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高断熱高気密用Q1用ソフト QPEX(キューペックス)の使い方

QPEX(キューペックス)という非常に優れた安価なソフトがあります。このソフトは北海道の室蘭工業大学の鎌田研究室で開発され、建設会社や設計事務所が、高気密高断熱で計画した家の熱損失係数Q値や暖房費をシミュレーションできる大変優れたソフトです。しかしソフトは使い方を間違えるとただの机上の空論になりますので注意が必要です。

 QPEXは私も利用しており、これをつくりだして頂いた鎌田先生始めそのスタッフ、また新住協さんには敬意を払いたいと思います。だからこそ間違った使い方で評判が落ちないようにいつも次の点に注意をしております。

以前も少し触れましたがこのソフトを使った時に普通の建設会社さんや設計事務所が間違えやすい所は、シミュレーションした家の生活方法や周囲の環境が因子として入力されない事です。

Q1住宅を造るために造られたQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味(暖房エネルギーとして加算)し、暖房費をシミュレーションします。
Q1住宅とは、暖房費が次世代省エネ基準の断熱性能で使用される暖房費の1/2(本州では1/3)以下になる家が目的です。非常に合理的かつわかりやすい家造りです。そしてQPEXはその目的を達するツールとして使われます。しかし生活スタイル、生活条件、周囲の環境因子が違うので実際の暖房消費エネルギーと必ずしも一致しません。

生活スタイルと生活条件は設計者がコントロールできないの仕方無いのですが、周囲の環境因子は設計者が一番わかります。しかしこの事を間違える方が多分いらっしゃると思います。それは・・・

Q1住宅を造るために造られたツールのQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味し、暖房費をシミュレーションします。ところがこれを建設会社さんは鵜呑みにして、このツールで計算すれば暖房費が1/3になると思い込んでしまう事が問題ですし、そのように説明している事を見かけます。先に申し上げたとおり、このソフトは窓から入る日射を勘案してます。よって南窓はカーテンがない方が殆どの場合は暖房エネルギーの削減ができます。そこでソフト入力条件でカーテン無しとすることが多いと思います。よってレースカーテンや普通のカーテンを実際閉められると日射が計算通り期待できなくなります。また西窓や東窓からも日射を期待してますが、冬の低い高度の太陽では、お隣に家が並んでいる場合は、1階にはまず日は差し込む事はありません。この部分はHPのコラムに記載しましたのでご覧ください。

「野中の一軒家」であれば、このソフトのとおり日射熱が家の中に入り、結果暖房費が削減されますが、都市部の家ではトップライト以外何らかの日射阻害があります。ですので暖房費削減が「野中の一軒家」のとおりなるはずがありません(常識的生活で)。新潟県の都市部では一般的に60坪、大きくても100坪、都市部では45坪の敷地は珍しくありませんし、住宅地の道路は6mが普通です。すると家同士はほぼ向かい合わせで、隣との隙間もなく、窓の先に窓があったりします。ですので窓にレースのカーテンは必須です。また関東圏では防犯上家の中が見える事を極端に嫌います。留守中や夜は雨戸を閉め、昼の在宅時にはレースカーテンで視界を遮ったり、面格子がついています。

多くの工務店や建設会社さんは、実生活や家の建設される周囲の環境条件を考えません。私を含め暖房費マニアや超高断熱マニアは、エコや省エネのためなら、近所から見られようがカーテンは開けっ放しでがんばれます(特に男性。女性は防犯上心理的に無理)。通常は見えるところに隣家があればカーテンを閉めます。全ての人が「近所から見られる事に対し平気」という感情を持ち合わせていないのですね。また天気が良ければ良いほど閉めたがります。直射日光は眩しくて、冬でも日差が直接当たっている所は暑くなるので「感情的」に閉めます。これを全否定できません。「Aさんの家は開口部から日射が入るのでQ値1.6でも暖房費6万/年しかかからないよ」とはいいきれないのです(無論言い切れる条件の家もあります)。

 拙宅の家(夫:省エネマニア)でも3月20日の晴天日は南側窓にはカーテンが・・・窓は3カ所も窓が開けられていた。

ですので希望する断熱性能(熱損失係数)は、窓条件を建て主さんと良く会話をしながら理解してもらう事が重要です。できない場合は、悪条件で安全側に考える事が良心的と思います。

高い性能を求める家ほど設計者は全体を把握する思慮が必要です。こんな便利なQPEXソフトを正しく活用し良い家造りに励みたいと思います。



新潟の自然素材の家 どうしても基礎に拘る。

基礎は大地の上で建物を支える最初の部位です。ここで踏ん張らないと上の建物もこわれます。だから基礎と呼びもっとも重要な建物の部分を示す言葉の代名詞がついています。

基礎高さ1200。一般の基礎の2倍以上。人通口も途切れる事がない区画がある。ここまで拘る必要性は・・・。

オーブルデザインの過去のブログやコラムでは、度々基礎の事が話題になります。なぜオーブルデザインではそこまで基礎に拘るのでしょうか?
まず最初に基礎が1m以上のあるのは、全てここからスタートしてます。この矛盾をなくす仕様が高基礎という解答だったのです。かれこれ13年も前からの拘りの考えです。

さて、建物の全体の価格が1500万だったとします。このとき通常基礎に掛かるお金はいくらでしょうか?一般の布基礎やシングル配筋のべた基礎で65万から75万という所でしょうか?

これは全体の工事金額の4~5%です。実は緑の家のSプランの基礎は約100万掛かります。全体の金額の約7%です。

家の建築費は安いほうが良いと誰もが感じます。家にかけられる総額が決まっているときには、どの部位にどのくらいコストをかける「仕分け」が重要ポイントです。では基礎金額の仕分けは・・・。

基礎金額と比較しやすいようにキッチンとお風呂の金額を考えます。
普及タイプのシステムキッチン(IHコンロ+食器洗い機込み)ですと40万弱。また大きさ1坪のユニットバス普及品ですと35万。計75万です。

つまり一般につくる基礎の価格が、キッチンとお風呂の価格より安いか同じくらいなのです。住宅で一番大事なところ「基礎」が設備のキッチンとお風呂の価格と同じ割合でできてしまいます。これは・・・

私はこれはとてもおかしいと思います。基礎は建物の中で最も大事で且つ修繕や取り替えが難しい部位。だからこそ他の部分や他の仕様を少し押さえても基礎のお金を使う事がとても重要だと考えてます。特に今の家は、使い捨てではなくせめて50年は使い続けたいとほとんどの人が願っているはずです。だからコストの最初の仕分けは基礎ではありません。逆にまず基礎を妥協のない仕様にしてから次に木のグレードを上げ、そして次が家の大きさと設備、内装仕上げ・・・となる順番です。ほとんどの設備、内装は30年もすれば寿命になりますが、取り替えは基礎よりずっと簡単です。

 緑の家の基礎仕様は、普通の基礎高さの約2倍、コンクリート強度(呼び強度)は2段階上の30N/mm2。これは家を薬剤ではない物理的に基礎を高くすることでシロアリからの驚異を減らし、耐久性も上がります。ですのでコストも1.5倍以上かかります。しかし私が自分の家や自分の子供の家を設計するなら間違いなくこの基礎です。

この40万のアップをどうするか?ここはまず面積を見直しましょう。将来増築は意外とたやすくできます(拙宅で実施済み)。5m2(1.3坪)減らせば何とかなると思います。その減った分は床下収納ができます。もしどうしても減らせない場合は、トイレを2カ所から1カ所にするとか、ユニットバスとキッチンのグレードを下げるとかしましょう。

基礎の形態や仕様は、建築の専門家ではない普通の「建て主」さんに説明するのにとても大変です。また基礎は普段目にしないためセールスポイントとはなりません。だからとても簡単にセールスポイントとなる設備(床暖房)や広さ(小屋裏収納)を造る提案の方が楽でしょう。しかし、自分が住みたいと思う家の基礎でない家の仕様を、真顔で良い家ですよと言い切れません。

過去12年間の緑の家の基礎100%(小屋、車庫は除く)は、高さ1m以上もある高基礎なのです。これは誇れる自慢の仕様です。

 ダブル配筋のべた基礎。立ち上がり1200。フック付きせん断補強筋。2階建て木造住宅でここまでする。100年をノーメンテを目指して。


新潟の家 次世代省エネルギー基準(高断熱)の家では短命住宅!

 昨日「新木造住宅技術研究所協議会」=新住協からQ1.0(キューワン)住宅の本が届きました。新住協さんは20年以上前から良く存じ上げているのですが、今まで会員になった事がありませんでした。しかし昨年から長期優良住宅先導的モデル補助金が貰えるというきっかけで入会させて頂いております(ご案内のとおり昨年は残念ながら不採択)。

 この本はコアな建て主さんにも一読をお勧めしますが、多少高断熱高気密住宅がなんぞやを知っていないと読みにくい本かな。お求めは「新住協」と検索して頂きとその団体が見つかりますからそこに問い合わせしてください。
本を買うなら著者は重要です。この本のようにやはり大学の先生が書いた本が確かです。今は誰でもお金で本を出版できますから、著者が住宅会社の関係者で結局広告本というのが殆どですね。

さてその本から図を抜粋し、「緑の家」の性能を示しました。
以前から当ブログで申し上げているとおり、ハウスメーカー程度の高断熱高気密程度では、逆に暖房費が増えてしまい、CO2削減どころか、CO2増に加担してしてしまうとの内容があります。これは15年以上前に建築学会で複数の論文が発表され、関係者には周知の通りですが、普通の建て主さんは知りませんし、業界の人でもしっかりと勉強された方でないとその理由は知らないでしょう。
次世代省エネ基準では全室暖房すると暖房費相当掛かるのです。従来の家から引っ越すと急に暖房費が増えるのです。すると暖房費を減らすため従来の住まいみたいに部分暖房をはじめ、それが原因で暖房していない部屋では結露が発生します。加えて今後のエネルギー費高騰がおき20年後はもっとQ値が規制され、結局Q値2.4位の家は短命住宅(30年資産価値ゼロ)となります。

新潟県ではQ値が0.9くらいを目指すべきではないでしょうか?

