デザインと構造は一体 ① 軒の出を支える垂木(たるき)は・・・

前のブログで、いくら優れたデザインでも現法律に沿っていない建物は評価出来ないとと申し上げました。特に構造の安全性を無視した建物は評価にならないばかりか、人命をも危険にさらす凶器になります。

その大事な デザイン=機能(構造) について何回かにわたり連載したいと思います。

その1 軒の出(屋根の出)を支える木=たるき

暑い夏・・・もう秋ですがこの暑い夏に家の防暑対策が重要という事を実感したと思います。設計では有名なその建物防暑対策の一つが南の「軒の出」→「屋根の出」のこと を大きくとる手法があります。

しかし以外とこれが難しく、法律を守っていない家も多々あるでしょう。

 この家の軒の出は約1.2m。たるきは巾4cm背24cmという大変大きいものを30cm間隔で並べるという構造。見た目もすごい。

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デシカント除湿機&最近エアコンの論文と明け方の気温

昨日除湿機では最近「デシカント式」が販売されていますとご紹介しました。デシカント式?何となく聞いたことがありませんか?デシカント式はビル用エアコンで最近使用されている加湿や除湿方式で、室内が低温時にも除湿能力が落ちにくい特性があるようです。

要は湿気を良く吸うシリカゲル(乾燥材)のようなゼオライトに湿気を瞬間的に吸放湿させるもの。瞬間的に吸放湿させるのために熱を与えることになり、この辺りが珪藻土壁による湿気の自然吸放出とは違います。またゼオライトで採取した湿気を水にするため熱交換機があり、この2つが消費電力のほとんどとなります。熱交換機の仕組みは調査してませんのでわかりません。もしかしてコンプレッサーがないなら車用冷蔵庫で使われるペルティエ素子かな?   図はナショナルのパナソニックの除湿器F-YZF100のカタログから

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新潟の家 秋の長雨 除湿器使う?使わない?

これから秋の長雨の季節。洗濯物を乾かす事に苦労しますよね。乾くのに時間が掛かると菌が増殖するようで洗濯物の半乾きの臭いは細菌によるものだと考えると、出来るだけ早く乾かす事を考えます。そこで普通思い浮かぶのが「除湿器」!しかしエアコンマニアの私は除湿器を購入したことはありませんし、実はどうしても買えない感情があるのです・・・。

写真は最近の除湿器でデシカント方式。ゼオライト等の吸湿剤に湿気を吸わせ、熱を加えて吐き出させる方式。

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新潟の家 本物の高気密高断熱住宅にお住まいですか?

今日建て主さんとお打ち合わせをしていて、大変びっくりしました。
ご友人で最近最大手ハウスメーカーで家を建てたところ、ウォークインクローゼットでカビが生えて大事なものはリビングに置いていると言うことです。換気扇がないからと他の友人は助言したそうですが、果たして・・・。

最近は猫も杓子も「高気密高断熱」住宅が標準ですよと行って勧めていると思います。無論この最大手ハウスメーカーも高気密高断熱が標準ですと宣伝しています。

しかし、当ブログやHPでご紹介しているとおり

本物の高気密高断熱住宅に住んでいる(生活している)人は住宅業界関係者でもすくないのが実態です。

特に大手メーカーの若手営業マンなんてまだ自分の家を建てた事もないし、またその勤めている会社の家を建てる営業マンも大手では少ないと言われてます。車に置き換えると、車に乗ったことのない人が、「この車は最高です」と説明しているのと同じですね。

大手メーカーの家は50%を切る原価割合をみたら、とても自社で建てる気にならないのでしょうか(50%以上が人件費、広告、展示場維持経費等に使用されます。設計施工一の工務店さんは25~30%前後、施工のみ建設請け負いでは15~20%)が一般的な粗利ですから、それを考えると大手の自社で建てる事に躊躇するのでしょう。

さて、まず本物の高気密高断熱のおさらいから・・・

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建築士による堂々と行われる法律違反・・・

どんなに素敵なデザインであろうと、作った当時の法律に違反していればそれは評価されない建物になる・・・

先週、家を紹介するある番組でのワンカット。

もう何年も前からこれは法律違反だよ。とお伝えしてきた階段の手摺り。いちいち目くじらを立てるつもりはないが、この家のオーナーが建築士である言うことであえて取り上げます。

