三条で建築中の「上須頃の家」で次の日時に途中見学会(体験会)を行います。これは補助金付の長期優良住宅で定められた事で「構造見学会の義務付け」が定められております。そこで、ただの構造見学会では面白くないので今回は「建て主さんが塗る壁」の途中経過と、実際の漆喰(又は珪藻土)の塗り方を見て頂こうと考えて実施します。
「 自然素材 天然素材 」一覧
無塗装の木の外壁(杉 赤白) 2年後
毎年恒例の無塗装の外壁の変化です。軒の出は木の外壁としては最小限度の50cm。材質は日本の杉(赤白)。厚14mm程度です。丸2年経ちました。
良いでしょう。無彩色なシルバーグレーに春の花。本当に花の鮮やかさを引き立てる外壁です。
超高断熱で天然素材の完成見学会 終了 その2
天然素材の外壁 そして超高断熱、耐震性等級2の家
新潟の家 屋根の拘り・・・② 外部での木の使い方
渡辺邸はお寺でなく豪商であるためか木の屋根です。無論、財力はお寺以上あったのに、瓦でなく木の理由はよくわかりせんので興味ある方はお調べください。
さて、木を屋根に使う事は一世紀前までは極あたりまえでした。そもそも今と違い金属やアスファルトなど大変貴重ですし、製造技術が無かったことが最大の理由でしょうが・・・
木の魅力 古い建物と木のキッチン
この写真はnative dimensionsさんのSさんの撮影です。
築72年で解体が決定した新関小学校(旧新津市)の扉です。
何とも言えない木の表情です。角がとれ丸くなって皺があるご老人の優しさを感じます。木の表面は当初ペンキ塗装がされていたのでしょう。当初は塗り直したのでしょうが、もう数十年くらい塗装はされず時のたつまま。木の魅力はつきない・・・ですね。
そして木の最終段階の色・・・シルバーグレー色。とても落ち着きます。取っ手の真鍮ととても仲の良い感じです。 最近削られた部分は新品色ですね。校長室に入る前にその扉枠に擦るような情景を想像し思わずにんまり。
新潟の自然素材の家 天然素材を木の外壁を自然のまま使う。
蒸し暑い朝が続きます。
自然素材、天然素材の家 ウッドデッキと薄い木、厚い木
木は太い方が腐らず丈夫だと考えているあなた。
それは間違いです。雨や水が掛かりやすい部分は薄い木が腐らないのです。 築16~18年くらいのウッドデッキです(2~4年くらいで造っているので)。
「ウッドデッキの木はアイアンウッドのようなハードウッド等でないと早く腐りますよ。」と口を酸っぱくして申し上げております。その実例を紹介します。
新潟 自然素材の木の家 夏の過ごし方
2010/07/26写真追加しました。
暑いですね。そろそろ築20年ですが、高気密高断熱なので夏が暑いという経験は、エアコン設置されていない竣工後1年までで、今は快適~な室内です。
続・どうして自然素材の家でも24時間エアコン冷房してしまうのか?
畳を剥がすと断面が見える。この畳は半分くらい発砲スチロール。
今の季節、日曜日に散歩して町を眺めるとほとんど家の窓は開いています。当たり前ですよね。窓を閉めて入れば暑くなってしまいますから・・・。
でも「緑の家」の窓は閉まっている人も多いでしょう。拙宅も窓が24時間閉まっています。そうですね。エアコンで家中空調しているので窓を開けないのです。
海風が吹くそんな自然豊かな環境(田舎)の中の拙宅でさえ、お風呂やトイレでさえ一年中閉まってます。
どうして自然素材の家でも24時間エアコン冷房してしまうのか?
2010/07/11誤字脱字が多くありましたので訂正しました。
拙宅の室内の内壁と天井は全て木です。この木の調湿作用に関係なくこれからの時期はいつも24時間エアコンで、気温が下がる明け方でも窓は開けません。それはある科学的理由があるからです。
新潟で自然素材の家を設計 自然農のガーデンから学ぶ
自然素材は梅雨時にカビが生えると先週記事にしました。ところが石はカビが生えない唯一と言ってもよい自然素材(建築)ですね。苔は生えますがカビはあまり見ません。この写真はその石を積み上げて雨水(半地下水)のタンクをつくりました。今日は大雨で濁りが混じってます。
間違った認識 自然素材と梅雨
雨が続くうっとうしい季節・・・それが梅雨です。
梅雨時期には相対湿度があがり気温も高いので「カビ」にとっては天国です。
一方最近の自然素材ブームで家には天然素材が多く使われております。
しかし最近の若い人は「土用干し、虫干し」を知らなく、自然素材に対し間違った認識をしている人が多いようです。
新潟自然素材の家 9年経った今でも話題になる家
いまから9年ほど前に竣工した家ですが、事務所で打ち合わせしていると毎回話題に上がる家M2ハウス(仕様はSプラン+α)です。ほとんどの方に評判が良いですね。たぶん敷地条件が良く、後ろの山や手前の草木がこの家の雰囲気を盛り上げているのでしょう。また屋根勾配をきつくしている事もその理由です(屋根急勾配は雪下ろしとの関連があるので、降雪地域では十分検討が必要)。
外壁は中霧島壁を当事務所では初めて使いました。理由は、軒の出(屋根の出)のない建物がご希望でかつ、左官壁が好きというご希望で探したところ、この材料なら長期メンテナンス不要で大丈夫だと判断しました。今でも問題ないところを見ると私の判断に間違いはなかったということです。主素材は天然素材の火山灰とセメントです。セメントは元々コンクリートの接着成分としての材料。だから水やお日様、環境の変化にとても強いのです。
またこの材料の最大の印象である「色」が天候によって変わります。これは主成分である火山灰がその吸水性による特徴で大きく変わるのです。写真は前日に雨がふった次の日です。まだ日の当らない西側の壁の一部が濡れてオレンジ色が鮮やかに主張してます。この外壁はこの色が一番鮮やかにこの現象がでます。普通雨の日の家の写真はパッとしないのですが、下の雨の日の写真は何とも言えないオーラが出ています。
室内インテリアもデザイナーの夫婦らしく大胆で美しいです。 この構造の梁は対になるようにデザインした自慢の構造です。スパンは6.37m。
同じ色素材を使っても軒の出を大きく取った下の家ではまた印象が違います。上のM2ハウスでは洋民家風ですが、下のK邸はオーソドックスでこれももまた良い感じです。
昨日の寺泊から 自然素材の家 発
うらやましいですね~。海を見ると釣りですね。今はキスですか?取れたてのお刺身はぷりぷり感が違います。うまいですよね。
昨日は濁りのない空気に満たされたそんな気配の朝でした。
拙宅のシンボル、「ケヤキ」です。植樹後20年ですからもう青年でしょうか?