新住協の勧めるQ1.0住宅の新潟での最低Q値は1.4くらいなるのですが、この性能ではたりません。というのは、Q1.0住宅は日射による窓からの取得熱を期待しています。だからQ値が1.4くらいでも暖房費が下がる試算がされます。しかし大部分の家では、レースのカーテンが南側の大開口窓に設置され、それが昼間は閉じられてしまいます。これは都市部にありがちですが、大きな窓から内部を見られてしまう事を嫌い、レースのカーテンを閉める事が多いのですね(防犯もある)。
これを「止めてください」と言う事はなかなかいえません。普通の神経の人なら内部が見られる事に対し抵抗がありますよね。だからこそカーテンがある程度閉じられてもよい位まで、Q値を上げる必要があるのです。それが最低0.9くらいだと考えます。

そんなQ値0.9の家が下の写真の家ですね。これからも夏から秋に完成予定があります。この価値がわかる方がどんどん増えてきてます。大変ありがたい事です。

是非この補助金が沢山あるときに、Q値アップ(超高断熱)にコストを無理にでもかけましょう。後悔はしません。


新潟 自然素材の木の家のホームページアクセス10万超

先日当事務所のホームページのメインカウンターが10万を超えました。そのぴったし10万のAさまからお写真を頂きました。ありがとうございます。

思えば当HPは12年前にISDN回線を申し込みと同時に始まりました。素人の私(浅間)が当時のネットスケープを使って作り立ち上げました。当時はホームページサーバー容量ががたった2MBでした。今でもそう多く持っていませんが、それでも200MB位です。

ちょうど10万アクセスのA様には些少ながらキリタさんのボールペンを記念品としてお送りしました。このキリタさんは、大手ボールペンメーカーの下請けも行う東京の歴史ある町工場です。そこで造られるオリジナルボールペンは職人魂の一品で、ちょっと他では味わえない重厚感ある「MONO」です。私も愛用しており大変お気に入りです。一度手にして見てください。記念品にも大変喜ばれると思います。
キリタさんのリンクは右バーの「お勧めMONO」にあるキリタのボールペンをクリックです。

 ボールペンのトップにはオリジナル模様が可能

 シャープペンシルや水性ボールペンもある


新潟の家 朱鷺の死亡で思う事・・・。その② 土台の樹種は

 土台敷きが行われる現場。現場でこのようにドリルで穴開けがされる。

朱鷺が保護ゲージの中で小動物に襲わた原因が明らかになるにつれて、その保護ゲージの甘さが露呈してます。
「そのくらい大丈夫だろう」と工事を直接作業された方よりも、私はそのゲージの計画をした人、チェックした行政機関の甘さが原因と思います。

どんな工事でも作業する人は時には相当多数になり、意思の疎通が滞る事があります。だからこそ、

0.ミスがなくなる計画をする。

1.「主旨」を直接作業する人に理解してもらう。

2.施工責任範囲をきっちり理解してもらう。

3.予めミスしそうな箇所を全数検査する。

だと経験上思っています(おわかりだと思いますし、それ以上に実践されている方も多数いらっしゃると思います)。

さてここで「ミスが少なくなる計画」を特別数の「0」にしたのは、これが基本であるからです。

人間の行う作業は間違いや勘違いがあります。だからこそ様々なチェックがあるのですが、その前にミスがなくなる計画が一番大事です。そこで自然環境で左右される屋外現場では・・・

単純で行程が少ない事です。

複雑だったり、遊びが殆どない作業が多数を占める場合は、思わぬコストも掛かりますし
シビアな計画で行う事は大変難しい内容を要求されます。勿論そういう箇所があっても良いのですが、土と接している場所や近い場所では精度が得られにくいのは、屋外現場で作業した経験がある方ならわかるとおもいます。

例えば防腐防蟻性が重要視される建物の土台と呼ばれる所では、樹種に拘る事で実現できます。その為土台には薬剤を工場で加圧注入した土台を使う事が一般的に多い中、当事務所では「米ヒバ」という樹種を事務所開設当時から使っています。むろん米ヒバの方が薬剤を加圧注入した土台より随分高いのですが、使うその理由はここにあります。

現在の住宅において土台は、建物の部品の中でも基礎と同じくらい重要な部材です。ここが仮に数万コストが掛かっても米ヒバにするのは、現場での間違いをしない計画にしているためです。


寺泊より  マグロと鯨に思う・・・。

本日は月曜の定休日なので寺泊で付き添いの必要な愛犬と一緒にお留守番です。
写真は昨日がホワイトディーだったので妻と娘にまとめて花をプレゼントしたものです。温室で育った花は路地物よりエネルギーを多く使っていますが、一年に何度もあるわけではありませんのでこの時ばかりは気持ちよく花を楽しみます。花はその香りでも幸せな気持ちにさせてくれます。花に感謝・感謝。・・・あっ、上からぶら下がっている黒い物体は菜園で収穫したばかりの椎茸を干しているところです。

クロマグロに世界的な規制がかかるようです。仕方のないことですね。今までおいしく食べられた事に感謝し必要以上に世界の多くの人が「いやがる事」はやめていきたいです。鯨でも問題となってますが私は、「いやがる」人がいるならその人の前でのわざわざ捕獲するのは良くないと思います。「昔からの日本の文化」だとの主張も理解できますが、江戸時代
にわざわざ大型船で遠洋まで行って鯨を捕獲してはいません。あくまでも近海の海での捕獲であり、この主張はどう見ても当時と環境が違いすぎます。いやがる人が大勢いる国の近くで、わざわざ捕獲することには理解が得られませんし、江戸時代と違い鯨を食べなくても他に沢山食べられるものがいっぱいあります。

モラルや法律とは何でしょう?
どんなモラルでもその主旨は、自分以外の人がいやがる、気分がわるい事をなるべくしないためにある約束事ではないかと思います。その内容がとても重いときに「法律」による規制(窃盗や殺人の禁止)となるのではないでしょうか。人がいやがっていても、平気でそれをいやがる人の目の前で行うことは、「いじめ」のようなものです。ですのでもし鯨が捕殺することが耐えられないと思う人が大勢いる文化圏、および世界の海=公海では自国の主張だけではそれをしてはいけないような気がします。また従来から捕鯨を仕事にしている人もいますから当面200海里以内であれば、ある程度文化として理解して頂きたいと願ってます。鯨がかわいそうという感傷的な事になると、牛は?豚は?という事になるので話が難しくなりますが、まず原則は「他の人がいやがることはしない」です。
もちろん反捕鯨団体の実力行使はとても肯定できません。


新潟の家 エコポイントなんて目じゃない。補助金と減税、フラット35Sで570万以上!

2010年3月13日緑字加筆修正

今年の国の住宅施策は異常です。かつてこれほど大盤振る舞いの補助金と減税のオンパレードはありません。下の説明パンフでは少なめにみて記載してますが、それでも570万の補助。これに太陽光発電設置3kwをした場合の補助を受けると、600万を超えそうな・・・。あり得ない・・・、信じられない金額です。

今回のエコポイントの30万は補助金・減税全体の中の一割一部でしかありません。まず昨年同様「長期優良住宅」の認定と申請→「木のまち・木の家整備促進事業」を行うだけで100万の補助。それよりも凄いのは、2,000万の仮入れ金額でフラット35の「S」の利用すると普通のフラット35より200万も支払う金額が10年だけで低くなります。借入金額が増えればそのまま比例してもっと節約金額が増えます。さらに長期優良住宅認定を受ければ10年後の金利も0.3低くなります。すると太陽光発電の補助を入れてないでも総額約600万の大バーゲンです。流行の言葉でいうと「家のアウトレット」くらいのインパクトです。

これを見ると私が建築した頃の金利5%、補助金一切なしという20年前は一体何だったのか?という感じです。

いつかは家をと思っていた人は今年に限りますね。来年から国の財政が相当悪いのでこれほどのバーゲンはもう望めないでしょう。因みに各補助金は予算なくなり次第打ち切りが殆どですので早めに!

最後に宣伝ですが、「緑の家」は標準仕様で上の全てを余裕で満たしてます(太陽光のみ別)。是非ご相談ください。特に超高断熱SSプランはお勧めです。

昨日の記事にエコポイントと「木のまち・木の家整備促進事業」の補助金が重複できるような記載になっておりました。まだ22年度予算が国会通過をしていないのではっきりと重複できるかどうかわかりませんが誤解を与える表現で申し訳ありません。
仮に重複できなくても大型の補助金570万(各種条件がありますが)には変わりありませんので、少々興奮して第一報をお伝えしました。


新潟の家 基礎断熱の欠点 朱鷺の死亡で思う事・・・。 

昨日朱鷺がネットで完全保護された飼育場内でテン等の小動物に襲われ死亡したニュースを聞きました。この飼育場はネットで完全保護されており、土などを掘ってもネットは地面下50cmは埋めてあるのでどこから入ったかは、現時点ではわからないそうです。

国が完全管理する保護場でも、「対」野生生物では予想しない事や、人間の不完全さから防護上の落とし穴ができるという事がわかります。ここから学べる事は・・・

基礎外断熱をするときは対白アリのためステンレスメッシュ(ターミメッシュ)を周囲にぐるっと施し白アリ対策する方法があります。このステンレスメッシュとは、白アリが通れないような細かい網の目のメッシュで土に埋め込まれる断熱への侵入を防ぐと言う理屈です。
しかし朱鷺と同じ事が起こる事が想像されます。朱鷺の保護場のように2.5cmのメッシュに対しし、白アリのメッシュは0.5mm程度でしょう。0.5mmの精度の施工が、建築現場でできると思う事自体無理があります。2.5cmの穴でさえどこかに見落としがあるのに、0.5mmの見落としがないという事は考えにくいです。私は基礎断熱推進派ですが、そのメッシュにコストをかけるより、基礎内断熱や、高基礎などを選んでます。この施工のほうが仮に白アリ被害があったときメンテナンスが格段に楽です。勿論基礎コンクリート一発打ち込みや玄関部分の配慮も必要です。生物から完全に防ぐ方法を考えるより、侵入されにくい予防と万一侵入された時に直ぐ対処できる仕組みが現実的で理にかなってます。

PS
地元の方の努力には敬意を払います。が、人の手によって保護されなければ生きていけない朱鷺ならば、現在の日本の自然環境がそうなのですから絶滅はこれこそ自然の事です(実際絶滅しました)。環境の変化に対応できない種は、いつの時代でも滅亡してます。「昔、朱鷺というそれはそれは綺麗な鳥がいたの。でも人間が人の住みやすい環境に変えたので朱鷺は対応できずに絶滅したの。だから人はいつでも未来へ繋ぐ責任がある事自覚し生きていかなければならないのだよ」と強く学ぶ事も重要と私は感じます。取り返しがつかないこともあるのです。なぜか「獣の躁者」の物語が頭をよぎります。