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突然のこと

昨日の早朝4時事務所建物で休息していたら突然携帯が鳴りました。寺泊の自宅からでした。「ビアンコが変。直ぐに帰ってきて」とのことで、朝靄の中寺泊へ・・・。

家の中に入るとビアンコの叫ぶこえ・・・。

それは体中痙攣をおこしてもがき苦しむ声でした。彼の目はその痛みなのか、滴があふれてでていました・・・

その看病のため昨日は終日寺泊でした。業務でアポがあったのですがお断りし、またお電話やお問い合わせを頂いたのですが、対応が不十分で申し訳ありませんでした。

一瞬もう・・・と思いましたが、ビアンコは峠を越え何とか回復に向かっていると思います(信じます)。

ご迷惑をおかけした皆様にこの場を借りてお詫び申し上げます。

※ビアンコは19才の♂プードル。

                            浅間英樹


屋根に使う遮熱材(輻射熱反射材)の偽科学は×! 2010年の建築学会論文から 

さて暑い日が続きますので、又その関連の話題です。情報は2010年 建築学会の大会で発表される論文からです。

「屋根下に遮熱材を使った時の効果」を東京都市大学の近藤研究室(近藤靖史教授)で実測を交えた研究をされたようです。

以前から当ブログで、
住宅では遮熱材(輻射熱を高効率で反射する材料)を断熱材の代わりに使っても殆ど意味がなく、断熱材と一緒に使って効果が多少ある。昔からそんな事はわかっているので、国のマニュアル本である「住宅の省エネルギー基準の解説」本にもそれなりの事で記されている。
と言ってきましたが、その事を裏付けるような論文を見つけました。

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新潟 住まい 夜間冷却と通風の効果

この図は昨日ご紹介した赤林研究室(A-lab)に紹介されている研究。夜間冷却を積極的に行っても、8月の気候では冷房負荷が5%の削減にしかならない。それより簾などで日射遮蔽をしっかり行った方が冷房負荷を30%削減できるとなっている。詳しくはここです。

昨日、市街地での通風は効果が少ないとご紹介しました。その続きで通風のため積極的に窓を開けても効果は5%であるという研究結果もありますのでご紹介します。

これは以前からご紹介しようしようと思い、すっかり忘れていた夏の夜間通風の効果。この連日の熱帯夜では誰もが夜間窓を開けても家の中は冷却されない事は一目瞭然(まあ防犯上から夜間開けられる窓は少ないので、殆ど削減効果はなくなるだろうが・・・)。

ある特殊な工法では窓や床下換気口等から、夜冷えた空気を家の中に取り込んで次の日に生かすよと宣伝している(宣伝していたという過去形かな?)建築関係者がいますが、今この熱帯夜でもそんな事信じているのでしょうか?

昨夜仕事終了後、真夜中の12時頃町内ゴミ当番でゴミ収集場にセットをするため歩いて行きましたが、こんな深夜でも各家から聞こえるエアコンの音。昨夜の12時頃の気温が28度ですから皆さんエアコン全開です。今の時代「エアコン」があって本当に良かったですね。この魔法箱のおかげで毎日安眠、快適、感謝感謝の毎日です。


2010年 建築学会 9月9日から富山県で 注目は暑’’だから通風

日本の建築の技術、評価を支える「日本建築学会」。毎年一回開催される学術講演会(論文発表大会)がこの9日から富山県で行われます。昨年は仙台でしたが今年は北陸の都市で富山大学となってます。

この大会に発表される論文は1万を超え、総動員数は6万人と言われてます。日本では医学系学会に継ぐ2番目に大きい大会です。

この中で毎年興味深いおもしろい論文も発表されます。今年の環境系論文では少々昨年より興味を引く論文はありませんでした(多分)。

でもその中で今年のような暑さに対しエアコンを使わない家の計画が可能かを予想できる論文がありましたのでご案内します。ワクワク・・・

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新潟の家 天然素材、自然素材はデリケート 会話しながら

昨年ご案内した週末だけお手伝いしている自然農のガーデン(スパイラルゲイト)にある小屋の屋根です。てっぺんの特徴的な意匠は、実は飾りではなくどうしても頂部にはこのような重りが必要なのです。この重りで一番風が強く当る頂部守り、また雨の侵入を防ぎます。

この頂部、まずコンクリートで重りの下地を造りその上から糊や化学物質を一切含まない漆喰で仕上げます。さてこの漆喰はとてもデリケートなのです・・・

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新潟の家 都市にはエアコンが高効率で運転できる家を!その5

緑字は2011年7月加筆

先ずは結論の図です。

超高断熱住宅で、真夏の夜のエアコンを効率良く使うスケッチです。できる限り1台のエアコンに負荷を集中させて家中冷房運転をします。この時使うエアコンは人からなるべく離れた、家の中で一番熱気が溜まりやすい位置のエアコンが理想です。そして深夜12時から除湿運転に切り替えできれば最高です・・・。