このケヤキくらいですとこれ一本で家族1人+1匹分の酸素を供給してます。そして2人分弱のCO2を吸っています。すごいですね。地球の生物の中でも植物は循環の根幹を担っている生物です。
拙宅みたいに裏山有りの田舎ではケヤキは問題なく植えられますが、ケヤキは大きくなる木ですのでそう簡単に宅地に植える事はできません。しかしこの樹形、害虫の少なさ、特に風と遊ぶ華奢な葉が歌うざわめき音は、他の木にはない優しい響きです。ですのでケヤキはとてもお勧めです。そこでケヤキを植えるなら株立ちを選ぶと良いでしょう。株立ちなら大きくなりにくいので、市街地でもOKです。だだし、葉っぱが多いのには変わりありませんからご近所さんで落ち葉の嫌いな方がいらっしゃるなら少し考えなければなりません。
天然素材や自然素材が好きな方でも落ち葉が嫌いな方多いですよね。私は全く問題ないのですが、コンクリートで閉ざされた土地では循環できないので気になるのでしょう。落ち葉が嫌いな方でも野山へ紅葉を見に行ったりする事はどうしてなんでしょうか?同じ働き終えた葉っぱなのですが・・・。ただ「ご近所さんに迷惑になるから」という理由はよくわかります。
そういえば娘が小さい頃よく落ち葉を集めました。栃の木の葉っぱなどはとても立派だし、定番の紅葉は形が手みたいだし、銀杏のあの黄色は独特です。 理想はそんな木々で家の周囲を満たしたいですね。
新潟の自然素材の家 安全性に尽きる。
先日も書き込みましたが、「家は安全性が何よりも優先される」ということはどの人でも共感して頂ける認識だと思います。安全性があって初めてインテリア、自然素材、性能、設備があるのです。しかしチラシや広告、モデルハウス、ウエブなどには平気で安全性の欠如した写真をよく見ます。
特に最近流行の「梁」が内部に現れているインテリア。その端部にあるべきはずの補強金物がない建物。大変多いです。法では梁の緊結が規定され、その具体的な方法は各種書籍とくに「木造住宅の許容応力度設計」のなかにもきちっと、「全ての梁の端部は羽子板金物などで補強する」と記されています。どういう根拠でそれを省略しているのでしょうか?普段は外れる事はありませんが地震力で横から力が加わった時に、蟻ほぞだけではまず間違いなく蟻部分を破壊する力が働き外れる可能性がとても高いです。阪神淡路大震災で亡くなった人の木造住宅では、この梁が外れた事による圧死も大変多かったです。
「昔からこれで大丈夫」等という返答は構造に無関心の証拠です。必要な物は必要なのです。
中越地震の時に長岡市に建っていた緑の家。差し鴨居もある大きな吹き抜けに計画される「見える梁」でも全く問題なかった。それはクレテック金物でしっかり緊結されているから。
上からみた写真。吹き抜けにある梁は補強金物が不要なクレテック金物で梁を繋ぐ。矢印の所には普通のプレカットの加工では必ず補強金物が入らなければ、厳密には法律違反となる。
当事務所が創立以来クレテック金物に拘る理由がこれ。補強金物を必要無しに木と木を繋ぐ金物。クレテック金物の供給会社さんによると「オーブルさんは県内で一番早く使って頂いた設計事務所の一つ。13年前はほとんど県内では売れていなかった」とおっしゃっている。
玄関ポーチの柱とその根元。この基礎コンクリートは、オーブルのオリジナルデザイン。そしてやっぱり1m基礎(笑)。更にこの柱の根本には見えないように金物が補強されている。この辺が構造優先そしてデザインも大事というバランス感覚。見た目だけでOK、又は構造的裏付け無しというメーカーとは違う姿勢で家を造るお手伝いをする。それとオーブルではタイルよりモルタル仕上げが多い。なぜかモルタル一体感と職人の鏝による優しい素材に惹かれる。
新潟の家から 自然素材の外壁とは・・・
この家は昨年6月に竣工した「緑の家」です。同じご近所のメンテナンスに伺ったさい、前をとおりかかったら、あまりにも花が綺麗に咲き誇っていたので写しました。すると燕がヒラリヒラリと玄関へ・・・。
昨年竣工した他の「緑の家」でも、山鳩が巣を作ったりしている事の連絡をうけております。なぜか新築後は小鳥が巣を作る事が多いですね。拙宅も「燕」や「雀」が巣を作ってました。真下が汚れる事で嫌う方もいらっしゃいますが、許せる範囲であれば楽しいものです。
さて外壁が無塗装の木の家。そろそろ色が変わり始めました。当初は水が残りやすい板下端から変色(所謂カビと紫外線退色です)が始まります。
私はこれが楽しみですが、世の風潮はこの色の変化がいやだという人の方が多勢を占めます。この家の近所にある、やはり木の外壁を使った家は、全く変化がないのっぺらの黄色の塗装色です。
自然素材とは変化があるから「自然素材」なのです。石のような無機物以外は、写真の木の幹の色のように、紫外線で退色しグレー色にかわる事が自然の中にある本来の有機物の姿です。だからこそ命ある葉っぱの緑色や可憐な花の鮮やかさがよりいっそう際立つのです。「命あるもの=花」と「勤めを終わったもの=木表皮」の役所の違い役割です。
普通の人はこの外観が一番良いというだろう。しかし私は1年後の外壁色方が好き。この揃った木の色は、自然環境(外部)では存在しない色だから、緑や花の色がくすむ。
無塗装の外壁の木はかんなで仕上げた表面だから意外とつるつるする。この通り太陽光を反射して光っている。 一方で既に色が退色し始めている。そして3年くらいで手前の木の幹と色と同じくなる。
外壁の所々がグレー色になり始めた。このあたりが少し我慢の時期(私は良いと思うが)。しかしこのグレーだからこそ花や緑が映える。これが「緑の家」ですね。
長期優良住宅と床下暖房の組み合わせには欠点がある?