季刊誌「木土愛楽 42号」の差し替えについて

先日季刊誌「木土愛楽 42号」をお送りした皆様へ


印刷時のファイルが訂正前のファイルでしたので差し替えをお願いします。

ここをクリックしていただければ、正しいファイルがダウンロードできます。

メイルでお送りした皆様には再び新しい「木土愛楽 42号」をお送りします。申し訳ありませんでした。


自然素材の新潟の家 新築後喜ばれる事・・・ロフトより床下空間

 「緑の家」にご入居されて一年後に数度目のアフターメンテナンスに伺います。この時一番喜ばれるのは、なんと言っても暖かさと床下の空間ですね。

不思議と小屋裏のロフトはこの床下空間より喜ばれ方が控えめです。ロフトは建て主さん(親御さん)のテリトリーではなく子供の空間なので、使用の実感が少ないのでしょう。しかし床下空間は住んでからその良さがとてもわかります。必要無いけれどでも捨てられないそんな物ってたくさんありますよね。これを全部捨てることなくしまえるのですから喜ばれます。一年もすれば上写真のように洋服、布団も、おひな様も、本さえも問題なく※入ります。

特に最近は、一階に畳敷きがあれば、下の写真のように普通の入り口の3倍くらいの大きさまで入る入り口を追加造作します。だから大きなテーブルまで丸ごとはいります。

 まず畳をはがし、取り外し可能に加工してある床板を外します。

 更に床板を支える「根太」という部材まで取り外し式になっているので、約畳1枚分の大開口ができます。この穴から大きな物を直接床下に入れるのですね。これも標準仕様です。住んでからこのからくりをお知りになり驚かれる方もいらっしゃいます。

高床下はメンテナンスの要と収納、そして白アリ予防と一石三鳥、更に床下暖房の効率アップを入れると一石四鳥なのですね。

※「緑の家」の高基礎は99%の採用率で、その殆どで収納庫して使っているようです。その中で過去に一件だけ収納物にカビが生えた家がありましたが、これは梅雨~夏の使い方に多少問題がありました。この高湿時期に家全体の窓を解放しノンエアコンで過ごすと、高湿の空気が床下まで入り込み、収納物に吸湿しカビが生えやすくなります。これを防ぐには、床下の入り口は開けっ放しにしない事とどうしてもジメジメする一時は、エアコンの弱冷房(除湿)運転を願います。また床下に収納する季節は梅雨時を避けてください。


自然素材の家新潟から 2020年の約束② これからの樹脂サッシの枠

2020年の約束①では、アルミサッシ10年後には樹脂サッシに置き換わることの理由を書きました。②ではその主流となる樹種サッシの枠を考えてみたいとおもいます。

現在の国内の樹脂サッシの枠は概ね上の写真のような断面です。中がスカスカで枠には「ツバ」がついてます。このツバがくせ者でサッシの単体取り替えを事実上不可能にしてます。ツバがなければ簡単に取り替えられるのに・・・。国内最大手のシャノンさんの話では今のところツバなしサッシに切り替える予定はないそうです。

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自然素材の家新潟から 2020年の約束① アルミサッシの終焉か?存続か?

下の表をご覧ください。

政府が2月3日明らかにした環境相素案では・・・「温室効果ガスを2020年までに  中省略   排出量が増え続けている家庭部門は90年比18~31%減、05年比では40~49%の大幅削減」となる内容です。

簡単に言うと「政府は10年後には今家庭で使っているエネルギーを半分にしたい!」そんな事です。それを現実的にするには、最大のエネルギー消費である
「自動車」、「暖房」、「給湯」のエネルギー削減が求められてます(北陸地方)。そこで2020年の約束①では、暖房費削減の要である「サッシ」についてです。

昭和40年代から50年間住宅の窓を支えてきたアルミサッシが東日本からなくなっていく、そんな予感がします。
アルミサッシは戦前から使われたそれまでの木の窓に比べ、メンテナンスがフリーで気密性が良いという点で、現在の住宅窓のほとんどをしめてきました(北海道を除く)。ところがそのアルミサッシに陰りが見えております。
アルミサッシの最大の欠点はその熱伝導率が最も優れている素材ということです。だから鍋に多用されてきましたし、エアコン、車のラジエーターなどの熱交換フィンに使われております。この熱伝導率が良すぎるため、住宅のサッシに使うと熱がサッシの枠から逃げてしまいます。
アルミの熱伝導率はなんと木の1000倍。もし木の壁がありその厚さが1cmあるとすると、同じ断熱性能をアルミの壁で実現するにはなんと1000cm=10mの厚さが必要です。信じられないくらい熱が伝わるんです。だから現在の断熱アルミサッシは、アルミとアルミの間に樹脂が挟まれており、これが枠から伝わる熱を遮ります。

今までの高断熱基準(次世代省エネルギー基準)ではこれで(樹脂挟み込み)まだ良かったのですが、次の断熱基準では非常に厳しいですね。つまりアルミのサッシ枠を使うと、断熱性がこれ以上高くすることができなく、断熱基準達成が不可能となるのです(アルミが外、樹脂が内側の複合サッシも同様に達成不可)。

日本の大手アルミサッシメーカー(YKK、トステム、三共立山、新日軽)は現在樹脂サッシ工場の準備に追われていると聞きます。今まで膨大な資金を投じて造ったアルミ精錬施設ですから直ぐに生産減少ということはできません。現在アルミサッシからフェンス、枠等サッシ以外の商品を次々に拡販しておりますが、サッシほどのパイはありません。そこで政治力が働き、新断熱強化基準が先送りになったのかもしれません(防火サッシの件もある)。資源が全くない日本での住宅の緩い断熱基準はアルミサッシメーカーと大手ハウスメーカーが決めてるようなものでしょうか?

さて、私たち建てる側は何をしなければならないか?
そうですね。やはりアルミサッシからの一刻もはやい卒業でしょう。サッシは本格的に樹脂サッシの時代に入ります。今はアルミと樹脂の複合サッシが主流ですがこれからは迷わずオール樹脂サッシを使って家を建てましょう。ちなみにドイツでは樹脂と木のサッシが半々くらいとも聞きます(アルミサッシは数パーセント)。個人的には木のサッシが良いのですが、日本人は木のサッシを使うときの大原則を忘れている設計者が大変多いで、メーカーが木製で造りにくいのでしょう。
 木のサッシは庇や屋根が必ず、必ず、必要です。木は水分による伸縮があり、どうしても雨の進入を長期間に渡って防ぐ事ができません。ですので庇や屋根は大事な窓の一部なのです。それを忘れている若い設計者が大変多いですね。

質感、断熱、廃棄を考えると木製サッシが安価になり手に入りやすくなる事を願っております。


カメラ・・・

当事務所で使っているメインカメラはシグマ社のSD14(SD10)と言う事は以前のブログでお伝えしました。 完成時の写真などはこのカメラで撮ります。画角は35mm換算で17mm~34mmのレンズを取り付けています。一眼レフカメラでは本体よりレンズの価格が高くても普通です。17mm位(本当は12mmくらいほしい)でないと室内の全体イメージが写せないので多少お金は掛かりましたがこの本体より高いレンズが常時装着されています。

 カメラの上部に出っぱっているのものはアングルファインダーです。上や横から覗いて撮影するためのものです。

 上の写真のとおり、首から提げるのが嫌いなのでハンドストラップを取り付けてあります(これは結構便利で落とした事はありません)。 ブログ用写真のメイン機は上の写真の右「ニコン クールピクス950」です。 なんともうクラッシックデジタルカメラの部類に入ると思います。発売は1999年。当時希望小売価格128,000円。実売9万くらいだったと思います。ニコンが本気で造ったデジタルカメラがここからスタートしました。ボディーはマグネシウム製で最近の安価なデジイチよりも高価な素材です。スイバル機構のカメラでアングルフリーです。画素は200万程度ですがブログではちょうど良い画素数です。

左は動画専用(一応静止画もとれる)で購入した超小型軽量デジタルビデオカメラ「AIPTEK」 です。重さは電池込みでわずか130gと携帯電話とほぼ同じ。こちらもバリアングルというアングルフリーです。どうも最初のデジカメがアングルフリーでとても便利だったので、この機能は譲れない癖がついたのでしょう。価格は2万でしたが、故障が一年で2度もありこの機は3代目です。やはり日本メーカーではない機器の品質管理には問題があります。この機器は基礎のコンクリート打ち込み撮影用として購入しました。
おもちゃみたいな軽さですが、真っ白くほとんどスクエアー形状はデザイン的にとても好きです。

 AIPTEKのバリアングルを開くとこんな感じです。

またニコンのクールピクス950の標準画角が38mmだったので高価な純正ワイドコンバージョンレンズを購入しております。こちらを装着すると24mm相当です。ただレンズがカメラに対し「超デカ」なので不思議な造詣のカメラになりますね。

このほか個人(家庭)で使っているのがパナソニックのDMC-FZ1(これも既にクラッシックデジタルカメラ2002年)とパナソニックのDMC-TZ5(2008年)というコンパクト超望遠カメラです。

クールピクス950といい、FZ1といいこれらの名機と呼ばれる古デジカメ初期の機器はタフで一度も壊れません。多少スイッチの接触に難がありますが、基本的に撮る動作では故障無く既に1万枚近くではないでしょうか?それに比べ最近の普及価格体のデジカメ機は機能的にはすばらしいのですが1、2年でおかしくなる事が多いで質実剛健でないところがちょっと残念かな。


自然素材の新潟の家 基礎工事の設計と監理 ②

当たり前でしょう。と言う事が実は住宅建設現場では行われていなかったりする作業があります。それが基礎工事にも・・・。

 これは基礎工事の中で最も緊張する時で、生のコンクリートを型枠に打ち込んでいる写真です。生のコンクリートはミキサー車で現場に運ばれ、そこから最近はこのようにポンプでコンクリートを圧送し、ミキサー車から離れている型枠に生のコンクリートを打ち込みます。生のコンクリートが流れる圧送ホースが15mを超える事も普通にあります。この現場でヘルメットを被っていない事はさておき(この管理は現場監督の仕事ですね)、このように大勢で一気に打ち込みます。実はこの本打ち込み作業の前にとても大事な事があります。その作業は10秒で済むのですが、殆どの現場で行われていないと思います。
それは・・・コンクリートを捨てる事です。

