「 家の論評、業界裏話 」一覧

無断房住宅、ゼロエネルギー、200年住宅は耐震偽装匹敵か?

たまたまこんなブログを見つけた。住宅研究者では有名な鵜野日出男氏の元旦のブログ!!

そこにはきっぱり、「200年住宅も無暖房住宅、ゼロエネルギーも耐震偽装に匹敵。」

詳しくはここのページをご覧ください。無断房住宅やゼロエネルギーと言って販売しているほとんどが偽装。200年住宅に至っては「官製偽装」ときっぱり言い切っている。そういえば私の恩師である先生も「ゼロエネルギー住宅」で販売しているセキスイハイムの担当者に、3年以上前から「いんちきだ」と言っていた。太陽光発電は初期投資がとても大きいので、ただ単にエネルギーの先払いをしているに過ぎないと。

ここまできっぱり言って頂けると気持ちが良い。私もそう思うし、先回の私のブログでも「新潟では無断房住宅はありえない。」と明言している。住宅が日本の数倍の期間使用(イギリスでは100年は当たり前)される先進諸国でも、200年住宅と言って「販売」している国はない。なぜ日本のような取り壊し平均寿命が30年と言う住宅後進国が200年住宅などと国をあげていえるのだろうか?カナダや米国から住宅を輸入することはあっても、輸出することはない住宅後進国なのに・・・。悲観的意見ではなく、客観的にみると、他国からはそう見える。そういうことである。 家を愛する、愛される、その仕組みを考えて初めて200年メンテナンスされるはず。有名な神社、仏閣のような信仰心と同じ位、その家を愛する気持ちでもなければ、継続することはできない。田舎の古い民家が100年以上あったのは、そういう気持ちに家族、一族がなれる仕組みがあったから。・・・だと思う。


新潟での高気密高断熱住宅(基礎断熱工法)とシロアリ

昨日NHKのクローズアップ現代で、「マイホームが危ない!(アメリカカンザイシロアリ)」と言うテーマの内容で放映されました。(←1月19日放送) 写真は拙宅庭にいるヤマトシロアリ

カンザイシロアリとは、その名の通り乾いた木材を食べる分散型シロアリです。外来種で日本にはいなかった種です。この乾いた木材を食べることと、分散型というところが、今までに日本にない種で駆除を厄介にしているのです。乾いた木材を食べるシロアリなら日本にも獰猛な「イエシロアリ」がいます。このイエシロアリは大きな巣(コロニー)を持つ集中型です。大きな巣には数十万のシロアリがいるため、短時間(数年で)で大きな被害を与えます。しかし逆に集中型なのでその巣を除去できればきっちっと駆除が完了します。ところが、分散型のカンザイシロアリは至る所に小さな巣をを造るので、一箇所集中的に駆除できません。ほとんどの巣を駆除しても家の中で一箇所でも巣が残ってしまうと、再びあちこちに巣が造られるらしいです。そしてこのシロアリは新しく巣を造る時季が、今までの日本のシロアリのように年1回だけではなく、条件さえ揃えば年に何回もあることが、駆除をさらに難しくしてます。

そこでNHKのこの番組では、「ほとんど今は打つ手なし」のような印象を与えております。このシロアリの原産国のアメリカでは、燻蒸処理と言って一軒丸ごとテントで梱包して殺虫処理するそうですが、住宅密集地のある日本では良い方法といえないそうです。つまり、仮に隣に既にカンザイイエシロアリがいたなら、そのお宅も一緒に燻蒸処理しないと、数年で再び食害にあうそうです。その隣にもいたら、又さらに隣にいたら・・・となり地域一体で処理しないと効果はないそうです。さらに燻蒸処理には100万/件以上のお金がかかり、費用面でも簡単にできないそうです。

NHKのゲスト解説者は、「建築基準法の改定も必要。現在の地面に近いところだけではなく、屋根まで含めた防蟻処理予防が必要、更に加害された木は大きな穴が開くため、今までと違う被害が出る」と言ってました。これを鵜呑みにすると木造住宅の根底を覆しかねないお話です。全てが防蟻処理された木材の中で暮らすことが想像できません。いくら人体に害が少ないとは言え、防蟻剤はシロアリを殺す力を持っているので、人体に無害、環境に無関係とはいえません。それに木製家具にも巣を造るらしいとのこと。テーブルや椅子にまで防蟻処理をするのでしょうか・・・?

