ超断熱の長期優良住宅は窓に奥行きがあるのか?その2

今の常識が10年後には非常識になる事はよくあります。
住宅でいえば本州での基礎断熱工法。
15年以上前から北海道で積極的に採用されていたこの工法。当時本州ではソーラーサーキット工法やエアサイクル工法という特殊方法と、当事務所みたいな高断熱高気密のマニアックな住宅会社しか採用されていませんでした。最近では高断熱高気密をそんなに知らなくても採用している会社がありますし、全国規模の大手ハウスメーカーも採用しております。
同じように、この外壁のサッシ周囲に枠のあるような住宅が多くなると思います。ただ県内ではまだオーブルデザインだけでしょう。

なぜ外壁の周囲に枠のような物がとりついているか?
それは、窓単体で取り換え可能な構造にしているからです。
住宅が高性能になればなるほど窓は重要な部位となり、求める性能維持期間が長くなります。先のブログで説明したとおり、当事務所の目指す気密性能は最終的には、パッシブハウスと同じ超高気密性(隙間相当面積で0.25~0.3cm2/m2)です。このくらいの性能になると、窓の気密性はとても重要です。とはいっても、引き違い窓がだめではありません。気密測定をしても超高気密住宅0.1cm2/m2くらいの家は、特に引き違いが少ない家ではありません。むしろ多い家です。9か所も大きい引き違いサッシがあっても隙間相当面積0.1cm2/m2になります。ですので最近の超気密住宅のサッシは引き違いでも問題ありません。

ではなぜ性能を高く求めるとサッシの取り換えが必要なのでしょう。

車を考えてみましょう。今の車は10年くらい乗っていても気密性が落ちたと感じられませんが、私みたいに20年くらい乗っていると(笑)、ドアの気密性を維持するパッキンが劣化し気密性がおち、走行中に外の音が聞こえやすくなります。パッキンはEPDMという超耐久反発性ゴムが使われており、これと同じような性格の素材がサッシのゴムに使われています。
また、可動性があるものはその部分に金属がつかわれている関係上、疲労破壊や酸化により、速い場合で20年遅い場合でも30年くらいでだめになります。ゴムがだめになればそこから隙間風が入ってきます。
更に、最近はペアガラスもしくはトリプルガラスを使っていますが、そのガラスに挟まれた気体の漏れ、抜けでガラス内結露します。こうなるとガラス部分の取り換えをしますが、20年もたてば、更に性能のよいサッシが販売されているはずですから、ガラスの取り換えよりサッシ全体の取り換えをしたほうが効果が高いのは明らかです(ペアガラスの保証は10年)。
つまり取り換えが、各々出てくるはずです。より多く使って窓はやはり早く劣化しますし、あまり使わないところは、劣化まで時間があるでしょう。つまりサッシ各々で取り換える時期が違うはずです。

さて、ここでお気づきの方もいらっしゃるようですが、今の施工方法では外壁や、内側の木枠を壊さないとサッシがはずせません。   となると外壁の一部を壊してはずすのですが、最近の外壁は、サイディングのタイル調であったり、特殊な形状の表面ですね。特に大手メーカーほど拘った形状です。そんな特殊な同じ表面の外壁が20年後もあると考える方は・・・いませんよね。あるはずがありません。そうなるとどういうことになるか?
一個サッシが交換で、その外壁全てやり返えですね。そうでなければカッコ悪いでしょう?
だから今の家は、サッシ交換などせず、どうせならといい、建て替えてしまうのです。すると統計上の日本の家の寿命30年はサッシから見てもちょうど交換時期なのです。
勿体ないですね。
すぐ建て替えられる人はまだ良いでしょうが、建て替えできない人は性能の悪くなった家に住み続けなければなりません。新築時は最高の気密性があったにも関わらず、20年後はサッシから隙間風が吹き込む・・・なんて事も考えられます。

実は築19年の拙宅では、その事例が出てきてます。当時気密性が最高性能オール樹脂サッシ開きタイプですが、パッキンの劣化や海の前ということで、ステンレス以外の枠に埋め込まれた金属からさびが出てきてます。この現象はある一個のサッシだけなのですが、これを変えるには外壁を剥がさなくてはなりません。一個のサッシのためせっかく数年前に木に張り替えたばかりの外壁なのに・・・。
それでも拙宅は外壁が木なので色違いは許せます。数年で同じく同化しますから。ここが無塗装の木の外壁の利点です。
ところがハウスメーカーのような特殊外壁の場合、全て貼り直しということが考えられます。そもそもサッシの取り替えを考えていなので、一部だけ外壁を切って貼るということは、防水処理上問題があるからです。ここでまとめです。