上の写真でホースからでているのはコンクリートのようですが、何となく捨てているように見えませんか?そうですね。捨てているのです。しかしこの捨てているのはコンクリートではなく、「ノロ」と呼ばれる多量の水で薄まったコンクリートです。これは本作業のコンクリートを流す前に、この長い圧送ホースの内部に水分の多いコンクリートを通す事で、流れを良くするためです。これをしないといきなり詰まったりします。
もちろん水分の多いコンクリートですからコンクリートとして使えません。だから敷地内の邪魔にならないところに「仮捨て」しているのです。最終的には撤去します。
しかしこの作業を省き、そのまま水分の多いコンクリートを基礎に混ぜ込む事が普通に行われています。「小雨時の現場と変わりないよ」とうそぶく人もいますが、天候によるものと人為的に混ぜ込む事は全く違います。

「嘘でしょう?」とお思いかもしれませんが、「本当です」。

基礎のコンクリートが打ち終わった日に、この「仮捨て」されたコンクリートが敷地内に見当たらないときは殆ど、基礎に混ぜ込んでしまします。勿論この水分の多いコンクリートは不良コンクリートです。「仮捨て」は面倒だし混ぜれば同じコンクリートという感覚で現場は行っていますが、強度を必要とする基礎部分ではあってはならない事と思います。
基礎はやり直しや監理が一番大変な工種です。私どもでは、基礎コンクリート打ち込むその時に立ち会います。それは最初が肝心でこのような些細であっても行ってはいけない事を指摘する事で、現場の雰囲気はピリッとし監理がしやすくなります。

最近はこのように様々なブログで情報が得られる事ができて建て主さんはとてもラッキーですが、どんなに耳情報を得ても100棟以上も現場を監理経験してきた設計者と同じように現場はみられません。ですので有資格者の工事監理※を建て主さんが選ぶように法律で決められているのです。例えば建て主さんやその場にいないとコンクリートを打ち終わった後の洗い水のコンクリートと、最初の捨てコンクリートの痕跡の違いとか見分けはつきません。

※・・・小さな建物には義務ではありません。


自然素材の新潟の家 基礎工事の設計と監理

木造住宅は、建築物のなかでも大変軽量な建物ため、その基礎は鉄筋コンクリートであるにもかかわらず、今まで重要視をされてきませんでした。ところが長期優良住宅認定が行われるようになった昨年から、少し構造が改善されてきております。しかしまだ緩いところが白アリ対策です。

当事務所の「緑の家」の基礎は、コンクリートを一回で打ち込む「一発打ち施工」を標準で行っております(もう5年以上前から標準)。2回分けて施工するより、材料費と型枠に手間が掛かるので一般的ではありません。普通の工務店さんはやりません。なぜ目立たないこのようなところにコストをかけるのでしょうか?
それは、やはり「白アリ対策」なのですね。白アリの被害はその予防と修繕に多くの費用が掛かります。白アリの被害をほっとけば耐震性も危うく成ります。

下の写真をご覧ください。

 これはある大手メーカーの基礎の立ち上がりとベース(べた基礎のためスラブ)を写したところです。雪が降って基礎の内部側に水が貯まっているのが換気口から見えますね。たぶんその水を抜こうとベースと立ち上がり境に穴が開いてます。たぶんこの穴は後日モルタルで埋めるので問題ないと思います。
しかしよく見てください。この基礎の立ち上がりとベースの境目にはおびただしいジャンカ(コンクリートがしっかり入りきらないで砂利が見えるところ)があり、その部分から水が染み出ています。水が染み出るという事は、小さな穴が内部まで貫通しているという事です。その微細な穴から白アリが内部侵入してきたら、いくら基礎断熱の内側断熱材施工であったとしても簡単に内部に入られてしまいます。

ジャンカ自体はモルタルで埋めればある程度強度は問題ないのですが、この程度のジャンカがこのように全周に渡ってあるときに補修はしないでしょう(この現場もしていない)。

 上の写真の直ぐ近所にある「緑の家」の基礎です。雪がもう溶けましたが内部には水が結構たまっています。でも・・・
水漏れが外周にありませんね。ここが一発打ち込み凄いところです。施工も丁寧にしているため表面のガラス質が均一にでき容易に水の出入りを許しません。と言う事は白アリも容易に侵入はできません。だから基礎内断熱が生かされます。コストが仮に30万多くなっても、将来白アリ被害で補修や予防するよりずっと安価です。

たったこんな事ですが、これが白アリに対し強いバリアを構築します。如何ですか?このような設計や計画は家全体の事を知っているからできるのですね。パーツ、パーツの専門的知識も重要ですが、設計者は指揮者でありるべきです。全体の把握と調整をするのが設計事務所の設計計画です。

基礎にこそしっかりした計画と施工がされる会社を選びましょう。


とうとう100000アクセス突破 感謝です。新潟 自然素材の家HPから

今日朝8時頃HPを開いたらついに10万アクセスを超えていました。感謝です。100000目の人はご連絡頂ければ、記念品をお送りします(写真撮っていなくても可)。

さて今週は新潟県人が心待ちにしている春の気配を感じました。

窓の外は凪の海
 大きな空!今日も一日ありがとう。
写真提供は寺泊の家「風」さんです。


新潟市 雪のトラブルを防ぐ 家編

今年は新潟市では26年?ぶりに積雪80cmを超えました。最近の新潟市は一番多く降っても30~40cm。その倍の積雪が2日間で降ったので交通は大混乱との報道もありました。

長岡市で一晩40cm積もっても交通が壊滅するほどの影響は受けません。ところが新潟市では一晩に40cm降ると交通は壊滅的な影響を受けます。新潟市は融雪道路ではないため除雪車が頼りですが、除雪車が通ると道幅は半分くらいになり、また4m道路など狭い道や坂道も多いのでとても大変な状況になります。こんな時は無理をせず素直に会社や学校を臨時休業したほうが良さそうです(やむ得ない業務を除く)。

さて本題ですが、
雪のトラブルで一番多いのが、屋根からの落雪で怪我や車などが壊れてしまう事です。特に最近流行の「太陽光発電パネル」は表面が強化ガラスでとても滑りやすい素材です。ですので何らかの対応がされていない屋根に設置すると雪はおもしろいように落下します。先般このブログで注意喚起してましたが、やはり多くのところで問題が起きたそうです。
新築時ならそれ相応に設計者が気をつけるようですが、後付け施工された太陽光パネルから落雪でカーポートの屋根を壊した等の被害を聞きました。
実は当事務所のある家もお隣からの落雪が敷地内に飛び込んできて、設置されていたエアコンが雪で埋まり運転が不調になった事を聞きました(掘り出すのも堅い雪のため大変だったらしい)。

我々設計者は「新潟市では1mの雪が降る」事を前提に家を設計します。これは法律で決まっている事で、もし1m以上の雪なら「想定外」といえますが、1m以内の雪で建物の不具合が生じてはいけないですね(自戒をこめて)。

 7年前に建築した新潟市のある家。建物平面形状が△であるため屋根に曲面を持つ急勾配部分がある。そこで雪止めが鱗のように細かく設置されている。見た目はイマイチ(勿論ファサード側ではないので許せるはず)であるが近隣敷地へ雪がなだれ込まないような配慮で設計してある。外壁はガルバニューム。


新潟の家 床下暖房の種類


床下を暖める暖房(床下暖房)はすばらしい暖房システムですが欠点も多くあります。これは以前から当ブログやHPでもご案内してきました。この欠点についはこちらをご覧ください。

さて本題の床下暖房種類ですが、大きく分けると下の4つですね。

番号 名称 暖房方式 熱源 耐久性 ランニングコスト メンテナンス 取り替え
容易さ
設置
費用
A 蓄熱床下暖房 蓄熱タイプ   (深夜電力) ニクロム線等 ◎ 30年 ×
B 緑の家   SSプラン 蓄熱タイプ
(深夜電力)
エアコン
(空気)
○ 15年
C 温水床下暖房 常時
通電タイプ
温水
(エアコン)

15年
△、×
D エアコン床下暖房 常時
通電タイプ
エアコン
(空気)
○ 15年

上の熱源は全て電気です。灯油タイプの床下暖房もありますが、既にランニングコストやメンテナンス性でメリットはありませんから、今後なくなっていくと思いますので記載しません。

新潟県で最も普及しているのがタイプAの深夜電力を使いニクロム線等で発熱、基礎コンクリートに蓄熱させて暖房を行うタイプです。このタイプは耐久性が最もあり一般には30年以上は十分使えると思います。但し今後この方式はその発熱方式がCO2を多く発生させるので次第になくなるでしょう。

Cタイプは最近のもので、お湯をヒートポンプでつくりそれを床下空間で放熱させるシステムです。一日運転させるのでBタイプより運転費が最大で3倍にもなる事があります。Aと同じようにコンクリートに蓄熱させるタイプもありますが、これはヒートポンプ効率が下がったりメンテの面で一般的ではありません。価格は高めです。

Dタイプは最近最も多いタイプの床下暖房です。所謂床下エアコン暖房と呼ばれてます。ほとんどがメンテナンスのため一階床付近にエアコンを設置し、温風を床下に吹き込むタイプです。手軽で簡単なの事が最大のメリットです。ただ普通の基礎ですと蓄熱は期待できませんし、床下内掃除ができません。運転は一日通電させるのでBタイプより運転費が最大で3倍にもなる事があります。

Bタイプは「緑の家」の方式です。高基礎と組み合わせて安価な深夜電力運転で蓄熱させるとCやDよりも1/3のランニングコストになる方式で、床下暖房の弱点を克服した暖房方式です。

細かい内容はこちらにありますのでご覧ください。


新潟の家 無塗装の外壁5年経過

最近、超高断熱住宅と共にお勧めしているのが、木の無塗装の外壁です。この無塗装の家はまだ4棟しか建ってませんがこれから増えるといいな~と思ってます。多分超断熱住宅はこれからどんどん認知され、また必要とされるのでお勧めしなくても増えると思いますが、木の無塗装の外壁は「将来外観はどうなるのだろう?」との不安があるはずなので事あるごとに経過をご案内していきます。

環境がとても厳しい海風の吹くところに貼った木の外壁。5年くらい経過したと思います(家は19年経過、築13年で外観リフォーム)。私はなぜかこの木の色が好きですね。本当にそこにある自然なシルバーグレイ色です。
最近野良猫ちゃんが車庫に入り込み強烈な臭いをつけるので、木の扉を新設しました。そこだけ新人ぽい色で目立ちますが、時機に先輩色になるでしょう。

玄関部分ですね。こんな感じで木がカビて退色して表面が少し削れてもいいのです。

自然のまま

自然の経過

自然の色

自然の模様

そして自然の虫。
 蓑虫がついていてもなぜかそれが飾りです。

いかがですか?なにか塗る必要がありますか?木はそのままが一番最高です。但し雨に濡れないように屋根がしっかりある設計が必要です。


家のネット情報・・・大手メーカーの力

ふとある事から立ち寄った個人HPには家の裁判になった事が書かれていました。たまたま基礎の件や建築基準法の件で関心があったのでしばし閲覧。

厳しい現実ですね。読んであると息が詰まりそうです。相手は大手ハウスメーカーでした。裁判になるとお互いの論理のぶつけ合いは仕方無いとしても、建築基準法の書かれている事を守らなくても、「力」で論理が通ればそれは瑕疵はないという裁判所の判断には大変驚きました。

例えば・・・基礎が鉄筋コンクリート造の場合、その鉄筋のかぶり厚さ(コンクリートに埋め込まれる鉄筋の外気から最低距離)が6cm以上(土に接するところ)と建築基準法に明記されているのに、裁判になると「4cmでも基準を満たす」との判断が判事から出る不思議??