昼間は熱負荷が大きい(深夜の数倍になる)のでエアコン数台運転の方が効率良くなります

ようやくこのシリーズのまとめです。

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新潟の家 都市にはエアコンが高効率で運転できる家を!その4

前回の「その3」では

温熱の快適さで人に影響を与える6要素
1.空気の温度(乾球温度)
2.輻射熱
3.空気の湿度(湿気)
4.気流量(風)
5.着衣料(衣服)
6.代謝状態(運動状態)

の内3以外は説明しました。

今日は3.空気の湿度(湿気)を説明します。

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新潟の家 都市にはエアコンが高効率で運転できる家を!その3

突然ですが・・・

温熱の快適さで人に影響を与える6要素

1.空気の温度(乾球温度)

2.輻射熱

3.空気の湿度(湿気)

4.気流量(風)

5.着衣料(衣服)

6.代謝状態(運動状態)

ですね。

またまたエアコンの高効率まで話題がたどり着かないような始まりです。

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新潟の家 都市にはエアコンが高効率で運転できる家を!その2

事務所の夕方の温湿度。約28度で湿度42%~44%と理想的。別に高気密の建物でなくともエアコンで湿度は直ぐに下がる。少しお湯を沸かしたりすると5%くらい直ぐに湿度が上がる。

さて、エアコンが高効率で運転できるために、最初にする事は現状を正確に把握する事です。その為には湿度と温度を正確に知りましょう。

事務所では高性能湿度計のデータロガーを2個所有しております。しかしこの測定器はリアルタイム表示ができない(記録計なのでパソコンで見る)のが欠点で、その為新たに湿度計を購入しました。

もともと湿度計は結構いい加減な物が多く、1000円以下は表示数値は全くあてにならないでしょう。特に湿度が50%より低い時に相当いい加減な表記になる機器が多いようです。この間違った表記をみて「乾いている」とか「湿度が多い」ときめつけるところから間違いが始まります。先ずは正確に湿度表示する機器を手に入れましょう(温度は安物でも正確です)。

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木の家  木の産地と品質の表示

2010/08/26 12時30分加筆修正。生鮮食品でも現在は産地等を表示しなければなりません。朝市でも表示しているのかな?

JAS法違反・・・といえばウナギの産地偽装とか、お米の産地(銘柄)偽装とかが直ぐに浮かびますよね。このように食品の産地や品質に対しては消費者はとても厳しく考えてます。

そのJAS法とは

農林物資の規格化及び品質表示適正化に関する法律

であり、大雑把に表現すると、物の嘘表示(不正評価)をさせない法律ということです。

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超高断熱 Q値 0.86W/m2Kと0.93W/m2Kの家の暑さ対策 遮蔽

「緑の家」は超高断熱の家を勧めていますが、今年のご相談、お手伝いしている家はほぼ全てがSSプランの家です。その設計が終了している家のQ値は

Q=0.86w/m2k S邸 (耐雪2mのビックスペースのあるSSプラン)

Q=0.93w/m2k H邸 (ターシャのような自然素材で高性能の家) 

と超高断熱にふさわしい性能値(第三者評価なしですから暫定)です。

こんな暑い中「超高断熱」なんて語句はそれだけで暑くなりそうな感じですが、そこは大丈夫。SSプランの家は「簾」が最初からかけられるように、あるときは庇が(ピンクの丸)、あるときは簾受けがついております。

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新潟の家 都市にはエアコンが高効率で運転できる家を!その1

最近の暑さにはもうヘキヘキしていらっしゃると思います。ようやく明け方の最低気温が24度になってきました。もうすぐ秋です。乗り切りましょう。

さて熱中症で亡くなる方が連日報道されていますが、その殆どの方は高齢者でなくなる時間は夜とのことです。暑いことで亡くなること、これはとてもつらい事です。人ごとではありません。しかしエアコンの設置率が2.5台/件を超える今の世の中でどうして夜に発症するの?という疑問がありますから解説と対策をオーブル流(荒っぽい)で考えてみます。

全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

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正しい家造りの権利。それが第三者工事監理!!