2010.05.03 薬剤散布で緑字加筆
今年度も「木のいえ整備促進事業」とうい補助金事業があります。これは実質、昨年度の長期優良住宅普及促進事業と同じで、長期優良住宅に認定されれば100万~120万の補助金を受ける事ができるという事業です。ところがこの長期優良住宅の認定には「劣化防止等級」が最高になる等級3の劣化防止性能がなければなりません。
この劣化防止等級3では、殆どの木造住宅で白アリ予防剤という殺虫剤のような薬剤を壁の中の木に塗布しなければいけません。すると現場でこの薬剤処理を施すと、通常は外周部の根太や大引という床下にある木材にも吹き付けられます。
そこに床下暖房を施すと木に染みこんだ薬剤が温風によって気化され、居室に温風と共に床下から積極的に取り込まれます。これは10年位前に各地で訴訟にまで発展した○×ソーラーと同じ欠陥(シックハウス)です。床下暖房はすばらしい暖房方式ですが、様々な欠点を持つ諸刃の剣です。
2010.05.03緑字加筆
メイルで「ヒノキ、ヒバ等(ロのaの樹種)を使えば薬剤散布の必要はないのではないか?」と問いあわせがありました。その返答は、
「仰せのとおりその可能性もあります。がしかし現実的には厳しいです。というのは、柱以外の素材もヒノキ、ヒバ等にするのは大変です。柱以外には間柱、筋かい、合板、胴縁があるのですが、合板はすでに薬剤散布(注入)しかありませんし、筋かい、胴縁をわざわざ市販流通されていない材料を使う事で割高になります。ですので筋かい、胴縁をあえてヒノキやヒバを使っているとの話をほとんど聞きません。(一般の建て主さんには樹種の見分けがつきません)更に詳しく言えば、ヒノキ、ヒバでも性能表示のマニュアルでは、芯材がふさわしいとありますが、柱も含め胴縁は普通辺材混入です。芯材だけの胴縁を果たして使っているのとは思えませんし、それは現実的ではありません。よって一般的には薬剤散布が現実的対処です」 芯材の事 参考↓
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-7ac4.html
外断熱を施した家は無論、充填断熱による工法であっても先ほどの室内への薬剤の侵入は確実に起こると予想されます。かといって勝手に現場で薬剤散布を中止すると長期優良住宅にはなりません。長期優良住宅にならなければ、補助金を受けれませんし、もしこの事を伏せて補助金を受ければ、大きなペナルティーが建て主さんと施工者に課せられます。補助金=税金なので、故意の補助金の不正取得には大きな罰則があります。
長期優良住宅以外は、平成13年度から白アリ予防剤散布をしなくても新潟県では一般的に行われる通気工法だけでも一定の防腐防蟻効果があると国(公庫)が認めてます。しかし、一定の効果だけでは長期間の防腐防蟻効果を求めた劣化等級3を満たせないので、防腐防蟻剤を塗布する決まりができました。
どんなに建設会社が「この家は劣化の耐久性がある」といっても、国等が認定しなければ全く意味がないばかりか、実際の性能も疑わしいものです。
ですから長期優良住宅に安易に床下暖房(スラブヒーターも同様)を施すと、シックハウスになる可能性が高くなり、欠点となります。
さて、
オーブルデザインでは事務所設立時の13年まえからこの薬剤塗布に疑問を感じ塗布を一切行わずに全ての家造りをしてます。また当然この薬剤を使わない標準仕様の家造りで長期優良住宅を取得しております。その秘密(もっぱら公開宣伝してますが)は1m基礎にあります。こんなに良い基礎なのにどうして皆さん(建て主さんも建設会社さんも)が「緑の家」をまねてのように基礎1mをにしないかとても不思議でなりません。
新潟で自然素材の家 木は濡らさない② 木の外壁
三条市の旧大通り近くにある建物です。窓の中をよく見るとわかりますがこの建物は土蔵造りです。土蔵の外壁である漆喰壁はその漆喰内部の土壁が湿気で脆くなるので数十年に一回塗り直しが必要です。そこで最近の土蔵はメンテナンスを減らす意味で漆喰壁を覆うように木の外壁を貼ります。昔ながらの白い漆喰の土蔵は見なくなりつつあります。
この木の外壁は杉の無塗装です。約30年から40年経過してしていると思いますが、まだまだ十分美しく、もう20年くらいはいけるのではないでしょうか?このように上に屋根があるだけで木の外壁はよく持ちます。この外壁を留めている釘は鉄ですが、この釘が先にだめになるでしょう。
そして驚くべきは、窓の上の庇が木だけで出来ています。デザインも美しく、見事にこの倉にマッチしてます。さすが昔の大工さんは、木をどこにどのように使ったら良いかよく心得てますし、美的センスも持ち合わせています。
この木だけで造った庇は上屋根に守られ、こちらも機能上全く問題ありません。木は屋根があれば、無塗装であっても非常に腐りにくい素材です(但し新潟県平野部は西側は季節風があるので寿命は25年から35年)。
しかし屋根がなければあっという間に腐り土に帰ろうとします。この庇だけを見ると杉をウッドデッキの床に使っても腐りにくいのではないかと考えてしまいますが、これは間違いです。水がかかりにくく、仮に掛かっても屋根のように斜めで直ぐに水が切れる事が重要なのです。
ずいぶん前から何回か(1 、2 、3 )申し上げておりますが、
最近の設計者は屋根の出がない家(軒の出の無い家)をよく設計します。流行の軒の出のない家に木の外壁は避けなければなりません。例え防腐オイルなどが塗ってあっても、あまり意味はありません。屋根の下の木に比べ寿命は1/2以下でしょう。特にエコや自然を大事にと御旗を掲げたのに、自然素材の代表である木を雨ざらしで使っては全く逆効果で自然素材の浪費となります。
新潟で自然素材の家 木は濡らさない①