大手のハウスメーカーは、その財力を生かし、一般人には理解しがたい論理をその筋の技術者に証言させ、「図面や基準法どおりでは無いが、瑕疵はない」事を立証するようです。この「互いに納得した図面と違うが施工に瑕疵はない」という言葉が私にはとても理解しがたいですね。でも裁判になるとこれが普通に行われるそうです。家の発注者である個人は、財力が企業ほどある人はまれですからなかなかこれを覆す証人(技術者)を立てる事ができないそうです。勿論大手企業には息が掛かった技術者がたくさんいますし、行政や業界、調停員※への影響も大きいですからあえて反論証言しない技術者も多くいると思います。
※・・・元々建築訴訟の調停員は「業界で飯を食う建築士」が殆どで、調停員なるくらいだからいろいろなコネやしがらみが多く公正な調停ができるか疑問。

もともと建築基準法は明治大正のころに造られたので、施工者(大工さん)を守る意識も盛り込まれているらしいのです。当時はお金持ちも人しか家を発注しなかったので(大家)、受けた大工さんをお金持ちのパワーハラスメントから守る事も考えられていたらしいのです。しかし時代はかわり今や全く反対の力関係が多くなりました。いつも建て主さんには、「大手は基準がしっかりしてます」と言っていましたが、いざとなった時は、一番大手が怖いですね。

このHPの最後の方には

「欠陥住宅を防止する第一歩は【工事監理者】をしっかり自分で選んで契約する事」と結んでいます。ご自宅はハウスメーカーが勝手に指定した(委任状も勝手に造ったらしい)一度も面識がない「工事監理者」で工事が行われたそうです。

このHPは検索エンジンGoogleで「基礎 欠陥 大手 多摩 パ」で検索すると最初の方に出てきます。心臓が弱い方は見ない方が良い(特に調停の部分)と思いますし、建て主さんのブログやHPなので少々感傷的な事例もある事をご承知ください。


とうとう100000アクセス。12年目

当事務所のホームページのアクセスがもう少しで10万件になります。

ただ今「99657」。

1998年暮れに最初に当時のサーバーOCNにアップしてから

12年目でようやく到達します。

これも支えて頂ける皆様のおかげだと心から感じております。

ありがとうございます。ほんとにほんとにありがとうございます。

3年くらいに前に90000件に入ってからゆっくりで、

なかなか10万件いかないな~と思っていたのですが、

去年の暮れから一気に2000件増え

急にペースが上がり早ければ今月中に10万です。

こんな小さな設計事務所のHPに何度もお越し頂いた方、

励ましのメール、質問メール、時には厳しいご指摘、

みんな感謝です。 ありがとう!

ジャスト10万件目のかたは、その画面上の写真のように

撮ってメイルで送ってくだされば、

気持ちだけですが何か記念品などを考えてます。


ふと思う 耐震性より超高断熱化!

今年は真冬日が多いですね。だから・・・

間違った考えとわかるのですが、

リフォームも新築も200年に一度訪れる可能性がある大地震に、大きな損傷を受けない頑強な家(免震とか)より、30年後確実に訪れる「石油危機」、「脱化石燃料」、「低炭素化社会」を考えると、超高断熱化が先ではないかと・・・。
家の優先は 安全性>快適性、経済性 とわかっているのですが・・・。

冬に突風とお日様のでない寒い新潟県ではついそのような魔の囁きが・・・ ┐(´д`)┌


冬だから基礎のコンクリート強度に更に注意します。

2010.02.18青字加筆

この写真は、基礎に使うコンクリートの強度を測るためにサンプルを抜き取っているところと、スランプ試験をしているところです。

冬に基礎工事される事もおおくなりました。
コンクリートは固まる前に凍結さえしなければ、低温湿潤である新潟の冬は、コンクリートにとって都合のよい環境です。但しあまり気温が低いと、20度の標準温度より強度がゆっくりとしかあがりません。そのゆっくりさでは工事進捗に支障をきたしまから「温度補正」を行います。温度補正とは、コンクリートの設計呼び強度に割り増して早く強度が出るようにするコンクリートの作り方です。

オーブルデザインの「緑の家」はコンクリートの設計呼び強度が27~30N/mm2なので通常プラス3上げて30~33N/mm2以上に温度補正します。

さてこのコンクリート設計呼び強度は家の耐久性に重要な数値です。強度について詳しくはこのコラムに掲載しました。

下の図のように現在の国の基準(住宅金融支援機構)では24N/mm2以上が標準ですが、4年くらい前は21N/mm2、12年前は18N/mm2でした。つまり年々高くなってきています。
オーブルデザインの標準では12年前から27~30N/mm2です。これはとても手前味噌で誇れる先見性です。コンクリート呼び強度を一度設計者に聞いてみてください。温度補正は?スランプ試験は?そして強度はいくつですか?この質問でその設計者、施工者の力量がわかります。※いずれも「呼び強度」です。設計基準強度ではありません。

いつも申し上げておりますが、家の設計はバランスです。全てにおいて基準を満たす事ができることが住宅専門の設計事務所の力です。

ちなみに木造軸組住宅の温度補正はそう厳しく考えなくても良い場合が多いです。これは打ち込みから上棟まで8日くらい、その後本格的に基礎に加重が掛かるまで2週間以上掛かりますから、ちょうど4週間を迎えたところで加重が半分も掛からない状態です。ですので厳しい行程以外は+3位の補正値でもOKでは無いかと思います。工程管理を把握できれば設計者の判断となりますが、この時期は+3は必要ですね。


12年間使用した ISDN終了

ISDNって知ってますか?この機器はINSメイトV-8DSU(2代目)という機器です。 ISDN・・・もう死語か化石のような規格ですね。ADSLが使えない地域でまだこの規格をお使いのかたがいらっしゃれば拍手ものです。当事務所では数日前に12年間使用したこの機種がようやくお役ご免、既存電話線を取りやめ光電話に切り替えました。お疲れ様でした。
ちなみにISDNとは既存電話線の情報をデジタル化することで、一回線で2つの電話番号を持てる規格です。当時は電話一回線の権利料が8万?くらいだったのに対しISDNはその2倍ではなく1.5倍程度だったので迷わずISDNにしました。なんとこの頃はインターネットはダイアルアップ接続が普通だったのですよ。

6年くらい前この地域(三条市荒町)で一番最初に光ファイバーを事務所内に引き込み、インターネットをADSLからフレッツ光にしました。しかしその当時、光電話はまだなくIP電話のみでした。IP電話は05××から始まるので、今まで使っていた同じ番号が使えません。仕方なく既存ISDNをそのままにして6年経過しました。
昨年末、学生時代のメンバーの忘年会で「光」引いているのに何で既存電話線も使っているのと馬鹿にされ、「電話番号が変わると言われたので」というと、「それは相当過去のこと。今は大丈夫」といわれました。
ITの技術の変化はめまぐるしく、4年前からできるようでした。

しかし、今更IP電話用に購入した無線ルーター(約3万)を捨てるのももったいないし、すでに浸透したIP電話の番号も破棄したくない、無線LANの設定も・・・で結局下のようにルーター2台(IP用と光電話用)と何とも小さな事務所では多すぎるネット機器と複雑な配線です。光変換機器も結構熱くなるし待機電力も多そうで無駄な環境負荷という感じです。(もう電話権利は意味なしですね)。

小さな事務所ですからネット環境は家庭用で十分です。が、何となく多すぎる機器類。右から8ポート1000BESE-Tハブ、光変換機器、光電話用ルーター(無線なし)、IP電話対応ルーター(無線あり)24時間稼働。結構熱を発散してます。


予想通り! 国が全ての家に高断熱を義務化!しかしユニクロ化は・・・

最近は住宅も「ユニクロ化」しているような気がします。ある程度の品質で安い既製品。家も最近はこのような造りが多いですね。
しかし家は衣料と違って数年で取り替えられるような事はできません。ここが衣料と全く違うところです。
家の基本性能を数年後変更しようと思うと、総新築費の半分程度お金が掛かります。そこをよく考えて仕様や会社を選んでほしいと思います。

特にこれからは低炭素社会(脱化石燃料)に必ずや向かいます。家造りでこの対応を間違えると、とても大きな資産の損失となります。

まずこちらをごらんください。政府が下のような発表をしてます。

http://www.asahi.com/politics/update/0204/TKY201002030475.html

政府が「温室効果ガスを2020年までに1990年比25%(05年比30%)削減する」中期目標を達成するため、家庭部門はなんと40~50%(2005年比)の削減が必須だからです。

このため政府は

①太陽光発電の最低でも10世帯に1世帯

②新車はすべてハイブリッド車

③新築はすべて高断熱化

④住宅全体の8割を高効率給湯器とする。

と宣言してます。①と②はいつでも、数回でもできますが、③の新築の高断熱化は一回だけです。ここで慎重になって考えましょう。もしこの「高断熱化」が次世代省エネルギー基準といわれる現在の高断熱仕様ならば・・・

