引き続き300万円以上する熱画像カメラを巧みに操る東京大学の前先生の写真です。吹き出し温度は46℃。3m位離れた天井付近温度は36℃のピンポイント表示。上水管で熱を吸収されていることがわかる。
こちらの写真は床下から床上を見あげ床下エアコンの吹き出し口周囲の温度を測った所です。空気温度をサーモグラフィーで測る事はできませんから、温風がどのように流れるかは、接触した物質の表面温度から推測します。
引き続き300万円以上する熱画像カメラを巧みに操る東京大学の前先生の写真です。
一階床面裏がほぼ同じ温度であることがわかる。大引きのとの温度差は大引きから床上に熱が移動し難いから。逆を言えば赤いところが熱が逃げないところ。
「緑の家」である旭町の家の床下の熱画像です。この大引き部分は木の厚さが120mmあり熱が床上に伝わり難いのでこのような分布になります。熱が逃げる周囲は温度が低くなる・・・。床裏面も上部床に逃げて(伝えている)おりますね。つまり一階床面が暖かくなる・・・となります。
暖かい空気は一階の床裏を這うように横移動し、最終的にはスリットやコンセントボックス、床と壁の予期せぬ隙間から一階へでます。
床下エアコン暖房については先回の説明で、
とても快適・・・
加えて簡単・・・
コストも最小(イニシャルコスト)
と説明しましたが、
床下エアコン冷房は新潟および北陸地方、関東以南の沿岸部ではとても難しい冷房方式です。これは床下の高さが低い高い事とは関係はありませんし、空気と蒸気の特性ですから解決するには、ある程度のエネルギーが必要です。
床下エアコン暖房については過去、
とても快適・・・
加えて簡単・・・
コストも最小(イニシャルコスト)
と説明しましたが、
同じエアコンで床下冷房することは大変な危険を一つ持っております。それが・・・先回も説明した
ドレン管のつまりです。
特に外壁より離れてエアコンを設置する場合に注意が必要です。
日経ホームビルダー11月号では、
「床下の温度ムラ解消」
の10社の取り組みを紹介しております。
この中で、
「床下内の静圧を高めて一番端まで吹き出す」
と言っている仕組みは・・・・
実はオーブルデザインしかありません。
ここは大事なポイントです。
一般ユーザーも是非買って読んでほしい。
購入先はhttp://store.nikkeibp.co.jp/item/magazine/HB.html 一冊でも買える。
「日経ホームビルダー11月号」で床下暖房の特集が組まれておりました。無論「緑の家」も取材されておりますから2Pくらいは載っております。
今回は床下暖房の欠点・・・
メーカーが想定していない使い方でしっかりと床下内をムラなく暖められるか・・・です。
2015.08.25 緑字更新
最近オーブルデザインはカビの記事が多いことにお気づきだと思います。それは事務所を開いてから17年間の基礎断熱の高気密高断熱の実績があり、その高気密高断熱の自宅は既に25年を経過して新潟でのカビの実態がよくわかるからです。
そんなカビと基礎断熱に対する記事が業界紙である「日経ホームビルダー9月号」で特集が組まれておりました。
この表紙の絵は凄い・・・一般ユーザーも是非買って読んでほしい。
購入先はhttp://store.nikkeibp.co.jp/item/magazine/HB.html 一冊でも買える。
床下暖房(エアコン)は少し認知されてきました。
高気密高断熱で24時間暖房の家になると一般的に床下暖房しなくとも床面の快適性は維持できます。だからこそ15年前から床下へエアコンを設置する「緑の家」は有りましたが例外でした。それがどうして床下暖房が6年前から標準となったのでしょか。快適だからという簡単な単語ではありません。
「緑の家」標準(一番低い)の床下940mm。収納として大活躍。
「緑の家」では基礎断熱が基本となっております。そしてその基礎断熱は通常の倍以上の高さがあるので、床下収納として利用しております。これが大変便利な空間なのですが、注意点があります。
その1では私の能力不足による間違いや勘違いが有る事が考えられますので、論文の全文を↓におきます。興味のあるかたはご覧ください。
http://homepage1.nifty.com/arbre/CCI20140318.pdf (斜めはお許しを)
その2では又違った結果について考察します。
基礎の断熱材は何を使用しているか?と質問が有りましたので追記です。
素材はフェノバボードλ=0.019w/mkと断熱材の中で最も高性能な素材を120mmですからそのU値は0.16w/m2Kで、これはλ=0.028w/mkのスタイロフォーム断熱材換算で175mm相当の厚さになります。異常でしょうか・・・。
ご存じ「緑の家」のSSプランの家基礎断熱部分。白アリ対策がしっかりされている基礎。
「緑の家」の基礎は基礎断熱の床下暖房を行っているので、新潟県では過剰と言えるほどの断熱材が基礎外周に設置されており、そのU値は0.016w/m2Kと相当高性能になっております。県内でも床下暖房を行う会社は多いですが、ここまで断熱材を厚くする理由はなぜでしょうか?
