「 家の論評、業界裏話 」一覧

長期優良住宅に電線の規定がないことの疑問と対策

丁寧に気密処理された電線の貫通部分。

電気配線は住宅建築ではほぼ100%必要な設備で、この室内配線はVVFというケーブルで施設されることが99%。しかし随分前から言われているが、このVVFケーブルの設計上の耐用年数は屋内の標準使用で20年から30年とのこと。30年経つと、シースケースの劣化で絶縁が低下し、最悪火災の原因になる。

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2023年建築学会梗概集からの 論文② 第三種換気の問題

いきなり結果を示す表の掲載である。C値0.1m2/m2以下の家でも給気口から40%しか入ってこない。残りの60%は他の隙間からである。

ようやく少し余裕が出来たので再び2023年の建築学会梗概集から興味深い論文を取り上げてみる。その②は上のグラフで、第三種換気の実際の給気口から入る新鮮空気の割合である(実測値と計算値)。

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結局骨抜き?25年から始まる構造審査義務化

2025年から普通の住宅にも構造審査を実施するとの宣言が2年くらい前にあったが、残りあと1年半のこの時点では、どうも本気で構造審査をする考えはないようである。上のHPにいくと現段階の資料が見ることができるので8月7日の資料を是非見てほしい。

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長期優良住宅の劣化の軽減
透湿防風防水シートと胴縁

長期優良住宅の認定を受けるためには地面から1m以内にある木材はこの通気胴縁まで劣化の軽減を行わなければならない。

以前ご紹介したある大手ハウスメーカーの外壁下地施工中の写真。白矢印で木材の色が違っているのは、矢印から下の茶色っぽいところが加圧防腐防蟻処理材を使っているからである。

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2023年建築学会梗概からの論文 ① 浴室循環扇

本ブログにある図や表は全て建築学会の梗概集PDFからPScである。

今年もこの季節がきた。今年はリアルで行われる建築学会。少々フライング気味だがその中で面白いと思ったものをいつものようにご案内する。最初は・・・なんと風呂CF(論文中では浴室循環式と呼ぶ換気装置)の事。

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eACH(相当換気回数)が5回/hで現法の10倍の換気。

先日のHEAT20セミナーで紹介されたこのeACHとは、空気清浄機で濾過された空気も外気と同様に扱って、換気量を一桁多くすることで感染性微粒子濃度を減らす考え方で、従来の新鮮空気のみでの換気回数とは別の手法で室内環境を良くしようとの思考である。実はそれが5回/hがよいのではないかとの内容で、今後の換気の新たな指針になるかもしれないとのことだった。その現在の10倍の相当換気量に全身の力が抜けた。

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小屋裏(ロフト)収納の今後

ご存じの通りオーブルデザインは北は北海道から南は九州までの沖縄と島を除く日本全国で設計を行っている。そこでいつも困るのが確認申請の規定の違いである。本来国内での建築基準法の規定は同じでなければならないが、条文では全て網羅できないこともあるので、この法で大きな市には建築主事なる職をおいて、その人の権限で判断している。しかしあまりにも都市によって解釈が違うと、建築主に対し平等性を欠くので上のような日本建築行政会議などで統一見解を出している。

がしかし・・・

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ダイキンのエアコン設定温度が不正確で嫌い。

2024.08追記 コメント欄でよい情報があるので、スクロールしてコメント欄をお読みいただければと思います。

事務所に2年前に取付けたダイキンS40YTRXP(ウルサラ付き最上位機種)

巷ではCo2削減のため冷房時のエアコンの設定温度は28度を推奨するとい言われている。この時の設定温度は「室温」なのだが、通常はエアコンの設定温度としてとらえることが多い。それもそのはず、多くのエアコンは室内空気を吸い込んでその時の室温を感知し制御しているので、近年のエアコンは設定温度=室温になる。しかしダイキンさんは違う。

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梅雨時恒例の水害対策について

新潟市のハザードマップ2011年。水色のところが海抜面以下の土地。

こちらはご存じのハザードマップである。この地図をこのブログで取り上げたのは、まだ一般への公開を行っていない2011年の4月である。この時は新潟県のハザードマップは国交省の出先機関や県の事務所にしか掲示されておらず、市民には積極的に公開されていなかった。