業界ではすでに知れ渡っていますが、北陸、東北以北では高断熱化では暖房エネルギーが以前より増えてしまうのです。これはあたりまえで、高断熱化すると全室暖房することになります(リビング階段などオープンプランです)。

高断熱化する前の住宅では家中暖房は不可能でしたから、我慢してリビングだけとか暖房していたのです。だから意外と暖房エネルギーを使っていなかったのですが、次世代省エネルギー基準といわれる現在の低い高断熱仕様程度では、全室暖房すると以前より1.5倍もエネルギー消費(暖房費)が増えてしまします。

では少し良い性能のQ値1.8~2.0位でようやくとんとん(同じくらい)。しかし削減目標は50%ですから、これを考えると目指す新潟県の断熱性能はQ値が1.0付近は確実です。

1998年以来断熱性能を10年以上も強化していないのは、様々な政治的理由があるのでしょう。実は去年断熱性能が1.4倍程度引き上げられるはずでしたが、強い業界圧力で小幅に引き上げられています。この基準は、新潟市ですと

Q値2.7→1.9に引き上げ(1.4倍程度)

でしたが大きな抵抗があり分譲業者だけの基準となってしまったのです。だから一戸建て住宅は11年前の基準のQ値2.7のままです。

業界の同意が得られる新潟県の2年後の基準はQ値1.9で、2018年くらいに更に上がりQ値1.3~1.4くらいになるだろうと想像できます(今までこれらの予言は当たってます。予言は確実な情報を分析すれば現実となります)。そして2030年にはQ値0.9くらいでしょう。たった20年後ではまだローンが残っている頃です。

建て主さんより強い業界の抵抗・・・。大手メーカーの都合でしょうか?ですので建て主さんは自分で自分を守らなければなりません。私が20年前にQ値1.9の自邸を建てたとき、まだ高断熱推進など政府は言ってなかった時でしたが、今でもその断熱性能は十分通用します。これが本来の家の性能ですね(最低20~30年くらい先の標準性能)。

さて、普通は借金して家を建てるとと思いますが、そのローンは30年くらいではないでしょうか?それなのに10年もたつと断熱基準を満たさないエネルギー浪費の家になってしまう。それが住宅の、住宅のユニクロ化の行く末です。心ある設計者はQ値0.9以下をまず勧めます。

さて、今家を建てるならQ値は高すぎる事はありあません。床面積を少し小さくしても、高い自然素材を少し減らしてもQ値を0.9くらいにしましょう。必ず後悔しません。・・・どうしてもという方はQ値1.3以下が最低限ですね。

但し、Q値1.3では1990年比で「目標未達」ですからエネルギー消費住宅になります。


新潟の家 広告、営業話術に惑わされるな。

ブログでもよく申し上げますが、広告(チラシ、HP)がすべて正しい情報とは限りません。どちらかというと誇大広告が殆どです。これは表現の自由という憲法により、故意に人を惑わす事が書かれて限り自由表現OKということです。

例えば、
TV通販でも「○×を食べたらで目がすっきりした」という体験談ならOKで、「○×を食べたら目の視力が直ります」と販売会社が宣伝すると薬事法?に触れます。「目がすっきりするのは個人差があります」とトドメにテロップで流せば、目がすっきりしなくて責任はありません。

同じように住宅でも社長の思い込みで、この家は「地震に強い家」と宣伝してもそう大きな問題になりません。が、もし裁判にでもなれば思い込みだけ(裏付けなし)で「地震に強い家」と言って販売し、それが購入に大きな影響を与えたとなると、たぶん耐震等級2以上の基準を満たしていなければ詐欺か等級1を満たしていなければ建築基準法違反になります。

広告会社はこれを回避するため、小さい字で「プランにより替わります」とか「オプションです」とか記載されてます。が、それを読む人はあまり多くありませんし、重要なことと思って気にとめる人もいません。その後すぐに説明があれば仕方無いことですが、契約まで無いとすると問題です。そのあたりの解説が詳しく載っているHPは下のところです。

http://www.ads-network.co.jp/mitumori-zumen/koukoku-01.htm

耐震性では、特に私は許容応力度設計で構造計算しますから、通常の会社で行う壁量計算はあまり眼中になく気にしていなかったので、

建築基準法の壁量×1.25=耐震等級2ではない!
は考えたことがありませんでした。 

http://www.ads-network.co.jp/mitumori-zumen/zumen-11-jiku.htm

のサイトで数値で説明してます。なぜそうなるかは、建築基準法は雑壁を耐力壁として算定していな事と、多雪地域の雪加重の考慮がないことが原因と思います(雑壁ってなに?はおいといて・・・)。
同じように断熱性能表示Q値=1.9といって広告していた建物が、しっかり計算すると遙かに悪いQ値2.5だったりします。これは建て主さんにとって殆ど詐欺ですよね。
とにかく大事なことは、世界に一棟しかない注文住宅なら個別にみんな計算して数値で表示してもらうことですね。数値は後で残りますが、「高気密高断熱ですよ」とか「地震に強い」という曖昧な表現では、建設会社に逃げを許した事になり・・・×です。

上のリンクはおもしろいサイトなのでいちど立ち寄る事をおすすめします。ただ開設者が太平洋側の人なので、温熱環境については参考にならないところもありますが、その他は頷くことが多いサイトです。[E:shine]


高気密高断熱住宅の欠点④ 基礎内断熱とシロアリ 新潟の家から

家を造る勉強をされているかたなら、基礎断熱という断熱工法を知っていると思います。
15年くらい前から北海道で開発され次第に南下し、今では大手ハウスメーカーにも標準採用されている断熱工法です。前々回のブログでも申し上げているとおり、断熱方法としてはとても理にかなった方法でとても優れています。

がしかし、
①シロアリを呼び寄せる
②シロアリに対し進入されやすい部分が多い
③シロアリが進入した場合駆除がし難い
という欠点も併せて持ちます。

当事務所では90%くらいが基礎断熱工法を採用しており、そのうち98%くらいが基礎内側断熱です。基礎内断熱に拘るのは②の欠点を和らげるためです。

下の図は(財)住宅金融支援機構刊の木造住宅工事仕様書(解説付)からの抜粋です。
この団体は国と変わらないくらいの権威がある団体で、40年以上も日本の住宅の基準を作ってきました。そこには・・・

関東以西の地域は必ずこの仕様。シロアリ予防の仕様.

新潟県を含む北陸以北で採用が可能な基礎断熱。但し家の周囲にシロアリが生息している場合は採用注意とある。

とあります。つまりシロアリ予防が高いのが基礎内断熱です。基礎外断熱はシロアリが現在いなくてもいつ家の周囲に来るかわからないので、当事務所では10年以上前から採用していません。

 これは当社がSSプランの標準基礎内断熱の図です。

このように基礎の内側に断熱材を貼り付けます。これは地中から進入しようとするシロアリをコンクリートでブロックするためです。が、基礎のL字を一回で打ち込む工法でないと効果は薄いです。それは2回でコンクリートを打ち込むとそのうち次ぎ面にわずかな隙間(設置金物錆、ジャンカ)が残りやすいためです(Sプラン布基礎の場合はこれを改善した方法で対処します)。
またこの方法では基礎内断熱の欠点である熱僑をうまく防いでおり、シロアリに侵入を目視できるようにしております。詳しくはこの日のブログです。

またオーブルの緑の家オリジナル仕様は、床下エアコンによる蓄熱暖房をしているので、人がいる階上よりはかえって断熱性能が高く考えてあることです。その一部が外部土の中に設置される外断熱です。

こんなに丁寧にブログで解説すると、他業者さんがまねをしてオーブルさんには不利益になるのではないですか?とのご心配をいただきますが、

「出し惜しみしない事が建て主さんの、そして自分の幸せになるよ」とのある方の教えがあり、私もその通りだと感じます。もし私の考えにご共感頂ければもっと詳しくご説明します。


超高気密住宅にデメリットはない。新潟の家から

超高気密住宅にデメリットはない。

と言いきります!
様々なネット情報では「高気密はいいけれど超高気密まではいらないし、そこまで性能を上げるとデメリットがある」と説明してサイトがあります。でもその事を書いている方全てがその超高気密住宅に住んだことがない人です。20年近くもほぼ超高気密住宅に住んでいる私が「もっと気密が高い方がよい」と言い切れます。

まず住宅に気密がどうして必要か原点に戻りましょう。お寺や神社の建物では気密が必要ないですね。家や店舗建物はどうでしょう。何となくあった方が暖かいと思いますね。そうです。この二社の違いは、暖房するかしないかの違いなのです。赤道直下の家に気密が必要ないように暖房しないところでは不必要なのです。神社も神様には暖房が必要ないので気密の建物がいらないのです。

つまり気密は暖房するために必要ものなのですね。だから沖縄などを除く日本の住まいでは必ず必要なのです。すると
「昔の家は気密などなかったのに問題なかったのでは・・・。」というとんちんかんな質問する人がいます。
「ではその昔に車が走っていたり、電気や石油があったでしょうか?」
文明は進化し、現代の人間は99%の人が「暖房」を好み「暖房生活」するのですね。それを直視しないで「昔はなかったから必要ない」という人は、電気も使っていない生活に戻ればよいとおもいます。でもできませんよね。全てはバランスで成り立つ世の中です。今は暖房を必要としている文化なので高気密住宅は家のバランス上必要な絶対条件です。

さてようやく本題ですが・・・
長くなりそうなのでこの続きはHPでご覧ください。


ATOK導入!