最近「木」を外壁に使った家や建物を多く見ます。木を使った外観はとても柔らかい雰囲気を出し人気があると思います。
木の外観はとても歴史が古く、日本の建築の外壁は「木」だったと決めつけても問題ないくらいです。ところが戦後の建築から木の外壁が消えました。この原因は「防火仕様厳守」→「高価になる」という事が大きかったと思います。このことは後に再びお伝えします。
アイアンウッド(ウリン)で造った大きなT邸のウッドデッキ。当初この木は無塗装のままのでこんな茶色。これが数年でシルバーグレー色になる。
木は濡らさない①
今回は流行の「ウッドデッキ」から・・・。まず簡単に歴史を。
新潟県ではウッドデッキは15年くらい前から流行し始めました。当事務所でウッドデッキを初めて造ったのは、事務所開設後直ぐの12年前になります。この頃はウエスタンレッドシーダーという材で造りました。この材は当時は高価でしたが、腐りにくいのであえて採用しました。今も立派に機能しておりますが、やはりそろそろ痛みが目立ち始めました。
その後ウエスタンレッドシーダーと耐久性が同等と言われた防腐剤が入った針葉樹系の材料でコストを押さえた造りで2棟、そして6年くらい前から全てアイアンウッドでウッドデッキを計画してます。このアイアンウッドで造るきっかけとなったのがある建て主さんの一言です。
「木自体の材料価格が2倍しても、2倍の耐久性があれば、その材料で造ってくださった職人さんの努力は倍の時間は無駄にならない。勿論コストも・・・。」
本来なら私がそれを申し上げる立場なのですが、この一言で多少コストが高くてもアイアンウッドを奨めようと決めております。
ウッドデッキには色々な木が使われますが、ほぼ次のような耐久性です。
スプルス ・・・4~6年
杉 ・・・5~8年
松 ・・・5~8年
檜(ヒノキ) ・・・6~10年
ヒバ、米杉 ・・・6~12年
加圧注入(軟材)・・・7~15年
〃 (良材)・・・10~20年 公園の設備等に使用
アイアンウッド等・・・20~30年 桟橋などに使用
これは防腐剤(ex.キシラデコール等)を塗布しても殆どかわりません。というのは、木は各接合部から腐り始めます。一度組み立てた接合部には、防腐剤を追加で塗る事はできません。その接合部でも木口と呼ばれる部分からの腐朽が殆どです。この木口は接合部であり、この接合部がだめになると安全性が確保できないので寿命となります。まだ丈夫な平部分があるのにも関わらず・・・。こちらのリンクはログハウスが築10~15年で腐ってリフォームした情報です。
今は流行で雨ざらしでウッドデッキが造られますが、メンテナンスの有無に関わらずアイアンウッドや加圧注入(中材)以外はほぼ10年で朽ちます。それは間違い無い事です。しかし多くの建設会社や工務店さんが「大丈夫!メンテナンスすればある程度腐らないよ」と奨めてますが、これは間違った認識です。
昔の大工さんは雨ざらしで木を使う事は絶対してません(屋根を除く。屋根がOKだったというのは、屋根が多少腐っても人が載るような、また建物自体に危険が及ぶ場所でなかったためです)。
木は雨ざらしでは必ず腐るのです。特に松、杉、檜(白太)は10年以内で使用不可です。この点は間違った認識をしている専門家(工務店、建設会社)より賢くなり、無駄なコスト削減と資源保護をしたいですね。
民家の涼しさを検証する・・・大地露出構造
さて、冷房中の家でどこに洗濯物を干すか?に少し昔の民家が涼しいと言われる理由をダブらせて考えてみます。ここからは番外ですが、昔の民家のすばらしさわかります。
まずおさらいとして
夏の洗濯物は「排気用換気扇の近くで干す」事でした。これは
洗濯物が乾く時、空気から熱を奪い、これで冷やされた空気は下へゆっくり下がります。一方気化した水は湿気(潜熱)となって均一に広がろうとしますから、これを排気用換気扇で広がる前にできるだけ排出するのです。すると顕熱は冷やされ潜熱だけ排出されやすく、家の冷房効果が上がります。大きな効果は無いですが理屈ではこの方法が良いですね。
と書きました。実はこの原理を昔の民家は家そのものがもっていました。
自然素材の家新潟から 2020年の約束② これからの樹脂サッシの枠
新潟の家 無塗装の外壁5年経過
最近、超高断熱住宅と共にお勧めしているのが、木の無塗装の外壁です。この無塗装の家はまだ4棟しか建ってませんがこれから増えるといいな~と思ってます。多分超断熱住宅はこれからどんどん認知され、また必要とされるのでお勧めしなくても増えると思いますが、木の無塗装の外壁は「将来外観はどうなるのだろう?」との不安があるはずなので事あるごとに経過をご案内していきます。
環境がとても厳しい海風の吹くところに貼った木の外壁。5年くらい経過したと思います(家は19年経過、築13年で外観リフォーム)。私はなぜかこの木の色が好きですね。本当にそこにある自然なシルバーグレイ色です。
最近野良猫ちゃんが車庫に入り込み強烈な臭いをつけるので、木の扉を新設しました。そこだけ新人ぽい色で目立ちますが、時機に先輩色になるでしょう。
玄関部分ですね。こんな感じで木がカビて退色して表面が少し削れてもいいのです。
自然のまま
自然の経過
自然の色
自然の模様
いかがですか?なにか塗る必要がありますか?木はそのままが一番最高です。但し雨に濡れないように屋根がしっかりある設計が必要です。
高気密高断熱住宅の欠点③ 玄関とシロアリ 新潟の家から
家の設計はバランスに尽きます。いくら地震に強い家でも、寒い家なら長持ちしないし、いくら自然素材を多用した家でもシロアリのことを考えていない家は耐久性が低いでしょう。高気密高断熱で暖かくても、地震に弱かったり耐久性がない家でもだめですね。本当に良い家はすべての性能が高次元バランスで成り立つものなのです。