長期に対応する住宅の外部重要ポイントは

1.サッシ単体で交換できる構造(納まり)
2.シーリング修繕が家の中からできる

3.1.2ができなければ同じ外壁が20年後も入手可能なものである。

ということです。ハウスメーカーの宣伝であるように、外壁の寿命が長い事がそう重要ではありません。
住宅寿命が長い欧州は、外壁素材ががほとんど決まっているのですね。日本みたいに「石調サイディング」、「タイル調サイディング」など1年で変わる物はつかいません。あくまでも、木そのものや、漆喰などの左官、レンガ等です。
これら素材なら、一部直しでも違和感なく、また数十年でなくなる素材ではありませんから。


新潟県でゼロエネルギー住宅が可能か?

自然素材の家 「緑の家」SSプランでゼロエネルギー住宅は可能か?
をシミュレーションしました。詳しくはここにあります。

まずゼロエネルギー住宅の定義ですが

① オール電化住宅で
  太陽光発電力量
消費電力量(住宅内全部)

② オール電化住宅で 電気代が年間ゼロ以下の家

の二つが考える事ができますが、正しいほうは①ですね。

シミュレーションの条件は
現在建築中のSSプランの実際の家
Q値0.98W/m2k
C値0.5cm2/m2(完成予想 中間は0.17)
電気温水器 370L
太陽光発電 3.6KW
その他家電消費電力 133KWh/月 冷暖房を除く実績値
昼は窓のカーテンを閉めない(南の太陽が入ること)

結果は

太陽光発電力量 3.535KWh<消費電力量 5.611KWhで
ゼロエネルギーにはなりませんでした。

しかし②の電気料金では-8,000円/年間となり、
電気代が一切かからない家となります。

さて、このSSプランをゼロエネルギー住宅にするには、
給湯エネルギーの削減が必要です。
冷暖房に使うエネルギー1554KWhに対し
給湯エネルギーは6,000KWhの消費電力にもなります。

これを簡単な設備追加や変更でゼロエネルギーにします。
それは、
1.エコキュートにする(現時は電気温水器、+15万)。
2.太陽熱温水器を屋根に設置する(30万)。
3.夏は積極的に窓を開け通風を利用する(0円)。
を行うと何とゼロエネルギー住宅になります。

こんなに簡単にゼロエネルギー住宅は可能です。
基本はやはり、家に超断熱性とし、冬の太陽日射を窓から
有効利用する事で、大きな消費エネルギーだった暖房を
642KWh/年間まで下げているためです。
もし、ゼロエネルギー住宅に拘るなら、
超高断熱+太陽光発電+太陽光温水システム+「少し通風」です。

まず基本はやっぱり超断熱ですね。

PS
冷暖房を昔みたいに一切ガマンすれば、超断熱は必要ないですが、そんな非常識な事を条件にすれば、電気がない150年くらいの前の生活で、植林をしながら生活すればこれもゼロエネルギー住宅です。


薪ストーブで地球温暖化防止の貢献はできない!!でも…お勧めです。

先月のブログでもお伝えしてましが、最近
「地球温暖化防止」、「CO2削減で環境にやさしい」などの麗句で、
薪ストーブが地球温暖化防止に貢献しているという情報が、上場している大企業からも発信されています。これは正しくありません。
正しくは、本来捨てるしかない木を燃料として使った場合は、地球温暖化防止に貢献できるということです。薪ストーブのために、木をわざわざ切って、運搬と裁断時の燃料をたくさん使い燃焼効率が70%も満たない使いかたで温暖化防止貢献はしてません。

玄関脇に設置されるコンパクトな薪ストーブ

私は薪ストーブが大好きです。火を扱う事は人としての喜びでもあるかも知れません。これは以前もお伝えしたとおり、人間がまだ野原で生活していたころ、夜の恐怖(獣襲来や暗闇、寒さ)を克服できる唯一の手段だから、火を見るだけで何か安心するのですね。DNAに刻みこまれている本能に近いものとなっている気がします。  獣から家族を守る男性のほうが女性よりも薪ストーブが好きな訳がわかります。