一太郎を知ってますか?PC98やDOSの頃からお世話になった有名なワープロソフトです。5インチFDDの時代ですよ(笑)。失礼ながら懐かしいですよね。
現在まで継続して25年間使っている人もいると思いますが、ほとんどの人がこの日本語エンジンATOKのみを好きで使っている人が多いと思います。
そうです。私はWindowsに標準でついてくる日本語変換機能MS-IME又はIME-2007等をここ15年くらい使っていました。ところがこのMSーIMEの変換の悪さがとてもイライラするようになりました。何度となく変換している漢字でさえ学習しないというか、漢字変換を思うようにしてくれないのです。そこでやっぱり無料でついてくる変換機能はそれだけのものということを悟り(無料設計も大概はその程度が多いですね)、「そういえば一太郎(ATOK)があったよね」ということで2010年版一太郎を予約しました。

5日の発売日に発送され、6日に手元に到着。写真のようにパッケージ版を購入。今はネットでダウンロード購入できるので無駄を排除するならこのようなパッケージ版を購入しない方がよいのでしょうが、そこは古い人間。やっぱりソフトはこのような箱に入っていないと気がすみません。
直ぐにインストールしこのブログを早朝4時に書いてます。

PCで文字を多く打つ方はこのATOKがやっぱりいいですね。15年ぶりに日本語変換ソフトを買いましたが、その価値はあったと思います。
注意する点は、IMEの場合直ぐに変換しておかないと全く違う漢字に変換してしまうので、5文字も打ったら直ぐ変換してましたが、ATOKでは長文を正確に変換してくれるので、なるべく変換しないで一気に打ち込んだ方が良さそうです。
さて「直ぐ変換」の癖が直せるか・・・。


高気密高断熱住宅の欠点③ 玄関とシロアリ 新潟の家から

家の設計はバランスに尽きます。いくら地震に強い家でも、寒い家なら長持ちしないし、いくら自然素材を多用した家でもシロアリのことを考えていない家は耐久性が低いでしょう。高気密高断熱で暖かくても、地震に弱かったり耐久性がない家でもだめですね。本当に良い家はすべての性能が高次元バランスで成り立つものなのです。

緑の家のSSプランは、シロアリに対して至高の方法を標準としています。最近のシロアリ被害は、玄関付近と風呂、勝手口付近に集中しております。これは、今の99%の住宅で土と接しているところが玄関付近と風呂、勝手口に限定されるためです。土壌型シロアリは、巣を土の中に造ったり、地中から家に進入する事がほとんどです。このため土と接しているところが加害部分になるのです。特に玄関部分はどうしても土と接っしなけらばならない機能を持ち合わせているので、家のしろありに対しての一番の弱点となります。だからこの部分さえ注意すれば、玄関部分の侵入を著しく防ぐことが可能です(緑の家の場合)

 他社 一般の家の玄関部分のコンクリート

上の写真は一般の家の玄関部分を作っているところです。このように土と玄関戸は接しているので、ここからシロアリが侵入してきます。

 それに対し緑の家のSSプランの家は玄関ポーチ下が空間なのです。また玄関ポーチのコンクリートは外壁や玄関戸と接してません。だからシロアリの侵入が困難で且つメンテナンスが簡単なのです。
県内でここまで気を使う設計はないでしょう。
「シロアリ予防に対しここまでやる必要があるのか?薬剤予防でよいのでは?」
といわれたこともありますが、SSプランの家は100年以上の住宅のあり方を真剣に考えて提案しております。耐久性に最も大きく影響を及ぼすシロアリの加害にはできる限り注意を払いたいと思ってます。特にシロアリを引きつけやすい「基礎断熱」工法は注意しすぎることはありません基礎断熱工法は安易に採用してはいけません。

また薬剤による予防は、所詮「化学物質」です。その効能は長くて10年(加圧注入でも30~40年)で且つそのほとんどが危険で中止になった歴史があり、40年も継続し販売されている薬剤は聞いたことがありません。物理的に半永久なこの方が理にかなってますね。当然ヒバ油とか炭とかという自然素材はおまじない程度の効き目しかありません。その情報は先日ブログで紹介したシロアリサイトに詳しくあります。

どうですか? あなたの家の設計者は、シロアリ予防とメンテナンスをしっかりと説明しバランスよく提案してますか?


緑の家にお住まいの皆様へ 連絡

新潟市で数十年来の豪雪になっております。
新潟市で建築された「緑の家」は、通常1mの耐雪住宅です(一部1.2mの耐雪で計画された家もありますのでご確認ください)。仮に1mを少し超えても安全率を見てありますのであわてて雪下ろしをお考え頂かなくとも大丈夫です。また屋根に設置されたトップライトも1mの耐雪荷重があります。
天気予報では今週で寒気は終わるとされております。今は家の中で暖かくお過ごしください。


雪すごいですね。

今日は三条に泊ってましたので早朝3時に起き、三条の駐車場の出入口の雪かきをしてから寺泊に行き今これを書いてます(4時30分)。娘をバス停まで送らなければ・・・。
寺泊も久しぶりに一晩で雪が多く積もってます。今日の雪は海岸から平野部で降ったようです。すごーい^2降りようです。[E:snow][E:snow][E:snow] 雪の多いところの方は大変お疲れ様です。 o(_ _)o

PS
8時30分加筆 何と新潟市の積雪深が長岡市を越えました。


高気密高断熱住宅の欠点② 床下暖房とシロアリ 新潟の家から

 この写真は一昨年前に計画した「緑の家」の床下暖房で、発熱体を直接基礎に埋め込み蓄熱させる仕様の基礎築造前の写真です。勿論現在はエアコンで床下暖房するほうをお勧めしてますが、5年くらい前からこのような床下蓄熱暖房も行っております。

この写真は基礎スラブに発熱体(所謂ニクロム線)を入れ深夜電力で蓄熱させるため、そのコンクリートの温度は45度にもなる場合があります。いくら地中の断熱性能がよくてもこのこの温度では、地中への熱損失が大きいので断熱材を基礎の下全面に敷きこみます。

この写真の断熱材の厚さは50mmでスタイロフォームATを使ってます。この「AT」という選定が重要で、スタイロフォームの中でも「AT」だけネオニコチノイド系の防蟻剤を混入し断熱材自体にシロアリの食害を防ぐ効能を持たせています。「これにより断熱材がシロアリの蟻道やコロニーになったりする可能性がほとんど有りません」とのメーカー紹介があります。

無論可能性は0ではなく、多少の蟻害はあると想像できますが、大きな空隙ができることはないと思います。
ここが重要です。
多少加害があっても家そのものに影響を及ぼさない可能が高ければ、土に埋め込むことは問題はありません。また仮に蟻害があっても厚さ5cmですから、致命的な空隙ができるとは想像しにくいです。この家は埋め込む断熱材と家との縁が切れており、直接接しておりません。こういう配慮も肝心ですが、通常の施工では縁をわざわざ切ることは少ないでしょう。

しかしこのスタイロフォームATは普通の同等の断熱材の倍近い価格です。ですのでこういった防蟻性のある断熱材を使う工務店(建設会社)さんは多くありません。これは断熱材が地中に隠れてしまうので大きな加害があってもわからないからです。しかし大きな加害があれば、この断熱材を施工し蓄熱した熱を逃がさないように計画した意味がありませんね。

地中に埋められる断熱材がある場合は、必ず「防蟻性」のある断熱材かどうか確認が絶対必要です。
10年くらい前に基礎の下で断熱材のような発泡素材(防蟻剤無)を数十センチ埋め込む事で地盤改良する工法のメーカーが近隣県にありましたが、その時営業マンに

「その発泡材に蟻害はないのですか?」との問いに
「この材料はシロアリの食材ではないので蟻害はない。高速道路の路盤下地としても実績がある」
と答えてました。
しかし10年後の今の業界の統一見解では、

「シロアリは直接食べ物でない発泡性材料でも状況がよければ食べるし、コロニーも作る」

となってます。このことは昨日のブログのリンク先にしっかりと写真入りで解説があります。
http://www18.ocn.ne.jp/~union/131101.html

数十センチの厚さでシロアリの加害を受けたら怖い気がします。高速道道路のようにいつも補修ができるならよいのですが・・・。

このように地中内に設置する断熱材には細心の注意が必要です。当事務所は8年前に蟻害を受けてしまいその教訓を最大限生かし、建て主さんにご提案します。


高気密高断熱住宅の欠点 土壌型シロアリ 新潟の家から

このブログは1月25日の追加修正版です。

真冬なのでシロアリはまだまだ「旬」な話題ではありません。が、シロアリは今も活動している事が多くなりました。その理由は冬季の地表面(深さ2mまで)温度の上昇です。その温度上昇の原因が基礎断熱によるものであるとされてます。
基礎断熱は地面を断熱材とするので、数年で基礎の下の接している地面の温度が15度から10度くらいで安定します(常時湿潤土地を除く)。するとこの暖かさにつられてシロアリがやってくるとシロアリ駆除の技術者から解説がされてます。

これは全く同意で、拙宅の20年を迎える高気密高断熱の壁の断熱材や、天井の吹き込み断熱材の中に、おびただしい数の団子虫やゲジ、ムカデが干からびて死んでいます。彼らは「暖かさ」に惹かれ、越冬地として選んだのですがあまりに断熱材の中が乾燥するので春を迎えることなく死んだのでしょう。自然の中では木の皮の下や石の下が越冬地ですので、湿気は多量にありますが、高断熱高気密の断熱材の中は、相対湿度が20%から50%のところも存在するので干からびます。

基礎断熱を施すと間違いなく地中の虫を呼び寄せます。虫も越冬するのに暖かい方がよいに決まってます。あまり温かすぎて干からびたのは彼らの誤算でしょうが、とにかく暖かい事はみんな(昆虫も動物、植物も)好きです。
だからこそ基礎断熱では注意が必要です。特に次の工法で基礎断熱を施工するところは、今一度熟考が必要です。

1.基礎外に断熱材がある場合(耐白蟻剤含有製品を含む)。

2.基礎のコンクリートを2度に分けて流し込み作った基礎。

3.玄関土間下(勝手口土間下、ユニットバス下)が「土」の場合。

4.排水管が地面から見えないところで内部に引き込まれている場合。

です。

オーブルデザインでは8年くらい前に一度シロアリに玄関内部のかまちとよばれる木材を加害され、それ以降この問題にはとても注意してます。理由については次回にします。

シロアリの詳しいHPはいっぱいありますが、上の4つを比較的わかりやすく偏りが少ないところは

http://www.skunion.ecnet.jp/

がよさそうです。無論当HPの

http://homepage2.nifty.com/arbre_d/kisodannnetu/01.htm

にもありますし、

http://www.sinfonia.or.jp/~isoptera/myhtm/dannetsu/dannetsu.htm

も少々主張が強いですが、いろいろな所でご活躍されている方が主宰の有名なシロアリサイトです(このサイトでは基礎断熱は結構悪者ですが知見は深いです)。

基礎断熱は温熱環境を考えた時はすばらしい方法ですが、一方でシロアリのリスクがあります。この部分はコストが安いだけではいけません。当事務所が薦める「緑の家」ようにきっちっりとメンテナンス対策がされているが重要です。


超高断熱の家 重要なのは防湿気密シート!