緑の家のSSプランは、シロアリに対して至高の方法を標準としています。最近のシロアリ被害は、玄関付近と風呂、勝手口付近に集中しております。これは、今の99%の住宅で土と接しているところが玄関付近と風呂、勝手口に限定されるためです。土壌型シロアリは、巣を土の中に造ったり、地中から家に進入する事がほとんどです。このため土と接しているところが加害部分になるのです。特に玄関部分はどうしても土と接っしなけらばならない機能を持ち合わせているので、家のしろありに対しての一番の弱点となります。だからこの部分さえ注意すれば、玄関部分の侵入を著しく防ぐことが可能です(緑の家の場合)。
上の写真は一般の家の玄関部分を作っているところです。このように土と玄関戸は接しているので、ここからシロアリが侵入してきます。
それに対し緑の家のSSプランの家は玄関ポーチ下が空間なのです。また玄関ポーチのコンクリートは外壁や玄関戸と接してません。だからシロアリの侵入が困難で且つメンテナンスが簡単なのです。
県内でここまで気を使う設計はないでしょう。
「シロアリ予防に対しここまでやる必要があるのか?薬剤予防でよいのでは?」
といわれたこともありますが、SSプランの家は100年以上の住宅のあり方を真剣に考えて提案しております。耐久性に最も大きく影響を及ぼすシロアリの加害にはできる限り注意を払いたいと思ってます。特にシロアリを引きつけやすい「基礎断熱」工法は注意しすぎることはありません。基礎断熱工法は安易に採用してはいけません。
また薬剤による予防は、所詮「化学物質」です。その効能は長くて10年(加圧注入でも30~40年)で且つそのほとんどが危険で中止になった歴史があり、40年も継続し販売されている薬剤は聞いたことがありません。物理的に半永久なこの方が理にかなってますね。当然ヒバ油とか炭とかという自然素材はおまじない程度の効き目しかありません。その情報は先日ブログで紹介したシロアリサイトに詳しくあります。
どうですか? あなたの家の設計者は、シロアリ予防とメンテナンスをしっかりと説明しバランスよく提案してますか?
見学会に来れなかった人のために・・・。超高断熱+床下暖房の家 ①
彫りの深い窓がこの住宅の高性能を物語ってます。屋根形状は、ソーラーパネル(太陽光発電パネル)をできるだけたくさん載せたいがための形状です。屋根の勾配は27度で一番効率の高い30度とほぼ同じです。片流れ屋根でないのは、
1.高さが高くなりすぎて10mを超え、近隣に迷惑をかける。
2.屋根に出入りしやすい形状を配慮した。
サッシ周辺に窓枠(凸)があるのは飾りではなく、サッシ単体交換を可能にするためのもので、欧州や北米の住宅や集合アパートメントは交換が可能なようにこのような形状になっていますね。SSプランなので庇は必ず設置されております。
大きな吹き抜けがありますが、これで耐震性は最高等級の3を取得認定しております。1階床から吹き抜けをとおし2階天井まで6mあります。この高低差でも温度差が限りなく0度でした。
2階のホールです。左にシーリングファン(大型扇風機)が見えますが、これは超高断熱住宅にありがちな太陽日射による冬期のオーバーヒートした空気を拡散させるものです。
2階の天井は屋根下地のままで、天井高さを2.7m確保しつつコスト削減と「木」の視覚的なものを楽しむためのものです。むき出しの構造柱や天井の合板など、無垢材には拘りませんが、木の素地に拘る質実剛健仕様です。
インテリアはほぼ木の「素地」と漆喰の壁の色だけです。この雰囲気は感じよいですね。
自然素材で超高性能の新潟の家 見学会
23、24日に新潟市で行われる見学会の内部(施工中)です。
最近、天井のデザインが気になります。平らな天井ではつまらないが、一階は勾配天井もできない。そんなときは、こういった天井は如何でしょうか?
部分的に2階の床裏が見えたり、梁が見えたり・・・ローコストでできます。
こういう天井は構造も一緒にデザインしないと見栄えがしません。つまり構造計画も設計者自身が行える、そんなスキルが必要です。普通の設計者では、構造の梁全てのサイズを決めることはその構造図を描かないのでできませんが、オーブルデザインでは設計者が構造図も書きます。だから構造材でデザインできるのです。
「「えっ」大工さんが決めるのではないの?」
と思った方もいらっしゃるでしょうし、
「「えっ」そんなの当たり前」
と感じたひともいるでしょう。
住宅位の建物規模なら、設計者が全て決めたほうが、構造=デザインになり、より楽しい家になります。
お待ちかねの床下暖房です。1380mmもある床下ですから、お掃除もしっかりできます(いまお掃除してます)。このくらいあると温風もいきわたる事がわかりますね。奥に見えているる四角い穴の下の基礎の高さでも普通の家の基礎の高さより高い(しっかりしている)のですよ。凄い基礎です。基礎は取替えが一番できないところなのでしっかりとしたいものです。
これは玄関の床です。建て主さんのご家族がデザインしその施工もご自分で行いました。完成度が高く設計者出る幕無しですね。
因みに厚さ3cmくらいの大理石ランダム貼りと白モルタルの子砂利洗い出しの組み合わせです。
自然素材 無塗装の床を勧められる理由がわかった。
築後8年経過の「緑の家」の無塗装の木の床。全く何も塗っていなのに艶々。
昨日ようやく理由がはっきりとわかりました。
当事務所は、無塗装の無垢の木の床を薦めて12年以上たちます。このことをとても不思議がっていらっしゃる人(同業界)がいました。その人は
「無塗装の床に住んでいる人からクレームありませんか?」
と毎年冬に聞かれるのです。
「えっ・・・。ないですがなぜですか?」と私
「冬になって家の中が乾燥すると、床が『ささくれだつ』と言われるのです」