薪ストーブが地球温暖化防止に貢献するということを信じて、全ての人が現在の暖房機器を薪ストーブに変え、国内の木で燃やすと、20年足らずで日本から木が一本もなくなります。それくらいの暖房燃料を私たちは使っているのです。
昔話に「おじいさんは山へしば刈りに・・・」とでてきます。この「しば」は小枝のような薪で、大きい木を切っているわけではありません。昔、人力で加工できるのは小枝程度で、チェーンソーがあったわけでないので、どんどん太い木から作って焚く事は出来なかった思います。昔の薪(暖として)の使用は1家族当たり現在より相当少量消費と想像できます。今みたいに一冬6棚など気軽に使えません。

まずは、燃料が石油でも木でもペレットや草であっても、暖房に使う(一次)エネルギーを少なくする事が正しい温暖化防止です。
繰り返しますが、薪ストーブが地球温暖化防止に有効ではありません。あくまでも都市部での使用は趣味的です。山仕事がある人の家の薪ストーブは有効でしょう。山仕事のある人は、他の仕事で発生した間伐木を処分しなければなりません。そのまま放置しても木が腐ればCO2とメタンガスが排出されるので、これを燃料として使えば大いに温暖化防止に貢献しているでしょう(ペレットも)。
しかし都市部でわざわざ木(ペレット)を燃やすためだけに山の木を切るということは、温暖化防止でもなんでもありません。薪ストーブのよさを温暖化防止と無理に結びつける必要はないと思います。

薪ストーブを主暖房で使っている人ならわかりますが、ひと冬で見た目相当量の木を燃やしている事がわかります。そんな量をご近所全てが使い始めたら、どのくらいの木が伐採されるか想像はつきます。

薪ストーブはその炎でとても癒されますし、強力な輻射熱暖房も魅力です。お好きな方は間違った情報に流されず、どんどん採用してください。但しその時は、その大切な熱を逃がさないように断熱性を表すQ値2.0W/m2k以下(できれば0.9以下)は必須ですよ。


広告は本当か?自然素材の家ほど断熱性能が必要と考えるが・・・

「超高断熱」という表示って・・・。

その断熱材でそれはないでしょう?

ある建設会社さんの広告で「超高断熱」が標準仕様とありました。
「超」が付く断熱なら、法律で定めた次世代断熱基準の倍くらいの
性能はほしいと思います。その次世代断熱基準は今や当たり前の
断熱性能で、これ以下の性能を国は求めていませんから・・・。

ところが、その広告では、次世代断熱基準をようやくクリヤーする
程度の基準しかありません。

悲しいですね。何も専門用語を知らない素人さんの建て主さんには、
住宅の内容を説明する広告に、
「超高断熱」とあれば、「相当すごい断熱なんだな」と思います。
実際はそうではなく、国の推奨する最低基準の断熱性能です。
その広告にある内容は、言葉遊びのような誇大広告が多く、
びっくりします。

例えば雨水を地下に20度で2000L(リットル)ためておき、
それを室内に取り入れて冷房除湿に利用するとあります。
そんな少しの冷熱で夏の冷房除湿はできません。
技術者なら30秒の計算でわかります。

計算すると
仮に室温28度にしたい場合、その水をどんなに
温度変換効率がよくても25度くらいまでしか利用できないでしょう。
25-20度×2000=10000Kcal =11.2KWの冷熱
通常6畳用のエアコンの定格出力2.2KWであるため
11.2/2.2=5時間分(6畳用エアコン)
雨が降らなければ(水が入れ替わらなければ)、
たった5時間分です。真夏に2000Lの豪雨が何回あるのでしょう。
こんな雨水設備を使わなくとも
エアコンなら5時間でCOP6の消費電力は
366W×5=1.83KW=電気代50円弱でしかありません。仮に
5回雨が相当降って入れ替わったとして年間250円分の節約です。
この節約料金で特別冷房設備10万円を払う意味はありませんね。

つまりこの企業は科学的(技術的)裏付けがない提案で、
自然エネルギー利用という麗句による
意味のない設備をすごい環境を考えた設備と宣伝しています。
雨水は庭の散布や、トイレに使うと
非常に有効です。
雨水をエアコン室外機に直接噴霧し、水の持つ大きな潜熱を使う
エアコンシステムは有効ですが、冷房用の冷水として10万も
設備費を払うのはもったいない事です。
こんな非科学的な設備を薦めるところは、他の部分も全て
胡散臭く感じるのは私だけでしょうか?