このあおり角度でないと吹き抜けが写せなかったので写真が歪んでいて見苦しいのはご勘弁ください。

このように6mを超える吹き抜けの床温度と天井温度の温度差が0度の家が、超高断熱の家ですね。高気密高断熱の家の性能の2.5倍以上の性能をを持つQ値0.97W/m2kという家。本当に必要でしょうか?

必要です!

超断熱の家が完成して本当にそう思いました。温度差が0度で、何も暖房をつけないなのに23度を19時間も維持できる性能(完成見学会時)は、来るべきエネルギー費高騰のときの備えと快適性の先取り!多少家の大きさが小さくなってもこれは最も賢い選択です。

最近のどのメーカーでも「高気密高断熱」です。といってお勧めしていますが、実はその中身には相当の差があります。特にウレタン吹きつけ系で気密を確保する高気密高断熱の家は、木の経年変化と中小地震時の揺れに固い断熱材が追随せず気密性が悪くなる事がわかってます(結果断熱性も悪くなる)。最初販売する時よければ10年後の性能は悪くてもよいという発想です。どこかで同じような事を聞いたことがありますね。
そうです。新建材と呼ばれる材料も同じでした。表面だけ取り繕ったフローリング材や、ビニールクロス、新建材の扉セットがその事です。これらは10年も経つと表面が剥がれ中身が露出します。綺麗な状態は最初が一番でその後化粧がとれていくように・・・。

高気密高断熱の基本は、室内側から防湿気密層、次に断熱材、最後に通気層があるのが基本中の基本です。いずれも省く事は何らかのデメリットが生じます。所が最近は防湿気密層(ポリエチレンフィルム)を省略する工法が多いですね。
外壁周囲に先貼りされるポリエチレンフィルム(薄ピンク色)
この防湿気密シートはとても重要で、建物の多少の挙動変化があっても、重ね200mm以上の伸縮性のある防湿気密シートはその変化に追随し、長期間気密性を確保します。拙宅の20年前の高気密高断熱住宅でもこの防湿気密シートは貼ってあり、今でも高い気密性を確保してます。こういった基本的なことを省いてお勧めする安価だけな高断熱高気密住宅の20年後は・・・少し無残な気密性になる可能性が高いでしょう。たまにこの防湿気密シートの耐久性を疑問視される意見を聞きますが、防湿気密シートの先進国北欧では、その耐久性が70~85年くらいは問題ないとの考えです(耐温度耐紫外線品)。

高気密施工にはこのような防湿気密シート(ポリエチレンフィルム)を真面目に使っているか是非ご確認ください。


高気密高断熱を科学的に検証!無暖房の見学会から

先週行われた見学会では、上の床下熱回収システムをみて、

「今までこのシステムを設置した事はあるか?」と尋ねられ、

「本物設置は初めてです」とオーブルデザイン

「よく初めてのこの装置を建て主さんは了解したね」と見学者

「我々にとって注文住宅はいつも世界に唯ひとつのもので所謂初めてです。ですので様々なシュミレーションや根拠を検討し、それが形になって根拠が間違いなかったと証明しているだけです。それが技術者ではないでしょうか?」とオーブルデザイン

「なるほど。そうだよね」と見学者

私たちにとってはいつも始めての事だらけです。だからこそ様々な角度から検証し根拠だてして家を造るのです。

さて、今回の見学会では雪降り日にも関わらず、暖房機がずっとOFFなのに16時間も23度が維持されてました。この現象は魔法でも何でもないので、これについて分析をしたのでご報告します。

見学会の温度と床下暖房の蓄熱分析

Q値が0.98W/m2Kの建物が16時間も暖房OFFで室内を約23度に維持できた理由を分析します(平均外気温3℃、曇りで直達日射量はなし)。

照明器具の総発熱量 約1000 W/h(見学会のため全照明器具の80%ON状態)

待機人の総発熱量 約300 W/h(3人)

来客者の発熱量 約 0 W/h(玄関の開け閉めなど熱ロスで相殺)

すると1.3KW/hの発熱でほぼ23度を維持していた事になります。

(アメダスによる外気の平均気温は3度・・・温度差20度)

一方この建物の設計熱損失Q値は0.98=約1W/m2Kですので 

1×105m2×20度の温度差=2.1kw/hの発熱が必要です。

よって暖房OFFから16時間も変わらず23度維持していましたから

2.1-1.3=0.8KW/hが床下の蓄熱によって支えられた事になります。

すると使用された蓄熱量は0.8KW/h×16h=12.8kw ・・・①

一方

コンクリートの表面温度がエアコンOFF時23(24)度で、16時間後21(22)度くらいまで低下しました。コンクリートの容積比熱2013KJ/m3℃、基礎内部の蓄熱コンクリートの容量12.5m3ですので、2013×12.5×(23-21)=50325KJ→14KWh

コンクリート温度有効面積80%とすると14*0.8=11.2KWh ・・・②

①と②は非常に近い熱量です。よって

照明・人体による発熱と、床下のエアコンによって暖められた床下空気で基礎コンクリートに蓄熱され、それが温度維持できた理由ではないかと考えられます。

このような根拠がわかる技術者がこの超高断熱住宅を支えます。感や経験だけではありません。エコという美麗な言葉で広告される家だけでは許されません。いまや家は科学的根拠がなければ眉唾です。


見学会に来れなかった人のために・・・。超高断熱+床下暖房の家 ②

外観デザインで重視するのは、どの面がファサード(正面)になるかです。通常玄関アプローチ側ですが、今回は玄関ではなく西側になります。この面は、畑を挟んで遊歩道があり、この遊歩道側の往来が正面の道路より多いことと、このように全体が見れる距離があるのでとても目立ちます。実際見学会を行っていたときも、必ず遊歩道を通る皆さんの目線が来ました。ですので模型製作時点からこちらの外観を重要視しております。見学会にお越しいただいた皆様は、意外とこの外観は見ていなかったのではないでしょうか?

夜景のシルエットもきれいです。
外壁は軒の出(屋根の出)がないため屋根材のガルバニュームしか選択肢はありません。加えて防火関連の法律を厳守したとき、外壁に105mmも外張り断熱を施すと、このIGサイディングしか現時点では選択できません。よって一番シンプルな形状をを選びました。

今回の内部インテリアは、何と言ってもDIY施工の壁の「漆喰」でしょう。この漆喰は昔ながらの「コテ」で塗る漆喰で、一切化学のりや水引材を含まない数少ないメーカー物をチョイスされました。写真をクリックすると拡大写真が見れます。この部分のコテむらがこの場所に合ってました。決して大きすぎないコテむらは経年で埃も溜まりも最小限度でしょう。

この部屋の大きな壁にこの仕上がりは最高でした。とてもよい雰囲気です。そしてこの素朴さと無垢のヒノキの床の無塗装とそして超高断熱性能の暖かさが融合し、決して派手ではなく穏やかで豊かな空間を提供します。


見学会に来れなかった人のために・・・。超高断熱+床下暖房の家 ①

彫りの深い窓がこの住宅の高性能を物語ってます。屋根形状は、ソーラーパネル(太陽光発電パネル)をできるだけたくさん載せたいがための形状です。屋根の勾配は27度で一番効率の高い30度とほぼ同じです。片流れ屋根でないのは、
1.高さが高くなりすぎて10mを超え、近隣に迷惑をかける。
2.屋根に出入りしやすい形状を配慮した。

サッシ周辺に窓枠(凸)があるのは飾りではなく、サッシ単体交換を可能にするためのもので、欧州や北米の住宅や集合アパートメントは交換が可能なようにこのような形状になっていますね。SSプランなので庇は必ず設置されております。

大きな吹き抜けがありますが、これで耐震性は最高等級の3を取得認定しております。1階床から吹き抜けをとおし2階天井まで6mあります。この高低差でも温度差が限りなく0度でした

2階のホールです。左にシーリングファン(大型扇風機)が見えますが、これは超高断熱住宅にありがちな太陽日射による冬期のオーバーヒートした空気を拡散させるものです。
2階の天井は屋根下地のままで、天井高さを2.7m確保しつつコスト削減と「木」の視覚的なものを楽しむためのものです。むき出しの構造柱や天井の合板など、無垢材には拘りませんが、木の素地に拘る質実剛健仕様です。

インテリアはほぼ木の「素地」と漆喰の壁の色だけです。この雰囲気は感じよいですね。


新潟の 超高断熱住宅の見学体験会終了

 今日の見学会もお昼を食べる時間がないほど大盛況でした。ありがとうございます。

特にHPをごらん頂き、超高断熱や床下のHeatingFactoryにご興味を抱きお越しいただいた方には、きっとその事実をご自分の目で見られてご満足されたかと思います。

今日の夜7時30分ごろの1階床温度です。見にくいですが23度(赤点が測定点)。
今日は深夜12時ごろ暖房OFFでしたから、この時間は全ての暖房OFFの19時間後の床温度です。脅威です。脅威。温度が全く下がっていないのではなく、朝の床温度22.5度より上がっているではありませんか?今日の新潟の平均気温は3度です。ほぼ曇りで、お日様はほんの10分くらい射した程度です。
次は吹き抜け天井の温度。なんと22.5度です。床表面温度との差はほぼ0度。これが暖房が全くなしの19時間経過後の温度です。まだ窓にカーテンがひとつもついていない一番不利な環境で、もしカーテンを設置すると更に断熱性能は増します。

これがオーブルデザインの「超高断熱住宅」緑の家の実力です。この性能があって初めて「超高断熱」と言えるのです。

こんなに窓が多くてもしっかり設計し施工する事で、計算と同じ結果(同じよりよい結果)が得られますね。設計した当人が一番感動しびっくりしてます。

天井の梁がきれいに見えます。
お越しいただいた方から、
「暖かい家という見学会に数多く参加したけれど、みんな暖房器具がしっかりと設置され運転していた。しかしこの家は暖房が全てストップしている。暖かい器具や部分が全くないのに、どうして家が暖かいか不思議で信じられない」

というご感想を頂いた。そして、

「どこかに隠して暖房機があるのでは?」との疑りさえ感じるその暖かさ!私もそう思います。想像できないこの暖かさがはQ値0.9W/m2Kの「超高断熱」+「超高基礎蓄熱」の効果なのです。名前に偽りはありません。その実力は県内最高でしょう!

超高断熱だけではこのようになりませんし、蓄熱暖房だけではこのようになりません。全てはトータルバランスですね。


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