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小屋裏物置(収納)の制限

小屋裏の取り扱いの一例。これはある行政庁の4月から実施する内容。

建て主さんにとって小屋裏収納(ロフト)は魅力的な空間として認識されており、現在でも人気が高い住宅の仕様である。その用途はあくまでも「物置」となり居住としての利用は違法となる。しかし片流れ屋根が流行し広くなった小屋裏部分を「物置」としてではなく、居住的利用をする仕様が都市部を中心に多く見受けられるので、各行政庁で具体的な取り扱いの違いがある。上の例は東京都のある都市の取り扱いである。

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無難な透湿防水シートはあるのか その2 長期優良住宅のほうが短命の透湿防水シート。

その1からの続き。透湿防水シートは現在の木造住宅では切っても切り離せない材料である。そのシートで無難なメーカーを少し考えたのがその1であった。

結論から言えば、一般的な設計では価格が数万高くなろうと進化したタイベックシルバーを使うことがよいだろう。

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改めて・・・面材耐力壁の難しさを知る。その3

ボールペン先が入るようなめり込みが2mm近くある釘。規定より2割程度耐力が落ちるとの実験結果がある。

昨日、

「生命に危険を及ぼすような建物の不具合は不法行為となり、20年間は時効にならず責任を負う」

とお伝えした。住宅でそれに該当する一つが耐力壁の不具合である。

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長い期間の不法行為責任。特に設計者と工事監理者。

先日業界紙に積水化学さんが建築した築30年経た木造アパートが当時の建築基準法を満たしていない事が発覚し、その後の調査6棟全てで同じ違反があったため同型で今でも現存する147棟の再検査を行なうことが報道された。記事は下のリンク先↓

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01741/?n_cid=nbpnxt_mled_km

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査読論文から
無垢材とアルコール(塗料)

今日のブログの図や記事はこちらの論文からの抜粋

春の連休も近いのでゆっくりと論文でもご覧いただければと思い、今年発表された査読論文から面白そうなものを取り上げる。第一回目は「無垢材とアルコール(塗料)」とし、「緑の家」でも大量に使われる木材の揮発性化学物質についてご紹介する。

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無難な透湿防水シートはあるのか。

表題の「防止」→「防水」に修正。

昨年タイベックハウスラップが廃番となった(2020年撮影)。

「緑の家」では過去殆どの家で透湿防水シートは「タイベック ハウスラップ」(以下タイベックとする)であった。ところが昨年タイベックが生産中止なりタイベックシルバーに統一された。それは良いが価格が3倍近くにもなり、現在の多くの「緑の家」では昨年からフクビのスーパーエアーテックス等タイベック以外となっている。そこで悩む・・・。

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いつもこの季節におきる「疑問」事。

新潟市建築課の窓口においてあったパンフ。このように省エネ義務化は着々と進んでいるが、構造計算義務化など4号特例見直しはどうも弱腰な気配がすでに見受けられる。

先日新潟市に長期優良住宅の認定書を受け取りに行った時に、受付に上のパンフが置いてあった。2025年から省エネ義務化・・・さてこれはスムーズに発進できるのだろうか。

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Bグレードで 等級7認定取得と今後の審査

「小新西の家」の長期優良住宅認定申請の書類。断熱等級7で認定取得。

昨年の春に設計が終了した「小新西の家」の長期優良住宅を申請した。昨年10月に断熱等級5、6、7が新設されたため長期優良住宅の基準が変わり、その後初の取得となった。

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気密チェック②と・・・驚異260%の電気単価値上げ

2023.01.19緑字加筆 東北電力さんから新たに連絡があり「260%値上げの昨日のこと」は間違いだとのこと。

最近三国街道の家に伺うときには晴れとなるから不思議である(新潟の冬は殆どが曇天)。

先週末に気密チェックの2回目と外壁のはり始め確認に三条の三国街道の家に伺った。

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続・論より証拠 31年経た樹脂サッシ
高断熱高気密の弱点は開口部の気密維持性能