詳しくはしくは当HPのコラムに載せました。興味があればご覧ください。いつもの「階段に手すりのない」違法建築のところです。

でも本当にその広告でジャロに何も言われないのかな?
それともどうでもいいことなのかな?県内では相当数建てていると思いますが、とても不思議です。


発想の転換!なぜ超断熱の長期優良住宅は窓に奥行きがあるのか?

現在新潟市に施工中の長期優良住宅「超断熱の家」の窓部分です。

家に興味がある方はこの写真のような窓をあまり見たことがないと思います。
それは窓が外壁より明らかに内側にあるからです。

これと同じ形態の窓がヨーロッパの住宅でよく見られます。窓が外壁の奥に嵌っているのです。

このように外壁より窓は内側に付いてます。

しかし現在の住宅の窓は、
ほとんど木造建築でこのような窓が外壁より手前に(凹まない)にくるのが普通です。
これは、サッシ本体が外壁より手前に出ることで、サッシに付いた水が外壁を伝わることなく下に落とすため(建築用語で水を切るという)です。この納まりは上部に庇がなくとも安定した防水性能が発揮されます。

一方上のサッシは外壁より明らかに下がった位置にあります。
この奥行きのある計画こそ長期優良住宅をの基本である「メンテナンス」し易い窓なのです。

窓の周囲にはシーリングというゴム製の接着剤が施工されてます。このシーリングの寿命は10年から20年程度となっており、その環境によって倍の違いが有ります。にも関わらずシーリングは下の写真のような納まりになると、足場や高所作業車がないと施工は難しいです。

所が上写真のような納まりとサッシの種類限定よって、内部からシーリングメンテナンスができます。プロに頼まなくても自分でもメンテナンスできます。これが長期優良住宅の基本で自分で簡単DIYできる家です。上部庇が必ずセットで計画されこの庇で基本の防水性(通常時)を確保し、窓周囲シーリングで追加防水性(暴風時)を確保します。

勿論、水を切るのは下の枠になります。でもサッシが外壁より引っ込んで取り付けられている理由は、シーリングのメンテより・・・

次回にご説明します。


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超断熱の家  気密測定の結果

CO2対策で力を入れているヨーロッパでは
「住宅「CO2ゼロ」義務付け EU全域でエコ証明書」という記事が日経にありました。詳細はわかりませんが、とにかく世界的に超断熱のエコ住宅の気運の高まりがあります。そんな中、

新潟市で現在施工中の「超断熱」の長期優良住宅で、今朝「中間気密測定」がありました。

結果は隙間相当面積C値=0.17cm2/m2となり
期待通りでした。

今回施工して頂いている「仲村建設」さんでのこの2年間の平均数値(中間値)は0.2cm2/m2以下です。
それも充填断熱工法、外貼り断熱工法関係なく0.1cm2/m2を2度も出している会社です。たいした気密の精度です。

ここで補足すると、所謂高断熱高気密住宅において、北海道は法律で気密性能が2.0cm2/m2以下と定められております。新潟は特にありませんが、高断熱高気密住宅ですと説明する大手ハウスメーカーのカタログでは5cm2/m2以下です。そのハウスメーカーと比べ30倍!!もよい異常なくらい高い数値です。

そこまで必要か?と言えば
「必ず必要です←きっぱり

さて、中間気密測定は、完成時気密測定の1ヶ月前くらいに行う気密性の検査です。この中間段階で測って建築本体の気密性を把握します。ここでの事務所目標はSSプランで0.3cm2/m2、Sプランで0.8cm2/m2としてます。

その後完成時に測ると大体0.1~0.2cm2/m2くらい性能が落ちます。原因は、エアコンのドレイン、そして最近はエアコンのごみ排気管、室内と外部を貫通するダクトや配管と換気扇機器の隙間です。特にエアコンのドレイン管と排気管は塞ぐ事が構造上できないので、頭の痛いところです。
建て主さんの許可があれば、室内排気放出及びドレンはトラップで処理することで、気密性のUPは可能ですが、そこまで必要かどうか?考えるところです。