アメリカカンザイシロアリの駆除については研究段階と言うことです。この問題は国が統一的基準を造り、いち団体や、ハウスメーカーで対応させる問題ではないと感じます。しかし気になったのは、NHKは怖がらしておいて有効な解決策はなしという終わり方。以前も同様な指摘がNHKのクローズアップ現代にされてましたが、NHKは唯一の国営テレビです。もう少し掘り下げてしっかりと国土交通省への聞き取りも行い、あんに国民を不安がらせる様なことは慎むべきと感じます。

ある有名なシロアリ駆除業者のサイトでは、「カンザイシロアリは食害スピードが遅く、食害も大きくなく建物に致命的な被害を与えることが少ない。まず専門家に相談」と書かれてます。NHKの「大きなが空き、今までと違う被害が出る。」という印象と違うような感じですが、どちらが正しいのでしょうか?専門家の間でもオーソライズされていない害虫を、住宅の総責任者の設計者はどのように判断すればよいか苦慮してます。しかし一般的に家内部進入は、基礎通風開口部(基礎スリット)から入りやすいとの事。と言うことは緑の家の「基礎断熱工法による無開口基礎は、近隣からの飛翔であれば家内部に入りにくい構造ともいえる。かな?

今のところ新潟県ではまだ被害例がありません。よって私の歯切れが悪く「・・・だそうです。」の表現が多くなりました。


今までの建て主を蔑ろにした講習会が堂々と行われる不思議。

先日、政府所管の財団法人主催で木造住宅の壁量計算等構造設計の講習会が三条市内であった。しかしこの講習会に住宅の設計実務者が行っているとしたら、それは非常に奇妙な講習会となる(行っていないと信じたい)。この講習会の趣旨は、来年実施されるであろう4号建築物の特例廃止に伴う確認申請の混乱を防ぐものであるととされる。が、その内容は壁量計算の実際の方法や計画である。確認申請の混乱を防ぐ目的なら、事務手続きのみの説明であるはず。しかし内容は、壁量計算の方法(構造設計)が主である。

そうこれがなぜ建て主を蔑ろ(馬鹿にした)講習会かと言うと、そもそも壁量計算は、数十年前から必ず設計者が行わなければならない決まりである。例外はなく、確認申請のいらない田舎でもそれは同じである。

平成11年の改正で壁量計算の項目が数個増えたが、あれから8年以上も経過している。この8年間、もしかしたらこの新しい壁量計算を知らないで、建て主に「安全、安心」といいながら建物を設計してきた設計者がいるのだろうか?(いやたぶんいるはず。そうでなければ国をあげて講習会を行うはずがない。木耐協の調査でも既に建築されている築25年以内の62%が耐震性に疑義があるとの結果がある。)なんといい加減なことであろう。住宅設計に携わる設計者は、この7年間に行った家の壁量計算を全棟行ったのだろうか?特に危惧するのは、純日本建築(数奇屋造り)や、デザイナーズ住宅といったアクロバットな住宅、三角形の変形住宅、片流れの屋根の家そしてロフトを持つ住宅である。

当事務所では築7~8年以内の住宅の簡易壁量計算を行うことをHPでご案内した。是非ご利用頂ければと思う。この期間であれば無償で施工会社から直してもらえる法律があるからだ!!


太陽光発電パネル補助金復活! 違法な階段その2

さて、太陽光発電パネル設置を考えている人には吉報。1kwあたり7万で補助金が復活。普通は3~4KWを計画するから、21万~28万を国からもらえる。詳しくはここに。無論当社でも補助金申し込みのお手伝いをしております。ご利用ください。

さて、数年前から何度なくアナウンスしてきた違法階段。これを業界最大手出版社が取り上げた。それによると建築士の16%は知らなかったと答えている。果たしてこの16%をどう感じるか?そしてその記事にもある違法階段がある常設展示場が結構あるらしい(実際に長岡市に建っている)。それをどうかんがえるか?まあ階段くらいよいのではと考える人もいるだろうが、建築基準法第一条には「この法律は安全性の最低基準」という位置づけとある。それから考えると、とても許されるものではない。