一昨日、昨年暮れに完成した秋葉の家に、立ち寄って来ました。冬の準備として床下暖房のタイマーをセットし、フィルターの汚れがないかチェックしました。まだ冬の初めなので、深夜電力時のみ暖房を使い、高基礎に軽く蓄熱をさせます。こうすることで最小のコストで弱暖房環境ができます。
今日は東京で勉強会です。テーマはエアコンと床下暖房ですから私が少しだけ講師になりお話しします。技術評論家では一番有名な南雄三先生に依頼をされありがたくお引きさせて頂きました。
早速燕三条駅でハプニングが起こりました。
高基礎の床下内の利用は無限に広がる・・・エアコン直下に並べられたペット水。
こういう床下暖房は如何ですか・・・。とても綺麗に並んでます。
すみれ野の家の床下では、建て主さんが水による蓄熱システム実施中。
なんと1トン以上の水を床下に並べ、深夜電力時に床下エアコンを目一杯回し、日中の暖房負荷を減らす事を行っております。これはなかなか優れもので、2lのペットボトルなら500本以上・・・。なんと言っても500本が一本一本空気に触れるから、その表面積はとても大きくなり、ある程度の熱交換が期待できます。もし災害が起っても(断水)、この水はトイレ用として(賞味期限内なら飲料水も可)なんと150回分の水を確保でしておりますね。
多少・・・「我田引水」の話題です。
が、1mの基礎が高い家を15年間、100%提供して来たことは技術者としては大変誇れる事ですし、今までの建て主さんにも胸を張れます。
2001年に竣工した石山の家の床下に、エアコンを設置したのが2003年。それから既に9年がすぎました。その後5年前にS邸が床下エアコン設置し、同じ頃T邸で床下暖房のスラブヒーターを設置。その推移を見て・・・
3年前からほぼ全棟に床下エアコンを提案しており、そのどれもが「緑の家」の最大特徴である高基礎1mの家。これには大変重要な訳があります。
西裏館の家からこれを投稿しております。
室温23度の会場で今日一番暖かかった床は・・・
UBの床でした。なんと約26度・・・さすが床下暖房!
これなら乾燥も早く、何しろ入って気持ちがよい。
昨日は片貝の家の「なおらい」で、楽しいお酒を頂きました。沢山頂きすぎて今日の午前中は車の運転はできません。でもあの「あおやぎ?の焼き鳥」もお料理も、最後のそばもおいしかったです。ごちそうさまでした。
天井には建築化照明。梁の表しの意匠を壊さない照明設備として設計した。窓の大きさは耐震性から逆算し、最大の大きさを確保。
その④は・・・
まとめとして少しだけ室内写真をご案内します。
少しだけとは・・・この写真を撮った時点では扉や家具などがまだできていませんでした。だから多くはご紹介できません。
内装写真はシグマ製SD14で撮影し、クリックすると大きな1600*1076(Jpeg高圧縮)画像です。
氷点下4度の中の完成見学会でその断熱性能の実力を見せた緑の家。関東の人には驚きの2mの積雪が凄い・・・でも普通の設計範囲。
床下暖房と超高断熱効果 その③です。
1階床下暖房と2階床下暖房を持つ「片貝の家」です。床下暖房をする家は新潟県でもオーブル以外にありますが、オーブルデザインの「緑の家」はそこにオリジナルとして
A 2階床下暖房
B 基礎を蓄熱材として利用(コスト1/3深夜電力利用)
という2つを計画しています。Aは前回のその②でご紹介しておりますので今日はBを少しだけご紹介します。
片貝の家では、全ての居室で東に位置する山並みが見えるように、大きな開口部があります。そして居住部分のメインを2階にすることで更にその景観を最大限得ようとしております。
そこで床下暖房が2階の床下を暖められないか?との建て主さんのご要望を当初から頂きました。
私は今まで床下暖房の家は、1階は暖かいが、吹き抜けがあってもそれだけでは2階は暖まらないと知っておりますし、ましてやこの片貝の家は吹き抜けなどありません。だから・・・「2階床下暖房がメインになることは難しいが、補助的に床を暖められる」とお伝えし、この2階床下暖房計画が始まりました。だから2階の暖房のメインは2階に設置されたエアコン2台で、補助的に2階床下暖房となっております。