「特に無塗装の床でなく、天然系オイルやワックスを塗った床でも言われるのです」
「そんな事いわれた事が今まで一度もないし、そもそも年月が経てば光って艶々ですよ。ささくれなんて考えられないです」と私
「全く同じ床を使ってもそれがそうなりません」
・・・すこし間をおいて
「それはスリッパを家の中で使用しているからでしょう!」と私
「そういえばスリッパ使ってますね。確かに裸足ではありません」
ここでようやく理由がはっきりわかりました。元々日本人は家の中で履物(スリッパ)を履く習慣はありません。スリッパは戦後の昭和30年くらいから一般の家で普及が始まったと言われてます。つまりそれまでは旅館、病院、学校など、ヨソで使用、借用するものであり靴下を汚さないために履くような考えでした。
そうですね。スリッパがささくれの原因です。無垢の無塗装の床は数百年の歴史がありますが、それは全て裸足か靴下で歩く歴史です。スリッパの底は、裸足や靴下より無論硬いですね。これが摺ることで木の表面に傷をつけていたのです。だから幾ら油成分を自然に出す針葉樹の木(ヒノキや杉、松)の床であっても表面がささくれてしまうのです。畳の上をスリッパで歩かないように自然素材は・・・。
更にスリッパでは足の裏から「人の油」を供給できないので光らなく磨耗するのです。
居住後の「緑の家」に伺っても「スリッパ」は一切その家に見当たりません。いらないから出さないし、購入しないのです。床はきれいだし冷たくなければ必要ありませんね。
さて、理由がはっきりとしました。ではなぜ当事務所の家以外のでは、スリッパを履くのでしょう。答えは簡単、簡単です。
家の床が冷たくて冬はスリッパなしでは歩けないからです。
目から鱗の理由でしょう。緑の家は家中暖かい性能の家と無垢の無塗装の床が必ずセットですから、あえてその無垢板の気持ちよさが最大限受けられるように「スリッパ」は薦めてません。またスリッパがなくとも冷たくない家を100%提供して来ましたから今までクレームがないばかりか、上の写真ように艶々するのです。しかしただ単に自然素材の無垢床しか薦めていない仕様バランスの悪い会社や設計者の造る家は、床が冷たいのでスリッパがなければとても歩けません。だから感触の悪くなるオイルや蜜蠟ワックス塗りを薦めるのです。オイルなどは汚れ防止だけではなかったのです。
いつも「蜜蝋ワックスを床に塗るのは絶対しないほうがよい」と言ってますが、冬に裸足で歩けない家の性能(構造)であれば表面にロウの膜を造るワックスは仕方なかった事だったのです。本当に今回の関連はびっくりしました。
確かに無塗装の床が数年でピカピカというブログや建設会社の実物写真を見た事がありません。これは家の仕様のバランスが悪いため、本来の木の使い方ができなかった事が原因であるとはっきりとわかりました。スリッパが存在しない寺や銭湯の床が光っているのはこのためです。
当事務所の薦めてきた「緑の家」の性能と自然素材のバランスに間違いはなかったと自負できるお話でした。感謝です、ほんとに久々に鳥肌が立つ時間でした。
この写真は新築時の床。まだ艶は全くない。これが裸足で数年歩くと上のぴかぴかの床になる。
今月23日(土)と24日(日)に新潟市で見学会を行います。
巷では自然素材と言われる漆喰。一般の漆喰には下塗りやそのものに人工化学合成したのシーラーやのりが使われますが、今回の壁の漆喰は化学合成の糊やシーラーは一切使ってません。昔からある漆喰「だけ」です。本物に拘るなら、この漆喰がまさしく本物でしょう。
いつもの緑の家は水性エマルジョンを使って壁を塗りますが、こちらは全て漆喰でした。価格は漆喰が倍ですが、何と建て主さんのご家族で全て塗り上げました。拍手ですね。仕上がりも良いコテムラでいかにも手仕事の壁の雰囲気が出てます。
クリックすると大きくなり少し素材感がわかりますが、この良さは実物ですと感動します。
ムラがある仕上げが天井の大きの梁と重なり、洋風民家調で独特の手作りの雰囲気が出てます。
この建物は、国の性能評価を受け耐震等級3という最高の評価でしたので極めて地震に強い建物です。
写真のように大きな吹き抜けがあっても等級3の評価を頂けるほどバランスが良い構造計画で、地震に強い建物にありがちな圧迫感や暗さはありません。
今年度の長期優良住宅補助金事業でこの等級3で新潟市で認定されたのは多分数棟しかありません。
また、新潟の亀田郷という地域柄地震時の不動沈下や液状化が予想されますが、万一大地震で傾いたときに補強なしでジャッキアップし補修できる性能の頑強のスラブを持ち合わせてます。
この耐震性の良さは2階の天井になっている厚さ28mmの構造用パネルも一役買っています。そのパネルをそのままインテリアとして使う素朴さが、鏝ムラがある塗り壁と調和しております。
これも長期間使い続ける住宅(所謂長期優良住宅)には是非ほしい設備シャフトです。
大体50cm×50cmくらいの四角い断面で、床下空間から天井裏まで貫通しております。ビルなどは頻繁に設備メンテがあるので設置されますが、住宅ではまだ一般的ではありません。しかし長期優良住宅の意味合いを考えると計画したほうが良いに決まってます。
この設備シャフトは、将来の新ネット配線や配管そして超高断熱住宅では秋と春に必ず起こるオーバーヒートした熱風を床下に送り込む通路でもあります(今回は吹き抜けにシーリングファンがあるのでこのシャフトは使ってません)。
このように今までの住宅ではなかった仕様や構造、材料が「ぎゅっ」と詰まった家ですね。
見学会の詳細はここです。
※写真はまだ施工途中のものです。
新潟の超高断熱には、こんな感じの木製断熱サッシですね。
自分で設計していいね~というとおかしいですね。でもこの開口部、良くないですか?