建築基準法上の工事監理者

工事監理者はとても重要な業務である。100m2以上の建物には、建て主さんが建築士の資格のある人を工事監理者として定める事、と法律で規定されている(義務事項)。「ああ現場監督さんね。」と考える人はちょっと待ってもらいたい。左の写真は法律定められた現場に必ず設置しなければならない表示看板である。ここには、建て主、設計者、工事施工者、工事現場管理者、そして工事監理者を記することになっている。ここで工事現場管理者というところに名前があるが、こちらは所謂「現場監督」であり工事監理者ではない。

この工事監理者の名前に見覚えがなければちょっと変と思ったほうがよい。建て主に内緒で勝手に工事監理者を決めて申請していることになる。また工事監理者と工事現場管理者の名前が同じであるときもおかしい。つまり造る人の現場代表と図面と現場が同じことを法律上責任を持って確かめるひとが同じことになる。確かに同じであってはいけない規定はないが、なぜわざわざ法律で工事監理者を定めなければならない既定になっているか?それは、施工する人が自分の工事が正しいかチェックしても意味がないのでわざわざ施工する人と違う人が図面どおりかチェックするシステムにしているため。特に注意したいのが「当社は最近第三者管理機関のチェックをしてますよ。」といっているが、これが法律上の工事監理者でないことがほとんど。法律上の工事監理者でないと、工事に関する注意などは法律上権限がない(建て主に報告する義務もない)。

もっと変なものは、施工者と設計者と工事管理者と工事監理者がすべて同じ場合。これではせっかくの法律で定められたチェック機構が働かない(働きにくい)。

写真の通りわかるのは、工事監理者は「法人名」ではない。何かあったとき個人の責任となることがほとんどであり、実際そういう判例が多い。


IHコンロとガスコンロ。どっちが水蒸気が多くでるの?答えは大体同じくらい。

赤字は2008年11月8日に加筆、訂正

最近は、2軒に1軒の割合でIHコンロを計画する。ご存知のとおり、IHコンロは、電気を熱にしてなべを温めるのではなく、電磁波としてなべ本体の金属原子を振るわせ温める(なべ型電子レンジと思えばよい)。だから炎はないし、コンロ自体に熱は発生しない。一方昔からなじみのあるガスコンロは、ガスを燃焼し炎としてなべに熱を与える。無論ガスが燃焼すると水蒸気と二酸化炭素とその他微量のガスが発生する。IHは電磁波なので何も発生しない。だからガスコンロで調理するとIHで調理した時と比べ、水蒸気の発生が多くなるとずーと思い込んできた。

ところが今日、日本空気調和衛生工学会の2008年NO.138の技術論文(第三者によって審査された論文)には、IH料理の方がガス料理で行った時よりトータルで水蒸気が多いという結果があった。両方とも同じ料理で・・・。つまりガス料理は、ガス自体の燃焼による水蒸気発生があっても、料理からは水蒸気の発生が少なくなって、トータルでもIHの方が料理作業における水蒸気発生量が多くなるらしい(代表料理3種)。一日のメニュウであってもほぼ同じくらいか少なくなる(グリル構造が違うが・・・)。

凄い結果!!。

当事務所では、好んでIHコンロをお奨めした事は今までない。しかしIHコンロのメリットは?と聞かれた時には、1.掃除が楽 2.空気を汚さない 3.安全性がガスより少し高い と答えてきた。その2.空気を汚さないということが半分当てはまらなくなった。空気を汚さないという事は、燃焼がないので酸素を使わないということと、水蒸気と二酸化炭素を出さないということで説明してきた。水蒸気は料理からたくさん出るのですね。なぜガスで料理した時よりかなりたくさん出るという事は、書かれてなかった(と思う)。

この論文発表者は、ガス会社勤務の方であるので、もしかしたらガスが有利な条件が入っているのかもとも考えたが、査読された論文なので(査読はされいない論文でした)そう大きな偏る条件はないと思う。恩師の先生に伺って見ると、「ガスが有利という条件はないと考えるが、論文に記述でははっきりとしていない部分が多すぎる」とのこと。

また、グラフには一次エネルギー消費というグラフもある。一次エネルギーとは、元になったエネルギーのこと。ガスであれば、直接化石採掘エネルギーなのでこのまま。電気は、火力発電所や原発から作られるので、そこに投入されたエネルギーで換算。例えば火力発電なら、重油を燃焼させ電気を作る効率が0.45。送電ロスが0.05で合わせて0.4という効率で換算しなければならない。一次エネルギーの比較でも、ガスが少なく効率が良い。こちらは少し前から業界では良く知られた話である。

昨日の常識は今日の非常識という言葉がちらついた。研究者は面白いでしょうね。下の表と図は上の論文から出展。実はこの図3がガスの燃焼時の水蒸気が入っているかどうかが明記されていない。このため図3は鵜呑みにできない。


NPO法人だからOK?