先日「緑の家」にお住みになってから10年を迎えるお宅へお邪魔する機会がありました。建て主さんは家を造った当時は還暦くらいでそれから10年経っております。すると当時気づかなかったあることがわかったそうです。
この写真は2年目のメンテナンスで、昨日床下の点検をした時に撮った写真です。
当事務所「緑の家」の床下は、照明が完備されているのでこのように明るいのですね。良く点検ができます。普通の家は床下で歩腹前進且つ懐中電灯なので、隅々まで見ることはできません。
「おや」 矢印の所に何かあります。
なんと丸虫(ダンゴムシ)と蜘蛛の死骸です。それも大量です。この家は完成時気密測定0.4cm2/m2と超高気密の家で、基礎断熱をしている「緑の家」です。その隙間のなさは、普通の家の1/10以下ですが、それでも丸虫(ダンゴムシ)は入ってきます。周囲は田舎ではなく普通の近郊住宅地で庭も芝生が綺麗に揃っている家です。
もっとよく見回ります、すると・・・
ふと足下をにはこんな名前もわからない虫もひからびてます。でも別に驚くことはありません。この状況は普通です。
私は「緑の家」の50件以上の床下に入りましたが、多かれ少なかれ必ず築2年で虫が結構死んでいます。
このように築2年でも基礎断熱のであろうと床下は、昆虫の死骸が沢山あります。この家だけでなく、暖かい高気密高断熱住宅は、越冬に虫が寄って来ることが大変多いと思って下さい。
しかし床下が照明完備で「明るく」、「自由に見廻れる高さがある」からこそ、気軽にこんな写真も撮れるし、「ああ、虫が死んでいる」なんて事もわかるのですね。
さすが基礎高さ1m万歳です!
気軽に入れない普通の高さの床下はどうなっている事やら・・・・想像したくないです。
この家は床下暖房や床下に温風を入れたり循環させたりしないので、この床下の空気が積極的に室内に入る事はありません。しかし床下空気を積極的に室内に循環させる家は、築2年目でこのような状態の空気を室内に循環させたいと思いますか?私はいやですね。
とにかく確認できない所の空気は綺麗だとは言い切れませんので、床下を何らかに使う場合は、このようにメンテナンスが気軽にできる基礎1mが最低条件です。
もし少しでも予算があるならそれは外壁の見栄えに使うのではなく、基礎を1mにすることに使いましょう。緑の家は過去12年間全ての家で基礎1mで提案しています。これが良い家を本気で奨める建築士の発想なのですね(手前味噌)。
1月に完成し2月から本格的にお住みになっている「緑の家」SSプランの超高断熱の住まいの実測データーには大変驚かされました。
そして今日はそのSSプランのもう一つの目玉である「Heat Factory&Strage System」の実測データのプレ報告です。
Heat Factory&Strage Systemは上の図のように高基礎の床下を、熱工場と大収納にするシステムです。大事なポイントは、SSプランのように超高断熱&高基礎と組み合わせる事です。
Heat Factoryの簡単な特徴は、いつも捨てているお風呂のお湯やシャワーの湯から、熱だけ奪い取って冷水にして捨てようと言う事です。もったいなから洗濯機に残り湯を使う方も多いと思いますが、その場合は浴槽のお湯だけしか使えません。ところがこのシステムは、お風呂場で使用した全てのお湯から熱だけを奪って捨てるので、お湯の熱が無駄になりません(もったいない精神です)。
簡単なシステムフローは、
「浴槽湯を捨てる、シャワーを浴びる」
↓
「床下のタンクに貯湯される」
↓
「次の日の湯張りまで床下で放熱」=暖房となる。
↓
「浴槽にお湯をはる」
↓
「貯湯されたタンクの中を給水が通る」=熱を給水に与える。
↓
「貯湯タンクの下部水が冷える」
「熱が与えられた給水はエコキュート(電温)のタンクへ」
↓
「お湯を捨てる、シャワーを浴びる」