世界的有名な超エコのドイツのパッシブハウスの完成時の気密性は0.5回/50パスカル時ですから、日本の気密性能に直すと約0.25~0.3cm2/m2位です。これは大変厳しい数値で、事務所内でも直ぐに基準をここまですることは考えにくいです。つまりコンスタントに0.1cm2/m2以下に中間気密性能を維持するという超厳しい基準です。勿論、エアコンのドレインなどはトラップ処理が必要です。
私自身も気密測定士の免許は18年くらい前に所得しており(現在更新せず失効)、その頃50棟以上自分で測定してました。このとき気密性が出ない場合の修繕は並大抵のことではと心得ていますので、お約束となるともう少し実績が必要です。

PS
20年前の当時で200万もする気密測定器(写真上)でしたが、今は50万位ではないでしょうか?そんな機械で測定します。測定者は(財)IBECの気密測定士の免許を持ったものが行う事が普通で、無免許では問題あります。よく第三者であるピコイさんに依頼して行ってます。今回は違いますが、施工した社内での気密測定検査は、やはり測定者の手心が働くので必ず当事務所が立ち会います。気密性能を表すC値(隙間相当面積)は、ちょっとした条件を変えることで優位に算定可能ですから注意が必要です。ここはQ値計算と同じくインチキがないようにしなければいけませんね。


電気自動車と環境税

電気自動車は環境負荷がガソリンと比較して1/3ということと、燃料代が1/10になるということが最大のメリットです。CO2が走行時全く出ないという言い方は、本当でしょうがあまり好きではありません。なぜなら携帯電話やノートパソコンのバッテリー駆動時はCO2を発生していないと言え、説得力がとても低いですね。バッテリー製品でも使えばCO2が発生していると考えるのが普通です。

さて、今の電気自動車の燃料代はどうして1/10で済むのでしょう?確か前のブログでは機器効率がガソリン車の3倍なので1/3が妥当な計算なはずです。
一般的に電気自動車は深夜電力を使ったときの1キロあたり(1km)=1円と言われます。昼に充電すると1km=3円ですね。
一方ガソリン車の優等生のプリウスでは燃費が20kmなので、1L=120円として1km=6円です。ハイブリッド車との比較では1/6の燃料代です。

ご存じのとおり、ガソリンは約58円/Lもの税金が掛っております。しかし電気には同じ税金が掛っておりません(自動車使用のための税金)。このガソリンに掛る税金がプリウスだとしたら1キロ当たり(58円/20km)=2.9円/kmです。
ところが電気自動車には、この税金が一切掛っていないのです。つまり、他のガソリン車が道路負担や環境負担をしているのに対し、電気自動車は全く払っていない現状があります。
電気自動車にガソリン税を掛けたくとも、どの電気が電気自動車に使われているか不明ですから掛けれません。
これでは不公平だということで、環境税の導入の早期きっかけになったとも言われてます。
つまり電気自動車の燃料代が安いのは、深夜電力だけではなく、ガソリン税がないということがもっともおおきいですね。

さてここからはおまけですが・・・
仮に電気自動車に今のガソリン車と同じ税金をかけると
1円/km+2.9円/km=3円/km←深夜電力で充電の場合
3円/km+2.9円/km=5.9円/km←昼間充電する場合

昼間充電する場合の電気自動車とプリウスの燃料代は同じになります。

おさらいですが、深夜電力とは・・・・
「日中に多く電気を使うと昼のピークが大きくなり、発電所を増やさなければならないので、電気代が原価割れしても深夜に多く電力使ってもらいましょう」
との考えでの大安売り電気の販売システムです。しかし電気自動車が普及したり、オール電化住宅の普及で皆が電気を深夜に多く使うと、この意味が薄れるので最終的には昼間の電気代と変わらないようになるでしょう。
電気自動車は機器効率がガソリン車の3倍もあるのに燃料価格が同じでは割にあいません。環境税という税は炭素税ともいわれ、炭素の量に応じてかかるのではないか?との考えがあります。するとやはり機器効率がとても重要で、今後いかに炭素を効率よく使えるかがカギです。そう考えるとお勧めする超断熱という住宅は、家全体の暖房効率がトップクラスです(なぜか必ずここにおちつきます)。

どのような環境税(料金システム)になるのでしょうか?非常に興味深いですね。
例えば飛行機旅行は、欧州まで往復する1回だけで日本人一人当たりが1年で排出するCO2を放出します。本来なら一番高額の環境税になる事は間違いないのでしょうが、そこは政治、経済優先の判断になるでしょうから、そんなに大きくならないのではないでしょうか?



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