NPO法人は最近よく聞く。NPO法人とは「特定非営利活動法人」の事であり、NPO法 第1条は、その目的を次のように規定している。

「この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動」

これを聞くと一瞬「NPOだから皆ボランティア?」と思う事は大間違い。NOPの役員、理事等に相当な高額収入者もいる。ではどこが普通の企業と違うのだろう。

そもそも普通の企業は、利益がでたら先ず株主に配分し、更に社長や役員、そして社員に配分する。しかしこれは株公開の大手企業のこと。小さな会社は、ほとんどの株主が社長個人であったり、役員の親族であったりするため、利益が出れば社長が手当てとして配当されたりする。つまり決算をして利益が出れば(勿論社長の給与、税金を払った上で)給与の他に更に手当てとして配分する。NOPはこれが出来ない。しかしNOP(非営利活動)と言っても、それはその団体の活動で利益を出してはいけないということではない。利益をたくさん出して次の活動資金にする事には全く問題ない。違いは株主等に還元するかどうか。しかし日本の小さな企業のほとんどが同族経営なため、NPOと普通企業と違いはほとんどない。

だから営利団体(普通の企業)の傘の下(出資)で特定の団体の利益を誘導するような活動をしているNPO団体もある。また、NPO企業で小さな普通企業社長以上に収入を得ている人もいる。

NPOだから正直な会社とか、庶民の味方などという決め付けは危険だ。


良さをアピールしよう!

先週末行われた見学会に起こしいただけた皆様、大変暑い中ありがとうございました。この場にてお礼申し上げます。

見学会の中でよく質問される事があります。それは「集成木材はだめなんじゃないの?」ということです。これについては当HPで何度かご説明しておりおりますが、再びコラムにてご案内しようと思います。

結論からいえば、「現在の木造住宅は集成材無しには成り立ちません。だから日本の国もJASという基準で厳しく管理しております。だから、良くない事はありません。」となります。

☆ここでいう集成材とは木と木を何らかの方法で接着した木。☆

我々のいたるところで集成材はつかわれています。この集成材の良い所は、「小さな木からでも大きな材料が簡単にとれ、木の性質はそのままで製品品質は安定していること」です。だから大きい材料を使う時は、接着していない木より安価で、逆に小さい木を使う時は、集成材の方が高くなりがちです。その価格を見ながら使うところを決めております。また集成材は現在全ての木造住宅のどこか一部に使われていており、逆に集成材を使わない家はほとんどないくらい普及してます。

ところがこの集成材を悪者扱いするメーカーがおり、そのメーカーによって誤解してしまうような情報が発信されております。私どもプロの建築士から見ると、その集成材を悪者扱いする会社のHP上には、。「集成材は構造材に使うと接着剤が剥がれるし、化学物質も発生してよくない」とありますが、その会社の家には合板をしっかりと壁に使って、自社オリジナル工法としてアピールしてます。この合板はれっきとした集成材の一番の親分で、且つれっきとした重要な構造材です。だからとても滑稽に見えるのですが、一般の消費者にはこれがわかるはずがありません。「集成材は構造材に使うと接着剤が剥がれるし、化学物質もでてよくないのでは」というご質問頂く事になるわけです。とても残念です。日本の確固たるJAS基準の集成材は、しっかりした品質です。建築基準法でも、無垢材の最大1.5倍の許容応力度を取る事が出来ます。このような裏ら付けのある材料を「剥がれやすい」と言って過去に起きた生産本数の0.02%以下程度の剥離事故(しかし構造上問題ないと国交省が発表)を声高らかに宣伝する不思議さ。(因みにあるメーカーの新車自動車販売台数に対するリコール数は100%。「自動車 リコール率」で検索すればわかりあます)。こういう少ない事故例を大きく取り上げてチラシや広告宣伝するのは、脅迫営業みたいな物。それより自社の無垢材をアピールすれば良いのにと思います。私も無垢材使用は賛成です。私の場合は積極的に無垢材の構造材を最初薦めないのは、その品質の不安定さからです。無垢材の構造材もJAS基準はありますが、そのJAS基準のスタンプやシールが貼られた無垢構造材を現場で見たことはほとんどありません。つまりほとんどが「JAS基準ではない」木が流通しており、JAS材使用が高価になってしまうので、標準ではお勧めしないのです。JAS材ではない木は不安定な材料です。しかし我々はその宣伝を大々的には今のところしません。同じように脅迫まがいになるからです。それより自社構造の良さをしっかりと伝いたいものです。