↓
「冷たい水がタンクから下部水フロー排水される」
となります。電気など一切使わないシンプルな構造です。この排水から次の湯張りまで22時間の時間差があるのがポイント。
もし次の日入浴しなくても、床下への自然放熱だけでもお湯から半分程度の熱エネルギーは回収できます。さてその実測結果は
床下への自然放熱(暖房)の結果。しっかりと周りの室温になるまで水温が下がる。
給水への熱交換がされている状態。給水温度7度でタンクから出た時は12度から28度と最大20度の温度上昇。
上のグラフは3月上旬のある一日の貯湯タンク内水温変化(上)と、夕方の湯張り時のタンク内で熱交換される給水の入り口と出口温度を示してます。
どうですか?計画どおりきっちりと熱回収されているのがわかりますね。完成見学会で「本当に?」と言われた方、この結果をご覧頂けたでしょうか?
いずれも熱回収された部分は赤色です。まず20時間かけて自然放熱で床下に熱を放出します(暖房エネルギーになります)。更に湯張り時に、7度の冷たい水がタンク内の21度以上の中で熱交換され、12度から28度(タンク内温度に依存)まで上昇し、その後電気温水機やエコキュートに入ります。排湯タンク内にはこの給水で冷たく冷やされた冷水ができ、その水は下部に分離層を造りながら溜まります。その冷たくなった水を排水(オーバーフロー)させて1サイクル終了です。
お風呂の湯張り後直ぐに入浴、排水すれば冷たいままの水がオーバーフロー排水されます。少し時間ををおくと(2~3時間以上)冷たくなった水は、タンク周囲の空気で温められ温水として排水されるので、できれば湯張り→入浴→排水がスムーズ行われた方が効率はよくなります。しかし仮に温水として捨てられても、タンク周囲温度以上に水温は上がりませんから、当初の自然放熱分としては50%は行われます(下部分離水温はこれから解析します)。
また、排温水をいかにタンク内に拡散させないように入れるかはポイントで、施工時2回手直しを設備屋さん(新潟市の本間工業さん)からして頂きました。感謝です。
謝辞
本システム、改良、測定に助言を頂きました新潟大学のA先生、また機器設置、測定に多大なるご協力を頂きました新潟県立大学の坂口先生にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。
床下を暖める暖房(床下暖房)はすばらしい暖房システムですが欠点も多くあります。これは以前から当ブログやHPでもご案内してきました。この欠点についはこちらをご覧ください。
さて本題の床下暖房種類ですが、大きく分けると下の4つですね。
番号 | 名称 | 暖房方式 | 熱源 | 耐久性 | ランニングコスト | メンテナンス | 取り替え 容易さ |
設置 費用 |
A | 蓄熱床下暖房 | 蓄熱タイプ (深夜電力) | ニクロム線等 | ◎ 30年 | ○ | ◎ | × | △ |
B | 緑の家 SSプラン | 蓄熱タイプ (深夜電力) |
エアコン (空気) |
○ 15年 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
C | 温水床下暖房 | 常時 通電タイプ |
温水 (エアコン) |
○ 15年 |
△ | △ | ○ | △、× |
D | エアコン床下暖房 | 常時 通電タイプ |
エアコン (空気) |
○ 15年 | △ | ○ | ◎ | ◎ |
上の熱源は全て電気です。灯油タイプの床下暖房もありますが、既にランニングコストやメンテナンス性でメリットはありませんから、今後なくなっていくと思いますので記載しません。
新潟県で最も普及しているのがタイプAの深夜電力を使いニクロム線等で発熱、基礎コンクリートに蓄熱させて暖房を行うタイプです。このタイプは耐久性が最もあり一般には30年以上は十分使えると思います。但し今後この方式はその発熱方式がCO2を多く発生させるので次第になくなるでしょう。