工事監理者とは図面と現場が同じかチェックする人のこと。所謂現場監督ではありません。

建築基準法では「建て主が工事監理者を決めなさい!」という強い表現になっている。つまり建て主さんがその決定権を持っている事を法律が認めている、しかしこの決定できる素晴らしい権利を手放す建て主さんが多いし、工事監理者を建て主さんの自由にさせない工務店が多い。

工務店さんや建設会社を始めとする住宅業界は、どうしても人の評価を受けたがらない閉鎖された業界です。ましてや法律で守られている建て主さんの権利と義務の「工事監理者の選定」、これさえも認めないこの業界は、まるで無法地帯の魔界のよう・・・

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木の魅力 古い建物と木のキッチン

この写真はnative dimensionsさんのSさんの撮影です。

築72年で解体が決定した新関小学校(旧新津市)の扉です。

何とも言えない木の表情です。角がとれ丸くなって皺があるご老人の優しさを感じます。木の表面は当初ペンキ塗装がされていたのでしょう。当初は塗り直したのでしょうが、もう数十年くらい塗装はされず時のたつまま。木の魅力はつきない・・・ですね。

そして木の最終段階の色・・・シルバーグレー色。とても落ち着きます。取っ手の真鍮ととても仲の良い感じです。  最近削られた部分は新品色ですね。校長室に入る前にその扉枠に擦るような情景を想像し思わずにんまり。

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設計業務の独立性の重要さ!!

拙者の業務風景。3画面を常時使用。モニターは安価なTN型ではなくIPSPVA型のナナオをメインに使用。右画面に構造計算ソフトを動かし、左にメインのAUTO CADで作業し、構造計算の結果を確認しながら変更を加える。この連動作業をしないと、構造が不安定なプランを提案する事になる。

最近よく思うことに、工務店、施工主体の建設会社さんはよく設計業務ができるな~。と思うことです。

実は私が設計している家は別に特別な家ではありませんが、基礎の検討~シュミレーション~設計の部分だけで延べ1週間ほどかかっています。

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新潟の自然素材の家 天然素材を木の外壁を自然のまま使う。

この家は、当事務所の設計ではありませんが、米杉の無塗装の20年以上経過した家です。

天然素材の木を塗装もしないでそのまま使った時心配するのが、「直ぐに腐るのでは?」とか「10年後はどんな感じ?」と思うでしょう。でも日本では無塗装でも木の外壁が一番長寿命なのです。

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COOL BIZ クールビズなんか本末転倒・・・というお言葉

私は空気調和衛生学会の会員ですので、毎月学会誌が送られて来ます。その中で、

「クールビズの効果を確実にするためにには何が必要か、何をなすべきか?」という意見を求めるコラムがありました。その中で坂本雄三東京大学教授の意見に「ごもっとも」と思わず声を上げました。

全文を載せたいのですが制約もあるので勝手に掻い摘んで

「服装としてのクールビズは大賛成。しかしクールビズによって省エネルギーを達成しようと言うキャンペーンには反対。・・・

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低価格な家と高価格な家の違いは・・・ 

最初に・・・
当ブログでは基礎の話題が最近多くありました。それは世の中も同じで「長期優良住宅、基礎、新潟県 」とかで検索すると色々なHPやブログがあります。そこで基礎に対する施工側の意見はやはり「ここまでやるか?」とか「今まで造った事のない基礎」とかという発言が多いです。でも長期優良住宅だから特別な基礎が必要ではありません。基礎の構造は主に家の重さが一番で次に地震時の強さで決定されますが、家の重さなんて長期優良住宅でも普通の家でも変わりせん。なのに一様に
「今まで造ったことのない地中梁(土の中にある梁)」だとか、
「D16という太い鉄筋で造る事になり大変」
とあります。

それをみて私は大変青くなります。

やっぱり今まで基礎の計算や構造を考えずに設計していたんだと。

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良い家と長期優良住宅

長期優良住宅の認定を受けるためには、

1.地震に強い家の証明

2.断熱性能が高い家の証明

3.耐久性が高い家の証

4.メンテナンス性が良好な家の証明

が必要です。これを行政が確認評価できると、めでたく長期優良住宅として認定して頂けます。申請コストを考えなければ建て主さんにとってすばらしい制度ですが、造る側(工務店、建設会社)はなぜかおよび腰です。

それは・・・

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新潟市の皆様 大丈夫ですか?

今日もこのご紹介からです。新潟市の今日の朝5時 28.4度!![E:sad]

一日の最高気温はよくニュースで話題になりますが、朝方の気温は殆ど話題になりません。でもよく考えると朝方の気温の方が生理的影響が強いのではないでしょうか?

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自然素材、天然素材の家 ウッドデッキと薄い木、厚い木

木は太い方が腐らず丈夫だと考えているあなた。
それは間違いです。雨や水が掛かりやすい部分は薄い木が腐らないのです。 築16~18年くらいのウッドデッキです(2~4年くらいで造っているので)。

「ウッドデッキの木はアイアンウッドのようなハードウッド等でないと早く腐りますよ。」と口を酸っぱくして申し上げております。その実例を紹介します。

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