下の図は集成材を悪者扱いする会社にある壁の断面図を、私が手書きした物です。ここで示される合板はれっきとした構造材で集成材だと思うのですが、それともこの集成材(合板)には接着剤が使用されていないノーベル賞的製法の合板なのでしょうか?


ビニールクロスは・・・匂う。

  昨日、近所の整形外科に行ってきた。2ヶ月ほど前から寝ちがいが原因で首筋がはり、痛い。特に寝ている時に首筋が張る痛みで目がさめる。よくなるとほっといたが、完治しないのでついに診察を受けた。結果はやはり原因は特になく、運動不足と柔軟体操不足という感じ。

この医院はある大手メーカーが一年ほど前に建築した。外部はタイルや塗り壁でとても立派なのだが、内部はほとんどビニールクロス壁、天井とビニール床。だから内部に入った瞬間、医院臭いと言うよりは、ビニールクロスの可塑剤※の匂い。久しぶりに新築臭を感じた。(皆さんが感じる新築臭はほとんどこの可塑剤の匂い)やはりビニールクロスは所詮ビニール臭が強い。外観にたくさんのお金をかけるなら、中にいる患者、スタッフ、ご自身のためにビニールクロスは最小限度に留めたほうがよかったと思う。がしかし、医院にとって外観は重要でステイタスなのだろう。

※ビニールクロスは塩化ビニールが基材になっている。塩化ビニールそのものは非常に硬い物質。これを柔らかくするために可塑剤を使う。この可塑剤が揮発性物質なので、ビニールクロスが柔らかい間(10年くらい)は可塑剤の匂いがする。そして可塑剤が匂わなくなったころ、つまりビニールが硬くなった頃、剥がれやすくなる。これがいやでオーブルデザインではエマルションペイントを使う。価格はビニールクロスの1.5倍するのですが、10年もあの可塑剤の匂いをかかなくて済む。


名義貸し・・・。

先日このブログでご案内した工事監理アドバイスしている家(法律上の工事監理ではない)の事で今日とても驚いた。

建て主Xさんは、Y工務店と一括請負契約(設計も施工もする)を結んだのであるが、この家の法律上の工事監理者はA設計事務所のBさんと確認申請書に記載されている。そこで建て主Xさんは、施工に疑義を抱き、このBさんのところに「施工は大丈夫でしょうか?」というつもりで事務所に伺った。そこで工事監理者Bさんは、建て主さんに向かって「名前だけ貸しているだけで実際の工事監理はしていないよ。オーブルに管理させるのであれば、うちに工事監理を依頼すれば対応したのに。」と言ったそうだ。びっくりした。Bさんは正規の工事監理者になっているのに、全く認識していない。姉歯の耐震偽装があって工事監理者の名義貸しの厳罰化となり、昨年数十名の建築士が見せしめともいえる免許剥奪処分を受けたというのに、全くお構いなし。同じ職責をになう者としてとても残念。人の命を預かるともいえる建物を設計・工事監理する建築士には、「人間性」のチェックの必要があると思われる。いくら技術的、営業的に優れた建築士であろうが、建築基準法の骨格を成す部分での違法性は、もっと厳重に取り締まる必要がある。しかし取り締まりはしないで、確認申請そのものを細分化してすまそうという意識が業界や国にあるように感じる。現法律が守られないのは、取締りがなく、また罰も軽いところに問題があり、入り口が問題ではない。出口の問題。ここが厳しくなければ所謂「ザル法」となる。

確認申請の書類をいくら細分化し厳しくしても「取り締まり」や「罰」がないなら意味はない。確認申請が厳しく不必要なまでに細分化されたコストを善良な建て主さん、建築士にまで要求されるのだから。そして一番問題なのは、これが特別の事ではない(普通にある)ことだ。


