デザインと構造は一体 ① 軒の出を支える垂木(たるき)は・・・

前のブログで、いくら優れたデザインでも現法律に沿っていない建物は評価出来ないとと申し上げました。特に構造の安全性を無視した建物は評価にならないばかりか、人命をも危険にさらす凶器になります。

その大事な デザイン=機能(構造) について何回かにわたり連載したいと思います。

その1 軒の出(屋根の出)を支える木=たるき

暑い夏・・・もう秋ですがこの暑い夏に家の防暑対策が重要という事を実感したと思います。設計では有名なその建物防暑対策の一つが南の「軒の出」→「屋根の出」のこと を大きくとる手法があります。

しかし以外とこれが難しく、法律を守っていない家も多々あるでしょう。

 この家の軒の出は約1.2m。たるきは巾4cm背24cmという大変大きいものを30cm間隔で並べるという構造。見た目もすごい。

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軒の出の無い建物

軒の出とは、外壁から屋根(時には庇や笠木)が出っ張っている寸法のことである。昔から日本の建築物は、軒の出をできるだけ大きくするように心がけた。これは、大きく2つ理由がある。1つ目は、軒の出=屋根が大きいとなるが、屋根が大きいと立派に見える。実際軒の出の大きい建物は、コストもかかるし、技術的にも難しくなりやすい。社寺仏閣は、屋根によって美しさが決定されると言ってもよいほど最も大事な建築の部分であり、時には権力等の象徴としてデザインされる事もある。2つ目は、外壁と窓周りを日射や雨から保護する役目である。軒の出が大きい程、高い保護が可能ということである。アルミサッシの無い時代、漏水するところはまず窓周りとなる。これは、日本建築が柱と柱の間に間戸(窓)を計画してきたことに原因がある。木で出来た間戸は間違いなく最初に雨漏りする。しかしアルミサッシ普及に伴い、軒の出の無いビルでも雨漏りが聞かれる事は少なくなったため、この問題はアルミサッシ普及とともに無くなった。残るは外壁の耐久性の保護となる。

壁に比べ屋根に使われる素材は、建築物の中で基礎と同じくらい耐久性がある素材が使われる。例えば瓦、セメント瓦、銅、錆びにくい金属類、石である。これらの材料は全て基礎(地中下)にも使う事のできる素材である。しかし流行のサイディングはどうやっても屋根に使う事は出来ない。つまり耐久性がそこまで確保できないからである。

  最近軒の出のない建物が多くなった。デザイン的にモダン(ビルのような箱物ようなシンプルな形)に見えるからという理由らしい。当事務所でも軒の出のない建物は比較的多い。これは、デザイン的理由ではない。一番は、採光上有利であるから。2番はコストがかからないからである。近年市街地の住宅だけでなく、郊外住宅も敷地が多く取れない状況であり、敷地ぎりぎりに住宅を建築する事が多い。そのため外壁を隣地から少し離しても、屋根が大きいと、ほとんど隣地境界線すれすれとなる。こうなると自分の家ばかりかとなりの家まで暗くなり影響が大きい。そこで当事務所は、軒の出の無い建物をご提案する事が多い。但し外壁の素材は、ガルバニュームという屋根に使う素材。理由は上で述べたとおり、軒の出の無い建物の外壁は、ほとんど屋根と同じ過酷な状況。そこで屋根と同じ素材を使う事で、耐久性に影響を極力与えないようにする。チラシや町でよく目にする軒の出の無い建物で、外壁にサイディングを使っている建物がある。この建物の外壁の耐久性は大丈夫なのであろうか?(軒の出の無いビルの外壁は、昔から耐久性に気を使っていた。古くは本物の焼きタイルやコンクリート。今は金属やガラスがおおい。いずれも屋根に使える素材で耐久性は高い。)

写真は左が軒の出が両方ある建物が並んだ場合。右は軒の出が無い建物が片方である場合。



長岡千代栄町の家 スタディー模型完成

仕上がりと屋根の大きさを見るために3つ屋根をつくることになった。また屋根上ソーラーパネルに縁がない豪雪地ではいまだに寄棟が無難な屋根形状ともいえる。

長岡市に計画中の長岡千代栄町の家の模型ができた。市街化調整区域になっている土地なのでこれから各申請を行う必要があるが完成形がみえ目標も定まる。性能は旧長岡市内であるためいつもように耐雪2.5mで耐震等級3を計画している。地震地域係数も0.9ではなく1.0として余裕を持たせている。豪雪地では超高断熱性能の充実よりも耐雪性能のほうが重要となることが多い。それでもUa値は0.26w/m2kを目標としたいが、サッシの性能いかんだろう。

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擁壁配筋検査 松浜ヒルサイドの家

柔らかいトーンのウールホワイトでまとめた外観はSGL(新ガルバユーム)から想像も出来ないくらい優しく、丁度住うご家族と混じり合う色。

本日は松浜ヒルサイドの家の擁壁の配筋検査で現地に赴いた。淡い色の組み合わせがやさしい感じの松浜ヒルサイドの家である。

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県境さんぽくの杉の木の家

平屋なのにお隣の2階建てに近い屋根高を持つ美幸町の家。

現在旧新津市(現新潟市秋葉区)に建築中の美幸町の家は、旧山北町で製材された杉の集成材を柱や梁に使っている。杉ラーの私にとって現場に伺うと構造材の杉の匂いに満たされる幸せを感じる。