12月22日のブログに、「木製サッシには庇か屋根の出が必ず必要」と宣言してます。それは、木製サッシの耐久性に大いに関係しているからです。
この外壁から引っ込んだ木製サッシ。あれっ、どこかで見たような・・・。と思って車にに乗っていたら、「これだ~」と思ったのが、土蔵の窓でした。
土蔵は壁の厚さがやはり30cmくらいあり、窓の位置が外壁から引っ込みます。そしてその窓をかばうように庇が付いているのが普通です。古来日本からあるデザインなのですね。
流行の庇がも屋根もないサッシとは違いますね。庇がないと自然素材の木のサッシの痛みが激しく、また時には「よだれ」を引き起こします。基本は忠実に守りたいところです。
町で見かけた築12年くらいのかっこい良い家。しかし屋根の出や庇がなく、外壁がガルバニュームではないので汚れがひどく目立ち残念。
ちなみに下の外壁はIGサイディングと呼ばれるガルバニューム鋼板。エンボス加工がすっきりしたイメージを与えます。
珍しく「緑の家」になぜサイディング?と思う方もあると思います。
実はこの外壁は外貼り断熱に使っている「高性能フェノールフォーム」という最高性能の断熱材が105mmの厚さで施工されてます。
法律では市街地は燃えにくい外壁構造としなさいという決まりがありますが、その決まりに正しく合致するのが、現在はこのIGサイディングのみです。但し建築主事の判断で今までのガルバニュームをつかえるところがありますが、そこはケースバイケースです。
あっ、ダイケンのダイライト工法では、こんなに厚い外貼り断熱をすることは認可されてません。またダイライト工法では外貼り断熱の上に無垢の木を貼る工法も認可されておらず法律違反です。気をつけたいですね。
「緑の家 SSプラン」この庇ならほとんどの雨は防げます。また枠のようなデザインは、外壁を壊さなくともサッシ交換可能な枠。こんな窓、見たことないでしょう。
新潟の家 自然素材の木の外壁は屋根が必要です。
いくら再生可能なエネルギー(太陽光発電等)を使っていても、現在のエネルギー浪費の暮らしでは、環境を考えているとは言えないということで、超高断熱(Q値0.7W/m2K)の家、所謂パッシブハウスを建てた人がいらっしゃいます。すばらしい考えです。私もそう思います。幸運にもその家の資料を拝見する機会がありました。やはりすばらしいお考えで造られた家です。ただ設計者が木に対し経験が少し不足していて次の点が残念でした。
屋根がないところに貼り、数年で腐る木。記事とは関係ない家です。撮影は1999年ごろです。
1.焼き杉と呼ばれる杉の板を外壁に使っている事自体問題ないが、建築地が関東でも雨の量は梅雨時相当なもの。軒の出のない所謂四角い家では、雨がいつも外壁を濡らす事になる。これでは木の外壁は20年持たない。運が悪ければ10年で朽ちる。この使い方では環境になるべく負荷を掛けない家とは言えない。木は長持ちさせるから再生可能な材料。せめて木が育つ30年は腐らない使い方をするのが設計者。つまり軒の出を設けなければならない。
2.高性能木製サッシを使っているのに、そのサッシ上部に庇がない。所詮木製サッシは木でできている。雨ざらしでは木端部から腐朽が始まりやはり20年もつかどうか。下手をすると10年で機能上の不具合が出てくる可能がある。樹脂やアルミサッシには必須ではないが、木製サッシには基本的に庇がセットされてなければ素材や高価なパーツの浪費と言える。ローコストにするためと言う理由であれば、本末転倒。見た目のためなら設計者失格(この建て主さんに対し)。せめて屋根が大きくあれば庇がなくとも許せるが・・・。
築10年になる緑の家K邸。木製サッシは必ず屋根の下にある。基本中の基本の使い方。
当ブログでは何年も前から自然素材である木は使い方が重要であり、耐久性の明暗を分けるとお伝えしております。しかし最近は木をまるで使い捨てのように雨ざらしで使う風潮があります。
最近流行のラーメン屋さんにも木が雨ざらしで多く使われていますが、このような店舗のような建物に使う感覚で住宅に自然素材の木を使うことは、素材の浪費となります。
どんな設計でも常に「バランス」が重要です。超高断熱性能だけは所謂「パッシブハウス」だけれども、外壁やサッシ、屋根の素材の使い方が間違っていると、その家のメンテナンス経費は跳んでもないくらいに高価になり、下手をすると使い捨て(30年で破棄)されてしまう事になります。特に今回のように、わざわざ腐りやすく考えたような木製サッシでは、早期交換は必須です。
日本の気候は欧州とは違い、モンスーン気候に近いです。雨は多く絶対湿度も多い雨季があります。この点をしっかり抑えないと単なる一時的な「省エネ」ハウスで終わってしまいます。
日本の昔からの民家は必ず庇があります。これは、窓が金属や樹脂ではなく木製であったため、庇がないとすぐに朽ちる事をよく知っていたからです。日本(北海道を除く)の気候では木製窓と庇はセットです。勿論アルミ被覆(樹脂一体被覆はOK)された木製サッシでもアルミ同士の接合部から水は浸入します(経験上)。
自然素材の家は10年後が重要ですね。
この家は、新潟市に今から9年ほど前に建築させて頂いた「緑の家」です。無論、高気密高断熱でQ値は1.9w/m2K(全気積)で、C値が0.8cm2/m2です。
建て主さんのご要望で、集成材を使用しない無垢材の「緑の家」と言う事で計画しました。ですので地松の丸太が井桁上に組んでありますね。この丸太を探すのになかなか苦労したと工務店さんは話していました。
そんな大きな丸太梁の数年後は・・・
こんな感じの梁になります。もちろん無垢材の直径60cmを超える丸太ですから、新築時は乾燥しているはずもありません。ですので矢印のようにひびや隙間が生じます(一部白く埋めてありますが)。
せっかくの高気密高断熱が損なわれてしまいますので外部や内部からパテやシーリングで埋めます。
丸太はひびが入りますが、製材品の(四角い)杉や松は乾燥材指定だったので、隙間はほとんど入りません。きれいな仕上がりです。
床はとにかくいいですね。自然に浮き出てくる艶は、人工的に塗ったオイルや蝋では絶対にないものです。