Cタイプは最近のもので、お湯をヒートポンプでつくりそれを床下空間で放熱させるシステムです。一日運転させるのでBタイプより運転費が最大で3倍にもなる事があります。Aと同じようにコンクリートに蓄熱させるタイプもありますが、これはヒートポンプ効率が下がったりメンテの面で一般的ではありません。価格は高めです。
Dタイプは最近最も多いタイプの床下暖房です。所謂床下エアコン暖房と呼ばれてます。ほとんどがメンテナンスのため一階床付近にエアコンを設置し、温風を床下に吹き込むタイプです。手軽で簡単なの事が最大のメリットです。ただ普通の基礎ですと蓄熱は期待できませんし、床下内掃除ができません。運転は一日通電させるのでBタイプより運転費が最大で3倍にもなる事があります。
Bタイプは「緑の家」の方式です。高基礎と組み合わせて安価な深夜電力運転で蓄熱させるとCやDよりも1/3のランニングコストになる方式で、床下暖房の弱点を克服した暖房方式です。
細かい内容はこちらにありますのでご覧ください。
この写真は一昨年前に計画した「緑の家」の床下暖房で、発熱体を直接基礎に埋め込み蓄熱させる仕様の基礎築造前の写真です。勿論現在はエアコンで床下暖房するほうをお勧めしてますが、5年くらい前からこのような床下蓄熱暖房も行っております。
この写真は基礎スラブに発熱体(所謂ニクロム線)を入れ深夜電力で蓄熱させるため、そのコンクリートの温度は45度にもなる場合があります。いくら地中の断熱性能がよくてもこのこの温度では、地中への熱損失が大きいので断熱材を基礎の下全面に敷きこみます。
この写真の断熱材の厚さは50mmでスタイロフォームATを使ってます。この「AT」という選定が重要で、スタイロフォームの中でも「AT」だけネオニコチノイド系の防蟻剤を混入し断熱材自体にシロアリの食害を防ぐ効能を持たせています。「これにより断熱材がシロアリの蟻道やコロニーになったりする可能性がほとんど有りません」とのメーカー紹介があります。
無論可能性は0ではなく、多少の蟻害はあると想像できますが、大きな空隙ができることはないと思います。
ここが重要です。
多少加害があっても家そのものに影響を及ぼさない可能が高ければ、土に埋め込むことは問題はありません。また仮に蟻害があっても厚さ5cmですから、致命的な空隙ができるとは想像しにくいです。この家は埋め込む断熱材と家との縁が切れており、直接接しておりません。こういう配慮も肝心ですが、通常の施工では縁をわざわざ切ることは少ないでしょう。
しかしこのスタイロフォームATは普通の同等の断熱材の倍近い価格です。ですのでこういった防蟻性のある断熱材を使う工務店(建設会社)さんは多くありません。これは断熱材が地中に隠れてしまうので大きな加害があってもわからないからです。しかし大きな加害があれば、この断熱材を施工し蓄熱した熱を逃がさないように計画した意味がありませんね。
地中に埋められる断熱材がある場合は、必ず「防蟻性」のある断熱材かどうか確認が絶対必要です。
10年くらい前に基礎の下で断熱材のような発泡素材(防蟻剤無)を数十センチ埋め込む事で地盤改良する工法のメーカーが近隣県にありましたが、その時営業マンに
「その発泡材に蟻害はないのですか?」との問いに
「この材料はシロアリの食材ではないので蟻害はない。高速道路の路盤下地としても実績がある」
と答えてました。
しかし10年後の今の業界の統一見解では、
「シロアリは直接食べ物でない発泡性材料でも状況がよければ食べるし、コロニーも作る」
となってます。このことは昨日のブログのリンク先にしっかりと写真入りで解説があります。
http://www18.ocn.ne.jp/~union/131101.html
数十センチの厚さでシロアリの加害を受けたら怖い気がします。高速道道路のようにいつも補修ができるならよいのですが・・・。
このように地中内に設置する断熱材には細心の注意が必要です。当事務所は8年前に蟻害を受けてしまいその教訓を最大限生かし、建て主さんにご提案します。