家丸ごと通風の「て・こあ」。このくらいの外部環境と家の構造で始めて通風効果が期待できると言える。そんな「て・こあ」で畳上げが始まった。
未だに高気密高断熱などはダメで、通風の良い家がいい!なんていう専門家のコメントを良くネットで見つけます。超高断熱住宅などもってのほかとか(笑)・・・。
冷静に考えましょう。このご時世に窓を開けて寝ていられる住宅がどれほどあるか・・・
今朝のように気温の比較的低い高気圧の勢力時は、明け方21℃まで下がるので、窓全開だと寝冷えするかもしれませんが、暑いときほど明け方も27℃もあります。そんなときに窓全開で通風しても効果がありません・・・そもそも窓全開できるのか・・・
何時も申し上げているように・・・
女性一人の時に、窓を開けて寝ていられる建物は、マンションのような物理的に人が入れない建物だけでしょう。一戸建て住宅は、家の前に警備員が一人待機していれば安心して窓を開けて寝ていられますが、そうでなければ男性でも怖い世の中になりました。そんなときに、さあどうぞと言わんばかりに窓を開け寝ていられる事は相当のものです。特に小さいお子様でもいらっしゃれば、更に怖さは増します。
人が入りにくい高さの窓(欄間)を設けて通風を・・・と言う意見もありますが、実際体験すればわかりますが人のいるところから外れた風道を造っても、涼しさは得られません。人がいる高さ(床上30cm)に風の通り道ができて初めて涼しくなります。
防犯を始め世の中が変わったので通風が難しくなってしまったのです。そこで40年前の通風が主体だった頃と変化した点を上げると・・・
・家の中の発熱体が増えた(TV、ネット、ゲームなど)
・下着で過ごすことができなくなった(昔は暑ければ女性も下着)
・網戸がそよ風を阻害する(昔は網戸がなかった)
・住宅密集+隣家の室外機の温風
・騒音(隣家のTVの音)
・清潔感の上昇(汗の毛嫌い)
です。
時代が変わった事をしっかり認識することが重要です。
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さて、天然素材100%の「て・こあ」の真夏の行事の畳上げ(むし干し)ですが、
このように畳を全部剥がします。特に今年は畳表替えをしたのでイ草にカビが生える、生える。畳の横側はびっしりと色とりどりのカビが綺麗に(笑)育っておりました。
「えっそれって質が悪いタタミじゃないの?」
と言われそうですが、
実は「て・こあ」のタタミは全てわら床のタタミ。
「えっ普通はそうでしょう?」
いいえ。今は95%以上が建材タタミで芯がわらではなく断熱材や圧縮木です。わら床のタタミは高価で普通は使いません。
「て・こあ」でも一番古いと思われる畳床は裏に防湿シートがなく、藁が露出。
しかもわら床でも年代によって違い、上のタタミは一番古いタタミ床のようです。裏に防湿シートがない50年ほど前のタタミのようです。
40年前はすでにわら床でも防湿シート(ビニール)があり、床下からの湿気を防ぐような構造です。
さてその頃から防湿シートに沢山の防かび防虫剤を練り込んだ防湿シートが使われ、現在はこの防湿シートが定番です。だから湿気をわらみたいに吸わない建材タタミとこの薬品が沢山入ったタタミだからカビが生えにくいのです。
この薬品入り防湿シートの設置されたタタミの方は表のい草も古いので、カビは殆ど生えません。代わりにタタミ下の木が湿気っぽいので一部床を剥がし、床下の湿気と共に乾かします。
床下地は合板でなく無垢の木で、所々固定されていない事があたりまえ。
このように、梅雨が終わってカラッとした暑い夏(盆前)に、このようなむし干しは行われる事が50年前の自然素材の家の行事だったのです。無論この「て・こあ」は通風は最高ですが、考えてみてください。梅雨明け後の夏は、通風によるそよ風が最高に気持ち良いですが、梅雨に雨が降っている時には、ほぼ無風です。土壁や本物のタタミではたっぷり湿気を吸込んで、通風もとれない・・・だからむし干しをしないとカビ天国になります。