設計事務所と施工会社との違い。

この画像は家の構造図で床伏せ図というものです。この伏せ図が請負金額(契約)の提示前にあり、その図面作成者が設計者であるということが設計事務所の仕事です。 すごく当たり前な事ですが、通常施工会社は契約後見ることになり、伏せ図は設計者でない人が造っています。

一般に設計だけを業とする会社(所謂設計事務所)と設計と施工をする会社(建設会社)の決定的違いは何?との疑問が当事務所におこしになる人にはいつもあると思います。その違いは、設計業務の完成度にあります。設計で仕事をし報酬を得ている会社は、設計が全てです。設計に間違いがあればとんでも無い事になります。というのは設計業務はその報酬額の10倍以上のものを造る事が多いので、大きなまちがったら会社は即無くなります。そして大きな間違いの多くは、小さな間違いの積み重ねで起きます。だから真剣に細かく考えているのです(たまに違う会社もあるけれどそれはイレギュラー)。つまり施工は違う会社が行うので「きっちりと正しく」引き継がなければならないという事で、施工と設計が同じ会社では、互いにかばいあう事(ごまかすとも言う)ができるので少々ルーズであってもよい気持ちが互いにあります。例えば日本という国を考えると、設計(決まり=法律)を造るところは国会で、それを実施(運用)するところは行政です。この2つを同じ機関(人間)が行うと、間違いやごまかしが起こるのできっちりと分けております。また法律を作る国会と実施する警察が同じ機関であったらとても怖い世の中です。自分に都合よく解釈をかえ色々なことをごまかす事さえ出来ます。勿論携わる人間の資質で問題ないとこが多いでしょうが、問題がおきやすいのでわざわざ分けているのです。建物も同じで、公共建物のほとんど全ては、設計と施工を分けます。これは設計と施工が同じになるとごまかしや力関係が対等でなくなるので、よい建物が出来にくいということからです。私どもの建て主さんには多くの公務員さんがいらっしゃいます。その公務員さんの中でも建物や土木行政に携わるひとは口を揃えて言います。「設計と施工が同じ会社なんてプレハブのようなハウスメーカー以外※はいやだ」と。現場で設計と施工が同じ場合の問題点をよく知っているからです。自由設計の注文住宅は、世界にただひとつの設計でなります。だからその設計がきちっとしていないとまず、よい建物が出来ません。だから設計だけを真剣にこまかく考える設計事務所が必要とされるのです。

※ プレハブメーカーの家は自由設計の家ではなく、相当の決まりの中で作っているので、本来の意味の設計業務はありません。設計業務は、本社の商品開発設計部門でおこなっています。


阪神淡路大震災で学ぶもの。

昨日阪神淡路大震災から13年を経った。NHKでは何度となく現地の模様が報道されていた。その中でインタビューに答える多くの人が、「忘れない。風化させない。」と応えていた。この「忘れない」という主語は何であろう?また風化しては困るのは何だろう?その部分はカットされているのか、それとも応えた方があえて言っていないのかわからない。皆さんは何だとお思うだろうか?夜の10時からNHKで放送された「命のセーフティーネット・・・」ではそんな「主語」をしっかりと報道した。これには国営放送の大切さを感じる。(製作はNHK大阪であった。)

思い返すと阪神淡路大震災で亡くなった5千人以上の方は、圧死である。朝早く起きた地震は、住民を守るはずの家なのに容赦なく就寝中の人への凶器となった。昭和56年以前の基準で建てられた住宅は、震度7クラスの地震で倒壊する。また昭和56年以降の建築であっても、正しく建てられていない建物(大部分の木造住宅が該当)は倒壊又は補修不可能な被害を受ける。どうしてそんな現実があるのにインタビューでは主語が消えてしまうのか?もっと厳しく地震がいつでも起こるという現実を受け止めなければならない。キッチンやお風呂を新しくする前に、耐震補強をする事がとっても重要であるし、我々プロはそれを薦める任務がある。

一週間程前に家を計画している人から、現在相談している工務店は「行政の完成検査が終わってから小屋裏を造ろう」と言っているが問題ないのか?と聞かれた。問題外の工務店だ。小屋裏は法律で禁止はされていない。正々堂々と建てればよいではないか?つまり法律沿わない基準の小屋裏を造ろうとしているのだ。無論こんな家を造る人は、耐震性の計算なんて全く考えないのだろう。建築のプロが違法を薦めるという信じられない現実がこの数年で2回も大きな地震に見舞われた県内でさえも日常的にある。それをおかしいと思わない建築主も問題であるが、建築主の多くは、違法建築でも地震には倒れない家を造ってくれるだろうという「暖かい」?気持ちがあるのと解釈したい。