あれからもう12年が経過したしたのか・・・と感じる。12年前(2010年)に投稿した記事にコメントがついたので続編として案内する。

新潟の自然素材の家 論より証拠 20年経た樹脂サッシ
先日、「これからは樹脂サッシだ!アルミ樹脂複合サッシは賞味期限間近品だ!」と宣言しました。そうしたらその記事に貴重なコメ...
2010年のブログ

2010年の頃は、本州以南では樹脂サッシがまだ一般的で無く、一部の高断熱高気密マニアにしか採用されていなかった。アルミサッシ大手2社も樹脂サッシの販売に後ろ向きだった頃である。だから上の記事は当時樹脂サッシを採用する人の正確な判断が出来るようにと思い投稿した。ところが2011年から手のひらを返したように、YKKが先頭を切って樹脂サッシの販売に力をいれ、これからは樹脂サッシの時代と宣言した。

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再び筋交いによる耐力壁に戻る

構造用合板の高騰を受け、「緑の家」では3年ほど続けてきた「大壁貼り」による構造用合板耐力壁から、主として筋交いによる耐力壁に当面のあいだ仕様変更する。サブで面材を貼るときには「真壁貼り」としたい。

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続・大変な疑問・・・一年ごとに変わる基礎断熱の熱損失

ちょうど一年前にある疑問で下のブログを載せた。今読み返しても「良文だな」と手前味噌である。

悟り・・・基礎断熱の熱損失から 
基礎断熱の熱損失評価が約7倍悪くなった・・・が特に何か支障があるかというと・・・実務に影響はほとんどない。評価が変わっ...

しかし一度納まった疑問が再びこみ上げてきた。この基礎断熱の熱損失については既に疑問を通り越してあきれている。それは・・・

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更なる上昇か?木材の価格。

緑字加筆

ロシアを国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意した。決定が数日内に下されるとの見通しを示した。

ロイターニュースより

とのニュースが流れているが、SWIFT排除が実施されると、決済ができないためロシアとの輸出入が一切なくなるとのこと。これではまた柱や梁等の集成材の価格が上がるかもしれない。

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最近のCOVID-19で思う事

一日のPCR陽性者が6万人を超え、身の回りでもPCR検査したという声が聞こえてきているので更に増えそうな気配である。殆どの人はマスクも手洗いも一年前と変わりなく行なっており、店舗に至っては換気をはじめ消毒薬なども変わりなく行なっているはずなのに何がちがっているのか。冬だから・・・いいえ昨年も冬はあった。

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住宅の換気と空気感染する病

昨年ご紹介した2021建築学会学術講演論文梗概集では、題名関連の論文が数多く発表された。そもそも空気感染する病に対し、一般的な家で生活を営みながら感染病に対して有効な予防が可能な換気は現在の住宅では不可能に近い。

2021建築学会学術講演 論文梗概集  その2 感染症に換気の悪くない空間とは・・・幻想か?
今年だからこその研究で、今回の最も時勢的な研究で選抜論文として通常の倍の4ページにわたる論文の紹介。内容は「換...
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住宅価格(資材)が12月から更に上昇

流通業界の人、工務店の人にお目にかかると口々に材料価格の高騰が止まらないとのこと。建築材料として最も一般的な合板の価格が11月まではこの夏の価格より1.4倍程度だったのが、12月から更に上がって1.6倍、また最も多く使うプラスターボードも1.4倍と異常な値上がりとなっている。この10月に「緑の家」の目安の価格をHPで改定しているが、そこから更に値上がりとなる。特に・・・

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LED電球って5000時間くらいか?

出典:www.jma-net.go.jp

表題の話題の前に一昨日の庇のことであるが、上のグラフのとおり新潟県は関東(東京)より特に6月から9月における日照時間(直達日射)が多いので、直達日射をできる限り室内に入れないことが東京より重要になる。そこで庇が重要となる事を改めてお伝えする。

さて・・・事務所で使用していたフジワラのLED電球がおかしくなった。使用してから4年ではあるが点灯時間はまだ2000~3000時間と思われる。

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