無塗装の木が、10年経つとこのような完全あめ色に「勝手に」なります。特別な手入れはいりません。そろそろ10年目のメンテナンスで、とても楽しみですね。
更に30年くらい経つと茶色になって、最後にはこのくらいの濃さになります。このくらいまで家を維持していただけたらありがたいです。
これは京都の東本願寺(築110年)の無塗装の床。
艶もありますね~。
超高断熱の 注文住宅 「緑の家」 耐震等級3認定の長期優良住宅
超高断熱、耐震等級3認定の長期優良住宅の現場足場が取れました。
ピシッとしてます。
外観デザインはオーソドックスにまとめ、特徴ある太い窓枠は外壁と同色なので写真では目立ちませんが、実物の存在感はありますね。
窓の彫りが深いと、シンプルな形状でもしっかりしてます。
樹脂サッシの中でも最も耐久性がある「ホワイト」を選び、U値1.6W/m2kのサッシのガラスはアルゴン封入LOW-Eとよばれるものです。
玄関ドアはスゥエーデン製木製高断熱戸で、更にガラスをなくしたU値1.0w/m2kです。
上写真が南面ですが、「緑の家」にしては窓がちょっとだけ少ない感じですが、これは大きな吹き抜けをもちつつ、耐震等級3(避難病院クラスの最高の耐震性)の認定を受けた家だからです。普通は大きな吹き抜けで等級3は取れません。そこは設計事務所の腕の見せ所です。
冬至近い12月の午後3時30分の窓からでも日が差し込む計画。今日はこんな作業中の状態でも家の中は暖かかったですね。2階15坪に対し6帖もある大きな吹き抜け。でも耐震等級3です。
明日から建て主さんご自身で内部の漆喰を塗ります。建て主さんにとって始めての漆喰塗り。楽しみであり、不安もあり、でもこれから何十年もお住まいになる家です。きっと楽しみながら塗って頂けるでしょう。
今回選んだ漆喰は、初めての方でも塗れる「西洋漆喰」です。下地処理が簡単で、何と言っても普通の左官屋さんが必ず塗るシーラーと呼ばれる化学物質を一切塗らない漆喰です。
ではシーラーの変わりに何をするか?それは「こんにゃく水」を塗るのです。こんにゃく水と漆喰が混じるとご存知の固形の「こんにゃく」ができます。
漆喰壁を塗りながらその隣で同じ材料で「こんにゃく」もできると言う、本当の食べられるくらいの自然素材の壁です。嘘みたいな本当のお話です。
もしご興味がありご連絡頂ければ実物をごらんいただけます。ご案内しますが、家に対する愛情と腕に自信があればボランティアで塗って行かれてもよいですよ(笑)。ゆっくりと2週間くらい建て主さんが作業しています・・・。
新潟での自然素材・・・床は無塗装
この写真は緑の家でよく使うヒノキの床板の8年経過した写真。
こちらは新潟市で竣工当時の松の床板。無塗装ですが、8年たつと上のようにぴかぴかになります。素材は違いますが、針葉樹である松やヒノキ、杉には、木本来が持っている脂(ヤニ)があり、その脂と人間の足の摩擦(分泌類を含む)で表面がピカピカになります。
広葉樹であるカリン、梨、桜、カバ、ナラ、ケヤキ、タモ等では、この脂がないので無塗装ではぴかぴかに成ることはありません。そればかりか、カサカサになり、ざらざらとささくれができます。したがって、床に使う場合は人間が故意に油(オイル)成分を補給します。拙者が小学生だったころ、小中学校では、ナラの床が多かったので、一年に2回以上は油をわざわざ床に塗る日がありました。今の学校はリノリウムやPタイルなのでないでしょうね。40代以上の人は懐かしい油の匂いはまだ記憶にあると思います。
近年は自然素材ブームなので天然木の床を使っている家が多いのではないでしょうか?その多くが間違った使い方や認識をしています。
例えば、針葉樹である松やヒノキの床に蜜蝋ワックス系を塗る行為。これは大変な間違いです。そもそもワックスとはローソクの「蝋」と同じで、常温で固体です。ですので表面に蝋を塗ると薄い膜ができ、「木」本来の吸水性や温かみを阻害します。蝋は蜜蝋であっても床に絶対塗ってはいけません。一度塗ると、2年に一回は塗りなおさないと、表面のうすい蝋が所々はげ、剥げたところだけに汚れが集中して染込み「まだら汚れ」となります。これが一番みっともない汚れ方です。私共事務所では、12年間一度も蜜蝋ワックスをお勧めしたことがありません。今後もないでしょう。これは過去に蜜蝋を塗った木が、不自然で汚れがひどくなる事を経験したからです。欧州で蜜蝋が床のオイルに混入されているのは、彼らは靴や室内履きを使う習慣のため、素足で歩くことがないからです。結果、足からの分泌類は木に補給されず、自然に艶は出にくいし、靴は汚れを持ち込むので汚れやすい蜜蝋でもOKなのです。
針葉樹系の床は間違いなく無塗装が理想的です。木自身の脂でゆっくりと光るその艶は、人工で造ったつやとはちがう品のよいものです。
また温かみがなくなるというのは、無塗装ではどんなにつるっとしても表面がでこぼこしてます。そのため、手や足で触れても密着せず空気が間に挟まります。これが温もりと感じるゆえんです。ですのでその表面のでこぼこをなくす蝋成分を塗ったとたん、冷たく感じます。一度お試しください。目に見えないでこぼこが如何に木の温かみの貢献しているかわかります。
建て主さんが、感覚的に自然素材の木がいいね!という事は問題ありませんが、木のプロである施工会社の人がこういった基本的な木の事も知らずに自然素材がよいと宣伝したりするのは勉強不足としかいいようがありませんね。
さて、今は針葉樹の木のことでしたが、最近は広葉樹の木のほうが多く床に使われていると思います。広葉樹とはカリン、梨、桜、カバ、ナラ、ケヤキ、タモがあります。こちらは脂がないので最初からオイルを塗る必要があります。もともと針葉樹より硬い木がほとんどなので木の温かみが落ちますので、オイルを塗ってもそう印象はかわりません。しかし裸足で歩く場合の床は、ワックスは避けオイルのほうが肌触りやメンテナンスはよいです。スノーボードやスキーをする人なら想像できると思いますが、蝋は水分をはじきます。つまり肌触りにとっては最低な条件です。