NHKの放送した「命のセーフティーネット・・・」の中で面白い地震対策を見た。防災ベットというスチールの天蓋で囲われたベットだ。この中で寝ていれば、木造住宅がつぶれても命は助かるという。http://www.houei-k.co.jp/

また耐震補強が充分でなくても補助金を認めると言う自治体もある。これは賛成であるが、あえて一言!!もし低い基準で耐震補強をおこなったら、その旨を玄関の見える部分に掲げてほしい。そうでなければ税金を投入したのに、その家に遊びに来た人や、譲り受けた人にちょっと危険だよと言う事が伝わらない。中越沖地震でよいと感じたことは、被災地建物の玄関に「要注意」と か「危険」とか貼り出された。確かにこういった建物には人は安易に近づかない。だから何とかしようとする。乱暴に見えるがこれが耐震補強をするきっかけとなるはず。法律改正でこんなプレートの義務付けが、耐震改修を加速させるひとつの方法であり、結果として人命を守ることになる。(相当抵抗があるだろうなーー(^_^;   )右は法律で定められた積雪プレート。これを見てその家の屋根に3mの雪があったら中に入ることはしないだろう。


ちょっと10年を振り返り

オーブルデザインは、平成8年に事務所登記を、その後一年をかけて準備を行い9年の暮れから実務を始めた。この暮れで実務を始めてから丸10年経つので少し振り返る。

1.10年前より建物の性能及び仕上げについて変わる事がなかった事が誇り。

10年前は自然素材を使う家が少なく特に木を無塗装で使う事など考えもしない業界であった。そんな中オーブルデザインの環境住宅「緑の家」では、床に無塗装の木、扉や戸枠に無塗装の木を使い、また、構造体にはクレテック金物と言う性能が明記されたものを薦めていたことに見学された人は大変びっくりされていた。これは今も変わりない。また、換気設備も当時から24時間換気設備を使い、今も全く同じ換気設備を標準では指定している。また、暖房設備に至っては、10年まえからエアコン暖房できる事(エアコン暖房が一番良いと言っているのではなく)を唱えており今も変わらない。さらに10年前から全棟に詳細な構造計算を行う事で建物の安全性を目に見える形で提供してきた。これらは全て10年間継続されてきた事。今の家でも自然素材、構造安定性、断熱性能等がバランスよく統合されていると自負する。洋服でも性能や仕様、価格がほとんど変わらないメーカー(海外アウトドアメーカーのモンベルやノースフェイスが造るゴアテックス商品等)があるが、これより寿命の長い家は最低10年くらいの仕様、性能を考える必要ある考え、「緑の家」はその仕様を決めてきた。

2.10年間で得た事務所の報酬は、全て建て主さんから。

一般に公共建築の設計のほとんど行わない設計事務所では、同業者から得る報酬が事務所の売上に占める割合が大きい。例えば確認申請だけをする仕事や施工建築会社の斡旋によるリベート、バックマージン等。しかしオーブルデザインでは一部例外を除いて全てが建て主さんからの設計工事監理料である。これは事務所の独立中立性の最大根拠である。最近施工会社が「当社は第三者機関によるチェックがある」と胸を張っているが、はてなと思う。いくら直接建て主に報告書を出すとしても、この第三者機関を使うかどうか決定するのはその施工会社である。つまり第三者機関にお金を払う意思決定権をもつ。数年前の姉歯偽装事件でも、国のお墨付きがある確認申請検査機関でさえも、民間運営で競争となった。そして施工会社から審査依頼が沢山ほしいばかりに書類のチェックが甘くなったと言う事実がある。これを建築士(設計者)は学ばなければならいと考えている。

3.年間6~10棟でお手伝いしその完成した家全てが「緑の家」である。

ハウスメーカーを除くほとんどの建設会社では、基本的性能でもランクをつけて家造りを行っている。これには実は?がつく。基本性能とは、安全性、快適性、耐久性と考えるが、これは設計者、施工者として確固たる理念があると思う。この家は予算がないから社の中の一番安い基本性能で良いという事ではどうも承服しがたい。経営的は多種多様の家をご提案したいと考えと思うが、これは基本線より良くなる事が前提であるし、デザイン的なものに限定することが重要である。家は50年を考えて造るものである。その中でメンテナンスを何回か行うだろう。このときやはりメンテナンス性も考えた家の基本性能がその設計者、施工者の理念ではないだろうかとオーブルデザインでは考えてきた。