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耐力壁検査 鹿嶋市の家

太平洋側の木の外壁の場合、軒の出は1000mmにも簡単にできるので屋根が大きく、これだけで無難な家といえる。

茨城県鹿嶋市に建築中の鹿嶋市の家の耐力壁検査に先日伺ってきた。いつも通り往復800kmであり「風」が車検だったのでカングーで伺ったので多少腰のすわりがいまいちだった。

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高気密高断熱住宅(拙宅)の31年目の樹脂サッシの取り替え その6 まとめ

納まり上、今回クロス通気は難しかったので30×40材で通気層30mmを確保し、且つ透湿防風防水シートは断熱材がGWのため防風層にもなるのでブチルテープによる全面接着は必須となる。

当然・・・今回の一例で全て建物がそうであるかのような事を申し上げるつもりはないが、過去様々な家のアフターメンテナンスでも多くを経験している。それらを事例を踏まえて、今回の31年経過した高断熱高気密住宅壁内状況のまとめとしてお伝えする。
その1 その2 その3 その4 その5

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名古屋の家 30cm外壁の模型完成

2024.03緑字加筆

住宅密集地に計画される名古屋の家。このためAsグレードの家であるが庇は小さめ。

昨年暮れには基本設計が出来ていた名古屋の家であったが、当事務所のスタッフ不足で2ヶ月遅れで模型がようやくできあがった。

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素材を見直す 2

原村の家のトイレの戸。赤黒の木目がよいと思う人は杉LOVEの資質有。基本に忠実な戸のデザインとブルー系のモザイクタイルがしっくりとおさまる。

ここ10年ずーっと杉LOVEと言っている私であるが、原村の家のオーナーさんとそこで意気投合することと思っていないなか、この建具の杉をみて「これ、これ」と互いにうなずき合った。木の意匠は唯一無二であるから愛おしい。

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原村の家 上棟

先月長野県諏訪郡原村に建設中の原村の家が上棟した。森の中に建つ住まいとして、2階建て(実質1階高床)ながら高さを抑え水平方向に伸びやかな意匠が周囲環境と調和していると感じる。

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暑い時期にもう一度・・・庇の大きさ

庇や軒の出で最も重要なことを昨年の冬にお伝えしているが、当時は冬なので実感はないはず。そこでもう一度コピペにてお伝えする。簡単にいうと普通の南窓には庇が40cmも出ていれば十分日射遮蔽の効果があり、それ以上大きく出ていても大きな効果はほとんどないとのこと。但し・・・

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SGLの外壁 燕市吉田の家 完成前

久し振りのビス留めSGLの表情。メカニカルな感じが好きである。

「緑の家」ではSGL(高耐久性ガルバニューム)を標準で使用するが、今回のSGLは黒でしかもビス留めによる施工である。私は釘よりこちらの方がメカニックっぽくて好きであるが、ビスが目立つので好き嫌いはあるだろう。ちなみに吉田の家は設計積雪1.2mで耐震等級3、UA値は0.25w/m2kの何時もの超高性能である。

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清五郎の家 完成5 家はやっぱり敷地から

撮影日には何故か青色が集まっていた清五郎の家の外観。外構はゆっくりと行う予定でまだ未施工。

耐震等級3・耐雪1mでUa値0.22w/m2k、完成気密性能は0.1cm2/m2と超高断熱高気密の清五郎の家は当初木の外壁の予定であったが、最終的にSGLになっている。このため、実施設計途中で屋根の出(軒の出)を400mmほど縮めて構造計算もやり直している。

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松美台の家 模型完成と・・・

真上からみると稜線の美しい基本に忠実な寄せ棟。「緑の家」は雨漏れの原因を限りなく排除した無難な形状の屋根が基本。

新潟市の松美台に計画中の「松美台の家」の模型が完成した。とてもシンプルな形状の「緑の家」である。耐震等級3で耐雪1m、予定UA値0.28W/m2Kといつもの超高断熱高耐震仕様である。

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千葉県船橋市の坪井町の家 下地最終チェック

三角屋根の無難な坪井町の家。廻りを見渡してもこのように庇がしっかりある家は近年少ない。

今月中に終わらせると施工の田中住プランニングさんが宣言しているが、現場に伺うとまだ壁や天井のパテ処理中である。本当に間に合うのか・・・といつも思うのだが、これが完成するから不思議である。

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高崎 榛名の家 足場撤去

明け方の榛名の家。群馬県らしく少し霧がかっている早朝らしい柔らかいショット。元気な里芋とネギが良い。

1月から施工を行っている榛名の家の足場がとうとう外れた。榛名の家は断熱性能Ua値0.28w/m2Kという超高断熱で耐震等級3の長期優良住宅の認定を受けている。当然床下暖房も10年を超え、より安定感が増している。

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