またも大手住宅メーカーで強度不足の住宅

7月30日の日経BPニュースによると、大阪府の大手(大阪証券取引所第2部上場)のファースト住建の建てた(分譲)住宅の内32棟で強度不足が判明した。この会社は、構造計算を他社下請けにさせ、確認申請をだしていたらしい。強度の最低基準を決めた建築基準法数値の半分の家もあったとの事。今後は自社で構造計算をしチェックするとことに決めたとかかれている。やはりという感がぬぐえない。住宅の構造くらいその家の間取り(プラン)決定したした販売会社(設計者)が責任を見る事が出来なければ、この問題の解決は遠い。どうして住宅業界(新潟県内も含む)は、家の重要要素の安全性の確認を外注や下請けに依頼するのであろうか?

同じ日経BP7月22日のニュースでも、アーネストワンという住宅会社が、23棟の強度不足を発表し、その発表では外注の建築士が5人が間違っていたと、という発表を行い、自社販売住宅の構造責任を放棄するような発言が当たり前のように報道される。仮に自動車に置き換えると、「販売した車は欠陥があったが、これは下請けの工場の設計者にミスがあった」という事になる。そんな発表を自動車メーカーが行うだろうか?

家の販売会社が住宅丸ごとの責任を負う事が基本で、下請けが悪いとか、外注が悪いと言わんばかりの発言はどうかと思う。(現在は法律改正で販売会社にも責任を明確に追わせるようになったにもかかわらず・・・)    よい解釈に変えれば、それだけ建築士の仕事は自立しており、自己責任が大きく社会に与える影響が大きい業種という事になる。なるほど!!


全て広告か?

最近、住宅雑誌の発行(編集)社からの問い合わせが多くなっている。そのほとんどが広告料を払っての記事作成掲載である。インターネットが普及する前は、確かに情報を発信する媒体として大変有力であったが、最近はネットの普及で雑誌系の情報発信はそれほど効果的でもないと考えている。したがってわざわざ高い広告料金を払って、雑誌に記事掲載してもらう事は考えていない。雑誌において世の中の状況は、ほとんど広告料払って記事製作されているのに、雑誌の購入者は、なぜか広告料を払っていないと思っている人が多い。「よい家だから紹介された」。「よい工法だから、よい会社だから紹介された」と思って読んである人が多い。最近ではハードカバーのかかっている文庫本形式の家の本でも、ほとんどが最後は執筆者の利害関係がある会社への誘導と紹介である。今までは、TVのように流れてしまう情報より、活字の本や新聞の方が確かだといわれていたが、新聞もどこまでが記事でどこまでが広告なのかわざわざわかりにくいように編集してある感じがする。新聞は無論、書籍も正しい情報を伝えるメディアでは無くなったのかもしれない。「広告=正しくない情報」ではないが、どうも一方的な感じがするものが多い。すると正しい情報はどこから仕入れることができるのだろうか?一つは、国の機関が発信する情報。(時々問題もあるが・・・)次は専門の精査された論文である。精査されない論文は情報として問題が多い。時々間違いを堂々と発表するものさえある。一方数人のレフリーに審査されてOKがでた論文は、その業界紙や団体の論文発表誌に掲載される。ところがこういった審査された論文は、専門家向けに内容を略したりしており一般的にわかりにくい。そのためその論文から情報を得るためには、論文に携わった非営利団体や、同じく携わった利害関係がない専門者の噛み砕いた情報が、広告ではなく現時点で正しいと思われる情報ではないかと思う。

例えば「家の雑誌」関係では、

http://homepage3.nifty.com/net-forum/honnne/honnelink/zasshi.htm

等が専門家としての良心が感じられる。が、建築士を設計士と誤表記が・・・。

また、建築以外に「水」の事に関しては

http://atom11.phys.ocha.ac.jp/index.html

等が偏らず論理的に噛み砕いて解説されているように思う。ネットでは膨大な情報があるが、その情報を精査し、正しく受け取りたいものである。


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